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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

日 時:平成17年12月10日(土) 学術集会:午後2時

                             懇 親 会:午後6時30分

場 所:おかやま三光荘

              岡山市古京町1丁目7-36

          TEL (086) 272-2271

参加者の皆様へ

 

1.      受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2.      会場費として1000円徴収させていただきます。

3.      一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

4.      コンピュータープレゼンテーションはPowerPoint-Winでお願いいたします。

5.      コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをMO,あるいはCD-Rディスクにファイルをコピーして,12月7日(水)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。Macの場合はWindowsにてformatされたMOにコピーしてください。もし,変更がありましたら,当日ディスクをご持参下さい。Eメールで1M以上のファイルを送付されますと,岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので,ご遠慮下さい。

6.      PowerPoint,Persuasion以外のソフトで作成した図,グラフや動画を挿入している場合には,コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には,コピー元ファイルも必要です。

7.      スライドプロジェクターは1台です。スライドは35mm版のみとします。スライド枚数には制限はありませんが,縦スライドは縮小されますので,可能な限り横スライドを準備してください。

8.      スライドは口演30分前までに,会場スライド受付で各自ホルダーに挿入し,試写,確認の上,受付に提出してください。

9.      会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

10.  予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

11.  懇親会場は3階和室宴会場『吉備』にて6時30分より予定しております。

会費は6000円です。

 

 

今回は学術集会、懇親会とも三光荘ですのでよろしくお願い致します


プログラム

一般演題

14:00〜14:50                        座長 門田晃一(岡山大学)

 

1.      副腎領域に発生した神経鞘腫に対して腹腔鏡下腫瘍摘出術を行った一例[抄録]

中田哲也、佐々木克己、武田克治、朝日俊彦(香川県立中央)

 

2.        尿中VMAが陽性を示した副腎神経節細胞腫の一例[抄録]

岸本 涼、渡辺豊彦、赤澤信幸(岡山済生会)

 

3.        腸腰筋膿瘍の2例[抄録]

堀川雄平、高尾 彰、大石智子、秋山博伸、林 俊秀、入江 伸、金重哲三(岡山中央)

 

4.      特発性後腹膜血腫の2例[抄録]

佐古真一、岸 幹雄(福山市民)

 

5.        11年の腹膜透析(CAPD)後に発症した被嚢性腹膜硬化症の一例[抄録]

安東栄一、横田雅生、入口弘英、小野憲昭、那須良次(高知医療センター)

土山芳徳(同・腎臓内科)

八木 誠(同・外科)

藤田次郎(藤田クリニック)

 

 

14:50〜15:50                        座長 宮地禎幸(岩国医療センター)

 

6.      保存的に治療した腎外傷の2例[抄録]

藤田 治、大橋洋三(社会保険栗林病院)

内ノ村聡(同・放射線科)

 

7.        最近経験した腎癌に対するマイクロ波凝固装置を用いた後腹膜鏡下無阻血腎部分切除術の2例[抄録]

明比直樹、平山 尚、赤枝輝明(津山中央)

三井 博(徳山中央)

 

8.        体腔鏡下腎尿管全摘除術の上部尿路癌に対するoncological outcome [抄録]

真鍋大輔、雑賀隆史、江原 伸、上原慎也、谷本竜太、賀来春紀、永井 敦、那須保友、

公文裕巳(岡山大)、藤田竜二(呉共済病院)、入江 伸(岡山中央病院)

津島知靖(岡山医療センター)、山田大介(三豊総合病院)

 

9.        粘膜抜去法による巨大尿管の手術[抄録]

後藤隆文、秋山卓士、岩村喜信、中原康雄、向井 亘、青山興司(岡山医療センター

小児外科)

 

10.  特発性腎出血に対する腎盂尿管鏡の有用性に関する検討 ―18年間の経験から―[抄録]

上原慎也、門田晃一、永井 敦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

津川昌也(岡山市民)

 

11.    High risk ABO血液型不適合腎移植における我々の免疫抑制法[抄録]

光畑直喜、伊藤誠一、藤田竜二(呉共済)

万波 誠、小島啓明(宇和島徳洲会)

西 光雄(香川労災)

西谷嘉夫(にしたに腎泌尿器科クリニック)

万波廉介(日生病院)

 

15:50〜16:10

休 憩

 

16:10〜17:00                        座長 藤井智浩(川崎医大)

 

12.  ステロイドが著効した膀胱炎症性偽腫瘍の1[抄録]

國枝太史、宇都宮紀明、公平直樹、上田修史、青山輝義、井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

13.    診断に苦慮した膀胱癌 Nested variantの一例[抄録]

黒瀬恭平1)、向井雅俊1)、市川孝治1)、國富公人2)、石戸則孝1)、高本 均1)

荒木 徹3)

1)倉敷成人病センター 2) 腎・泌尿器科 くにとみ医院 3) あらき腎・泌尿器科クリニック)

 

14.  成人にて発見された精巣成熟奇形腫の2例[抄録]

野崎邦浩、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

15.特発性精巣出血の1[抄録]

別宮謙介、三枝道尚、井口裕樹、上杉達也、荒巻謙二(広島市民)

 

16.血栓溶解療法が有効であった両側精巣区域性梗塞の1例[抄録]

郷原真輔、日下信行、小武家誠、宮地禎幸(岩国医療センター) 

 

17:00〜17:40                        座長 寺井章人(倉敷中央)

 

17.  当院で経験した陰茎折症の臨床的検討[抄録]

石村武志、原 綾英、酒井 豊、藤井智、常 義政、武中 篤(川崎医大)

 

 

18.形成性陰茎硬化症に対するデキサメタゾン・ベラパミルによるイオントフォレーシス療法[抄録]

坪井 啓、久住倫宏、渡部昌実、石井和史、永井 敦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

19.  ブラダースキャンBVI-6100を用いた残尿測定の評価[抄録]

−座位および仰臥位による計測の比較−

小澤秀夫、上松克利、大森弘之(岡山労災)

 

20.  尿閉を契機に診断されたヘルペス髄膜炎の1例[抄録]

能勢宏幸、大枝忠史(尾道市民)

 

17:40〜18:00

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

       朝日俊彦(香川県立中央)

       難波克一(岡山市)

       赤枝輝明(津山中央)

       津島知靖(岡山医療センター)

 

 

18:30〜

懇親会       おかやま三光荘3F和室宴会場『吉備』

             

 

一般演題

1副腎領域に発生した神経鞘腫に対して腹腔鏡下腫瘍摘出術を行った一例

中田哲也、佐々木克己、武田克治、朝日俊彦 (香川県立中央)

 

症例は29歳の女性。Recklinghausen病などの既往はない。平成172月に右側腹部痛があり,当院内科を受診された。スクリーニングCT検査で右副腎領域に一致して4cmの円形腫瘤を認めた。右副腎腫瘍を疑い血中・尿中の副腎ホルモン検査を行い,内分泌非活性副腎腫瘍と診断した。腫瘍の大きさから悪性も完全に否定できなかったため45日に腹腔鏡下腫瘍摘除術を行った。摘出した標本による病理検査ではAntoni A型とAntoni B型が混在する良性神経鞘腫であった。明らかな副腎組織は認めず後腹膜神経鞘腫と診断した。

副腎領域に発生する神経鞘腫は比較的まれであり,文献的考察を加え報告する。

 

 

2.尿中VMAが陽性を示した副腎神経節細胞腫の一例

岸本 涼、渡辺豊彦、赤澤信幸(岡山済生会)

 

今回我々は画像上副腎神経節細胞腫を疑われながら、尿中VMAの上昇と131I- MIBGシンチグラフィにて集積を認め、神経芽細胞腫との鑑別と治療法決定に苦慮した巨大副腎神経節細胞腫の一例を経験したので報告する。

症例

17歳女性

平成17年9月2日腹痛にて当院救急センター受診。腹部CT上左副腎に長径7cmの副腎神経節細胞腫を疑う腫瘤陰影を指摘され当科紹介となる。MRIでも神経節細胞腫と診断されるも、尿中VMA高値を指摘され神経芽細胞腫との鑑別目的に131I- MIBGシンチグラフィを施行、左副腎の部位に一致した集積を認めた。このため悪性腫瘍の可能性否定できず生検をあきらめ10月19日、左副腎全摘除術を施行。術中迅速病理標本は神経節細胞腫との診断であったため左腎を温存し終了。永久病理標本も神経節細胞腫との診断であった。

一般的に神経節細胞腫では尿中VMAは高値を示さず、131I- MIBGシンチグラフィにおいても集積を認めることは少ない。そのため両検査は画像所見とあわせて神経芽細胞腫、原発性アルドステロン症との鑑別に用いられる。本症例では両検査の結果および腫瘍の大きさから手術前に最終的な鑑別に至らず、手術法の選択に苦慮した。この症例を若干の文献的考察を交えて報告する。

 

 

3.腸腰筋膿瘍の2例

堀川雄平、高尾 彰、大石智子、秋山博伸、林 俊秀、入江 伸、金重哲三(岡山中央)

 

腸腰筋膿瘍は比較的まれな疾患であるが、腎尿路隣接臓器の病変であるため、泌尿器科医が十分認識しておくべき病態と思われる。治療法としては、抗生剤投与、経皮的ドレナージ、開放手術がある。今回我々は、保存的に治癒した症例と外科的に治癒した症例をそれぞれ経験したので若干の文献的考察を加え報告する。症例1:53歳男性。左背部痛、発熱にて当科受診。臨床症状、CT、MRIより腸腰筋膿瘍と診断、ABPC/SBTの点滴とCDTR-PIの内服で治癒した。症例2:66歳女性。左背部痛、歩行困難にて近医受診。MRIにて圧迫骨折と診断される。その後、全身検索中に左水腎症と膿尿を認めたため当科紹介なった。CT、MRI再検査し化膿性脊椎炎、腸腰筋膿瘍と診断、その炎症波及による左水腎症が考えられた。PIPCを1週間点滴し炎症反応は改善傾向示したが、左背部痛、歩行困難は持続していた。整形外科より椎間板の炎症強く、保存的治療は限界と判断され腰椎前方後方固定術と切開ドレナージを施行した。現在歩行可能となり外科的に治癒した。

 

 

4.特発性後腹膜血腫の2例

佐古真一、岸 幹雄(福山市民)

 

(症例1)63歳男性。既往歴なし、現病歴:左季肋部痛、冷汗を認め当院を紹介受診。尿検査、血液検査:特記事項なし。腹部CTにて左後腹膜に膵を後方より圧排するように血腫を認めた。左副腎出血を疑い入院。後Hbの低下を認めたため塞栓術目的に同日血管造影検査を施行したが選択的にカテーテル挿入が不可能であったため保存的に加療をおこなった。

(症例2)48歳女性。既往歴なし。現病歴:右腰部痛および右上腹部痛を認め当院受診。

尿検査、血液検査:特記事項なし。腹部CTにて右の横隔膜脚から右腎上部にかけ後腹膜に出血を疑わせるlow density areaを認めた。出血および症状が安定していたため保存的に加療を行った。

特発性後腹膜血腫の2例を経験した。若干の文献的考察を含め発表する。

 

 

5.11年の腹膜透析(CAPD)後に発症した被嚢性腹膜硬化症の一例

安東栄一1)、横田雅生1)、入口弘英1)、小野憲昭1)、那須良次1)、土山芳徳2)八木 3)

藤田次郎4)

(高知医療センター泌尿器科1)、腎臓内科2)、外科3)、藤田クリニック4)

 

【症例】63歳、男性。【主訴】嘔気、腹部膨満感【現病歴】平成3年から平成14年まで腹膜透析(CAPD)を施行。平成14年腹部CTにて被嚢性腹膜硬化症と診断され、ステロイドを投与したが治療抵抗性のため、平成14年6月血液透析に移行した。平成17年9月14日より嘔吐が出現し、腸閉塞疑いで当院紹介となった。【来院時所見】血算・生化学所見でCRP 2.1mg/dlと軽度の炎症所見を認めるのみであった。腹部Xpは腸間膜の石灰化を認めるものの、ニボー像、小腸のkeyboard signは認めなかった。腹部CTでは横行結腸の被嚢形成と著明な腸管癒着を認めた。以上より被嚢性腹膜硬化症のU期(炎症期)〜V期(被嚢期)と診断した。【経過】入院後腸雑音は低下し、排ガスを認めたため絶食、輸液、抗生剤点滴にて腸管の安静を保った。これにより、嘔気は軽快し、腹部膨満感は改善した。10月6日に腸間膜剥離を目的として試験開腹を行った。術中所見は、腸管の石灰化が著明で被膜と腸間膜の境界が不明瞭であった。剥離により腸管穿孔の可能性が高いと考え手術操作は行わず閉腹した。現在可能な限り経口栄養摂取を目指し、低残渣かつ高カロリー食を工夫している。【考察】腹膜透析による被嚢性腹膜硬化症は比較的まれであるが、予後不良の合併症とされている。今回我々は被嚢性腹膜硬化症の1例を経験したので文献的考察を加え報告する。

 

6.保存的に治療した腎外傷の2例

藤田 治1、大橋洋三1、内ノ村聡2(社会保険栗林病院泌尿器科1、放射線科2

 

今回、我々は保存的に治療した腎外傷の2例を経験したので文献的考察を加え報告する。

症例155歳男性。H16 722日トラックから降りる際、足を踏み外し右背部打撲。以後、右背部痛、血尿徐々に増強する為、当院救急外来受診。CTにて右腎外傷(日本外傷研究会腎損傷分類Va)と判断。当科入院となった。入院時血圧106/66mmHg、脈拍46、意識清明。Hgb11.5g/dlであった。23CT上血腫増大、Hgb8.4g/dlにてMAP8uFFP10u輸血の上、選択的右腎動脈塞栓術施行した。術後CTにて血腫増大なく、血尿も徐々に消失したが、腎盂外への造影剤の溢流認めた。812日腎盂腎炎による39度の発熱あるも、抗生剤投与にて軽快。以後尿路感染なく外来経過観察中である。現在CT上腎盂外への造影剤の溢流なく、尿嚢腫被包化され縮小している。

症例266歳女性。H171026日自転車にて帰宅中、用水路に転落し左側腹部叩打。1027日早朝より肉眼的血尿あり。他院受診し、左腎外傷(同Vb)として当科紹介入院となった。入院時血圧142/80mmHg、脈拍91、意識清明。Hgb6.9g/dlであった。MAPFFP各々6u輸血の上、同日選択的左腎動脈塞栓術施行した。術後血尿消失、CTにて血腫縮小も尿嚢腫認められた。術後約1ヶ月半現在発熱なく経過良好であるが、今後尿路感染症に対し厳重に経過観察必要である。

 

 

7.最近経験した腎癌に対するマイクロ波凝固装置を用いた後腹膜鏡下無阻血腎部分切除術の2例

明比直樹 平山尚 赤枝輝明(津山中央病院)

三井博(徳山中央病院)

 

最近経験した小径腎細胞癌に対してマイクロ波凝固装置を用い後腹膜鏡下に無阻血腎部分切除術を行ったので報告する.症例1は73歳男性,平成17年8月19日上腹部痛,発熱,嘔吐で近医より紹介されCTにて急性壊疽性胆嚢炎・胆嚢穿孔による胆汁性腹膜炎および右腎下極に径2cm大の腫瘤性病変を指摘される.胆嚢炎については当日外科にて緊急手術施行,右腎下極の腫瘤については腎癌の可能性高い為9月28日マイクロ波凝固装置を用い無阻血腎部分切除術を施行した.病理組織はRCC clear cell carcinoma G2>G1 INF―βであった. 症例2は79歳女性.腸閉塞にて内科入院中,腹部CTにて偶然右腎に腫瘤を指摘され,平成17年8月19日当科紹介.右腎下極腹側に1.6 x 1.3cm大の腫瘤性病変あり腎癌疑いにてマイクロ波凝固装置を用いた無阻血腎部分切除術を施行した.病理組織はRCC  chromophobe cell carcinoma G2 INF―αであった..2例とも術後経過は良好にて現在外来にてfollow-up中である.マイクロ波凝固装置を使った後腹膜鏡下腎部分切除術について若干の文献的考察を加えて発表する予定である.

 

 

8.体腔鏡下腎尿管全摘除術の上部尿路癌に対するoncological outcome

真鍋大輔、雑賀隆史、江原伸、上原慎也、谷本竜太、賀来春紀、永井敦、那須保友、公文 裕巳(岡山大)藤田竜二(呉共済病院)、入江伸(岡山中央病院)、津島知靖(岡山医療センター)

山田大介(三豊総合病院)

 

【目的】近年5年間で岡山大学医学部泌尿器科関連病院施設(岡山尿路性器癌研究会)にて腎尿管全摘除術を施行された上部尿路上皮癌について開放手術と体腔鏡下手術における膀胱再発率、転移出現、予後に関して比較検討を行った。【対象と方法】上部尿路上皮癌治療に対し2000年1月〜2004年12月の5年間に岡山大学医学部泌尿器科関連病院施設(26施設)にて上部尿路上皮癌治療に対し根治的腎尿管全摘除術が施行された361症例中、術前遠隔転移、リンパ節転移、膀胱癌既往のない220症例を対象に検討した。【結果】手術法の内訳は体腔鏡下手術53例、開放手術167例であった。膀胱内再発を認めた症例は体腔鏡下手術で16例(30.2%)、再発までの期間の中央値は5.7±7.5ヶ月、開放手術では63例(27.7%)で再発までの期間は中央値6.2±10.7ヶ月であった。術後転移は体腔鏡下手術で9例(17.0%)、開放手術で34例(20.4%)に認めた。開放手術と体腔鏡下手術では膀胱内再発率、遠隔転移発生率、予後に有意差は認められなかった。【結論】体腔鏡下手術の成績は予後、膀胱再発率において従来の開放手術と遜色ないものである。

 

 

9.粘膜抜去法による巨大尿管の手術

後藤隆文、秋山卓士、岩村喜信、中原康雄、向井 亘、青山興司(岡山医療センター・

小児外科)

 

症例は生後2ヶ月女児、有熱性尿路感染症(UTI)で入院後、左の4度膀胱尿管逆流症・尿管異所開口・水腎水尿管症と診断された。保存的治療に係わらず再度UTIを起こし、生後4ヶ月で膀胱左尿管新吻合術を行った。左水尿管は内尿道口部に開き、尿管を全て剥離すると膀胱への神経障害の可能性が危惧された。そこで、膀胱三角部付近より粘膜抜去法を併用して尿管の剥離を行い、膀胱頚部の神経の温存に努めた。粘膜抜去法はヒルシュ氏病の腸管で行う方法に準じて実施したが、剥離は容易であり、出血や周囲組織への障害は認められなかった。組織学的な検討では、剥離は尿管筋層の内側1/3のレベルで行われていた。厳密な意味での粘膜下層での剥離ではないが、尿管周囲への手術侵襲を予防でき、術後に患児の排尿に全く異常を認めていない。本法は、1)内尿道口付近の尿管へのアプローチ 2)重複尿管のmate ureterへの手術侵襲の予防に有用と考えられる。

 

 

 

10.特発性腎出血に対する腎盂尿管鏡の有用性に関する検討 ―18年間の経験から―

上原慎也、門田晃一、永井 敦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

津川昌也(岡山市民)

 

【目的】岡山大学では1987年から通常の内科的、泌尿器科的検査で原因を明らかにし得ない、間欠的ないし持続的な肉眼的血尿、いわゆる特発性腎出血の病態解明および内視鏡的治療を行ってきた。今回、我々は18年間の経験につき報告する。【対象と方法】19877月から2005年9月までに96例のいわゆる特発性腎出血症例に対しureteropyeloscopyによる診断と治療を行った。中部尿管までは硬性尿管鏡で、それ以上は軟性尿管鏡を用いて観察した。出血源を認めた場合、高周波で凝固した。また、医原性の変化を防止する目的でUromatTMを使用した。【結果】右35例、左59例、両側1例、不明1例であった。出血の原因として微小血管の破綻を最も多く認めた。近年では、先行治療としての硝酸銀焼灼術の施行率は減少していた。出血原因の変遷では、微小血管の破綻症例が増加し、び慢性出血の症例が減少していた。合併症は近年ではほとんど認めなかった。【結論】出血の原因として、微小血管の破綻が主たる原因と思われた。特発性腎出血の診断・治療として腎盂尿管鏡は成功率が高く、また合併症も低く有用な方法と思われた。

 

 

11.High risk ABO血液型不適合腎移植における我々の免疫抑制法

光畑直喜、伊藤誠一、藤田竜二1、万波誠、小島啓明2、西光雄3、西谷嘉夫4、万波廉介5

(呉共済1、宇和島徳洲会2、香川労災3、にしたに腎泌尿器科クリニック4、日生病院5

 

ABO不適合移植については、1989年本邦第1例報告以来2004年末で約700件近くの症例が日本で実施されており欧米の一流移植病院を含めて世界のABO不適合腎移植の約90%以上が本邦で占められている。3歳以上の小児、成人ABO不適合肝移植は、殆どの症例を日本が独占しており、2005年の現在でも実施症例200例中50〜60%の生存率、生着率しか得られていない厳しい現実がある。我々の新しい移植免疫法は他の臓器移植分野で注目されている。肺、膵にいたっては世界的にみてもABO不適合移植は殆ど実施されていないのが現状であり、これを打破するために昼夜我々は腎移植の領域において挑戦しつづけている。(参考文献 Mannami & Mitsuhata, Transplantation 2005,1756, Mitsuhata,Transplantation 2005,Nov.15, Mitsuhata,Am J Transplant 2570,2005)

 

 

12.ステロイドが著効した膀胱炎症性偽腫瘍の1

國枝太史、宇都宮紀明、公平直樹、上田修史、青山輝義、井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

症例は78歳男性。平成175月中旬より排尿時・排尿後不快感を自覚。6月になり食

欲低下、全身倦怠感も出現した。尿検査にて血尿、エコーにて腎盂の拡張を認め、MRIにて膀胱右三角部を中心に約55×30mmの壁肥厚と右水腎症を認めた。616日当科紹介受診。膀胱鏡にて右三角部周囲は浮腫状であり、浸潤性膀胱癌が疑われた。入院の上、626 TUR-BT施行。膀胱粘膜は全周性に浮腫状であった。また血液検査にて腎機能の増悪を認め、エコーにて両側水腎を認めた為629日右腎瘻造設術施行。病理結果では悪性所見は認めず膀胱炎症性偽腫瘍と診断、711日からプレドニゾロン30mg/日内服を開始。翌12日より入院時から持続していた38℃台の発熱と膀胱刺激症状は劇的に改善し、血液検査上も改善を認めた。プレドニゾロンは2週間毎に減量した。CT上も膀胱壁の肥厚・水腎症とも消失した為に825日右腎瘻抜去。1回排尿量も入院時5-10mlであったが、退院時には350mlまで増加した。91日退院後は外来にてプレドニゾロン漸減を行っており、現在も経過良好である。

今回我々はステロイドが著効した膀胱炎症性偽腫瘍の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

13.診断に苦慮した膀胱癌 Nested variantの一例

黒瀬 恭平1)、向井 雅俊1)、市川 孝治1)、國富 公人2)、石戸 則孝1)、高本 均1)、荒木 徹3)

1)倉敷成人病センター 2) 腎・泌尿器科 くにとみ医院 3) あらき腎・泌尿器科クリニック)

 

【症例】79才 男性

【現病歴】平成17年1月頃より、頻尿出現。1月17日 近医にて前立腺肥大症と診断、内服処方されたが効果なし。夜間頻尿増悪したため2月18日、近医泌尿器科受診、膀胱鏡およびDIPにて膀胱容量の著明な減少および両側水腎症を認めた。2月19日当院受診、精査加療目的に入院となった。

【臨床経過】入院後、腹〜骨盤部CT施行、明らかな腫瘍性病変認めず、尿管は両側とも総腸骨動脈レベルで狭窄を認めた。尿細胞診はclassUであった。2月25日両側RP施行、尿管ステントを留置した。後腹膜線維症の診断にて2月26日より、ステロイドミニパルス施行、以後経口プレドニンを漸減した。経過中、頻尿は次第に増悪、3月10日、膀胱生検・水圧拡張施行、病理にて小型悪性腫瘍細胞の間質浸潤が判明した。同時期に直腸狭窄出現、4月6日膀胱・直腸全層生検行い、膀胱癌Nested Variantとの診断に至った。本人は癌告知を希望せず、家族も積極的な治療は望まれなかったため、現在緩和治療で経過観察中である。

【考察】Nested variant of urothelial carcinoma(NVUC)は、腫瘍細胞の異型は軽度であるが早期に筋層浸潤を来たし、予後不良である。今回特異的な進行形態を示し、診断に苦慮したNVUCの1例を認めたので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

14.成人にて発見された精巣成熟奇形腫の2例

野崎邦浩、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

精巣成熟奇形腫は精巣腫瘍の中では比較的稀である。またほとんどの精巣成熟奇形腫は,幼児および小児期に発見治療され,成人で発見されることは極めて稀である。今回我々は成人にて発見された精巣成熟奇形腫の2例を経験したので報告する。症例1は56歳男性。胃潰瘍の治療のため近医入院中,CTにて偶然右精巣腫瘍を指摘され当科紹介となった。右精巣の腫大は2歳時から認めていたが、放置していたとの事であった。腫瘍マーカーはいずれも正常で、CT所見では精巣奇形腫が疑われた。当科転科の上,平成15年9月8日右高位精巣摘出術を施行した。摘出組織肉眼像では内部に毛髪を認め、病理所見でも毛髪,軟骨,脂肪組織,気道上皮などが認められたが,未熟組織は認められず精巣成熟奇形腫との診断を得た。症例2は36歳男性。幼少時より右陰嚢内容の腫大を自覚していたが、放置していた。平成17年7月22日、右精巣痛にて当科受診。右精巣は超鶏卵大で表面は不整であった。腫瘍マーカーはいずれも異常なく、CTでは精巣内に石灰化を認め、精巣奇形腫が疑われた。7月25日に右高位精巣摘出術を施行、病理学的にも表皮、付属器、毛髪、成熟した骨の成分を認めたが、未熟組織は認められず精巣成熟奇形腫と診断した。以上の2症例について若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

15.特発性精巣出血の1

別宮謙介、三枝道尚、井口裕樹、上杉達也、荒巻謙二(広島市民)

                            

 症例は36歳男性。心臓弁膜症に対する弁置換術後にてワーファリン内服中であった。20051031日より右下腹部痛、右陰嚢痛あり111日当科受診した。右精巣の大きさは正常であったが全体的に硬く触知、超音波検査では右精巣内に辺縁不整、内部低エコー域で均一なSOL認めた。腫瘍マーカーはAFP 7.2ng/mlLDH 406IU/lと軽度高値、HCG-βは基準値内であった。MRIで同病変は隔壁を持つ径2.9cm×1.7cm大でT1強調画像にて内部不均一で高信号、T2強調画像で同様に内部不均一で低信号に描出された。画像検査では精巣腫瘍の診断まで至らず確定診断のための生検も兼ね1111日手術施行した。まず鼠径部の創より陰嚢内容物を脱転し、精索を結紮した。術中超音波検査にて隔壁を持つSOLを確認後、切開を入れると内部に古い凝血塊の貯留認めた。隔壁を切除し一部を迅速病理検査に提出、悪性所見は認めず特発性精巣出血と診断した。精索の結紮を解除、精巣を陰嚢内へ還納し術終了している。現在術後経過観察中である。

 

 

16.血栓溶解療法が有効であった両側精巣区域性梗塞の1例

郷原真輔、日下信行、小武家誠、宮地禎幸(国立病院機構 岩国医療センター) 

 

症例は26歳独身男性。2005615日右精巣痛出現し近医泌尿器科受診、抗生剤、NSAIDS処方され帰宅。その後も右精巣痛が持続するため翌日当院救急外来受診。右精索捻転症疑いにて同日試験切開術を行ったところ、精索の捻転はなく右精巣頭側約1/5のみ正常な色調で残りの約4/5は暗赤色の虚血部位を認めたため精巣梗塞疑いにて、右精巣摘除術施行。病理結果はsegmental testicular infarctionであった。経過良好であったが4ヵ月後の103日、突然左精巣痛出現し受診。エコーにて20×8mm大のlow echoの部位と造影MRIでは精巣頭側に造影効果のない箇所を認め左精巣梗塞と診断した。入院にてモンテプラーゼ(血栓溶解剤)にヘパリン併用した血栓溶解療法を開始し、4日目からはアスピリン内服へ変更した。心エコー、心電図、腹部骨盤部CTにおいて異常所見を認めず、自覚症状も改善したため1013日退院した。1026(治療後23日目)の造影MRI、エコーの結果梗塞部位はほぼ消失していた。今回我々は極めて稀な両側精巣区域性梗塞を経験し一側は保存的に治療できたので報告する。

 

 

17.当院で経験した陰茎折症の臨床的検討

石村武志、原 綾英、酒井 豊、藤井智浩、常 義政、武中 篤(川崎医大)

 

1982年から2004年の間に経験した陰茎折症14例を報告する。年齢は16歳から70歳(中央値35歳)で、受傷原因は性交5例、打撲4例、自慰3

例、寝返り2例であった。11例が受傷時snapping 

soundを自覚し、6例が来院時疼痛を訴えた。全例に皮下血腫、10例に陰茎腫脹、7例に陰茎屈曲を認めた。受傷後6時間から56時間(中央値9時

間)で、全例に外科手術を施行。13例に片側の陰茎海綿体白膜の損傷を認め、1例は尿道海面体白膜に損傷を認め尿道損傷を合併しており、全例で損傷白膜

の縫合を行った。経過不明の1例と受傷前より勃起障害のあった1例を除いた12例で術後 勃起障害を認めていない。

 

 

 

18.形成性陰茎硬化症に対するデキサメタゾン・ベラパミルによるイオントフォレーシス療法  

坪井 啓、久住倫宏、渡部昌実、石井和史、永井 敦、那須保友、公文裕巳(岡山大学)

 

【目的】イオントフォレーシスは電気泳動の原理を利用して主にイオン性薬物の生体膜透過を促進させる非侵襲的な薬剤の経皮投与法である。今回我々はイオントフォレーシスを用いて形成性陰茎硬化症の治療を経験したので報告する。

【対象・方法】平成165以降、陰茎の弯曲のため性交障害を訴えて当科外来を受診し、形成性陰茎硬化症と診断した4名(年齢5457歳、平均56.3歳)を対象とした。電極部に約3cm四方のガーゼを貼り付け、デキサメタゾン8mg/2ml、ベラパミル5mg/2mlを浸透させ、陰茎の硬結部直上皮膚に貼付した。治療は週に12回で1回につき出力電流1.5mA20分間通電し、計24回行った。治療前後で陰茎の弯曲角度、硬結の大きさを検討した。

【結果】全例に硬結の縮小を認め、平均51%の縮小であった。弯曲角度は治療前で平均40度、治療後は平均25であった。性交が可能となったのは2例であり、性交障害残存の2例の硬結縮小率は平均50.5%、弯曲角度は治療前が平均36.5度、治療後は平均30度であった。この2例についてはmultiple parallel plication 法による矯正手術を行ったが、2例とも硬結切除の必要は認めなかった。

【結論】形成性陰茎硬化症に対するイオントフォレーシス療法を経験した。重篤な副作用もなく、安全な治療法であると考えられた。

 

 

  

19.ブラダースキャンBVI-6100を用いた残尿測定の評価

−座位および仰臥位による計測の比較−

小澤秀夫上松克利大森弘之(岡山労災)

 

[目的] ブラッダースキャンはワイヤレス充電の機種が発売され、その機動性から多くの施設で残尿測定に使用されるようになった。その測定値の信頼性と検査体位による誤差を検討する。

[対象と方法] 平成17年7月より10月までの期間の50名(男性30名、女性20名)を対象とした。排尿後、仰臥位にて超音波Bモードによる残尿測定(エコー)を施行した。さらに、それぞれ仰臥位と座位にてブラダースキャンにて膀胱容量を計測した。各計測法の値と相互のSpearmann順位相関係数を比較した。

[結果] 全体の計測値は、エコー75±68ml,ブラッダースキャン仰臥位107±85ml,座位61±67mlと、座位が仰臥位よりもエコーに近い値を示した。一方、エコーと仰臥位の相関係数ρが0.884であるのに対し、エコーと座位は0.823と仰臥位の相関が良好であった。

[結論] ブラッダースキャンによる残尿測定は、前立腺や腹水をあわせてやや高値となる場合があるものの、仰臥位測定でエコーでの残尿量に良好に相関する値がきわめて簡便に計測しうる。

 

 

 

20.尿閉を契機に診断されたヘルペス髄膜炎の1例

能勢宏幸、大枝忠史(尾道市民)

 

症例は37歳男性。3日前から外陰部単純ヘルペスとして当院皮膚科で加療中、2日前からの排尿困難を主訴に当科を受診した。外陰部の知覚障害を認めたが、超音波上前立腺の腫大はなく、尿流量測定では排尿不能であり,250mlの残尿を認めた。神経学的症状は軽微であり、3日前に下半身の軽度脱力感・右下肢痛を認めたが、当科受診時には消失していた。発熱は37度前後の微熱のみであった。

原因不明の排尿困難としてαブロッカー、コリン作動薬にて加療を開始したが、同時に単純ヘルペスとの関連を疑い当院神経内科に紹介したところ、髄液検査で白血球の増加を認め、ヘルペス性髄膜炎の診断にて即日入院となった。入院後はステロイド、抗ヘルペス薬による治療が行われ、髄液所見の改善とともに排尿困難は消失した。

本症例は、髄膜炎を生じているにもかかわらず炎症症状・神経学的症状が軽微であり、排尿困難がほとんど唯一の症状であった。基礎疾患がないにもかかわらず比較的急性の排尿困難を訴える症例では、本疾患を念頭に置いた対応が必要であると考えられた。