264回

日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

 

 

   日 時:平成17年5月28日(土) 午後2時

   場 所:川崎医科大学メディカルミュージアム

           2階大講堂

           倉敷市松島577

           TEL(086)462-1111(内線3221)


参加者の皆様へ

1)        受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2)       一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

3)        コンピュータープレゼンテーションはWin PowerPoint,Mac PowerPointでお願いいたします。

4)        コンピュータープレゼンテーションの場合にはMO,CD-RあるいはCD-RWディスクにファイルをコピーして, 5月24日(火)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。Macの場合はWindowsにてformatされたMOにコピーしてください。もし,変更がありましたら,当日MO,CD-RあるいはCD-RWディスクをご持参下さい。

5)        プロジェクターは1台です。スライドは35mm版のみとします。スライド枚数には制限はありませんが,縦スライドは縮小されますので,可能な限り横スライドを準備してください。

6)        スライドは口演30分前までに,会場スライド受付で各自ホルダーに挿入し,試写,確認の上,受付に提出してください。

7)        会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

8)        予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

 

会場付近案内図

第二外来駐車場(有料100円/時間)をご利用下さい。

 

 

 プログラム

一般演題

14:00〜14:30                    座長  川崎医科大学 常 義政

1. IFN-α/IL-2併用療法を施行した腎細胞癌骨転移の1例[抄録]

近藤典生、曽根淳史(興生総合)

大田修平(新生会病院)

 

2. 後腹膜鏡補助下左腎尿管全摘除術後にポート再発をきたした1例[抄録]

上田修史、宇都宮紀明、公平直樹、青山輝義、井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

3. 偶発微小褐色細胞腫を合併していた重複癌(結腸癌 + 腎細胞癌)の1例[抄録]

佐々木克己、中田哲也、武田克治、朝日俊彦(香川県立中央)

白崎義範(三原赤十字)

 

14:30〜15:00                    座長  岡山大学 横山光彦

4.    経尿道的に摘除した線維上皮性尿管ポリープの1例[抄録]

上杉達也、井口裕樹、別宮謙介、三枝道尚、荒巻謙二(広島市民)

谷本竜太(岡山大)

 

5.    体外腎血管形成術、自家腎移植を行った左腎動脈瘤の1例[抄録]

石井和史、瀬野祐子、眞鍋大輔、上原慎也、雑賀隆史、公文裕巳(岡山大)

西 光雄(香川労災)

 

6.    スポーツによる機械的刺激が原因と思われた腎盂尿管移行部狭窄症の2例[抄録]

高尾 彰、林 俊秀、大石智子、秋山博伸、入江 伸、金重哲三(岡山中央)

 

15:00〜15:40                    座長  川崎医科大学 武中 篤

7. urosepsisで受診した尿路結石の3例[抄録]

和田耕一郎、渡邉豊彦、赤澤信幸(岡山済生会)

 

8. 尿路結石に対するHo:YAG レーザー結石破砕治療の現況[抄録]

石戸則孝、向井雅俊、黒瀬恭平、市川孝治、高本 均(倉敷成人病)

國富公人(腎・泌尿器科くにとみ医院)

小林正雄(大阪厚生年金病院)

 

9. 尿管結石に伴う腎周囲膿瘍が疑われた後腹膜悪性リンパ腫の1例[抄録]

上松克利、小澤秀夫、大森弘之(岡山労災)

矢野朋文(同・内科)

 

10. 後腹膜脂肪肉腫の1例[抄録]

明比直樹、平山 尚、赤枝輝明(津山中央)

佐古真一(福山市民)

 

15:40〜16:30                     座長  金光病院 牧 佳男

11. 腹腔鏡下に摘除した尿膜管膿瘍の1例[抄録]

向井雅俊、黒瀬恭平、市川孝治、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

 

12. 初回治療10年後に両側鼠径部リンパ節転移を来たした再発膀胱癌の1例[抄録]

原 綾英、石村武志、酒井 豊、藤井智浩、常 義政、武中 篤 (川崎医大)

藤澤正人 (神戸大)

 

13. 再燃前立腺癌直腸浸潤に対し骨盤内臓全摘を施行した1例[抄録]

石村武志、原綾英、酒井豊、藤井智浩、常義政、武中篤(川崎医大)

藤岡一(高槻病院)

藤澤正人(神戸大)

山下和城、角田 司(川崎医大・消化器外科)

 

14. 前立腺横紋筋肉腫の1例[抄録]

岸本 涼、江原 伸、上原慎也、石井和史、雑賀隆史、那須保友、

公文裕巳(岡山大)

小泉文人(国立がんセンター)

 

15. 排尿障害を来した前立腺結石の1例[抄録]

杉本盛人、渡邉雄一(十全総合)

市川孝治(倉敷成人病)

 

休憩                                                                                    

16:40〜17:20                    座長  興生総合病院 曽根淳史

16. 尿路原発Malignant Lymphomaの1例[抄録]

能勢宏幸、大枝忠史(尾道市民)

 

17. 転移性精巣腫瘍の2例[抄録]

中村あや、村上貴典、津島知靖(岡山医療センター)

 

18. 女子尿道悪性黒色腫の1例[抄録]

野崎邦浩、山田大介、陶山文三(三豊総合

 

19. 壊死性筋膜炎の2例[抄録]

牧 佳男(金光病院)

 

17:20〜17:30 

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

                   朝日俊彦(香川県立中央)

              難波克一(岡山市)

              赤枝輝明(津山中央)

              津島知靖(岡山医療センター)


一般演題

1. IFN-α/IL-2併用療法を施行した腎細胞癌骨転移の1例

近藤典生、曽根淳史興生総合

大田修平新生会病院

 

症例は41歳,男性。肉眼的血尿にて当院受診。右腎細胞癌のため2001222日根治的右腎摘除術施行。病理組織はpT3b pN0 M0 , stageV,clear cell carcinoma, G1>>G2,INF-α, V(+)であった。術後補助療法としてIFN-αの投与を勧めたが拒否。術後2年5ヵ月目に頚部痛が出現し、不全四肢麻痺となり当院整形外科入院。頚部MRI上、第2頚椎に骨転移が認められた。2004年8月よりIL-2 70万JRU/日、点滴静注とIFN-α300万U/日、皮下注の週3回投与を開始した。投与後1ヵ月間は転移の増大が認められたが、2ヵ月目以降からは転移巣の増大は認められなくなった。合併症としては発熱が認められたがナプロキセンの内服により消失した。その後7ヵ月目よりIL-2を105万JRU/日に増量し、治療開始後9ヵ月の現在、転移巣に著変はなく、新規病変も認めていない。また、四肢麻痺は改善し頚部カラー装着で歩行も可能となっている。今回の症例では8ヵ月間にわたって転移巣に変化がなく、今後の治療方針に苦慮しているところである。

 

 

2. 後腹膜鏡補助下左腎尿管全摘除術後にポート再発をきたした1例

上田修史、宇都宮紀明、公平直樹、青山輝義、井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

症例は74歳、男性。左尿管癌にて2004年6月7日後腹膜鏡補助下左腎尿管全摘除術施行、病理結果はTCC,G2,INFβ,pT2bであった。術後補助療法なしで外来経過観察としていたが、同年10月上旬より左側腹部痛出現し、CTにて左側腹壁に28mm大の腫瘤を認めたたため同部のCT下生検を施行したところ転移性腫瘍が確認された。

以後、M-VACを施行したがNCにてGemcitabine+CDDPによる化学療法を行ったところ腫瘍縮小効果が得られたため、2005年3月28日腫瘍切除術を施行した。

 

  

3. 偶発微小褐色細胞腫を合併していた重複癌(結腸癌 + 腎細胞癌)の1例

佐々木克己、中田哲也、武田克治、朝日俊彦(香川県立中央病院)

白崎義範(三原赤十字)

 

症例は71歳女性、主訴は腹痛。既往歴は、昭和28年回腸バイパス術、平成2年胆石症にて胆嚢摘出術。

平成169月頃より腹痛を自覚し近医を受診、大腸癌の疑いにて平成1717日当院内科へ入院した。精査の結果、上行結腸癌と診断されたが、この精査中、CT, MRIにて径8cmの左腎腫瘍も同時に指摘され当科へ紹介された。左腎細胞癌T2N2M0の術前診断のもと、27日に開腹にて右上行結腸摘出術、及び左腎摘出術(含腎門部リンパ節郭清術)を施行した。腎腫瘍の組織結果はRCC, clear cell carcinoma, pT2pN2であり、同時に径8mmの偶発褐色細胞種も認めた。術前副腎ホルモン検査はすべて正常で、高血圧も認めていなかった。腎細胞癌に対する後療法としてインターフェロン注射を開始し、329日退院した。現在外来にて経過観察中である。

偶発微小褐色細胞腫を合併していた重複癌(結腸癌 + 腎細胞癌)の一例を若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

4経尿道的に摘除した線維上皮性尿管ポリープの1例

上杉達也、井口裕樹、別宮謙介、三枝道尚、荒巻謙二(広島市民)

谷本竜太(岡山大)

 

 症例は60歳、女性。2005年3月9日、背部の激痛が出現し、近医整形外科受診。尿路結石が疑われ当科紹介となった。腹部CTでは両側とも水腎症を認めず、尿管結石も認めなかったが、尿管内に有茎性腫瘍が疑われた。IPでも右下部尿管に28×5mm大の陰影欠損を認めた。自然尿細胞診は陰性であった。3月30日生検目的で尿管鏡検査を施行した。表面平滑な有茎性腫瘍を認め、異物鉗子で把持し摘出した。病理組織学的検査にて、Fibroepitherial polypと判明し、悪性所見は見られなかった。術後経過は順調で、術後7日目にD-J stentを抜去したが、背部痛は再発していない。

線維上皮性尿管ポリープの臨床症状に特異的なものはなく、尿管悪性腫瘍との鑑別が重要である。尿管鏡手術は低侵襲であり、良性腫瘍を疑った場合は診断・治療をかねた有用な手術法と考えられるが、ポリープの再発例、移行上皮癌との合併例の報告もあり、今後も注意深い経過観察が必要である。

 

 

5. 体外腎血管形成術、自家腎移植を行った左腎動脈瘤の1例

石井和史、瀬野祐子、眞鍋大輔、上原慎也、雑賀隆史、公文裕巳(岡山大)

西 光雄(香川労災)

 

症例は62歳男性。腰痛の精査目的で行った腰椎MRIにて偶然に左腎門部の腫瘤を指摘され、2005年1月21日近医泌尿器科を受診した。腹部CTで左腎動脈瘤と診断され、精査・加療目的で2月9日当科を紹介受診となった。

CT上、瘤は腎動脈分岐部に嚢状に存在し、直径約2.5cm、壁の石灰化は認めず、治療の適応ありと判断した。腎血管造影では、瘤から直接腹側枝と背側枝が分岐しているため、血管内手術は困難と考えられた。そこで、2005年3月17日体外腎血管形成術、自家腎移植を行った。まず、左腎を摘出し、動脈瘤を切除した。右内腸骨動脈をグラフトに用いて腎動脈を形成した後、右骨盤内に自家移植した。摘出した動脈瘤の壁は菲薄化している部分を認めた。手術時間は7時間、温阻血時間5分、冷阻血時間4時間であった。

術後12日目に行った造影CTでは一部に梗塞像を呈するものの、全体として腎血流は良好であった。術後経過に問題なく、3月31日退院となり、現在外来で経過観察を行っている。外科的治療が必要な腎動脈瘤は比較的稀な疾患であり、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

6. スポーツによる機械的刺激が原因と思われた腎盂尿管移行部狭窄症の2例

高尾 彰、林 俊秀、大石智子、秋山博伸、入江 伸、金重哲三(岡山中央)

 

 腎盂尿管移行部狭窄症には,先天性と後天性があり,後天性の原因としては手術によるもの,結石によるものがほとんどであり,外傷が原因となることは稀である.今回われわれは,スポーツによる機械的刺激が原因と思われた腎盂尿管移行部狭窄症の2例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

 症例1:19歳女性.右背部痛を主訴に当科受診.画像診断にて異常血管による右腎盂尿管移行部狭窄症と診断し腎盂形成術を予定した.術中狭窄部分は線維化が強いもののCTで疑われた異常血管は認めなかった.線維性癒着を剥離し,拡張した腎盂を一部切開,管内性の狭窄がないことを確認し6Fr D-Jステントを留置した.術後水腎症,背部痛は消失し経過良好である.

 症例2:22歳男性.既往歴として15歳時,血尿にて某泌尿器科で尿路精査するも異常なし.左背部痛を主訴に近医受診,水腎症を認め当科紹介となる.画像診断にて異常血管による左腎盂尿管移行部狭窄症と診断し腎盂形成術を予定した.狭窄部分は線維性癒着が強いのみで明らかな異常血管は認めなかった.症例1と同様に術を終了した.術後水腎症の形態は残るものの,尿の通過障害は改善し背部痛も消失している.

両者ともスポーツ(柔道,卓球)にて患側側腹部を慢性打撲したエピソードがあった.

 

 

7. urosepsisで受診した尿路結石の3例

和田耕一郎、渡邉豊彦、赤澤信幸(岡山済生会)

 

urosepsisで当科を受診した3例を経験した.症例1は92歳の女性.認知症で長期臥床していたが,発熱で受診した.右腎盂尿管移行部に5mm大の結石を認めurosepsisを来していた.高度の認知症と四肢拘縮のため保存的加療を余儀なくされたが,結石の自然下降に伴って抗菌化学療法で治癒した.症例2は71歳の女性.統合失調症で精神神経科に入院中であった.発熱で右尿管膀胱移行部付近に数個の微細結石と右水腎症を認めた.septic shock・DICを呈していたが,尿管カテーテルによるドレナージと抗菌化学療法で軽快し,double Jステントを留置して退院した.症例3は71歳の女性.50年前に尿路結核で左腎を摘出している.残存した右腎にサンゴ状結石を形成し,来院時すでにseptic shock・DICを呈していた.腎瘻増設するとともに、抗菌化学療法を主体とした全身管理で状態は改善した.サンゴ状結石は自然に分散・下降し,外科的治療は要しなかった. urosepsisで受診した尿路結石の3例を提示するとともに,最近のsepsisの診断や全身管理を含めた治療に関し若干の文献的考察を加え報告する.

 

 

8. 尿路結石に対するHo:YAG レーザー結石破砕治療の現況

石戸則孝、向井雅俊、黒瀬恭平、市川孝治、高本 均(倉敷成人病)

國富公人(腎・泌尿器科くにとみ医院)

小林正雄(大阪厚生年金病院)

 

 2004年4月から2005年4月までの間に、尿路結石68単位に対し施行したHo:YAG レーザー結石破砕治療成績を報告する。対象患者の性別は、男性49単位、女性19単位、年齢は26〜93歳、平均63歳であった。方法は、入院後腰麻下などにて、腎・腎盂では主に腎盂尿管ファイバー、尿管では主に硬性尿管鏡、膀胱・尿道では硬性膀胱鏡に、ニーク社製石英ファーバー(250〜800μ)を装着し、出力5-20Wで、経皮的または経尿道的に砕石した。術後のstone streetが予測される例また尿路通過障害例に対しては、術後尿管ステントを留置後退院し、外来で抜去した。レーザー破砕単独27単位、ESWLとの併用41単位であった。結石サイズは4〜61mm, 平均15mmであった。結石部位は腎:11単位、尿管:46単位、膀胱:10例、尿道:1例であった。有害事象は、術中の石英ファーバー断裂による腎盂尿管ファイバー破損を1例に、術後の発熱を1例に認めた。Ho:YAG レーザー結石破砕治療により、難治性結石、ADLの低下した高齢者に対しても短期入院で良好な成績が得られた。

 

 

9. 尿管結石に伴う腎周囲膿瘍が疑われた後腹膜悪性リンパ腫の1例

上松克利、小澤秀夫、大森弘之(岡山労災)

矢野朋文(同・内科)

 

症例は58歳男性。主訴は右側腹部痛。2003年初頭より近医にて右尿管結石として経過観察されていた。症状増悪し2004年1月21日当科紹介。初診時のCT、DIPにて右尿管に12×10mmの結石及び右水腎を認め、右腎周囲にけば立ちを伴った軟部組織変化を認めた。右尿管結石に伴う尿の腎外溢流による炎症性変化と診断し、1月23日右尿管ステント留置。経過観察していたが腹部膨満感が増悪した。1月31日のCTで炎症性変化が左尿管、十二指腸及び腹直筋に拡大し、左水腎症も出現した。造影CTでは、右腎周囲のみでなく後腹膜腔に広範な造影効果に乏しい組織変化を認めた。2月4日右側腹部切開で後腹膜腔生検施行。病理組織はnon-Hodgkins lymphoma Diffuse large B-cell typeであった。内科にて化学療法を施行するも現病悪化し、8月19日死亡した。

文献上、後腹膜腫瘍における悪性リンパ腫の頻度は3〜9%と言われている。単純CT上腎実質と同程度の均一な低濃度の腫瘍像を呈し、造影効果に乏しい。自験例では尿管結石を合併していたため当初は他院で結石に伴う病変として加療されていた。非定型的な後腹膜の軟部組織変化は、悪性リンパ腫の可能性も念頭において早期に生検を行うことが望ましい。

 

 

10. 後腹膜脂肪肉腫の1例

明比直樹、平山 尚、赤枝輝明(津山中央)

佐古真一(福山市民)

 

症例は75才、男性。2005年1月近医にて超音波検査にて左腎近傍に腫瘤を指摘され、2月2日当科紹介。腹部CTにて左腎外側に左腎を内側腹側に圧排する11x7cm大の一部嚢胞あるいは壊死成分を伴った腫瘤あり、動脈相での造影効果は弱く、遅延相にて次第に不均一に造影効果が増強されていた。MRIでは内部信号はT1で低信号、T2にてやや高信号な腫瘤を認め、腫瘤および腎の背側に索状影を認めた。 また腹部血管造影では腫瘍は左腎動脈、脾動脈、上腸間膜動脈、中結腸動脈、大動脈分岐部付近から栄養動脈を受けていた。昨年7月に他院で施行された超音波検査では同腫瘤は指摘されておらず、当科へ紹介後も1ヶ月内に急速に増大していた。2月28日全麻下に経腹膜的腫瘍摘除術施行、腫瘍は結腸間膜と癒着していたが剥離可能であり、また左腎とは強固に癒着していたため一塊として摘出した。摘出重量は1.72Kg、病理組織診断は脱分化型の脂肪肉腫であった。現在外来にて無治療で経過観察中である。この症例につき若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

11. 腹腔鏡下に摘除した尿膜管膿瘍の1例

向井雅俊、黒瀬恭平、市川孝治、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

 

29歳,女性.2005年3月22日頃より臍下部の違和感と圧痛を自覚し勤務先の病院内科を受診.尿膜管感染を疑い,セフゾンを投与された.3月22日臍部からの排膿を認め,痛みが増強したためユナシン点滴投与,タリビット内服投与を受けたが軽快せず,3月30日当科を紹介受診した.臍下部皮下に長円形の,圧痛を伴う硬結を触知し,圧迫により排膿を認めた.膿培養では緑膿菌陽性であった.末梢血検査で異常は認めず,生化学検査ではCRPが2.27mg/dlと高値を示した.検尿沈査では膿尿を認めなかった.腹部骨盤MRIにて臍部皮下から下方に2.0X1.8X1.5cm大の嚢胞性病変を認め,肥厚した壁がよく造影された.内部はT1低信号,T2高信号であり,膿瘍と考えられた.以上より尿膜管膿瘍の診断の下,2005年4月12日,腹腔鏡下尿膜管膿瘍摘除術を施行した.手術時間は2時間35分,出血は少量であった.術に先立って行った膀胱鏡では,膀胱頂部を含め,粘膜に異常を認めなかった.摘除標本は10g,病理組織学的所見では尿膜管のsinusに炎症を認め,悪性所見は認めず,尿膜管膿瘍の診断であった.術後経過良好にて2005年4月20日退院した.尿膜管膿瘍は比較的稀な疾患であり,開放手術が主体であるが,近年腹腔鏡下に摘除した報告も散見されるので文献的考察を加えて報告する.

 

 

12. 初回治療10年後に両側鼠径部リンパ節転移を来たした再発膀胱癌の1例

原 綾英、石村武志、酒井 豊、藤井智浩、常 義政、武中 篤 (川崎医大)

藤澤正人(神戸大学)

 

症例は78歳、男性。1994年5月、膀胱腫瘍に対して経尿道的膀胱腫瘍切除術 (TUR-BT) を施行した。病理組織学的診断は、TCC、G3、pT1であった。画像所見では、所属リンパ節転移、遠隔転移は認めなかった。術後、BCG膀胱内注入80mg/week×6回施行したが、1995年2月、1996年3月にそれぞれ再発を認めた。いずれも病理組織診断は、TCC、G1、pTaであった。以後、定期的な膀胱鏡検査、尿細胞診を継続したが膀胱内再発は認めなかった。2004年7月、経過観察中に径3cmの両側鼠径リンパ節腫大を認めたため、鼠径部リンパ節生検を施行した。病理組織学的診断は、未分化癌のリンパ節転移の所見であった。また、腹部CTでは、外腸骨動脈、内腸骨動脈、大動脈周囲に径3cm大のリンパ節腫大を多数認めた。尿路を含め胃、膵、胆道系等の全身精査を行なったが、原発巣は不明であった。このため、低分化なTCCと診断し、2004年8月からM-VAC2コースを施行した。効果判定はNCであった。その後、外来にて経過観察していたが、2005年1月、肉眼的血尿、両側水腎症を認め、骨盤部CTでは、膀胱壁の著明な肥厚と内腔に突出する腫瘤を認めた。尿細胞診はClassXであった。2004年4月現在、対症療法にて、経過観察中である。

 

 

13. 再燃前立腺癌直腸浸潤に対し骨盤内臓全摘を施行した1例

石村武志、原綾英、酒井豊、藤井智浩、常義政、武中篤(川崎医大) 

藤岡一(高槻病院)、藤澤正人(神戸大) 

山下和城、角田 司(川崎医大・消化器外科)

 

症例は65歳男性。前立腺癌cT3bN0M0(initial PSA 37.49 ng/ml、生検Gleason Score 3+4)の診断のもと、他院にて平成13年11月よりホルモン療法を施行されていた。その後アンドロゲン非依存性となりECT+DEXに薬剤変更、平成15年4月にはPSA12.47、排便困難感が出現した。CT、大腸ファイバー(CF)による精査にて直腸に全周性の狭窄を認め、同部位のCF下生検により前立腺癌の直腸浸潤の診断、当科紹介となった。全身検索にて明らかな遠隔転移、リンパ節転移を認めなかったが、平成15年7月には排便困難が増悪し流動食以外経口摂取不可となった。放射線療法或は化学療法+姑息的人工肛門造設術、または骨盤内臓全摘の治療選択を提示、それぞれのQOLを説明し骨盤内臓全摘術を希望された。平成15年9月4日、骨盤内臓摘除術+尿管皮膚瘻、S状結腸人工肛門造設術施行、病理診断は前立腺癌pT4N1Mx、Gleason Score 3+4、直腸粘膜面にも腫瘍の浸潤を認め、切除断端は陽性であった。術後補助療法としてECT+DEXを開始し術後40日で退院した。術後PSA nadirは0.02 ng/ml、16ヶ月経過した現在PSAは1.07ng/mlと上昇を認めるが臨床的再発は認めていない。

 

 

14. 前立腺横紋筋肉腫の1例

岸本 涼、江原 伸、上原慎也、石井和史、雑賀隆史、那須保友、

公文裕巳(岡山大)

小泉文人(国立がんセンター)

 

症例は20歳男性。平成16年9月に肉眼的血尿を自覚し9月7日近医受診。CTにて前立腺の著明な腫大を認め、経過中に尿閉となった。PSAは2.0ng/ml。10月1日前立腺針生検にて未分化な小細胞を主体とした悪性腫瘍所見を認めたため、10月13日、前立腺肉腫の疑いにて当科入院となった。10月14日経尿道的前立腺生検を行い横紋筋肉腫と診断した。この時点でX線学的に転移を認めなかったため術前補助療法として前立腺部外照射total50Gyを行ったが12月1日多発性肺転移巣の出現を認め、12月6日よりビンクリスチン、イホスファミド、エトポシドによる全身化学療法を3コース行い、著明な肺転移巣の縮小効果を得た。平成17年2月8日根治的前立腺全摘除術ならびに神経移植を施行。病理学的に腫瘍の9割にnecrosisを認めた。術後補助療法として化学療法を2コース施行。胸部CTでは肺転移巣はほぼ瘢痕化した。また術後2ヶ月目でhalf electionを認めている。4月17日に退院。現在外来にて経過観察中である。この症例につき若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

15. 排尿障害を来した前立腺結石の1例

杉本盛人、渡邉雄一(十全総合)

市川孝治(倉敷成人病)

症例は79歳、男性。2年前より繰り返す膀胱炎を主訴に平成16年11月11日当科受診した。超音波検査では軽度の前立腺肥大および前立腺結石が認められた。膀胱鏡検査をすすめるも希望せず、以後経過観察となった。2ヵ月後に排尿困難、排尿時痛にて再診。膀胱鏡にて前立腺部尿道の精阜近傍左に約1cmの結石の付着を認めた。また、膀胱頚部硬化症、前立腺肥大の所見も認められた。尿道結石、前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症と診断し、結石除去と同時に前立腺切除術を行った。術中膀胱鏡では、尿道結石と思われたものは前立腺結石が精阜左側に突出したものであった。前立腺切除術と前立腺結石除去を施行し、術後排尿状態は良好であった。結石成分はリン酸カルシウム72%、炭酸カルシウム26%、シュウ酸カルシウム2%で、前立腺結石の自然排石例と考えられた。前立腺結石そのものが排尿障害を来す症例は少ないが、比較的多量の前立腺結石を認めた場合は排尿障害を考慮に入れた診察、治療が必要と思われた。

 

 

16. 尿路原発Malignant Lymphomaの1例

能勢宏幸、大枝忠史(尾道市民)

 

症例は35歳女性。左側腹部痛にて当科受診さる。外来の超音波検査にて左水腎症を、尿路造影検査にて左膀胱尿管移行部狭窄、左尿管壁の不整を認め、精査加療目的に入院となった。尿管鏡検査を施行したところ、膀胱後壁と三角部を中心とした慢性炎症像、左尿管下端は浮腫状であり、強い炎症像を認めた。炎症部位に対し生検を施行、病理学的検査によりNon-Hodgkin, Diffuse large B-cell Lymphomaとの診断が得られた。

 尿路原発のMalignant Lymphomaは極めて稀な疾患であり、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

17. 転移性精巣腫瘍の2例

中村あや、村上貴典、津島知靖(岡山医療センター)

 

今回我々は,消化器癌が原発の転移性精巣腫瘍を2例経験した為,報告する.

症例1は68歳男性.2001年7月,他院にて肝細胞癌にて肝右葉切除術施行された.術後右陰嚢内容腫大が認められ経過観察とされていたが,軽快しないため,2001年10月11日当院受診となった.10月18日右高位精巣摘出術施行,病理組織学的診断はpoorly differentiated HCCであった.その後陰嚢内再発は認められなかったが,2002年9月癌性腹膜炎により死亡した.

症例2は54歳男性.胃癌にて2003年9月25日胃切除術施行,経過観察中であった.2004年11月より右陰嚢内容腫大に気付き,12月24日当院受診した.2005年1月21日右高位精巣摘出術施行,病理組織学的診断はpoorly differentiated adeno carcinomaであった.CT,US上両側水腎症認められた為,胃癌の腹膜播種疑い,2月7日両側尿管ステント挿入術施行した.2005年5月現在,陰嚢内再発は認められていない.

 

 

18. 女子尿道悪性黒色腫の1例

野崎邦浩、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

症例は76歳女性。H16年8月23日、下着への血液の付着を主訴に当院婦人科を紹介受診。外尿道口から外部に突出する腫瘤を認め、8月24日に当科紹介となった。腫瘤は、赤色、表面平滑で一部に壊死巣を伴い、尿道腫瘍が疑われたため、8月31日に当科入院となる。骨盤部MRI検査では、腫瘍は尿道の9時から12時を中心に存在し、筋層浸潤を伴っていた。なお,腹部CT検査では、リンパ節転移等遠隔転移は認められなかった。9月6日、膀胱鏡および腫瘍生検を施行、膣前庭部から尿道、膀胱頚部の粘膜に黒色の色素沈着を認め、尿道を原発巣とする悪性黒色腫が疑われた。病理組織検査では、重層扁平上皮下にメラニン顆粒を有する小型類円形、ないし紡錘形細胞のびまん性浸潤を認め、悪性黒色腫と診断された。骨シンチグラフィーでは、明らかな転移は認めず、尿道悪性黒色腫(T4 N0 M0)と診断した。患者本人に痴呆があり、多発性脳梗塞や心房細動などの合併症もあるため、家族は積極的な治療を希望せず、10月4日に当科退院となった。その後、H17年1月4日、脳梗塞の急性増悪にて当院内科へ入院。尿道腫瘍による尿閉を来たし、2月2日に膀胱瘻を造設した。しかし,その後脳梗塞に伴い全身状態は悪化し、2月17日に死亡した。女子尿道原発の悪性黒色腫は比較的稀な症例と考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

19. 壊死性筋膜炎の2例

牧 佳男(金光病院)

 

壊死性筋膜炎の2例を経験した. 1例目は73歳男性. 2002年7月バルーンカテーテルの交換翌日から発熱,血圧低下があり,抗生剤の投与を受けていたが,外尿道口より血膿尿がもれるとのことで,泌尿器科に紹介され,カテーテルによる尿道損傷および尿道周囲炎と診断した. 1週間後,陰嚢が腫大し,一部皮膚が壊死に陥っており,フルニエ壊疽と診断.直ちに切開・排膿・デブリッドメントを施行した.膿からα-Streptococcusを検出した.

 2例目は,67歳女性.左尿管狭窄があり,狭窄部のバルーン拡張術後,3〜4ヶ月ごとにステントを定期交換していた. 2005年1月22日,腎盂炎にて入院.ステントを交換し,抗生剤を投与するもすぐにステントが閉塞し膿腎症をきたすため,2月12日経皮的に腎瘻を挿入した.この時の膿培養で,E. coliおよびEnterococcusを検出した.2月17日,皮下気腫を認め,CTを撮ったところ,後腹膜膿瘍も認めた.開腹し,後腹膜腔,皮下を洗浄.翌日からアミカシン入りの生食で,毎日ドレーンを洗浄したが,皮下に急速に壊死が拡がった.皮下壊死部に追加切開を加え,創洗浄を繰り返すも全身状態悪化し,3月1日死の転帰をとった.2月21日の動脈血培養でBacteroides fragilisを検出した.

 

 

 

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