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日本泌尿器科学会岡山地方会

 

 日 時:平成16年9月25日(土) 午後2時

 場 所:岡山大学医学部図書館3階講堂

         岡山市鹿田町2-5-1

         TEL (086) 223-7151(内線 7056)

 


プログラム

一般演題

14:00〜14:50                        座長 明比直樹(津山中央)

1.後腹膜脂肪肉腫の1例抄録

山田大介、野崎邦浩、陶山文三(三豊総合)

井上高明(因島)

 

2.BCG膀胱内注入療法後に生じた腎結核の1抄録

村田 匡(落合)、高橋 泰(同内科)

 

3.両側精巣悪性リンパ腫の一例抄録

酒井 豊、原 綾英、兵頭洋二、石村武志、藤岡 一、藤井智浩、常 義政、武中 篤、藤澤正人(川崎医大)

和田秀穂(同内科)森末浩一(森末泌尿器科内科クリニック)

 

4.リンパ節転移を有する膀胱小細胞癌にCP療法を施行した1例抄録

有地弘充、二部野肇、西谷嘉夫(三原赤十字)

荻野哲也(岡山大学・病態探求医学)
 

 

5.前立腺肉腫の1例抄録

小泉文人、渡部昌実、郷原真輔、妹尾孝司、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳

岡山大学医歯学総合研究科、福山市民病院、玉野市民病院)

 

 

14:5015:40                        座長 那須良次(高知中央)

6.前立腺膿瘍の3例抄録

宇都宮紀明、公平直樹、市岡健太郎、上田修史、吉村耕治、寺井章人(倉敷中央)

 

7.尿道との交通を証明できた女子尿道憩室の1抄録

杉本盛人、市川孝治(十全総合)

 

8.尿管結石、腎盂腎炎から敗血症性ショックに至った1例抄録

真弓友介、野田雅俊(姫路聖マリア)

松村正(同内科)

 

9.陰茎癌を思わせた巨大尖圭コンジローマの一例抄録

別宮謙介、日下信行、小武家誠、宮地禎幸(岩国医療センター)

 

10.当科における血液浄化療法への取り組み抄録

西谷嘉夫、有地弘充、二部野 肇 (三原赤十字)

 

 

休憩

15:40〜16:00

 

要望演題   16:00〜17:20

STD(性行為感染症)』

司会            岡山大学        門田晃一

コメンテーター  福岡大学       田中正利

 

T.  岡山赤十字病院泌尿器科における男子性行為感染症症例の動向について抄録

              近藤捷嘉、大橋輝久、山本康雄、坂本英起、平山 尚(岡山赤十字)

 

U. 岡山市立市民病院における男性尿道炎の臨床的検討抄録

              石井和史、津川昌也(岡山市立市民)

 

V. 岡山地区における男性尿道炎由来淋菌の薬剤感受性推移抄録

              村尾 航、瀬野祐子、光畑律子、上原慎也、門田晃一、公文裕巳(岡山大学)

              山本康雄、大橋輝久、近藤捷嘉(岡山赤十字)、石井和史、津川昌也(岡山市民)

 

W. 当院におけるSTDの現況―定点観測データ集計結果―抄録

              石戸則孝、小林正雄、黒瀬恭平、國富公人、高本 均(倉敷成人病)

 

X. 三豊総合病院における男子尿道炎の推移と現状抄録

              山田大介、野崎邦浩、陶山文三(三豊総合)

 

Y. 男性淋菌性尿道炎の検討抄録

             安東栄一、小野憲昭、那須良次(高知中央)

             亀井義広(亀井クリニック)

 

Z. 当院での男子尿道炎の最近の動向抄録

             井口裕樹、三枝道尚、上杉達也、谷本竜太、荒巻謙二(広島市民)

 

[. 男子淋菌性尿道炎に対するロセフィン(CTRX)単回投与の臨床的検討抄録

             高尾 彰林 俊秀秋山博伸入江 伸金重哲三(岡山中央)

 

 

幹事長要望講演  17201820

『泌尿器科領域における淋菌・クラミジア感染症』

              福岡大学泌尿器科 教授 田中正利

 

     司会       岡山大学泌尿器科     公文裕巳

 

 

一般演題

1.

後腹膜脂肪肉腫の1例

山田大介,野崎邦浩,陶山文三(三豊総合)

井上高明(因島)

 

症例は75歳,女性。不整脈にて当院内科通院中,腹部触診にて左腹部に大きな腫瘤を触知したため2003年12月10日腹部CTを施行。左後腹膜腔に巨大な腫瘍を認め,画像診断上,後腹膜脂肪肉腫が疑われたため同日当科紹介入院となった。全身精査の後,2003年12月25日経腹的左後腹膜腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は左腎前面に存在し,膵臓下部と癒着,脾動脈から栄養血管が分岐していた。摘出腫瘍重量は1.7kg,病理組織診断では,高分化型脂肪肉腫との結果を得た。術後経過は順調で,2004年1月9日当科退院。現在に至るまで明らかな再発を認めず経過良好である。後腹膜脂肪肉腫は比較的稀な疾患であり,巨大な腫瘤を形成して発見される事が多い。今回経験した症例について若干の文献的考察を加え報告する予定である。

 

 

2.

BCG膀胱内注入療法後に生じた腎結核の1例

村田 匡(落合)、高橋 泰(同内科)

 

症例は84歳、女性。1994年6月に右尿管癌に対し右腎尿管全摘除術(TCC,G3,pT1N0M0)。1998年11月多発性膀胱腫瘍ありTUR-Bt(TCC,G2,pTa)。2000年3月左尿管口部に再発しTUR-Bt(TCC,G3)。6月に左水腎症を認め、分腎尿細胞診陽性にて尿管ステント留置併用のTHP療法が施行されたのち2001年4月を最後に来院を中止していた。2003年5月16日肉眼的血尿にて受診。多発性膀胱腫瘍および尿道腫瘍を認め、TUR-Bt施行(TCC,G3>G2,pT1)。6月13日よりBCG80mg/週膀胱内注入を開始した。4回注入後より発熱、頻尿、排尿時痛を認め、7月18日5回目の注入施行直後、39.9℃の発熱、悪寒あり即日入院した。胸部Xp、CTでは結核陰影や間質性肺炎の像は認めなかった。腹部エコーでは左水腎症や腫瘤形成はなく、尿中抗酸菌塗末培養は陰性。ツベルクリン反応弱陽性。BCGの副作用による全身感染や粟粒結核の可能性を考え、INH,RFP,SM,PMの4剤による抗結核療法を開始したが、入院後に採取した尿中結核菌PCRが陽性、腹部CTにて左腎に腫瘤性病変を認め、BCG注入による腎結核と診断、PMを中止した。また腎機能低下を認めSMも中止し、2剤による治療を6ヶ月継続したところ尿中PCRは陰性化し、CT上病変部はほぼ消失した。膀胱造影ではU°のVURを認めた。2004年8月現在Crは1.0前後であり、新たな結核感染巣は認めていない。

 

 

3.

両側精巣悪性リンパ腫の一例

酒井 豊、原 綾英、兵頭洋二、石村武志、藤岡 一、藤井智浩、常 義政、武中 篤、藤澤正人(川崎医大)

和田秀穂(同内科)森末浩一(森末泌尿器科内科クリニック)

 

症例は71歳男性、2年前より陰嚢内容の腫大を自覚していた。当科受診時、右陰嚢内容は手拳大、左陰嚢内容は鶏卵大でともに弾性硬であった。腹部CTにて2.6cm大の傍大動脈リンパ節腫大を認めた。両側高位精巣摘除術を行い病理診断は悪性リンパ腫、diffuse large B cell typeであった。当院血液内科へ転科、リツキサン併用CHOP療法を3コース施行し傍大動脈リンパ節腫大は消失した。精巣原発の悪性リンパ腫の報告例はしばしば散見されるが、われわれの調べ得た限り両側性の報告例は比較的稀と思われ、若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

4.

リンパ節転移を有する膀胱小細胞癌にCP療法を施行した1例

有地弘充,二部野肇,西谷嘉夫(三原赤十字)

荻野哲也(岡山大学・病態探求医学)

 

症例は73歳,男性。無症候性肉眼的血尿を主訴に2004年1月13日当科初診,膀胱鏡検査にて3p大の非乳頭状広基性腫瘍を認めた。CTにて筋層浸潤が疑われたが、リンパ節腫大を認めなかった。1月21日TUR-Bt施行,病理組織は<TCC, G3>であり,筋層浸

潤も認められた。膀胱癌T2a以上N0M0と診断し,3月17日膀胱全摘除術を施行した。術中所見では,右内腸骨節から右総腸骨節にかけて最大径3pのリンパ節転移を多数認めたが,家族の希望にて骨盤内リンパ節を可及的に郭清後,膀胱を摘出し回腸導管を

造設した。病理組織は<small cell carcinoma, G3=G2, pT3a>で,膀胱小細胞癌pT3a pN2M0と診断した。術後CT上はNEDであったが、再発・転移はほぼ必発と考え早期の補助化学療法をすすめるも,自宅でしばらく過ごしたいという強い希望にて一旦退院となった。5月24日に腰痛・下肢浮腫が出現し,再度入院。CTにて両側水腎症と腎門部大動脈周囲から骨盤内に及ぶ広範なリンパ節転移の再発を認めた。直ちに右尿管ステント留置,左腎瘻を造設し,6月2日から肺小細胞癌で有効とされるCP療法CDDP: 60mg/u day1, CPT-11: 60mg/u day1,8,15)を3コース施行した。1コース終了時点で画像上CRとなり,以後再発・転移を認めていない。

 

 

5.

前立腺肉腫の1例

小泉文人、渡部昌実、郷原真輔、妹尾孝司、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳

岡山大学医歯学総合研究科泌尿器病態学、福山市民病院泌尿器科、玉野市民病院泌尿器科

 

症例は39歳男性。H15年9月頃より排尿困難を自覚。12月25日尿閉となり近医泌尿器科受診。直腸診にて腫大した前立腺を触知した。腹部CT検査において前立腺は腫大し不均一な造影効果あり。PSAは0.874ng/ml。前立腺生検における病理組織学的所見はspindle cell sarcoma であった。翌年1月14日精査加療目的に当科受診。骨シンチ、胸腹部CTにて転移を認めず直腸、膀胱壁への浸潤は画像上認められなかった。しかし腫瘍は1ヶ月間で約1.7倍に腫大していた。以上より前立腺肉腫と診断し、Neo-adjuvant化学療法としてイホスファミド、エピルビシンによる化学療法を1コース施行した後2月24日前立腺膀胱全摘骨盤内リンパ節郭清術施行。病理学的にはleiomyosarcomaが第一に考えられるも特異的所見に乏しい腫瘍であった。一部に硝子化、壊死を認め化学療法による治療効果と考えられた。切除断端は陰性。リンパ節にも転移を認めなかった。術後補助療法としてイホスファミドによる化学療法を4コース施行し退院した。現在外来にて経過観察しているが再発、転移は認めていない。この症例につき若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

6.

前立腺膿瘍の3例

宇都宮紀明、公平直樹、市岡健太郎、上田修史、吉村耕治、寺井章人(倉敷中央)

 

前立腺膿瘍の3例を経験したので報告する。2例は手術をし、1例は保存的に加療した。症例1:40歳男性。尿閉にて来院。2型糖尿病あり。糖尿病による神経因性膀胱疑われ自己導尿開始となる。血糖コントロール不良にて糖尿病内科入院。気腫性腎盂腎炎除外目的でCT撮影したところ前立腺膿瘍を認め抗生剤にて加療。約1週間後肛門より排膿。経会陰的にピッグテールカテーテルにて排膿試みるも不十分なためTUR−P施行。症例2:57歳男性。高熱出現し来院。CTにて前立腺膿瘍を認め当科紹介となる。2型糖尿病あり。入院の上抗生剤にて加療するも改善を認めずTUR−P施行。化膿性脊椎炎を併発しており術後整形外科転科となる。症例3:20歳男性。既往歴に特記すべきことなし。特発性側弯症術後11日目より高熱出現、膿尿を認め当科紹介。術後12日目まで尿道カテーテル留置。CT、MRIにて前立腺膿瘍を認め抗生剤にて加療。保存的に改善を認めた。

 

 

7.

尿道との交通を証明できた女子尿道憩室の1例

杉本盛人、市川孝治(十全総合)

 

症例は53歳、女性。数年前より度々、排尿終末時痛・残尿感出現し、近医にて膀胱炎として加療を受けていた。1ヶ月前より排尿後の下腹部痛、強い残尿感が出現。近医受診し、膀胱炎と診断され投薬加療受けるも改善見られず当科受診した。尿沈渣にて赤血球1個未満/視野、白血球5−9/視野、細菌(−)であった。腹部超音波検査にて膀胱頚部に低エコーの腫瘤を認め、MRI矢状断では膀胱頚部・外尿道括約筋付近に達し尿道周囲を取り囲む嚢腫を認めた。尿道憩室と診断し、経膣的尿道憩室摘除術を施行した。術中、憩室内に色素注入したところ、尿道3時方向より色素の流出が認められ、尿道との交通が確認された。憩室壁が薄く、脆いため全摘出は困難で可及的に剥離を行った。術後、尿失禁、尿道腟瘻などの合併症は見られなかった。術後3ヶ月の時点では排尿時終末時痛・残尿感は消失し、良好に経過している。憩室造影が行え,尿道との交通が証明された貴重な症例と思われ提示する.

 

 

8.

尿管結石、腎盂腎炎から敗血症性ショックに至った1例

真弓友介、野田雅俊(姫路聖マリア)

松村正(同内科)

 

82歳、女性。4月12日腰痛、食欲不振にて近医受診、CT上右尿管結石、腎盂拡張を認め、血液検査で炎症反応高値を認めたため尿管結石、腎盂腎炎の診断にて15日当科紹介となった。外来受診中チアノーゼ、悪寒、呼吸困難、頻脈、血圧低下(収縮期70mmHg)が出現し酸素吸入、昇圧剤の投与を行い緊急入院となった。血液培養にてE.coli陽性、エンドトキシン805.4 pg/mlと高値を示し敗血症と診断された。またPLT 3.1万、FDP 80ng/mlなどよりDICと診断された。抗生剤、昇圧剤、抗凝固剤、好中球エラスターゼ阻害薬の投与を行い徐々に全身状態は改善し、10日目にはほぼ回復した。続いて尿管ステント留置しESWLを施行した。敗血症の原因として尿路感染によるものは多くはないが過去の文献を見ると尿管結石に伴う急性腎盂腎炎からの敗血症の報告例も散見される。尿管結石や腎盂腎炎は日常よく遭遇する疾患だが患者の年齢、体調、疾患の重症度などによっては敗血症をおこしうることを念頭に置き、重症化の兆候を見逃さないように注意する必要があると思われた。

 

 

9.

陰茎癌を思わせた巨大尖圭コンジローマの1例

別宮謙介、日下信行、小武家誠、宮地禎幸(岩国医療センター)

 

 症例は60歳男性、生来包茎。2003年9月頃より亀頭部包皮の腫張に気付くも放置。2004年1月、腫瘍が包皮より露出、次第に増大してきたため4月5日近医受診、同日当科紹介となった。陰茎先端に亀頭部背側より発育する手拳大のカリフラワー状の腫瘍および両側鼠径リンパ節の腫張を認めた。SCC値59.7ng/ml(0.0-1.5)は高値で、CT、骨シンチでは他臓器に転移なく陰茎癌(T2N2M0 stageIII)と診断し4月13日陰茎部分切除、両側鼠径リンパ節郭清術施行した。組織診断は陰茎巨大尖圭コンジローマ(Buschke-Lowenstein tumor)、リンパ節は炎症性変化で悪性所見を認めなかった。術後SCCは正常化し、現在外来フォロー中である。

 

 

10.

当科における血液浄化療法への取り組み

西谷嘉夫、有地弘充、二部野 肇 (三原赤十字病院)

 

 当科では、平成5年6月から腹膜透析(CAPD)を開始、平成10年3月からは血液透析(HD)を開始し、血液浄化療法に取り組んできた。 診療内容は、腎生検に始まり、保存期腎不全治療からブラッドアクセス作成、透析導入までを一貫して行っている。 現在9名のCAPD患者と28名のHD患者を管理する一方、これまでに7名の生体腎移植患者(うち3名が血液型不適合)が発生している。 平成14年10月にKM8900アフェレーシスモニター(クラレメディカル)を導入後は、敗血症性ショックに対するエンドトキシン吸着、多臓器不全症例に対する持続緩徐式血液濾過透析や血栓性血小板減少性紫斑病に対する二重濾過血漿交換などの急性血液浄化にも携わってきた。 これら当科における血液浄化療法への取り組みについて報告するとともに、泌尿器科医が血液浄化に携わることの意義につき考察する。

 

 

 

要望演題

T.

岡山赤十字病院泌尿器科における男子性行為感染症症例の動向について

近藤捷嘉、大橋輝久、山本康雄、坂本英起、平山 尚(岡山赤十字)

 

当科では、1985年から男子性行為感染症のうち淋菌性尿道炎、クラミジア性尿道炎の患者数の集計を行っている。従来、これら症例の新患数は年間20例から40例であったが、1999年4月の感染症新法施行にあわせたかの如く患者数が増加し、2001年、2002年には年間80例以上となった。特に淋菌性尿道炎の患者が急増しており、キノロン耐性淋菌の拡がりがその一因と推定される。

淋菌性尿道炎に対してキノロン系抗菌剤が全く無効となったため、2002年からは主としてminocycline を使用した。薬剤投与後に再来した患者は45例で、うち35例で淋菌の消失を認めた。再来しなかった患者が25例あり、初診時に十分な説明をすべきであったと考えている。最近では淋菌感染例に対してspectinomycin の単回投与を行っており、治療後再来した20例すべてで淋菌の消失を確認した。なお、クラミジア性尿道炎には主として levofloxacin を使用し、以前とほぼ同様の臨床効果を認めている。

 

 

U.

岡山市立市民病院における男性尿道炎の臨床的検討

石井和史、津川昌也(岡山市立市民)

 

【目的】当院における男性尿道炎患者について、原因菌、薬剤感受性、治療効果などについて検討を行った。【対象と方法】2003年4月から2004年7月までに、排尿不快感、排尿痛などの症状を訴え、初尿沈渣で白血球数≧5個/hpfを認めた患者を対象とした。淋菌は初尿の尿培養、クラミジア・トラコマティスは初尿を用いて免疫クロマトグラフィー法で抗原検出を行った。治療効果判定はUTI薬効評価基準(第3版)に基づいて淋菌性尿道炎は治療開始3〜7日後、クラミジア性尿道炎は治療開始7〜14日後に行った。【結果】対象患者は90名、平均年齢は30.1歳(16〜60歳)であった。淋菌感染症が52名(57.8%)、クラミジア感染症が20名(22.2%)、混合感染症が4名(4.4%)、その他が14名(15.6%)であった。感染源はcommercial sexual workerが46.1%に対して妻・恋人・友人などの素人が47.4%とほぼ同程度であった。淋菌性尿道炎に対する治療として78.0%にCFIX経口1回200mg、1日2回、3〜7日間を使用した。治療効果判定可能症例のうち有効以上を示したのは89.3%であった。一方、クラミジア性尿道炎はフルオロキノロン系、マクロライド系、テトラサイクリン系薬剤を1−2週間使用し、有効以上を示したのは84.6%であった。【結論】当院における男性尿道炎では原因菌のうち、淋菌が約60%を占め、クラミジア・トラコマティスの約3倍であった。性感染症 診断・治療ガイドライン2002年版に沿った治療を行ってきたが、淋菌感染症において著効例が必ずしも多くないことはCFIXに対しても淋菌の耐性化が進んでいることを示している。したがって、淋菌感染症に対しては初期治療をガイドライン 2004年版で推奨している注射薬による治療に変更する必要があるものと考える。

 

V.

岡山地区における男性尿道炎由来淋菌の薬剤感受性推移

村尾 航、瀬野祐子、光畑律子、上原慎也、門田晃一、公文裕巳(岡山大学・院・医歯)

山本康雄、大橋輝久、近藤捷嘉(岡山赤十字病院泌尿器科)

石井和史津川昌也(岡山市民病院泌尿器科)

 

近年、男性尿道炎は増加傾向にあり、特に薬剤耐性淋菌の増加が問題となっている。今回、我々は1999年から2004年の間に岡山市内三施設で加療した男性淋菌性尿道炎372例およびその分離株372株を対象とし、臨床背景および薬剤感受性の年次推移を検討した。感染源については、一般女性からの感染が増加していた。治療薬剤ではフルオロキノロン系薬の使用頻度は減少しており、テトラサイクリン系・セフェム系の増加を認めた。各種薬剤に対する感受性推移の検討では、OFLXの感受性率(NCCLS基準)は1999年では40.5%であり、2003年では18.8%とさらに低下していた。ガイドラインで推奨されているCDZM、SPCM、CTRX、CFIXでは、年次を通じて良好な感受性(MIC90:≦0.25ng/ml)を示していた。最近、CFIXの無効例が多数報告されているが、岡山地区では明らかな耐性化傾向を認めなかった。

 

 

W.

当院におけるSTDの現況―定点観測データ集計結果―

石戸則孝、小林正雄、黒瀬恭平、國富公人、高本 均(倉敷成人病センター)

 

当院では、2000年9月より、毎月、淋菌、クラミジア・トラコマチス、ヘルペスの陽性者数を保健所へ報告している。今回、2004年7月までに集計した定点観測データを報告する。淋菌は254検体(男性174検体、女性80検体)であった。菌株の各抗菌剤に対する耐性率はAMPC;1%, ABPC;14%, CFIX;30%, CFDN;0%, CPDX;26%, CTRX;22.8%, EM;0%, MINO;0.4%, SPCM;0.5%, NFLX;45%, FLRX;75%, LVFX;33%であり、ニューキノロン耐性株を多く認めた。クラミジア・トラコマチスは737検体であった。内訳は、男性153検体(148名、平均年齢は30.1歳)、女性584検体(504名、平均年齢は25.8歳)であった。男性の新患数は横ばいであるが、女性の新患数は減少傾向であった。年齢別の検出頻度は、女性は20~24歳にピークを有する1峰性の傾向を、男性は20~29歳と35~39歳にピークを有する2峰性の傾向を認めた。年次別にも同様の傾向であった。クラミジア・トラコマチスと淋菌との混合感染は47名(男性30名、女性17名)であった。単純ヘルペス陽性者は25名であり、T型13名、U型12名であった。

 

 

X.

三豊総合病院における男子尿道炎の推移と現状

山田大介、野崎邦浩、陶山文三(三豊総合)

 

当院は香川県西端の郡部に位置する病院である。当院は香川県三豊地区の感染症サーベイランスの定点であり,当科ではSTDの新規発生数の報告を香川県に対して毎月行っている。これまでの報告結果をみるとSTDとしての男子尿道炎の新規患者は,以前は年間10例前後であったが,1998年を境に急速に患者数が増加に転じ,最近では年間40−50症例を数えるに至っている。その背景因子として淋菌性尿道炎の増加や,一般女性からの感染の増加(郡部に位置する当院の周辺には,残念ながら?風俗店は少ない)が挙げられ,我々は日々性のモラルの低下を感じながら診療に当たっている状況である。高齢化の進んでいる(若年者の少ない)地域に位置する当院での男子尿道炎の推移と現状をまとめ報告する。

 

 

Y.

男性淋菌性尿道炎の検討

安東 栄一1)、小野憲昭1)、那須良次1)、亀井 義広2) (高知中央病院1)、亀井クリニック2))

 

【背景・対象】高知県において2002年から協力医療機関からの届出というかたちで性感染症実態調査が行われいる。当科でも公益信託高知新聞・高知放送「生命の基金」の助成を受け淋菌の薬剤感受性のスクリーニングを続けている。年齢・性別患者数では、男性淋菌感染症、女性クラミジア感染症の低年齢化を認めた。今回我々は淋菌性尿道炎の傾向について検討した。【対象・方法】2001年1月以降、高知中央病院及び亀井クリニックを受診し、加療された男性淋菌性尿道炎のうち、菌株の保存が可能であった35例の検討を行った。患者背景と治療に用いられた抗菌薬の使用割合、臨床効果、各種薬剤感受性について検討した。【結果・考察】年齢は17歳から48歳(中央値:27歳)であった。感染源はコマーシャルセックスワーカーが43%と最も高かった。クラミジアとの合併頻度は26%であった。35例中25例で初回治療の効果判定が可能であった。25例中スペクチノマイシン投与例は19例で、すべて治療効果を認めた。各種薬剤に対する耐性率(NCCLSの判定基準でintermediate以上)はPCG 93%、CFIX 7.1%、CTRX 7.1%、CDZM 3.6%、MINO 60%、OFLX 80%であった。セフェムに対しては良好な感受性を有していたが、OFLXに対しては高い耐性率を示した。

 

 

Z.

当院での男子尿道炎の最近の動向

井口裕樹、三枝道尚、上杉達也、谷本竜太、荒巻謙二(広島市民)

 

【目的】当院における男子尿道炎患者を、淋菌性尿道炎を中心に、起因菌、感染源および薬剤感受性などについて検討を行った。【対象】1999年1月より2004年8月までに尿道炎症状にて当院を受診し、尿道分泌物培養にて淋菌が検出された患者および初尿遺伝子診断(PCR法)にてクラミジアが検出された患者を対象とした。また淋菌の薬剤感受性試験はPCG、CFIX、CPDX-PR、OFLX、LVFXおよびTCについて行った。【結果】対象患者は126名(17〜59歳)であった。淋菌感染者は合計74名、クラミジア感染者は63名であり、重複感染者が11名に認められた。クラミジアおよび淋菌性尿道炎の感染源は、いずれにおいても性風俗従事者が最も多かった。淋菌の薬剤に対する感受性は年次に伴い変化しており、1999年に出現したニューキノロン耐性淋菌は増加し、翌年には半数以上となり、現在まで同様の傾向を認めている。セフェム耐性淋菌は今回の感受性試験を行ったなかでは認めなかった。【結論】淋菌の各種薬剤に対する耐性化が指摘されているが、当院の結果も同様の傾向を認めた。全国的なセフェム耐性淋菌の増加に伴い、今後当院でもセフェム耐性淋菌が出現してくる可能性は大きいと考えられる。性感染症学会のガイドラインに沿った治療が必要と考えられた。 

 

 

[.

男子淋菌性尿道炎に対するロセフィン(CTRX)単回投与の臨床的検討

高尾 彰、林 俊秀、秋山 博伸、入江 伸、金重 哲三(岡山中央)

 

【目的】男子淋菌性尿道炎に対するCTRX単回投与の有効性を検討した.【対象と方法】2001年10月より2004年6月までに当院を受診した男子淋菌性尿道炎患者でCTRXの単回投与を施行された49例(年齢18〜57歳,平均29.8歳)を対象とした.診断はチョコレートポリバイテックスVCAT3寒天培地による淋菌同定で行った.薬剤投与はCTRX1gを生食100mlに溶解し点滴静注とし,他剤併用は施行しなかった.効果判定は約7日後に,淋菌が消失し尿沈渣で白血球数が1視野4個以下の症例を著効,5個以上の症例を有効,淋菌が消失しなかった症例を無効とした.【結果】判定は再診のなかった11例を除く38例で可能であり,著効28例,有効10例,有効率は100%であった.なお薬剤感受性検査でPCG耐性を77.6%,LVFX耐性を59%に認めた.【結論】男子淋菌性尿道炎に対するCTRXの単回投与は有効な治療法の一つであると考えられた.

 

 

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