260回

日本泌尿器科学会岡山地方会

 

日 時:  平成16年5月22日(土) 午後2時

場 所:  川崎医科大学メディカルミュージアム

           2階大講堂

           倉敷市松島577

           TEL(086)462-1111(内線3221)


プログラム

一般演題

14:00〜14:40                                   座長 岡山市立市民 津川昌也 

1. 外科的治療を行った完全珊瑚状結石患者の長期成績抄録

石戸則孝、小林正雄、黒瀬恭平、國富公人、高本 均(倉敷成人病)

荒木 徹(あらき腎・泌尿器科クリニック)

 

2. ウロキナーゼ注入血栓溶解療法により保存的治療が可能であった腎梗塞の一例抄録

佐々木克己白崎義範 武田克治 朝日俊彦(香川県立中央)

渡辺豊彦(岡山済生会)

 

3. 過去5年間における当院での腎損傷の経験抄録

倉繁拓志、小武家洋、水野全裕、西 光雄(香川労災)

 

4. 尿路感染症を契機に発見された巨大腎杯症の1例抄録

       片山修一、後藤隆文、秋山卓士、高尾智也、浅井 武、青山興司(国立岡山医療センター)

 

 

14:40〜15:10                                      座長  栗林病院 大橋洋三

5. 腎被膜より発生した平滑筋肉腫の1例抄録

坪井 啓、能勢宏幸、上原慎也、賀来春紀、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

6. 腎オンコサイトーマの一例抄録

別宮謙介、日下信行、小武家誠、宮地禎幸(岩国医療センター)

 

7. 後腹膜脂肪肉腫の2例抄録

宇都宮紀明、市岡健太郎、公平直樹、上田修史、吉村耕治、寺井章人(倉敷中央)

 

15:10〜15:40                                         座長 福山市民 岸 幹雄

8. 内視鏡補助下小切開法による根治的前立腺全摘除術+腓腹神経移植の経験抄録

武中 篤、原 綾英、兵頭洋二、石村武志、酒井 豊、藤岡 一、藤井智浩、

常 義政、藤澤正人(川崎医大)

 

9. 倉敷成人病センターにおける根治的前立腺全摘出術の手術成績について抄録

黒瀬恭平、小林正雄、石井亜矢乃、國富公人、石戸則孝、高本均(倉敷成人病)

荒木 徹(あらき腎・泌尿器科クリニック)

 

10. 再燃前立腺癌に対する外来でのホスフェストロール(ホンバン)間歇静注療法抄録

野田雅俊、真弓友介(姫路聖マリア)

 

15:40〜16:20                                         座長 川崎医大 武中 篤

11.膀胱直腸瘻の一例抄録

野崎邦浩、山田大介、陶山文三(三豊総合)

井上高明(因島総合)

 

 

12.限局性膀胱アミロイドーシスの1例抄録

大石智子、秋山博伸、枝村康平、林 俊秀、入江 伸、金重哲三(岡山中央)

橋本尚子、谷合一陽(同・内科)

 

13.尿膜管膿瘍の一例抄録

上松克利、小澤秀夫、大森弘之(岡山労災)

 

14.尿道断裂の1例抄録

杉本盛人、市川孝治(十全総合)

 

休憩                                                                                    

16:40〜17:10                                          座長 岡山中央 入江 伸

15.皮膚筋炎を合併した性腺外胚細胞腫瘍の1例抄録

酒井 豊、原 綾英、兵頭洋二、石村武志、藤岡 一、藤井智浩、常 義政、

武中 篤、藤澤正人(川崎医大)

 

16.精巣原発悪性リンパ腫6例の臨床的検討抄録

谷本竜太、三枝道尚、井口裕樹、上杉達也、荒巻謙二広島市民 

 

17. 陰茎絞扼症の一例抄録

西山康弘、江原 伸、永井 敦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

17:10〜17:40 

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

                   朝日俊彦(香川県立中央)

              難波克一(岡山市)

              赤枝輝明(津山中央)

              津島知靖(岡山医療センター)

 

 

抄録

一般演題

1.

外科的治療を行った完全珊瑚状結石患者の長期成績

石戸則孝、小林正雄、黒瀬恭平、國富公人、高本 均(倉敷成人病)

荒木 徹(あらき腎・泌尿器科クリニック) 

 

【目的】1987年3月から1997年5月までの間に、完全珊瑚状結石患者69例に対し、初回の外科的治療を施行した。5年以上の長期経過観察が可能であった症例の臨床的検討を施行した。【対象と方法】対象は、完全珊瑚状結石患者42例、45腎単位であった。治療法は、ESWL単独15単位、ESWLとPNLとを併用29単位、PNL単独1単位であった。罹患側は右側:18単位、左側:21単位、両則:3単位であった。年齢は31〜77歳(平均54.4歳)であった。性別は、男性23例、女性19例であった。経過観察期間は5〜16年(平均11.5年)であった。38例で結石成分が判明し、リン酸カルシウム結石17例、蓚酸カルシウム結石10例、リン酸アンモニウムマグネシウム結石5例、尿酸結石5例、シスチン結石1例であった。【結果】重篤な短期合併症は認めなかった。6例が腎疾患以外で死亡した。1例が珊瑚状結石の再発に対し治療を行った。長期合併症は、画像上評価可能であった27単位中11単位に腎萎縮または瘢痕を認めた。腎機能が低下し透析に移行した症例は2例、高血圧を合併した症例は6例であった。【考察】完全珊瑚状結石患者に対し、ESWLやPNLなど適切な治療を選択すれば、患者の予後は、比較的良好である。定期的な経過観察の重要性が示唆された。

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2.

ウロキナーゼ注入血栓溶解療法により保存的治療が可能であった腎梗塞の一例

佐々木克己, 白崎義範, 武田克治, 朝日俊彦(香川県立中央), 渡辺豊彦(岡山済生会)

 

症例は52歳男性、主訴は右側背部痛。既往歴は、左尿管結石、糖尿病、不整脈(心房細動)、左腎梗塞(萎縮腎)。

平成11年左腎梗塞を発症するも、発見が遅く左萎縮腎を呈した。以降、抗凝固療法(ワーファリン内服)を続けていた。平成13年10月13日、右側背部痛を訴え受診、エコーでは異常所見を認めなかったが、Crの軽度上昇、末梢血白血球数の上昇を認め、ダイナミックCTにてまだら状の無血管領域を認めた。緊急腎動脈造影検査を施行、CT所見に一致して無血管領域を認め、右腎梗塞と診断した。血管造影に引き続き、ウロキナーゼ注入による血栓溶解療法を施行した。側背部痛は消失し、梗塞の原因と考えられた心房細動の治療のため循環器内科へ転科した。以降経過観察するも、腎の萎縮を認めず、血清Crの上昇も認めていない。

ウロキナーゼ注入血栓溶解療法により保存的治療が可能であった腎梗塞の一例を若干の文献的考察を加えて提示する。

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3.

過去5年間における当院での腎損傷の経験

倉繁拓志、小武家洋、水野全裕、西光雄(香川労災病院)

 腎損傷は尿路損傷の約45%と最も高頻度に認められ、また腹部外傷の18〜46%を占め、腹部臓器のなかで最も受傷しやすい臓器のひとつである。今回、我々は2000〜2004年の5年間に13例の腎損傷を経験したので、症例提示を交えながら、若干の文献的考察を加えて報告する。

年齢は11〜80歳、性別では男性9例、女性4例となっており、受傷原因は交通事故が8例と最も多く、次に高所からの転倒が多かった。損傷程度は、挫傷7例、裂傷2例、断裂2例、腎茎部損傷が1例となっており、治療法としては、血管塞栓術1例、腎縫合術2例、腎摘出術を2例に施行し、ほかは保存的に治癒可能しえた。只、腎摘出術を施行した2例は不幸な転帰をたどり、救命できなかった。

外傷に対する処置は、迅速かつ的確な判断が要求され、泌尿器科医としての実力が問われる局面である。我々の経験した症例を供覧し、先生方のご意見を伺いたい。

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4.

尿路感染症を契機に発見された巨大腎杯症の1例

片山修一、後藤隆文、秋山卓士、高尾智也、浅井 武、青山興司(国立岡山医療センター)

 

症例は4ヶ月男児。主訴は水腎症。家族歴に特記なし。在胎30週の近医での胎児エコーにて腹部のcystを指摘されていた。大きさに変化がないまま正常満期産で出生。生後4ヶ月時に発熱を認め、尿路感染症と診断され、入院加療を受けた。入院中に左水腎症と診断され、当科に紹介受診となった。エコーにて右腎は正常、左腎は腎実質の菲薄化、全腎杯の拡張を認めたが、腎盂の拡張は乏しかった。腎シンチで瘢痕を認めず、利尿レノグラムでは尿路閉塞パターンを示さなかった。4才になり、腎盂内圧測定を行ったが腎盂内圧は正常であり、逆行性腎盂尿管造影にても腎杯拡張あるも腎外腎盂は軽度拡張するのみであった。これらの所見から本症を左巨大腎杯症と診断した。今回は巨大腎杯症に対し、若干の文献的考察を加え、報告する。

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5.

腎被膜より発生した平滑筋肉腫の1例

坪井 啓、能勢宏幸、上原慎也、賀来春紀、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

症例は68歳女性。平成15年8月頃より左腰部痛を自覚していた。平成16年2月、検診での腹部超音波検査にて左腎腫瘤を指摘され近医受診。腹部CTにて左腎中央腹側に71mm×65mmの腫瘤を認め、同年3月4日左腎癌または膵尾部腫瘍疑いの診断にて当科紹介入院となった。MRI上、左腎および膵臓との境界は不明瞭であった。明らかな栄養動脈は認められなかった。原発巣確定のため腹部血管造影を施行したところ主たる栄養動脈は腎被膜動脈で、副腎動脈と第1腰動脈からも供血されていた。腎動脈からの供血は認められなかった。以上より腎腫瘍もしくは腎被膜原性の後腹膜腫瘍と診断の上、平成16年3月16日経腹的左腎摘出術を施行した。腫瘍と周囲との癒着は高度であり、また、腎との境界は不明瞭であった。病理診断はLeiomyosarcomaであり、腎実質や副腎への浸潤を認めなかった(pT2aN0M0  stageU)。Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのSarcoma Nomogramにより算出した4年生存率は60%であること、腫瘍の局在上、放射線療法は困難であることを考慮し後療法は施行せず3月30日退院となった。

 腎被膜より発生した平滑筋肉腫は極めて稀な疾患であり、若干の文献的考察を加えて報告する。

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6.

腎オンコサイトーマの一例

別宮謙介、日下信行、小武家誠、宮地禎幸(岩国医療センター)

 

症例は83才女性,BMI 27.6。DM及び肺血栓塞栓症にて当院内科外来加療中,腹部膨満あり腹部CT施行したところ偶然右腎下極背側に径約4cm大の腫瘍認め,平成16年2月18日 当科紹介となった。CT及びMRIにて同部位に不均一に造影される腫瘍を認めた。脂肪成分の少ない血管筋脂肪腫あるいは右腎癌臨床診断T3aN0M0と診断,合併症及び年齢より腎温存手術を行うこととし,3月12日全身麻酔下で手術施行した。術中所見では腫瘍は軟で腎外へ突出するように発育しており周囲脂肪組織との境界は不明瞭であり,血管筋脂肪腫が疑われた。迅速病理では血管筋脂肪腫あるいは顆粒細胞癌との診断であったが腫瘍の核出のみに止めた。病理診断は腎被膜下脂肪組織内発育を来たしたオンコサイトーマであった。術後経過は良好で4月2日 退院し外来follow中である。

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7.

後腹膜脂肪肉腫の2例

宇都宮紀明、市岡健太郎、公平直樹、上田修史、吉村耕治、寺井章人(倉敷中央)

 

症例1:60歳男性。1ヶ月前より全身倦怠感、右背部鈍痛を認め受診。CTにて右腎を取り巻くように 18 cm 大の豊富な脂肪成分からなる腫瘍を認めた。右腎は内側前方に偏位しIVC は内側に上行結腸は前方に圧排されていた。腎由来の血管筋脂肪腫が疑われ 2004/1/7 摘出術施行。切除重量は腎を含めて 4.7 kg だった。病理は脱分化型脂肪肉腫であった。2004/3/23 の CT にて約 54 × 27 mm の腫瘍を認め再発が疑われフォロー中である。症例2:68歳女性。1週間前より右下腹部痛を認め受診。CTにて右側腹部を中心に 30 × 15 cm 大の脂肪成分からなる腫瘍を認めた。膵や十二指腸、上行結腸などは左方に高度偏位、圧排されていた。血管筋脂肪腫、脂肪肉腫が疑われ 2004/2/25 摘出術施行。切除重量は腎を含めて 8 kg だった。病理は脱分化型脂肪肉腫であった。現在再発を認めていない。後腹膜脂肪肉腫は切除後の局所再発率が高いため注意深くフォローしていく必要がある。

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8.

内視鏡補助下小切開法による根治的前立腺全摘除術+腓腹神経移植の経験

武中 篤、原 綾英、兵頭洋二、石村武志、酒井 豊、藤岡 一、藤井智浩、常 義政、藤澤正人(川崎医科大学)

 

【目的】本術式の手技を提示するとともに、その有用性、安全性を検討した。【対象と方法】2004年1月以降、内視鏡補助下小切開法による根治的前立腺全摘除術を8例に施行した。年齢は68.6±4.7歳、術前PSAは14.0±7.8ng/ml、臨床病期はT1c 5例、T2a2例、T2b 1例であった。原則4cmの皮切にて行ない、創縁から5mmの腹腔鏡を挿入し、術者は開放創から、助手はモニター画面から視野を得た。手順は開放性逆行性前立腺全摘除術に準じた。7例に術中電気刺激による陰茎海綿体圧測定を、2例に腓腹神経移植を施行した。【結果】手術時間中央値は260分(217-385分)、出血量中央値は1438ml(330-2411ml)、神経移植症例を除けばそれぞれ249分および1141mlであった。病理病期はpT2a 1例、pT2b 3例、pT3a 3例、pT3b 1例、いずれもN0であった。dw(+)を1例に認めた。手術は概ね安全に施行でき、特に尖部剥離、尿道切断、尿道吻合は良好な視野が得られた。また術中電気刺激および腓腹神経移植も小切開法で可能であった。【結語】小切開法でも通常の開放手術に匹敵する良好な視野が得られた。本法はすべての操作が直視下におこなえ、かつ参加者全員で術野を共有できる、という利点を有する安全かつ有用な術式であった。術後回復の度合いやQOLについては今後検討していく予定である。

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9.

倉敷成人病センターにおける根治的前立腺全摘出術の手術成績について

黒瀬恭平、小林正雄、石井亜矢乃、國富公人、石戸則孝、高本均、荒木徹(倉敷成人病)

 

【目的】1995〜1999年の間に当院で前立腺癌と診断された359例のうち根治的前立腺全摘出術を行なった44例について検討を加えた。【対象と方法】患者背景は年令50-75歳(中央値65才)、術前PSAは1.0〜65.7 ng/mlであった。 Clinical T stageはT1:13例、 T2:26例、 T3:5例、 LH-RH agonistによるNeo-adjuvant療法(1〜8ヵ月:平均2.8ヵ月)を36例(81.8%)に行った。術式は全例開腹による恥骨後式前立腺全摘出術+両側リンパ節郭清を行ない、神経温存は15例(両側6例、片側9例)に対し行なった。Adjuvant療法はCastrationを含め13例に行った。観察期間は3〜108ヵ月で、中央値は71ヵ月であった。【結果】全摘症例永久標本にて44例中32例(72.7%)はorgan confinedであった。6例は切除断端陽性(13.6%)、リンパ節転移は4例(9.1%)であった。経過観察中の前立腺癌による癌死は1例(17ヵ月)のみで他因死は1例であった。術後PSA failureは7例に認め観察期間5年を超えた31例のうち5年PSA非再発率は80.6%(25/31例)であった(観察期間61〜108ヵ月:中央値82ヵ月)。尿失禁の消失期間は0〜21ヵ月(中央値2ヵ月)で、評価可能であった41例中39例(95.1%)が術後1年以内に尿失禁の消失を認めた。神経温存を行った13例中6例に術後の勃起を認め(うち4例は両側温存例)1例は性交可能であった。【考察と結論】当科における前立腺癌全摘術症例における臨床統計における5年PSA非再発率は80.6%であった。今後長期経過観察による予後に関する検討が必要であると考えられた。本検討に2003年までの症例を加えてさらに統計学的解析・検討を行う予定である。
 

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10.

再燃前立腺癌に対する外来でのホスフェストロール(ホンバン)間歇静注療法

野田雅俊、真弓友介(姫路聖マリア病院)

 

ステージCもしくはDの進行前立腺がんにおいてMAB療法、リン酸エストラムスチン(エストラサイト)投与中に再燃を来たした症例に対し、ホスフェストロール(ホンバン)250mg〜500mgの点滴静注を週1回投与し1ヶ月ごとにPSAの推移と肝機能異常の有無、胸部不快感の有無などを確認した。症例は7例、年齢は48歳から88歳、内分泌療法開始から2年〜8年経過しており、今回の治療開始前のPSA値は1.93〜1220ng/mlであった。3〜5ヶ月の投与で7例中6例に50%以上のPSAの低下を認めた。治療開始から約1年を経て、7例中6例でPSAの再上昇がみられているが、投与前よりPSAが低下している期間は継続中のものを含め6〜13ヶ月(平均8.4ヶ月)であった。LH-RH agonistと比較しホスフェストロールは副作用が多いとされ前立腺がんの第一選択薬として使われることはほとんどなくなっている。しかしながらLH-RH agonist単独、もしくは抗アンドロゲン剤との併用療法中に再燃を来たした症例に対し、ホスフェストロールの静注が有効であるケースは多い。本法は外来にて施行可能であり、健康保険上の制約もなく、再燃前立腺癌の治療の選択肢として有力と思われた。

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11.

膀胱直腸瘻の一例

野崎邦浩、山田大介、陶山文三(三豊総合病院)

井上高明(因島総合病院)

 

症例は76歳男性。SLE治療のため、プレドニゾロンを内服中であった。H15年11月19日、難治性膀胱炎にて近医より当科紹介。膀胱鏡にて膀胱右壁に黄褐色の小さな結石の付着を認めたが、腹部CT、DIPでは特に異常を認めず、抗生物質投与にて症状の改善を得たため外来経過観察となった。しかしH16年1月7日、有熱性の尿路感染症を再発し当科再紹介、同日入院となった。気尿を疑う訴えがありCTを再検した所、膀胱右後方から直腸右前壁へ到る瘻孔を認め、膀胱直腸瘻と診断した。大腸ファイバーでは腫瘍は認められず、直腸粘膜にびらん及び同部に造影チューブが挿入可能な瘻孔を認め、穿孔部位と考えられた。なお尿培養ではE.coli およびE.faecalis、便培養では腸内細菌に加えMRSAが検出されていた。以上の所見から直腸憩室炎に伴う膀胱直腸瘻と診断し、2月19日、直腸低位前方切除術ならびに膀胱部分切除術を施行した。摘出組織の病理診断でも直腸には悪性所見は認められず、直腸憩室炎の穿孔に伴う膀胱直腸瘻と診断した。術後経過は順調で3月3日膀胱造影にて瘻孔の閉鎖を確認の上、尿道カテーテルを抜去し、3月12日軽快退院となった。4月14日現在、検尿所見は正常化し、術後経過は良好である。以上の症例について、若干の文献的考察を加えて報告する。


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12.

限局性膀胱アミロイドーシスの1例

大石智子、秋山博伸、枝村康平、林 俊秀、入江 伸、金重哲三(岡山中央)

橋本尚子、谷合一陽(同・内科)

 

症例は83歳女性。2003年12月、38度台の発熱が出現したため近医を受診し、抗生剤投与にて一旦は解熱した。2004年1月、再度39度台の発熱を認めたため、精査加療目的にて1月24日当院内科紹介入院となった。検尿所見は著明な膿尿であり、腹部超音波、腹部CT、ならびに膀胱MRIにて、両側水腎症と膀胱壁の肥厚を認めた。膀胱鏡にて膀胱三角部に表面不整な腫瘤性病変を認め、病変は両側尿管口に及んでいた。以上より、浸潤性膀胱癌を最も強く疑い、泌尿器科転科の上、2月3日、膀胱生検を施行した。病理の結果はアミロイドーシスであった。全身の精査を行ったが、膀胱以外の部位にはアミロイドの沈着は認めず、限局性膀胱アミロイドーシスと診断し、3月8日、経尿道的切除術を施行した。術後、水腎症の改善を認めており、現在外来で経過観察中である。限局性膀胱アミロイドーシスは比較的稀な疾患であり、若干の文献的考察を加えて報告する。

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13.

尿膜管膿瘍の一例

上松克利、小澤秀夫、大森弘之(岡山労災)

 

 症例は36歳男性。主訴は下腹部痛及び臍よりの排膿。平成15年12月初旬より下腹痛あり近医受診。臍より膿汁の排出を認め、抗生物質の投与を受けたが下腹部痛が持続し、12月17日当科初診。CTでは臍から膀胱に連続する管腔を認めた。MRIでは臍直下にT1WIで低信号、T2WIで高信号を呈する4×6cmの膿瘍を認めた。臍造影では4Fr尿管カテーテルが正中下方に6cm挿入可能で、膀胱及び周囲への造影剤流出は認めなかった。以上、尿膜管膿瘍の診断にて尿膜管切除術を施行した。尿膜管はS状結腸及び膀胱と強固に癒着しており、S状結腸及び膀胱の一部を切除し、尿膜管と一塊として摘出した。術後経過良好にて術後20日目に退院し、再発を認めない。

 尿膜管膿瘍はやや男性に多く、年齢は生後1日から80歳くらいまでと幅広く報告されている。平均年齢は26歳くらいで若年者に多い。治療は原則的に外科的切除が必要とされる。

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14.

尿道断裂の1例

杉本盛人、市川孝治(十全総合)

 

症例は60歳、男性。足場の上で作業中落下し会陰部を強打。受傷数時間後より尿閉となったため来院。初診時、下腹部の膨隆と外尿道口よりの出血が著明であった。また、左股間部に打撲による裂傷と会陰部左側に血腫と思われる腫瘤を認めた。逆行性膀胱尿道造影では球部尿道より中枢側が描出されず、尿道断裂と診断し、膀胱婁を造設した。会陰部腫瘤の縮小をみて、受傷後10日後に経尿道的尿道形成術を施行した。外尿道口より硬性内尿道切開刀を挿入。膀胱婁より尿道に挿入した軟性膀胱鏡の光源をガイドにして狭窄部を切開した。この際、断裂部6時方向に広がる死腔が観察され、会陰部の腫瘤と交通していた。外尿道口および膀胱婁よりカテーテルを留置し、手術終了とした。術直後会陰部腫瘤は再び増大。腫瘤の縮小をみて術後15日目に尿道造影施行した。断裂部の改善と、造影剤の漏出がないことを確認して、尿道カテーテルを抜去した。抜去後の排尿状態は良好である。

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15.

皮膚筋炎を合併した性腺外胚細胞腫瘍の1例

酒井 豊、原 綾英、兵頭洋二、石村武志、藤岡 一、藤井智浩、常 義政、武中 篤、藤澤正人(川崎医大)

 

症例は30歳、男性。顔面の紅斑、上下肢筋力低下にて近医受診。皮膚筋炎を疑われ2003年10月当院内科紹介。精査にて皮膚筋炎と診断された。悪性腫瘍の有無の検索を行い、腹部CTにて傍大動脈領域に最大径4.5cmの腫瘤を認め、開腹生検にてembryonal carcinomaと診断。2003年12月加療目的に当科紹介となった。腫瘍マーカーはβhCG、AFP正常、LDHの軽度上昇を認めた。両側精巣に異常を認めず、上記診断の下、抗癌化学療法(PEB)4クール施行、残存腫瘍に対して2004年4月後腹膜リンパ節廓清術を行った。術中迅速病理診断では悪性所見を認めなかった。

皮膚筋炎に悪性腫瘍を合併することはよく知られているが、我々の調べ得た限り、性腺外胚細胞腫瘍の合併例の報告は本邦にはなく、精巣腫瘍との合併例が3例報告されているのみである。

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16.

精巣原発悪性リンパ腫6例の臨床的検討

谷本竜太、三枝道尚、井口裕樹、上杉達也、荒巻謙二広島市民)

 

 当院において平成10年以降に経験した精巣原発悪性リンパ腫6例について臨床的検討を行った。

平均年齢は65.5歳で、主訴は無痛性陰嚢腫大が5例、有痛性陰嚢腫大が1例であった。患側は右側が3例、左側が2例で異時性両側性が1例(右側高位精巣摘除10年後、左側精巣、脳転移例)であり,組織型は全例diffuse large B-cell typeであった。臨床病期ではstageTEが3例、stageUEが1例、stageVEが2例であった。全例に高位精巣摘除術を施行し、5例に術後化学療法を追加した。全例完全寛解が得られたが、2例は再発を来たし、初回手術からそれぞれ28ヶ月、139ヶ月に癌死した。  

精巣原発悪性リンパ腫は、転移を来たすことが多いため、術後の全身化学療法と中枢神経および対側精巣に対する転移予防が必要と考えられる。

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17.

陰茎絞扼症の一例

西山康弘、江原 伸、永井 敦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

症例は41歳、男性。2004年4月13日、泥酔状態時に風俗店勤務女性に金属コイルを陰茎根部に装着され、除去を試みるも不可能であったためそのまま放置していた。3日後より徐々に陰茎の腫脹、疼痛を認め、4月23日金属コイル周辺の皮膚より出血を認めたため他院泌尿器科受診、精査加療目的で当科紹介となった。陰茎根部付近に金属コイルを認め、陰茎末梢側が著明に腫脹しており、陰茎絞扼症と診断、緊急入院の上、腰椎麻酔下に金属コイルを整形外科用マイダスデックスを使用し除去した。同時に尿道瘻の形成を考慮し、膀胱瘻を造設した。術後経過は良好である。若干の文献的考察を加え報告する。

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日本泌尿器科学会岡山地方会事務局

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