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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

日 時:平成17年9月17日(土) 午後2時

場 所:岡山大学医学部図書館3階講堂

岡山市鹿田町2-5-1

TEL (086) 223-7151(内線 7056)


参加者の皆様へ

 

1.      受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2.      一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

3.      要望演題は講演時間10分(討論含む)でお願いします。

4.      コンピュータープレゼンテーションはPowerPoint-Winでお願いいたします。

5.      コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをMO,あるいはCD-Rディスクにファイルをコピーして,9月14日(水)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。Macの場合はWindowsにてformatされたMOにコピーしてください。もし,変更がありましたら,当日ディスクをご持参下さい。Eメールで1M以上のファイルを送付されますと,岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので,ご遠慮下さい。

6.      PowerPoint,Persuasion以外のソフトで作成した図,グラフや動画を挿入している場合には,コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には,コピー元ファイルも必要です。

7.      会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

8.      予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。


プログラム

一般演題

14:00〜14:50                        座長 上原慎也(岡山大学)

 

1.両側尿管閉塞をきたした尿路真菌症の1【抄録】

中村あや、村上貴典、津島知靖(岡山医療センター)

 

2.膀胱炎症性偽腫瘍の1【抄録】

山田大介、野崎邦浩、陶山文三(三豊総合)

 

3.膀胱扁平上皮癌の2例【抄録】

石井亜矢乃真鍋大輔石井和史江原 伸上原慎也賀来春紀雑賀隆史

那須保友公文裕巳(岡山大学)

 

4.気腫性膀胱炎の1例【抄録】

能勢宏幸、大枝忠史(尾道市民)

 

5.S状結腸憩室炎に起因したと考えられるS状結腸膀胱瘻の2例【抄録】

西口 潤1、石井和史2、津川昌也1、山野寿久3羽井佐 実3

(岡山市立市民1、岡山大学2、岡山市立市民・外科3

 

14:5015:40                        座長 山田大介(三豊総合)

 

6.女子尿道平滑筋腫の1例【抄録】

別宮謙介、井口裕樹、上杉達也、三枝道尚、荒巻謙二(広島市民)

 

7.女子傍尿道平滑筋腫の1例【抄録】

西山康弘、真鍋大輔、横山光彦、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳(岡山大学)

 

8.TVT術後に腸管穿孔をきたした1例【抄録】

上田修史、宇都宮紀明、公平直樹、青山輝義、井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

9.精巣悪性リンパ腫の4【抄録】

向井雅俊、黒瀬恭平、市川孝治、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

 

10総排泄管異常症における排尿機能・生殖機能【抄録】

青山興司、後藤隆文、岩村喜信(岡山医療センター・小児外科)

 

休憩

15:40〜16:00

 

要望演題   16:00〜17:20

Uro-gynecology』

司会            岡山大学             横山光彦

コメンテーター  三井記念病院産婦人科  中田真木

 

1.膀胱瘤に対するTVTスリング併用膣壁形成術とRaz式膣前壁形成術における手術成績の比較【抄録】

小澤秀夫、上松克利、小谷早葉子、友國弘敬、小橋勇二、大森弘之

(岡山労災、同・産婦人科

 

2.骨盤内臓器下垂の手術経験【抄録】

原 綾英、石村武志、酒井 豊、藤井智浩、常 義政、武中 篤 (川崎医大)

曽根淳史、近藤典生(興生総合)

絹川敬吾、森岡政明(松田病院)

 

3.腹圧性尿失禁に対するTension-free Vaginal Tape(TVT)の臨床的検討―膀胱瘤または

子宮脱合併例について―【抄録】

高本 均、石戸則孝、市川孝治、黒瀬恭平、向井雅俊1、安藤正明、西内敏文2

國富公人3、小林正雄4、石井亜矢乃5、塩塚洋一6、佐藤英一、佐古 真一8

荒木 徹9

(倉敷成人病、倉敷成人病・婦人科、腎・泌尿器科くにとみ医院

大阪厚生年金病院、岡山大学、東大阪市立総合病院、嬉泉病院

福山市民、あらき腎・泌尿器科クリニック

 

4.岡山大学における女性腹圧性尿失禁患者に対するTVT手術の治療成績およびその問題点

について【抄録】

井上 雅、横山光彦、大和豊子、小林知子、瀬野裕子、石井亜矢乃、

公文裕巳(岡山大学)

 

5.国立岩国医療センターにおけるTVTスリング手術の検討【抄録】

宮地禎幸、小武家誠、郷原真輔、日下信行(岩国医療センター)、

小林知子(岡山大学)、別宮謙介(広島市民)

 

6.尿失禁手術(TVT・コラーゲン注入)の効果及び問題点【抄録】

坂本英起、大橋輝久、山本康雄、近藤捷嘉(岡山赤十字)

 

7.妊娠中の尿失禁に関するアンケート調査結果の検討【抄録】

大石智子、入江 伸、高尾 彰、秋山博伸、林 俊秀、金重哲三(岡山中央)

 

8.腰椎麻酔下膀胱水圧拡張療法を施行した症例について【抄録】

大橋洋三、藤田 治(社会保険栗林病院)

 

 

 

幹事長要望講演  17201820

『架橋としての性器脱整復』

 

三井記念病院産婦人科  中田真木

 

     司会       岡山大学泌尿器科     公文裕巳

 

 

要望演題

1.

膀胱瘤に対するTVTスリング併用膣壁形成術とRaz式膣前壁形成術における手術成績の比較

小澤秀夫、上松克利、小谷早葉子、友國弘敬、小橋勇二、大森弘之

(岡山労災、同・産婦人科

 

[目的] 膀胱瘤に対して膣壁形成術(+子宮摘除術)のみを施行した場合、性器脱の再発や、術後の尿失禁が問題となることがある。我々の施設では、Raz式膣壁形成術(以下、Raz形成)かTVTスリング法(TVT併用形成)を膣壁形成術時に併用してきた。膀胱瘤手術において、これらの膀胱頚部支持術式を併用する意義を検討する。

[対象と方法] 平成11年4月から平成14年2月までの期間、20名の膀胱瘤に対してRaz形成(平均観察期間21ヶ月)を、平成14年3月から平成17年2月までに27名に対してTVT併用形成(同15ヶ月)を施行した。膀胱瘤の再発率および、術前後の排尿状態について自覚的、他覚的に比較した。

[結果] 術前は、尿失禁陽性が42%、排尿困難自覚例が67%に認められたが、Raz形成でそれぞれ尿失禁21%、排尿困難11%となり、TVT併用形成で4%、12%に、いずれの方法も著明に減少した。特に、TVT形成における尿失禁の再発は認知症合併のGradeW症例1例のみであった。性器脱の再発は、Raz形成において15%で認められたのに対し、TVT併用形成ではGradeV、GradeWの高度性器脱症例2例(8%)にのみ再発した。

[結論] TVT併用形成はRaz形成よりも、尿失禁改善が良好で、再発頻度が低くきわめて有用である。

 

 

2.

骨盤内臓器下垂の手術経験

原 綾英、石村武志、酒井 豊、藤井智浩、常 義政、武中 篤 (川崎医大)

曽根淳史、近藤典生(興生総合)

絹川敬吾、森岡政明(松田病院)

 

対象は2001年以降川崎医科大学及びその関連施設において骨盤内臓器下垂の手術を行った18例。年齢36〜83歳(平均65.2歳)。罹病期間は2~24ヵ月(平均9.3ヵ月)。自覚症状では蓄尿障害を12例(66.7%)に、排出障害を8例(44.4%)に認め、両方とも認めたものは5例(27.7%)であった。排尿症状以外では外陰部異物感13例(72.2%)が最も多く、他には排便障害と性交障害を1例ずつ認めた。既往歴として子宮摘出後であったものが6例(33.3%)であった。膀胱瘤(前腟壁下垂)は全例に認められGradeはIIが3例、IIIが8例、IVが5例、不明2例であった。合併していたものは子宮脱4例、直腸瘤(後腟壁下垂)3例、肛門脱1例であった。手術は18例に19回(1例のみ2回施行)し、全例に前腟壁縫縮術とTVT Sling手術を行い、同時に子宮摘出2例、後腟壁縫縮2例に行った。結果は外見では良好が12例(66.7%)、膀胱瘤GradeI,II残存または再発が6例(33.3%)で、このうち子宮脱が出現し摘出したものが2例、直腸瘤が出現してきたものが2例あった。QOLでは良好が16例(88.8%)、術後一過性尿閉が1例、軽いde novo OABが1例に認められた。

 

 

3.

腹圧性尿失禁に対するTension-free Vaginal Tape(TVT)の臨床的検討―膀胱瘤または子宮脱合併例について―

高本 均、石戸則孝、市川孝治、黒瀬恭平、向井雅俊1、安藤正明、西内敏文2

國富公人3、小林正雄4、石井亜矢乃5、塩塚洋一6、佐藤英一、佐古 真一8

荒木 徹9

(倉敷成人病、倉敷成人病・婦人科、腎・泌尿器科くにとみ医院

大阪厚生年金病院、岡山大学、東大阪市立総合病院、嬉泉病院

福山市民、あらき腎・泌尿器科クリニック

 

【目的】膀胱瘤または子宮脱を合併した腹圧性尿失禁(SUI)では膣式子宮全摘術兼膣会陰形成術(VT-Colpo)または膣会陰形成術(Colpo)が必要になるが、TVTを同時に行う場合それらの前に行うか後で行うか問題となる。我々はTVTをそれらの前に施行したのでその成績を報告する。【対象と方法】1999年4月〜2004年12月までに施行した48例、年齢35〜86歳(平均64.1歳)、観察期間2〜70ヶ月(平均26ヶ月)である。VT-ColpoまたはColpoは婦人科医が施行した。Tape引き上げの程度は、咳が不充分の場合はメッチェン鋏の先がTapeと尿道剥離下面の間に入るスペースを残すことを原則とした。【成績】SUIは全例で消失または改善し、再発は認めなかった。術後排尿困難は5例あり、そのうち3例でTVT tapeゆるめ術、1例でtape切断術を施行し、1例は経過観察している。【結論】膀胱瘤または子宮脱を合併したSUI症例に対して、TVTをVT-ColpoまたはColpo前に施行して良い結果が得られた。しかしVT-ColpoまたはColpoのみでSUIの改善が得られるとの意見があるため、2003年以降は原則として婦人科でVT-ColpoまたはColpoを先行し、その後SUI再発時にTVTの適応としている。また術後の排尿困難を防ぐためにTapeと尿道剥離下面のスペースの余裕が大切である。

 

 

4.

岡山大学における女性腹圧性尿失禁患者に対するTVT手術の治療成績およびその問題点について

井上 雅、横山光彦、大和豊子、小林知子、瀬野裕子、石井亜矢乃、公文裕巳

(岡山大学)

 

1999年4月から2005年7月までに当科においてTVT手術を施行した女性腹圧性尿失禁患者36例についての治療成績を報告する。年齢は25〜79歳(中央値59歳)、タイプ分類でタイプT9例、タイプU21例、タイプV6例であった。術前パッドテスト3〜119g(中央値18.9g)、術前ウロダイナミックス検査で無抑制収縮を認めた症例はなかった。TVT手術のみ施行したのは31例で、膣式子宮全摘出術と前後壁形成術を同時に施行したのは2例、前膣壁形成術を同時に施行したのは3例であった。術後1ヶ月以内で、腹圧性尿失禁の残存を認めたのは3例(8.3%)で1例(2.7%)にテープ縫縮術を行い、2例は失禁の程度が軽く経過観察を行っている。術後1年以内に再発を認めたのは2例(5.6%)で、1例にテープ縫縮術を施行した。術後de novo urgencyを認めたのは12例(33.3%)であった。術後1年以降の経過観察期間中に再発を認めた症例はなかった。術後排尿困難を認めCICを行ったのは3例( 8.3%)あったが、いずれもテープの切除を行うことなく1ヵ月以内にCICを離脱できた。TVT手術は中期成績に優れた治療法と考えられるが、手術後のde novo urgencyが比較的高率にあり、その他の合併症についても考察を加え報告する。

 

 

5.

国立岩国医療センターにおけるTVTスリング手術の検討

宮地禎幸、小武家誠、郷原真輔、日下信行(岩国医療センター)、

小林知子(岡山大学)、別宮謙介(広島市民)

 

対象】2001年3月から2005年8月までに当科でTVTスリング手術を施行した31例について検討した。年齢は19〜83歳(中央値70歳),内訳は腹圧性尿失禁24例、二分脊椎による神経因性膀胱にて膀胱拡大術術後の尿失禁1例、膀胱瘤のみで腹圧性尿失禁を認めない6例であった。腹圧性尿失禁を有する24例中膀胱瘤を合併しているものは16例、子宮脱を合併しているものは4例(重複あり)であった。術式は、TVTスリング単独:9例、TVTスリング+腟前壁縫縮術:20例、TVTスリング+腟前壁縫縮術+経腟的子宮摘除術:2例であった。麻酔は静脈麻酔+局麻:2例、硬膜外麻酔:5例、腰椎麻酔:22例、全身麻酔:2例であった。【結果】尿失禁を認めた25例中、21例(84%)に失禁の完全消失を、4例(16%)に改善を認め、無効例はなかった。合併症は排尿困難を7例に認めたが一過性で自己導尿や再手術の必要はなかった。膀胱穿孔は認めなかったが、子宮摘除、腹膜炎手術既往の1例に腸管穿孔を認めた。【考察】膀胱瘤合併例における腰椎麻酔症例が多く、術中ストレステストが行えないために術後排尿困難例が多かったと思われた。また骨盤内手術既往例における適応には十分な注意が必要であると考えられた。

 

 

6.

尿失禁手術(TVT・コラーゲン注入)の効果及び問題点

坂本英起、大橋輝久、山本康雄、近藤捷嘉(岡山赤十字)

 

1997年11月から2005年3月迄に,腹圧性尿失禁に対してTVTスリング手術を施行した女性31例、尿道周囲コラーゲン注入術を施行した35例を対象に手術の有効性,術前術後の尿流動態検査の変化,合併症の頻度等について検討した。

TVT手術は静脈麻酔・局所麻酔下に行い、咳嗽による膀胱内滅菌水の噴出が停止する点を目安として中部尿道をテープで支持した。術後観察期間が12ヵ月以上の患者を対象とし、治療効果は消失25例(80.6%)、改善6例(19.4%)であった。

尿道周囲コラーゲン注入術は腰椎麻酔下に行い、尿道鏡にてコンチジェンを5cc注入した。術後観察期間が3ヵ月以上の患者を対象とし、end pointにおける治療効果は消失10例(28.5%)、改善17例(48.5%)、不変4例(11.4%)、悪化4例(11.4%)であった。

問題点に関し、TVT手術は残尿量の増加及び平均尿流率の低下傾向がみられた。一方コラーゲン注入療法は当然のことながらTVT手術に比較して、尿失禁再発の傾向が認められた。手術を選択する際に患者の年齢、ADL、尿流動態検査に置ける排尿筋反射の把握が重要であることが示唆された。

 

 

7.

妊娠中の尿失禁に関するアンケート調査結果の検討

大石智子、入江 伸、高尾 彰、秋山博伸、林 俊秀、金重哲三(岡山中央)

 

一般に妊娠、出産は尿失禁の危険因子であるといわれている。今回出産後の褥婦に対して妊娠中と出産後の排尿異常の自覚の有無についてアンケート調査を行った。

対象は5月1日から8月1日までに当院で分娩した女性であり、有効回答数は126であった。年齢は18歳~41歳(平均30.6歳)であり、初産婦71人(56.3%)経産婦55人(43.7%)であった。妊娠中に尿失禁を認めたのは72人(57.1%)、出産後に尿失禁を認めたのは5人( 4.0%) であった。

全例を妊娠中に尿失禁を認めた群と認めなかった群とに分類し、年齢、身長、体重、BMI、既妊娠回数、既分娩回数に関して統計学的に検討を行った。

最終的に得られた検討結果について若干の考察を加えて報告する。

 

 

8.

腰椎麻酔下膀胱水圧拡張療法を施行した症例について

大橋洋三、藤田 治(社会保険栗林病院)

 

 2003年5月から2005年8月までに、間質性膀胱炎を疑い腰椎麻酔下膀胱水圧拡張療法を施行した18例について臨床的検討を加えた。年齢は26−86才(平均61.9)、男性2人、女性16例であった。主訴は、頻尿8例、膀胱部痛6例、下腹部不快感6例、排出困難5例(重複有り)などであった。術施行までの病悩期間は5年(2ヶ月ー15年)で、術前排尿チャートによる平均膀胱容量は93ml、CMG最大膀胱容量は平均243mlでUICは1例も認めなかった。手術時80cmH2O水圧下の最大膀胱容量は250−1000ml(平均574)、武井による術中所見に基づくIC grade分類では、G0: 3例、G1: 7例、G2: 6例G3: 2例であり、膀胱生検で病理学的異常を認めたものはなかった。術後はIPDを投与し、1ヵ月以内の近接効果は、3例が不変であったが、15例は改善を見た。水圧拡張後の経過について検討する。

 

一般演題

1.両側尿管閉塞をきたした尿路真菌症の1例

中村あや、村上貴典、津島知靖(岡山医療センター)

 

今回我々は糖尿病性ケトアシドーシスにて入院中に両側尿管閉塞をきたし,両側ステント留置術を要した尿路真菌症の1例を,若干の文献的考察を含めて報告する。

症例は79歳,男性。1995年(69歳時)糖尿病を指摘され2001年よりインスリン導入されたがコントロール不良にて入退院を繰り返していた。2005年4月下旬近医待合室にて意識低下,血糖1,015mg/dlと高値を認めたため精査加療目的に当院代謝内科受診し,即日入院の上FOY 1500mg/day,IMP/CS 1g/day及びインスリンによる加療を行った。第3病日には全身状態安定したが,第9病日に乏尿を認めた。腹部CT上両側水腎症が認められたため緊急尿管ステント留置術を施行した。この時の膀胱鏡所見にて,両側尿管口にfungus ballが認められたため,尿路真菌症による両側尿管閉塞と診断した。両側尿管ステント挿入後は利尿が得られ,フルコナゾール 100mg/dayによる加療を開始した。その後は経過良好であり,約1ヵ月後両側尿管ステントを抜去し,6月下旬退院となった。

 

2.膀胱炎症性偽腫瘍の1例

山田大介、野崎邦浩、陶山文三(三豊総合)

 

 膀胱炎症性偽腫瘍は,比較的稀な疾患で,膀胱癌との鑑別が問題となる良性疾患である。今回我々は,著明な肉眼的血尿を主訴に発見された膀胱炎症性偽腫瘍の1例を経験したので報告する。症例は65歳女性。既往歴として,気管支喘息と統合失調症を認めた。平成17年4月29日から肉眼的血尿を認め,4月30日当院救急外来を受診。腹部超音波検査で膀胱内に腫瘍の存在が疑われ,同日当科入院となった。入院後のCT検査で,膀胱内に血餅を伴う腫瘍の存在が疑われ,また左腎門部に腎血管筋脂肪腫を認めた。入院後止血剤の投与で,血尿は改善し,膀胱ファイバー検査を施行した所,膀胱右後壁に径4cm程の粘膜下腫瘍を疑わせる非乳頭状腫瘍を認め,5月19日にTUR-Bt(32g切除)を施行した。病理組織検査では悪性所見は認められず膀胱炎症性偽腫瘍と診断した。6月6日当科を退院。退院後のCT,膀胱ファイバーでも再発所見は認めていない。以上の症例について若干の文献的考察を加え報告する。

 

3.膀胱扁平上皮癌の2例

石井亜矢乃真鍋大輔石井和史江原 伸上原慎也賀来春紀雑賀隆史

那須保友公文裕巳(山大学)

 

膀胱扁平上皮癌は比較的稀な疾患で、初診時既に浸潤性であることが多く、一般に予後不良とされている。今回我々は浸潤性膀胱扁平上皮癌2例を経験したので、尿路扁平上皮癌の臨床像、治療法に関する文献的考察を含めて報告する。

症例1。49歳女性。H17年 4月より排尿困難、下腹部膨満感、肉眼的血尿を認め、5月2日他院受診した。MRIで膀胱頚部から尿道にかけて5.5×4cm大の腫瘍と骨盤内リンパ節腫大を認め、5月27日当科入院。5月31日TUR-biopsy施行。膀胱頚部より全周性に隆起性病変を認め、SCC+TCC,T2以上であったため、6月9日膀胱全摘術、回腸導管造設術を施行した。病理組織学的診断はSCC,G2,pT4a,INFβ,pN1であった。術後補助療法として骨盤内照射40Gyおよび低用量化学療法(CDDP20mg,週1回)を行っている。

症例2。42歳男性。H17年2月肉眼的血尿あり。他院受診し、膀胱憩室内血腫として経過観察となった。5月9日左側腹部痛出現し、CTなどで左水腎症、膀胱憩室内腫瘍と診断され、5月13日TUR-biopsy施行。SCC, T1以上であったため、当科紹介され、6月6日入院となった。6月21日膀胱全摘除術、回腸新膀胱造設術を予定したが、腫瘍は極めて急速に進行しており、直腸壁への浸潤もあったため、骨盤内臓全摘、回腸導管造設術を施行した。病理組織学的診断ではSCC,G2,pT4b,INFβ,pN2であった。術後約1ヶ月で肺転移が出現し、現在全身化学療法を行っている。

 

4.気腫性膀胱炎の一例

能勢宏幸、大枝忠史(尾道市立市民)

 

症例は59歳女性。発熱、右腰痛、膀胱炎症状にて当科受診さる。外来にて施行した検尿上血尿、膿尿、超音波検査上右水腎症を認めた。腎盂腎炎ならびに右尿路結石症を疑い、KUBを施行したところ膀胱壁に沿った気腫性変化を、CT上も同様の所見並びに右水腎症認めた。腎盂内には明らかな気腫性変化を認めなかった。膀胱鏡検査上、多数の気泡が存在する発赤した膀胱粘膜を膀胱壁全面に認め、気腫性膀胱炎と診断した。尿培養からは大腸菌が検出され、HbA1cは12.7であった。入院の上、抗生剤加療、インスリン治療にて症状は軽快、膀胱鏡検査を再度施行したところ膀胱粘膜所見も軽快していた。

気腫性膀胱炎は重症糖尿病患者に合併する比較的まれな疾患であり、若干の文献的考察を加え報告する。

 

5.S状結腸憩室炎に起因したと考えられるS状結腸膀胱瘻の2例

西口 潤1、石井和史2、津川昌也1、山野寿久3羽井佐 実3

(岡山市立市民1、岡山大学2、岡山市立市民・外科3

 

食生活の欧米化や社会の高齢化などに伴い、左側結腸の憩室症が増加し、S状結腸憩室炎に起因するS状結腸膀胱瘻の報告は増加傾向にある。最近我々はS状結腸膀胱瘻の2例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。

症例1:48歳、男性。2004年11月10日頃より発熱、腹痛、排尿困難出現し、近医受診。有熱性尿路感染症として入院、抗菌性化学療法により解熱したが、尿所見の改善無く、当科紹介受診。持参CTにて膀胱内にfree airを認め、問診で9月に一度、気尿があったことが判明した。膀胱鏡検査にて膀胱後壁に浮腫を伴う隆起性変化を認め、膀胱腸瘻疑いにて入院。MRIでは膀胱後壁とS状結腸との間に膿瘍形成を認めた。膀胱造影、大腸ファイバー、注腸造影では憩室、瘻孔は判然としなかったが、結腸憩室炎の既往があることから憩室炎に起因するS状結腸膀胱瘻と診断した

症例2:40歳、男性。2004年11月より結腸憩室炎に対し当院内科にて入院加療していたが、12月31日夜、気尿出現したため、当科紹介受診。内科でのCTにて膀胱内にfree airを認め、MRIでは膀胱上部とS状結腸との間に内部にairを有し、壁に造影効果のある膿瘍形成を認めた。膀胱鏡検査、注腸造影では瘻孔は同定できなかったが、経過から症例1と同様に憩室炎に伴うS状結腸膀胱瘻と診断した

2例とも膀胱部分切除+S状結腸部分切除術を施行し、術後経過は良好である。

 

6.女子尿道平滑筋腫の一例

別宮謙介、井口裕樹、上杉達也、三枝道尚、荒巻謙二(広島市民)

 

 症例は35歳女性。20年前より2回尿道腫瘍に対し他院にて摘除術受けた既往あり。10年前より外尿道口付近の腫瘤を自覚するも放置、徐々に増大し排尿困難、出血を伴うようになってきたため2005年5月25日当科受診した。視診上外尿道口0時方向より外部へ突出する径約3cm大、褐色調で表面平滑な腫瘍を認めた。MRIでは同腫瘍はT1強調画像で内部が均一で低信号に、T2強調画像では内部が不均一に描出された。尿道腫瘍の診断で2005年7月15日尿道腫瘍摘除術施行した。組織診断は平滑筋腫であった。平滑筋腫は女子生殖器に好発する良性腫瘍であるが尿道に発生することは稀である。この度本疾患を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。

 

7.女子傍尿道平滑筋腫の一例

西山康弘、真鍋大輔、横山光彦、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳(岡山大学)

 

 症例は46歳女性。2004年7月職場検診にて貧血指摘され、9月近医受診し、膣前壁に超手拳大の腫瘤を指摘された。腹部US、MRIにて悪性腫瘍の可能性も考えられ、経膣的生検施行、病理診断はFibroepithelial polypで悪性所見は認めなかったが、悪性腫瘍も完全には否定できないため、10月12日岡山大学婦人科紹介受診、同日婦人科より泌尿器科へ紹介受診となった。

 外尿道口は左方に圧排されているが導尿は容易に可能であった。膀胱鏡では両側尿管口は頭側に圧排され変位していたが、膀胱尿道粘膜は正常であった。MRIにて子宮膣部の下方、尿道背側に11×10×9cm大の境界明瞭な充実性腫瘤を認め、尿道は腹側に圧排されるも腫瘍の浸潤は認めなかった。2005年2月3日経腹的腫瘍摘除術施行、病理診断はLeiomyomaであった。術後より極軽度の尿失禁認め、尿道鏡にて外尿道括約筋より遠位に径15mmの尿道膣瘻認めた。保存的に加療し、現在は尿失禁認めていない。

 若干の文献的考察を加え報告する。

 

8.TVT術後に腸管穿孔をきたした1例

上田修史、宇都宮紀明、公平直樹、青山輝義、井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

症例は67歳、女性。

経膣的子宮筋腫術後よりの腹圧性尿失禁あり、2004年10月4日腰椎麻酔下にTVT法施行。

術日深夜より下腹部痛出現、増強したため10月5日CTを撮影したところ、腸管穿孔および腹膜炎所見あり同日緊急手術施行した。開腹すると、右側より刺入したテープが回腸を貫通しているのが確認され、汚染されているテープの一部を切除し穿孔部を縫合閉鎖した。

術後は一時的な糖尿病の増悪、創治癒遅延があったものの、失禁も消失し11月7日退院し、現在外来通院中である。

TVT法にともなう合併症として腸管穿孔は稀ではあるが報告例があり、骨盤内手術の既往がある症例には注意が必要とされている。今回の症例について若干の文献学的考察を加え報告する。

 

9.精巣悪性リンパ腫の4例

向井雅俊、黒瀬恭平、市川孝治、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

 

1998年から2005年までに当院で経験した精巣悪性リンパ腫4例についてまとめた.診断時年齢は39歳から83歳.主訴はいずれも無痛性の陰嚢内容腫大であった.組織型はすべて悪性リンパ腫,diffuse,large B cell typeであった.病期はTE2例と,UE,VEがそれぞれ1例であった.治療は高位精巣摘除術を行なった後に,2例に他院にて化学療法と放射線療法が追加された.転帰であるが,1例は化学療法、健側精巣への放射線療法を追加施行し、癌なし生存,1例は術後1ヶ月現在治療中,1例は6ヵ月後他因死,1例は初診時に多発リンパ節転移を認め、全身状態が悪化し術後12日目で癌死した.一般に精巣悪性リンパ腫は高齢者に多いとされており,当院においてもその傾向がみられた.精巣悪性リンパ腫の治療について,文献的考察を加えて発表する.

 

 

10.総排泄管異常症における排尿機能・生殖機能

青山興司、後藤隆文、岩村喜信(岡山医療センター・小児外科)

 

 総排泄管異常症の児の取り扱いにおいて、一般的には排便機能を中心に述べられている。しかし、この疾患の長期予後の観点に立てば排尿機能、生殖機能が重要である。我々は、排尿の機能評価が可能な根治術後5年以上を経過した総排泄管異常を15例経験している。これらは青山の分類によると、高位が6例、中間位が1例、低位が8例である。

 高位6例に対しては全例腹仙骨会陰術式で根治術を行った。膣形成は、2例が膣flap 法、1例は膀胱flap 法、2例は結腸を使用法、1例は膣引き下ろし法で行った。低位8例に対して、7例は仙骨会陰術式、1例が腹仙骨会陰術式で根治術をおこなった。膣形成は、1例は引き下ろし法、残りの7例はskin flap 法で修復した。高位6例全例が術前に腎瘢痕を伴う膀胱尿管逆流症を有していた。現在も何らかの排尿異常を有し、自己導尿などで対応している。また、現時点で1例を除き全例が腎機能異常を認めており、そのうち1例は透析中である。月経が順調なのは、膣flap を使用した1例のみである。低位8例は全例が術前術後を通して排尿障害はない。生殖機能評価可能な6例中5例は問題なく経過しており、2例が児を出産している。今回はこれらの症例の概要について述べる。