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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

日 時:平成16年12月11日(土) 学術集会:午後2時

                    懇親 会:午後6時30分

場 所:おかやま三光荘

      岡山市古京町1丁目7-36

TEL (086) 272-2271


 

プログラム

一般演題

14:00〜14:50                        座長 山根 享(鳥取市立)

1.        腹腔鏡下に摘除した右副腎褐色細胞腫の1例[抄録]

杉本盛人、市川孝治(十全総合)

 

2.        腎オンコサイトーマの一例[抄録]

野崎邦浩、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

3.        激しい嚢胞内出血より腹腔内出血をきたし片側腎摘出術を施行した嚢胞腎の一例[抄録]

佐々木克己, 白崎義範, 武田克治, 朝日俊彦(香川県立中央)

 

4.        移行上皮癌および結石を伴った腎盂腎杯結石の1例[抄録]

公平直樹、宇都宮紀明、市岡健太郎、上田修史、井上幸治、吉村耕治

寺井章人(倉敷中央)

 

5.      腎梗塞の3[抄録]

佐古真一、明比直樹、赤枝輝明(津山中央)

 

14:50〜15:40                        座長 西谷嘉夫(三原赤十字)

6.        腎腫瘍の診断で手術を施行した血液透析患者6例の検討[抄録]

大石智子、林 俊秀、高尾 彰、秋山博伸、入江 伸、金重哲三(岡山中央)

宇埜 智(平島クリニック)

森末浩一(森末泌尿器科内科クリニック)

 

7.        腹腔鏡下腎摘除術後に肺梗塞の発症が疑われた腎癌の1例[抄録]

竹中 皇、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

片山泰弘(玉野市民)

高尾 彰(岡山中央)

 

8.        膿胞随伴性腎癌の2例

藤田 治、大橋洋三(栗林病院)

 

9.        IFN-α+IL-2併用療法を含めた集学的治療が奏功した腎細胞癌、肺・腸骨転移の1例[抄録]

坪井 啓、上原慎也、賀来春紀、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳(岡山大)

黒瀬恭平(倉敷成人病)

中村あや(福山第一)

 

10.    当科での進行腎癌、尿路上皮癌、前立腺癌における標準治療以外の治療[抄録]

藤田竜二、伊藤誠一、光畑直喜(呉共済)

 

 

15:40〜16:30                        座長 武中 篤(川崎医大)

11.    魚骨腸管穿孔による回盲部膿瘍から右尿管狭窄をきたした1例[抄録]

石村武志、原 綾英、兵頭洋二、酒井 豊、藤岡 一、藤井智浩、常 義政、武中 篤

藤澤正人(川崎医大)

伊木勝道、角田 司(同消化器外科)

 

12.    尿管結石に伴った巨大水腎症の1例[抄録]

真弓友介、野田雅俊(姫路聖マリア)

 

13.    後腹膜鏡下腎摘除術を施行した尿管異所開口に伴う低形成腎の1例

坂本英起、平山 尚、山本康雄、大橋輝久、近藤捷嘉(岡山赤十字)

市川孝治(十全総合)

林 俊秀(岡山中央)

 

14.    治療に難渋した過活動膀胱の3例[抄録]

平山 尚、大橋輝久、坂本英起、山本康雄、近藤捷嘉(岡山赤十字)

横山光彦、公文裕巳(岡山大)

 

15.    間欠式バルーン・カテーテル夜間留置の合併症頻度と安全性

小澤秀夫、上松克利、大森弘之(岡山労災)

高坂 哲(東京都リハビリセンター病院)

 

休憩

 

16:40〜17:30                        座長 寺井章人(倉敷中央)

16.    肺転移が発見の契機となった前立腺癌の1例[抄録]

谷本竜太、三枝道尚、井口裕樹、上杉達也、荒巻謙二(広島市民)

 

17.    急速な経過をたどった前立腺神経内分泌癌の1[抄録]

小武家誠、宮地禎幸、日下信行、別宮謙介 (岩国医療センター)

 

18.    前立腺全摘除術後に重症MRSA感染症を併発した1例[抄録]

安東栄一、小野憲昭、那須良次(高知中央)

 

19.    当院における最近の前立腺全摘除術50例についての断端陽性例の検討[抄録]

二部野肇、有地弘充、西谷嘉夫(三原赤十字)

荻野哲也、川端晃幸(岡山大・病態探求医学)

 

20.    岡山大学において最近10年間に経験した前立腺癌420症例の臨床的検討[抄録]

枝村康平、雑賀隆史、江原 伸、賀来春紀、那須保友、公文裕巳(岡山大)

妹尾孝司(玉野市民)

津島知靖(岡山医療センター)

17:30〜18:00                        座長 三枝道尚(広島市民)

21.    尿道を取り囲んだ女子尿道憩室の治療経験[抄録]

石戸則孝、小林正雄、黒瀬恭平、國富公人、高本 均(倉敷成人病)

 

22.    過去5年間における当院での二期的Fowler-Stephens精巣固定術の経験[抄録]

高尾智也、後藤隆文、仲田惣一、浅井 片山修一秋山卓士

青山興司(岡山医療センター)

 

23.    両側精巣微小石灰化を伴った右精巣腫瘍の1例[抄録]

藤井智浩、原 綾英、兵頭洋二、石村武志、酒井 豊、藤岡 一、常 義政

武中 篤、藤澤正人(川崎医大)

 

18:00〜18:15                  

                               座長 公文裕巳(岡山大)

特別演題

DECREASED EXPRESSION OF REIC/DKK-3 IN HUMAN RENAL

 CLEAR CELL CARCINOMA(腎淡明細胞癌におけるREIC/DKK-3遺伝子発現の検討)[抄録]

       黒瀬 恭平(倉敷成人病)

 

18:15〜18:25

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

       朝日俊彦(香川県立中央)

       難波克一(岡山市)

       赤枝輝明(津山中央)

       津島知靖(岡山大)

 

 

18:30〜

懇親会          おかやま三光荘3F和室宴会場『吉備』

          

[抄録

特別演題

 

DECREASED EXPRESSION OF REIC/DKK-3 IN HUMAN RENAL CLEAR CELL CARCINOMA (腎淡明細胞癌におけるREIC/DKK-3遺伝子発現の検討)

黒瀬 恭平(倉敷成人病)

 

我々は新しい癌抑制遺伝子の候補であるREIC/Dkk-3の発現をヒト腎淡明細胞癌株化細胞ならびに臨床検体にて解析し、新たな治療・診断の標的となりうるかを検討した。まず腎癌株化細胞におけるREIC/Dkk-3 RNANorthern blot法および定量的PCR法を用いて解析した。次に定量的PCR法にて正常腎組織と癌組織におけるREIC/Dkk-3 RNAの発現を定量的に解析し、各々比較検討した。REIC/Dkk-3蛋白の発現を解析する目的に、独自に抗ヒトREIC/Dkk-3抗体を  作製、特異性を確認するとともに、株化細胞にてWestern blotおよび免疫染色法を行い、蛋白の発現を解析した。臨床検体にて同様にWestern blot および免疫染色法を行い、正常腎組織と癌組織におけるREIC/Dkk-3蛋白の発現形式と発現量を比較検討した。腎淡明細胞癌株化細胞おいて、REIC/Dkk-3mRNAと蛋白の発現は、その発生母地である正常近位尿細管細胞での発現と比較して著明に低下していた。臨床検体を用いた検討でも 同様の結果であり、mRNAでは88%、蛋白では86%の症例に発現低下が認められた。以上の成績より、腎淡明細胞癌においてREIC/Dkk-3はmRNAおよび蛋白レベルにおいて発現が極めて高率に抑制されており、新たな治療・診断の標的となりうる可能性が示唆された。

 

 

一般演題

1.腹腔鏡下に摘除した右副腎褐色細胞腫の1例

杉本盛人,市川孝治(十全総合)

 

症例は30歳、男性。平成16年8月31日に頭痛と嘔気を主訴に救急外来を受診。このときの採血検査にてAST、ALTの著明な上昇を認めた。精査のための腹部CTを施行。右副腎に約6cmの内部不均一な腫瘍を指摘され、精査のため内科入院となった。入院時血圧は160/98。血清カテコールアミン3分画ではアドレナリン16pg/ml、ノルアドレナリン1431pg/ml、ドーパミン≦5pg/ml、尿中カテコールアミン3分画はアドレナリン23.2μg/day、ノルアドレナリン1450μg/day、ドーパミン1170μg/dayであった。MIBGシンチではCTと一致した部位に高集積を認め褐色細胞腫と診断した。術前にdoxazosin16mg/dayを2週間投与した後、10月19日に腹腔鏡下右副腎摘除術を施行した。手術は4本のportを用い、左半側臥位にて施行。術中血圧は気腹時に195/125mmHgまで上昇し、腫瘍周囲剥離時に180/105mmHgまで上昇したがいずれも降圧剤投与により対処可能であった。術直後より血圧は正常化した。摘除組織は被膜に包まれた腫瘍でPheochromocytomaであった。術後経過は良好で、術後8日目に退院した。比較的大きな褐色細胞腫に対しても、腹腔鏡下副腎摘除術は低侵襲手術法として有用と考えられた。

 

 

2. 腎オンコサイトーマの一例

野崎邦浩、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

症例は68歳女性。当院内科にて肝嚢胞のスクリーニングのために施行されたCT検査で、右腎腫瘤を指摘され、H16年9月14日、当科外来へ紹介された。右腎内側やや下極寄りに直径約3cmで内部が不均一に造影される腫瘤を認め、画像診断上腎細胞癌が疑われた。H16年10月4日手術目的に当科に入院し、10月7日右腎部分切除術を施行した。肉眼的には茶褐色で隔壁を伴う腫瘍であった。病理組織学的には、円形核と好酸性細胞質を有する比較的均一な上皮細胞の管状、ないし結節状増生が認められた。Clear cell carcinomaの成分は全く認められず、オンコサイトーマとの診断を得た。オンコサイトーマは、好酸性細胞質を有する上皮性細胞からなる腫瘍であり、良性から悪性まで様々な様相を呈する。また、画像診断上の特徴に乏しく、病理学的診断が中心となる。自験例においても、画像上、術前に腎細胞癌との鑑別を行うことは困難であった。腎オンコサイトーマの一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

3. 激しい嚢胞内出血より腹腔内出血をきたし片側腎摘出術を施行した嚢胞腎の一例

佐々木克己, 白崎義範, 武田克治, 朝日俊彦(香川県立中央病院)

 

症例は64歳男性、主訴は肉眼的血尿および右側背部痛。既往歴は、肺結核(完治)、高血圧(降圧剤内服)平成元年、肉眼的血尿にて某総合病院泌尿器科を受診、嚢胞腎、嚢胞内出血を指摘され、保存的に加療された。平成13年5月23日夜中に突然肉眼的血尿、右側背部痛が出現した。翌日近医で入院、止血剤の点滴などを受けるも血尿は増悪し、膀胱タンポナーデとなり当科へ紹介、緊急入院となった。CTにて嚢胞腎、右側の多数嚢胞内への広範な出血を認めた。止血剤、輸血など保存的に加療を行ったが、血尿は改善せず、貧血の増悪を認めた。CT上腹腔内出血も出現してきたため、525日、経腹的右腎摘出術を施行した。術後一過性のイレウスを生じるも保存的に軽快し、血清Crの上昇も軽度にて、透析を導入することなく621日退院した。激しい嚢胞内出血をきたした嚢胞腎の一例を若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

4. 移行上皮癌および結石を伴った腎盂腎杯結石の1例

公平直樹、宇都宮紀明、市岡健太郎、上田修史、井上幸治、吉村耕治

寺井章人(倉敷中央)

 

症例は71歳男性。約10年前より右腎結石を指摘されており、疼痛はないものの時々血尿を自覚していた。2004年7月ころから肉眼的血尿が頻回に出現し、膀胱鏡では右尿管口からの出血が確認できた。そのときの尿細胞診は陰性だった。CTでは腎盂腎杯憩室内に結石と不均一に造影される病変をみとめた。逆行性尿管造影を施行すると、腎盂腎杯憩室から採取した尿でTCCが確認された。腎盂腎杯憩室移行上皮癌と診断し、右腎尿管全摘出術を施行した。病理組織診断ではTCC、Grade3、pT3だった。現在は術後化学療法は施行せずに経過観察中である。

 

 

5. 腎梗塞の3

佐古真一、明比直樹、赤枝輝明(津山中央)

 

(症例1)患者:54歳女性。現病歴:交通事故にて左側腹部から背部にかけての疼痛を認め救急外来搬送。当日全身の単純CTにて右肺挫傷を認めたが軽度の肉眼的血尿を認めたため翌日当科紹介となる。造影CTにて左腎動脈起始部より末梢における造影効果はなかった。左腎動脈造影検査を施行したところ左腎動脈は起始部より約1cmを残し末梢は描出されなかった。受傷より24時間異常経過していたことと他部位への再出血なども考慮しそのまま経過観察とした。受傷後10ヶ月にて左腎は著明に萎縮をきたした。(症例2)患者:65歳男性。現病歴:左の側腹部痛を認め近医経過観察入院したが腹痛増強のため造影CT施行したところ左腎梗塞を認めたため発症後約12時間後当院救急外来に紹介受診となった。造影CTでは左腎上極―下極にかけびまん性に造影不良像を認めた。発症より12時間以上経過していたため抗凝固療法を開始した。翌日より左側腹部痛も軽減、発症約後5ヶ月の造影CT検査では腎の部分的な萎縮による変形を認めるが腎機能はほぼ温存されている。(症例3)患者:47歳男性。既往歴:高血圧、狭心症。現病歴:右陰嚢痛、右側腹部痛を認め同日当院救急外来を受診となった。造影CTにて右腎上―中極にかけ楔状、下極はほぼ全体に造影不良像を認めた。上記より発症間もない右腎梗塞と診断した。同日血管造影検査を施行した。背側枝末梢及び下区域動脈が閉塞を来しておりウロキナーゼを10万単位注入し一部再開通を認めた。その後は抗凝固療法を開始し翌日より疼痛・発熱は軽減した。

 

 

6.腎腫瘍の診断で手術を施行した血液透析患者6例の検討

大石智子、林 俊秀、高尾 彰、秋山博伸、入江 伸、金重哲三(岡山中央)、

宇埜 智(平島クリニック)、森末浩一(森末泌尿器科内科クリニック)

 

[緒言]血液透析施行中、画像的に腎腫瘍の存在を疑い、腎摘除術を施行した6例について検討した。[対象]血液透析施行中の患者で、腹部超音波検査、CT、MRI等にて腎腫瘍と診断し、手術を施行した6例(男性5例、女性1例、年齢26〜73歳、平均59.6歳)を対象とした。[結果] 発見された契機は定期の腹部超音波検査5例、発熱の精査が1例、発見時期は透析導入後1ヶ月〜9年(平均84ヶ月)であった。主な術前合併症は糖尿病2例、心筋梗塞2例、腎結石2例であった。手術は、3例は開創(経腰式)で、3例は後腹膜鏡下で行った。病理結果はrenal cell carcinoma 4例、squamous cell carcinoma 1例、 cortical adenoma 1例であった。[考察]一般に、血液透析患者の腎腫瘤性病変の画像診断は困難であり、治療方針決定に苦慮することが多い。今回の6例について、画像所見も含め、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

7.腹腔鏡下腎摘除術後に肺梗塞の発症が疑われた腎癌の1例

竹中 皇、山根 享、早田俊司(鳥取市立)、片山泰弘(玉野市民)

高尾 彰(岡山中央)

 

症例は74歳、男性。既往歴に高血圧、脳出血。無症候性肉眼的血尿を主訴に受診。CTにて左腎腫瘍を認め入院。術前の心エコーでは特に血栓等は認めなかった。平成15年8月29日腹腔鏡下左腎摘除術を施行、手術時間は4時間16分、腎摘出までは3時間29分であった。また、気腹圧は12mmHgであった。術中は特に問題なく、術後体位を変換した後からSpO2の低下を認めた。胸部レントゲンでは右下肺野の無気肺を認めBF施行、その後もSpO2の低値を認め再度胸部レントゲンを撮影したところ、左肺野に気胸を疑わせる像を認めたためトロッカー挿入、その後の胸部レントゲンでも左肺野の透過性の亢進を認めた。保存的に経過観察したところそれ以上の呼吸不全を認めず、徐々に状態は軽快していった。翌日の肺血流シンチでは左舌区などに陰影欠損を認めたものの、D-dimerの上昇は2.13と軽度であったこと、心エコー上右心不全の兆候を認めなかったこと、CTでは明らかな残存血栓を認めなかったことより特に後療法は行わなかった。臨床の現場、特に中小病院での治療では他科の医師がそろっていないことも多く、泌尿器科医であっても他科疾患の治療についての知識が必要であると考えられた。

 

 

9IFN-α+IL-2併用療法を含めた集学的治療が奏功した腎細胞癌、肺・腸骨転移の1例

坪井 啓、上原慎也、賀来春紀、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳(岡山大)

黒瀬恭平(倉敷成人病)

中村あや(福山第一)

 

症例は48歳、男性。平成15年8月頃左大腿部の違和感を自覚。12月頃より歩行困難となり近医整形外科受診。単純X-Pにて左腸骨部骨融解像を指摘、当院整形外科におけるopen biopsyにて病理組織学的に腎細胞癌、骨転移と診断。CTにて左腎背側下部に径48×41mmの腫瘍、多発肺転移を認め平成16年1月23日当科転科入院の運びとなった。左腸骨部の疼痛が強く、直ちにIFN-α(300万U連日投与)を併用したRT(左腸骨部に計39Gy)を開始した。IFN-αを1000万Uまで増量したが、RT終了時CTにて原発巣NC、肺転移PD、腸骨転移PDであった。このため、3月3日腸骨転移に対しTAE施行、2週後よりIL-2(70万U×5/週)の併用を開始した。IL-2投与3週後のCTでは、RT終了時と比べ原発巣NC、肺転移PD、腸骨転移NCであった。4月22日経腹的左腎摘除術施行、病理組織診断ではRCC(clear cell+spindle cell)、G2>G3、INFα、pT1bpN0M1であった。IL-2投与2ヶ月後CTでは肺転移PR、腸骨転移NCであり、当科退院後も近医にてIFN-α(600万U連日投与)+IL-2(70万U×5/週)を継続している。現在、患者は歩行可能となり仕事に復帰しており、また画像上は肺転移CR、腸骨転移PRを維持しており経過良好である。

 

 

10当科での進行腎癌、尿路上皮癌、前立腺癌における標準治療以外の治療

藤田竜二、伊藤誠一、光畑直喜(呉共済)

 

当科では平成15年8月よりインターネット上(がんのWeb相談室、平岩正樹氏主宰)での癌のセカンドオピニオンに参加しており県外からの泌尿器科系の患者さんの相談を多数受け付けている。標準的な治療を受けた後で主治医から次の治療の提示がなく癌難民となっている人がほとんどである。これらの症例に対して具体的にはア)腎癌ではフッカピリミジンとジェムザール、アバスチン等、イ)尿路上皮癌では白金製剤に加えてジェムザールとタキサンあるいはナベルビン、TS-1、イリノテカン、オキサリプラチン、アバスチン等、ウ)前立腺癌ではタキサン、ジェムザール、TS-1、オキサリプラチン、アバスチン、エ)泌尿器科系小細胞癌では白金製剤+VP-16(古典的)、白金+イリノテカン、臓器特異性に注目して白金+タキサン、ジェムザール、アムルビシン等を推奨し一部実践している。治療係数を高めるために投与の工夫も行っている。TS-1、オキサリプラチン、アバスチン場合によってはグリペック併用も将来的な検討課題と認識している。精巣腫瘍については、http://2nd-opinion.eee.ne.jp/を参照。

 

 

11.魚骨腸管穿孔による回盲部膿瘍から右尿管狭窄をきたした1例

石村武志、原 綾英、兵頭洋二、酒井 豊、藤岡 一、藤井智浩、常 義政

武中 篤、藤澤正人(川崎医大泌尿器科)

伊木勝道、角田 司(同消化器外科)

 

症例は79歳、男性。右下腹部痛を主訴に2003年4月7日当科受診。尿沈渣上RBC 10-20/hpf、WBC 1-2/hpfで、血液生化学検査上、軽度の炎症所見を認めた。DIPにて右水腎症を認め、拡張した水尿管を仙腸関節下端まで認めた。腹部CTで回盲部に、内部に線状の石灰化陰影を伴う膿瘍を認め、魚骨穿孔による回盲部膿瘍、およびそれに伴う右尿管狭窄の診断のもと、2003年4月28日当科入院となった。5月1日右逆行性腎盂造影、および尿管鏡を施行した。仙腸関節下端に狭窄を認めるも尿管内に明らかな病変を認めず、右尿管ステントを留置した。5月16日回盲部切除術施行、尿管は膿瘍と強固に癒着していたが剥離可能であった。術後3週間の6月9日、右尿管ステント抜去するも7月11日右水腎症、急性腎盂腎炎をきたし再度右尿管ステントを留置した。以降外来でステントを定期交換し経過した。術後6ヶ月の2004年1月7日右尿管ステント抜去し、現在まで水腎症を認めることなく経過している。

 

 

12.尿管結石に伴った巨大水腎症の1例

真弓友介、野田雅俊(姫路聖マリア)

 

89歳、女性。H16年8月6日頃より食欲低下、腹痛、歩行障害出現。微熱も認めたため8月11日当科受診。受診時右側腹部に巨大な腫瘤を認め、腹部全体の膨満感を訴えていた。CT上右腎に巨大な水腎症、また1×4cm大の右尿管結石を認めた。右尿管結石による巨大水腎症の診断にて同日入院となった。入院時、血液検査では炎症反応高値を示し、38℃台の発熱も認めたため入院翌日ドレナージ目的に腎瘻造設術行った。腎瘻造設後のドレナージでは5200ccの黄白色の透明な排出液を認めた。術後腎瘻より1日約200cc前後の尿が認められている。年齢、重度肥満、寝たきりなど全身状態を考え腎摘出術、ESWL、TULなどの治療は行わず、腎瘻留置にて保存的に経過観察を行っている。尿路閉塞による水腎症は臨床的にしばしばみられる病態であるが、その中で腎盂内容量が1ℓ以上の水腎症は巨大水腎症と呼ばれている。本症例では腎盂内容量5200ccが認められ、文献においても5ℓを越える症例は本邦報告例の約20%程度である。今回巨大水腎症の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

14.治療に難渋した過活動膀胱の3例

平山 尚、大橋輝久、坂本英起、山本康雄、近藤捷嘉(岡山赤十字)

横山光彦,公文裕巳(岡山大)

 

 過活動膀胱は2002年の国際尿禁制学会の提唱で症状症候群として捉えられ、頻尿、尿意切迫感および切迫性尿失禁などの症状により診断してよいこととなった。しかし、症状だけでは過活動膀胱と診断困難な症例が存在することは事実である。排尿筋過反射収縮不全、間質性膀胱炎あるいは心因性頻尿例など種々の問題点を含んでいる。今回、我々は尿流動態検査で過活動膀胱と診断し、治療を行うも、十分な効果が得られなかった3例を経験したので報告する。症例1は、67歳男性で、9年前にMiles手術を受け、低活動膀胱としてα1-遮断剤および自己導尿を実施していたが、尿意切迫感が出現したため、尿流動態検査再検し、過活動膀胱への移行を認めた。症例2は、69歳男性で、軽度痴呆を有する過活動膀胱例に対し抗コリン剤投与を行うも効果が全く認められず、また、麻酔下膀胱尿道鏡で膀胱粘膜に点状出血は認められなかった。そのため現在ではレジニフェラトキシン膀胱内注入療法を施行した後、ボツリヌス膀胱内注入療法を開始している。症例3は、69歳男性で既往疾患はなく、頻尿に対し抗コリン剤投与するも効果なく、麻酔下膀胱尿道鏡で膀胱粘膜に点状出血を認め、水圧拡張術を行なった。現在外来でIPD投与にて経過観察している。以上、過活動膀胱例には治療に難渋する例に遭遇することがあり、過活動膀胱の原因および病態の解明とともに新しい治療法の開発が望まれる。

 

 

16.肺転移が発見の契機となった前立腺癌の1例

谷本竜太、三枝道尚、井口裕樹、上杉達也、荒巻謙二(広島市民)

 

症例は73歳男性。平成16年2月25日、健診の胸部CTにて多発性肺腫瘍を指摘され、3月1日当院呼吸器科受診、転移性肺腫瘍(原発不明)と診断され、3月24日呼吸器外科に入院した。入院時、PSAが12.18ng/mlであったが、腹部CT、骨シンチに異常無く、前立腺癌の肺転移の可能性は低いと考え、3月29日胸腔鏡下に腫瘍の一部を摘出した。その結果は、腺癌であり免疫染色上PSA陽性であった。4月6日、経直腸的前立腺針生検にて中分化型腺癌(GS 3+4=7)を確認し、前立腺癌stageD2と診断、4月15日よりCAB療法を開始した。6月14日の胸部CTでは腫瘍の著名な縮小を認め、10月14日PSA0.05ng/mlまで低下した。多発性肺転移が発見の契機となり、肺のみに転移巣をもつ前立腺癌を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

17.急速な経過をたどった前立腺神経内分泌癌の1

小武家誠、宮地禎幸、日下信行、別宮謙介(岩国医療センター)

 

症例は81歳、男性。2004712日尿閉となり当科紹介受診。直腸診で前立腺に硬結を触れ、PSA31.228ng/mlと高値のため前立腺癌による尿閉と診断しカテーテル留置、精査加療目的に716日当科入院となった。同日経直腸的前立腺生検術施行、両葉より低分化型腺癌(Gleason score 4+5=9)を認め、CTにて左内腸骨リンパ節転移、骨シンチで左恥骨坐骨に骨転移を認めT3aN1M1b Stage D2の診断にて87日よりCAB療法を開始した。その後狭心症精査のため当院循環器内科転科するも精査希望せずカテーテル留置のまま一旦退院となり、当科再入院し917日腰麻下にTUR-P、除睾術を施行した。病理組織の結果、低分化型腺癌に神経内分泌癌の混在を認めた。105日、PSA1.777ng/mlまで下降したが、1021日より腸閉塞となり大腸ファイバースコピー施行したところ直腸に全周性の腫瘍浸潤による狭窄を認め下部イレウス管留置した。その後両側水腎症が出現し腎機能悪化のため胸水貯留、心不全の増悪により呼吸不全となり、1027日右腎瘻造設術施行、一時的に腎機能は改善するも呼吸不全は改善せず、1030日死亡した。急速な経過をたどった前立腺神経内分泌癌の1例を経験したので報告する。

 

 

18.前立腺全摘除術後に重症MRSA感染症を併発した1例

安東栄一、小野憲昭、那須良次(高知中央)

 

症例は66歳、男性。糖尿病に対し内服加療中。平成15年3月から前立腺癌 T3aN0M0(PSA 63.1ng/ml GS 4+3=7)に対し前医で内分泌療法を受けていた。12月にはPSAは0.8 ng/mlまで低下し、本人の希望で転院の上、平成16年6月22日前立腺全摘除術(手術時間280分、出血量600ml、術後自己血輸血800ml)を施行した。術後2日目に下痢および40℃台の発熱を認めたが、翌日には解熱した。術後4日目に再び40℃をこえる発熱と、CVカテーテル挿入部に発赤と圧痛を認めたため直ちにCVカテーテルを抜去し、MEPMの投与を開始した。術後5日目のCTでは骨盤内に感染巣はなく、一時解熱傾向にあったが、術後7日目から40℃をこえる発熱を認めた。この時点で術後2日目の便、4日目のCVカテ先及び挿入部の膿からMRSA(+)との報告を受けた。VCMの内服、全身投与を開始したが発熱は持続し、術後10日目のCTでは両側に胸水貯留を認めた。VCMを中心とした抗菌薬治療に加え好中球エラスターゼ選択的阻害薬、γグロブリン、ウリナスタチンなどを併用した。VCMは血中濃度モニタリングを行いながら投与したが、腎機能障害(Cr 2.9mg/dl)を併発したため投与量の設定には難渋した。37℃台後半の発熱と食欲不振が遷延したが、全身状態は次第に改善し術後38日目に退院となった。なお、本症例は術前の鼻腔MRSAスクリーニングは陰性であった。比較的侵襲の低い手術においても、術後のMRSA感染症には注意が必要である。

 

 

19.当院における最近の前立腺全摘除術50例についての断端陽性例の検討

二部野肇、有地弘充、西谷嘉夫(三原赤十字)

荻野哲也、川端晃幸(岡山大・病態探求医学)

 

【目的】前立腺全摘除術の摘出標本における切除断端陽性は、術後再発の独立した危険因子であるが、その頻度は手術手技によっても影響を受けるとされている。今回我々は、最近当科で実施した前立腺全摘除術における断端陽性例につき、従来の報告と比較検討を行った。

【対象と方法】当科で2002年4月より2004年9月までに、Walshの方法に準じて前立腺全摘除術を行った、限局性前立腺癌50症例を対象とした。術前には患者の希望に応じて、手術までの待機期間(平均6.5週、中央値5週)に限り、内分泌療法を行った。

【結果】平均年齢は68.5歳(54−79、中央値71)、生検前PSA値は平均11.7ng/ml(2.3−52.9、中央値8.5)、術前 T stageはT1a 1例、T1c 33例、T2a 8例、T2b 8例であった。摘出標本の病理学的検査において、臓器限局癌は34例(68%)であり、断端陽性は6例(12%)で認められた。これらは従来の報告とほぼ同等であった。

【結論】当施設のように、前立腺全摘除術の症例数がさほど多くない施設であっても、確立された術式を忠実に遂行するよう努めることにより、妥当な水準の断端陽性率を達成することができる可能性が示唆された。

 

 

20.岡山大学において最近10年間に経験した前立腺癌420症例の臨床的検討

枝村康平、雑賀隆史、江原 伸、賀来春紀、那須保友、公文裕巳(岡山大学)

妹尾孝司(玉野市民)

津島知靖(岡山医療センター)

 

【目的】1994年より2003年までの10年間に岡山大学附属病院泌尿器科にて治療した前立腺癌421症例について臨床統計学的検討を行った。【対象と方法】420症例の年齢は40-94歳(中央値71)。PSA値は0.4-6932ng/ml(16.8)。観察期間は1-120ヶ月(26)であった。全体の病期はA:21例,B:196例,C:121例,D:83例であった。このうち初期治療として内分泌療法が207例(A:8,B:49,C:77,D:73)、放射線療法20例(B:4,C:16),手術療法168例(A:5,B:136,C:27)例、その他25例であった。これら症例の背景因子(年齢,PSA値,病期,T分類,分化度,GSなど)及び初期治療法と予後との関連性について検討した。非再発曲線,生存曲線はKaplan-Meier法にて算出し,有意差検定にはlogrank testを用いた。

【結果】全体の5年生存率は病期A,Bで100%,C:87%,D:53%であった。ホルモン療法207例ではA,B:100%,C:81%,D:61%とほぼ同等の結果を得た。放射線療法20例中PSA再発は1例のみで良好な治療成績を得ている。手術療法168例の5年非再発率(PSA再発)は全体で64%であったが術前因子のPSA値,T分類,GSで再発率に有意差を認めた。

【結論】病期A,Bの限局癌は治療法にかかわらず5年生存率は良好である。種々の治療法が選択可能であり,患者への情報開示が重要と考えられた。

 

 

21.尿道を取り囲んだ女子尿道憩室の治療経験

石戸則孝、小林正雄、黒瀬恭平、國富公人、高本 均(倉敷成人病)

 

症例は31歳。帯下を主訴に2004年10月婦人科受診。膣内診時、尿道口から排膿を認めたため当科紹介。MRIにて尿道を取り囲んだ直径4cmの隔壁を有する嚢胞状腫瘤を認めた。尿道鏡検査にて外尿道口から2cm、7時の位置に憩室口を認めた。排尿時尿道造影検査、ダブルバルーンカテーテルによる逆行性尿道造影にて尿道憩室を認めた。2004年11月5日全麻下に経膣的尿道憩室摘除術を施行。憩室を周囲と剥離中、強度な炎症性癒着を認め、可及的に切離した。術中の憩室造影で尿道に接し副憩室を認め、主憩室底を含め尿道近傍の憩室壁をアルゴンビームコアギュレーターにて凝固した。術後7日目に尿道バルン抜去。術後11日目現在、尿失禁、残尿、膿尿を認めず。排尿時尿道造影検査、MRIでは尿道憩室の遺残を認めず。病理組織検査では悪性所見は認めなかった。

 

 

22.過去5年間における当院での二期的Fowler-Stephens精巣固定術の経験

高尾智也,後藤隆文,仲田惣一,浅井 武,片山修一,秋山卓士,青山興司

(岡山医療センター)

 

鼠径部および陰嚢部の触診で精巣を確認できない非触知精巣あるいは非常に高位の停留精巣に対しては、我々はFowler-Stephens手術も併用している。2000年1月から2004年11月に当院で経験した停留精巣(131例,158精巣)のうち6精巣に対し腹腔鏡下Fowler-Stephens法(精巣動静脈クリッピング)を行い、5精巣に対し二期的Fowler-Stephens精巣固定術を施行した。

年齢は1歳〜5歳、患側は右側が3例、左側が2例で、現在5例とも精巣萎縮もなく、陰嚢内に存在し経過は良好である。1期的に精巣固定が困難な高位の症例に対し、無理をせず二期的Fowler-Stephens精巣固定術を行うことは有用であると思われた。

 

 

23.両側精巣微小石灰化を伴った右精巣腫瘍の1例

藤井智浩, 原綾英, 兵頭洋二, 石村武志, 酒井豊, 藤岡一, 常義政, 武中篤

藤澤正人(川崎医大)

 

39歳、男性。1ヶ月前より右無痛性陰嚢腫大を自覚し近医を受診、右精巣腫瘍の疑いで当科を紹介された。右陰嚢内容は鶏卵大に腫大しており、超音波検査にて多数の1~2mm大のhigh echoic lesionを伴う、5×3cmの充実性腫瘤を認めた。また左側の精巣は正常大であったが、右側と同様にびまん性high echoic lesionを認めた。陰嚢MRI検査では、右陰嚢内容はT2強調像で内部不均一な中等度信号を認めた。腫瘍マーカーは、血中hCG-βのみ0.2 ng/mLと軽度上昇していた。全身検索にてリンパ節腫大、遠隔転移を認めず、右精巣腫瘍、T1 N0 M0、stage 1と診断し、右高位精巣摘除術、および左精巣腫瘍を除外する目的で左精巣生検を施行した。右精巣腫瘍の病理診断は、セミノーマ、pT1で、腫瘍内部に微小石灰化像を認めた。左精巣生検は、腫瘍性変化を認めなかったが、右側と同様の微小石灰化像を認めた。術後は、無治療で経過観察中であるが、3ヶ月現在、再発、転移を認めていない。従来、精巣微小石灰化と精巣腫瘍の相関関係についてさまざまな議論がなされており、今回、文献的考察を加えて報告する。

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