第237回 日本泌尿器科学会岡山地方会  

日 時:平成10年9月19日(土) 午後2時
場 所:川崎医科大学メディカルミュージアム
    2階大講堂
    倉敷市松島577
    TEL(086)462-1111(内線3221)

一般演題
14:00〜14:40 座長 川崎医大 森岡政明

  1. 早期に診断しえた副腎褐色細胞腫の2例
    倉繁拓志,大橋輝久,近藤捷嘉(岡山赤十字)
    内藤 稔,名和清人(同・外科)
    国友忠義(同・病理)
     
  2. 副腎血腫の1例
    高尾 彰,山本康雄,津島知靖,公文裕巳(岡山大)
     
  3. 敗血症性ショック・DICを合併し手術により救命し得た気腫性腎盂腎炎の1例
    岡田 崇,前川信也,青木芳隆,大久保和俊,小倉啓司,荒井陽一(倉敷中央)
     
  4. 尿管閉塞による巨大水腎症に対する腎機能廃絶術の一経験
    茂田泰明,植田秀雄(興生総合)
     

14:40〜15:20 座長 岡山大 津島知靖

  1. 高齢膀胱癌患者に対する膀胱全摘除術の臨床的検討
    雑賀隆史,村田 匡,陶山文三(三豊総合)
    真鍋大輔(尾道市民)
     
  2. Dexamethasoneが有用であった再燃前立腺癌症例
    日下信行,山本康雄,那須保友,津島知靖, 公文裕巳(岡山大)
     
  3. 異時性両側精巣腫瘍の1例
    木村高博,曽根淳史,森岡政明,田中啓幹(川崎医大)
     
  4. Fourniers gangreneの2例
    二部野 肇,野田雅俊(姫路聖マリア)
    三枝道尚(広島市民)

    休憩
     

15:40〜18:00  要望演題

    『尿路結石症治療の現況と問題点』
     

        司会      岡山大    公文裕巳
        コメンテーター 名古屋市立大 郡 健二郎

    幹事長要望講演
    『尿路結石の成因と再発予防』
    郡 健二郎(名古屋市立大)

  1. Storz Modulith SLXの治療成績と補助療法に関する考察
    宇埜 智,森 亮二(十全総合)
     
  2. 当科における外来日帰りESWLの現状
    林 俊秀,高松正武,入江 伸,金重哲三(岡山中央)
     
  3. ESWLを追加した上部尿路結石症例の検討
    ―結石再発,残存結石増大に対するESWL追加例―

    石戸則孝,塩塚洋一,伊藤誠一,国富公人,高本 均(倉敷成人病)
  1. 長期嵌頓尿管結石に対する治療法について。ESWL?,TUL?,切石術?
    中山恭樹,市川孝治,山田大介,三枝道尚,浅野聡平, 荒巻謙二(広島市民)
     
  2. ESWLにおける周術期感染予防について
    那須良次,公文裕巳(岡山大)
    入江 伸(岡山中央)
    宇埜 智(十全総合)
     
  3. 腎結石に対するESWL前後の腎血流変化
    −超音波カラードプラ断層法を用いて−
    青木芳隆,大久保和俊,前川信也,岡田 崇,小倉啓司,荒井陽一(倉敷中央)
     
  4. 2,8 dihydroxyadenine (DHA)結石症の1例
    森 亮二,宇埜 智(十全総合)
     
  5. カルシウム結石患者の再発予防における食事指導の有用性について
    首藤恵二郎(水島中央)
    木下博之(木下医院)
    山本徳則,森岡政明,田中啓幹(川崎医大)
     

     

    幹事長要望講演
    尿路結石の成因と再発予防
    郡 健二郎(名古屋市立大)

 尿路結石は戦後欧米化の食生活と共に急増し,中高年男性に限ると約10%と高頻度である。また5年再発率は30〜40%にものぼるが,その中には再発予防できた患者さんも少なくない。本講演では,尿路結石の成因と再発予防における最近の話題を紹介する。
 尿路結石は90数%の無機物質と数%の有機物質(マトリックス)とからなる。無機物質は18世紀末に成分が同定され,その性質を応用して,19世紀始めには溶解療法が,最近では薬物療法や食事療法が開発されている。それらの予防により,再発率は5〜15%に減少されている。この残りの数字は有機物質殻からのアプローチの必要性を示すものとも言える。そこで私達はマトリックス成分は従来までの考えのように尿由来ではなく,腎臓組織由来であると推察し,腎臓cDNAと結石マトリックスの抗体を作成し,分子生物学にオステオポンチン(OPN)と言う物質を同定した。OPNの腎臓における発現は,正常遠位尿細管細胞に散在してみられ,結石形成時に増加することが判った。また,臨床的に尿路結石の形成に係わっている種種の因子(女性ホルモン,PTH,水腎症など)を実験的に作成し,OPNの発現を調べたところ,臨床結果と一致しており,OPNが尿路結石形成に係わる物質であることが推察された。また,動脈硬化症の石灰化物質もOPNであることや,尿路結石形成過程にはmacrophageやサイトカインが係わっていることが判り,さらに好発年齢などの疫学的にも,尿路結石と動脈硬化とはよく似た機序の疾患であると考えられた。そこでコレステロールとカルシウムとをラットに20週間負荷すると,尿路結石の形成を見た。これらの事実から,尿路結石は生活習慣病の1つと考えられた。
 最近,諸疾患においてexperience-based medicineよりもevidence-based medicineに基づく治療ガイドラインが提唱されている。上記に述べた研究結果と,臨床における自験例と国内外の発表データを基に,尿路結石の再発予防に関するガイドラインの私案を示す。結石の成因は癌や生活習慣病と同じく,遺伝要因・外部環境要因・生活習慣要因の3つの要因からなり,慢性刺激による遺伝子変化と考えることができる。これら3つの要因のうち,生活習慣のウエートが最も大きく,また喫煙・飲酒・運動など7つの生活習慣(NIH,Breslowの7つの健康習慣)の中では食生活の影響が大きい。それらの観点からみた,薬物療法・食事療法・運動療法について述べる。

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