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日本泌尿器科学会岡山地方会

(永井 敦 教授就任記念会)

プログラム

 

日 時:平成18年5月14日(日) 

学術集会:午後2時

懇 親 会:午後6時30分

場 所:倉敷国際ホテル

倉敷市中央1丁目1番44号

TEL (086) 422-5141

参加者の皆様へ

 

1.      受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2.      一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

3.      コンピュータープレゼンテーションはPowerPoint-Winでお願いいたします。

4.      コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをMO,あるいはCD-Rディスクにファイルをコピーして,5月10日(水)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。Macの場合はWindowsにてformatされたMOにコピーしてください。もし,変更がありましたら,当日ディスクをご持参下さい。Eメールで1M以上のファイルを送付されますと,岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので,ご遠慮下さい。

5.      PowerPoint,Persuasion以外のソフトで作成した図,グラフや動画を挿入している場合には,コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には,コピー元ファイルも必要です。

6.      スライドプロジェクターは1台です。スライドは35mm版のみとします。スライド枚数には制限はありませんが,縦スライドは縮小されますので,可能な限り横スライドを準備してください。

7.      スライドは口演30分前までに,会場スライド受付で各自ホルダーに挿入し,試写,確認の上,受付に提出してください。

8.      会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

9.      予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

10.  懇親会は6時30分より予定しております。会費は10000円です。


プログラム

一般演題

14:00〜14:40                        座長 宮地禎幸(川崎医大)

1.        乳児期に急性腎不全を呈した1症例【抄録】

金川 勉、後藤隆文、青山興司、岩村喜信、高尾智也、中原康雄、浅井 武、向井 亘(岡山医療センター・小児外科)

 

2.        繰り返す膀胱タンポナーデに対して腎動脈塞栓術を行った透析患者に発生した腎癌の1例【抄録】

上松克利、藤田 治、大橋洋三(栗林病院)

内ノ村聡(栗林病院・放射線科)

 

3.        単腎に発生した転移性腎癌と腹部大動脈瘤に対して複合同時手術を行った一例【抄録】

中田哲也、杉本盛人、武田克治、朝日俊彦(香川県立中央)

 

4.        当院における2005年の尿路結石症患者統計【抄録】

石戸則孝、野崎邦浩、黒瀬恭平、市川孝治、高本 均(倉敷成人病)

 

 

14:40〜15:20                        座長 高本 均(倉敷成人病)

5.        膀胱上皮内癌が外陰部に進展した2例【抄録】

中村あや、新 良治、津島知靖(岡山医療センター)

小田和歌子、山鳥一郎(岡山医療センター・臨床検査科)

村上貴典(姫路聖マリア)

 

6.      川崎医科大学における経会陰的前立腺生検の成績と多部位生検の有用性に関する検討【抄録】

原 綾英、藤井智浩、常 義政、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦 (川崎医大)

 

7.      前立腺小細胞癌に対して、CDDP+CPT11化学療法が奏功した1【抄録】

青山輝義、國枝太史、植月祐次、公平直樹、齊藤亮一、井上幸治、寺井章人

(倉敷中央)

 

8.      症候性精索静脈瘤手術適応決定のための精索ブロックの試み【抄録】

井口裕樹、上杉達也、三枝道尚、別宮謙介、荒巻謙二(広島市民)

 

15:20〜15:50                        座長 寺井章人(倉敷中央)

9.        夜間頻尿に対するロキソプロフェンの作用機序の検討【抄録】

荒木徹(あらき腎・泌尿器科クリニック)

横山光彦(川崎医大)

古屋聖児(古屋病院)

 

10.  岡山県郡部における癌告知に関する意識調査【抄録】

牧 佳男(金光病院)

11.  岡山大学における性同一性障害治療の現状【抄録】

石井和史、久住倫宏、坪井 啓、公文裕巳(岡山大)

永井 敦(川崎医大)

 

15:50〜16:05

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

       赤枝輝明(津山中央)

           難波克一(岡山県国保連合会)

           朝日俊彦(香川県中)

           津島知靖(岡山医療センター)

 

16:05〜16:20

休 憩

 

16:20〜17:00

特別講演−1

座長 藤澤正人(神戸大学)

「川崎医科大学に赴任してー抱負と今後の展望ー」

  永井 敦(川崎医科大学)

 

 

17:00〜18:00

特別講演−

座長 公文裕巳(岡山大学)

「泌尿器科学会の現況と課題」

  奥山明彦(大阪大学)

 

18:30〜

懇親会          

 

 

一般演題

1. 乳児期に急性腎不全を呈した1症例

金川 勉、後藤隆文、青山興司、岩村喜信、高尾智也、中原康雄、浅井 武、向井 亘

(独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター)

 

<症例>2ヶ月男児 <主訴>急性腎不全<既往歴>新生児期に、肺炎で当院NICUにて入院。入院中、超音波検査にて左腎にSFU III度の水腎症を認めた。<現病歴>哺乳量、尿量の減少および傾眠傾向のため、近医入院。E.coliによる急性腎盂腎炎、敗血症、髄膜炎と診断し、抗生剤、γ‐グロブリン、ステロイド等により加療した。しかし入院5日目、腎機能、両側水腎症の悪化を認め(BUN51、Crea1.96、K7.6)、同日、バルーン留置後、当科転院となった。

<入院経過>入院後、尿量増加を認め、入院翌日には、腎機能はBUN19、Crea0.59、K4.2と速やかに改善。入院4日目、入院時体重5114gから4260gと浮腫も改善した。腎後性腎不全の原因検索を行うため、日齢79日、VCG施行。両側ともX度のVURおよび肉柱膀胱を認めた。また、後部尿道に狭窄様所見を認め、後部尿道弁の存在が疑われた。日齢94日、TUR施行目的に膀胱鏡を施行したが、造影で認めた明らかな狭窄所見は認めなかった。日齢113日、DMSA腎シンチグラム、日齢116日、MAG3利尿レノグラムを施行。右腎は正常であったが、左腎機能は著明に低下していた。

 

 

2. 繰り返す膀胱タンポナーデに対して腎動脈塞栓術を行った透析患者に発生した腎癌の1例

上松克利、藤田 治、大橋洋三(社会保険栗林病院 泌尿器科)

内ノ村聡(同・放射線科)

 

症例は79歳男性。主訴は肉眼的血尿。既往歴に高度認知症あり。平成16年4月慢性腎不全にて血液透析導入。平成17年12月6日血尿あり当科受診。CT上右腎に径4.5cmの腎盂内に進展する腫瘍を認めた。膀胱鏡では右尿管口より血尿を認め、腎盂内の腫瘍が血尿の原因と考えられた。12月8日膀胱タンポナーデにて入院、血腫除去術施行。12月17日に再度膀胱タンポナーデにて入院。血腫除去術の際膀胱穿孔を起こし、膀胱修復術施行した。当時の精神状態は極めて不安定であり、腎摘出術による術後管理は困難と判断。12月20日右腎動脈塞栓術を施行した。術後血尿消失し退院。以後外来にて経過を見ていたが3月15日より再度血尿出現。4月8日には膀胱タンポナーデにて入院、血腫除去術施行した。この時点での精神状態は安定しており腎摘出術は可能と判断し4月13日全身麻酔下に腎摘出術施行。病理組織は(RCC,clear cell carcinoma,G3>G2)で、腎実質と腎盂内の腫瘍の交通は認めなかった。後経過良好で血尿を認めていない。透析患者に発生した腎癌に対し、腎動脈塞栓術にて保存的加療を試みた1例を経験したので報告する。

 

 

3. 単腎に発生した転移性腎癌と腹部大動脈瘤に対して複合同時手術を行った一例

中田哲也,杉本盛人,武田克治,朝日俊彦(香川県立中央)

 

症例は70歳の男性。既往症として昭和48年に外傷後に左腎周囲膿瘍を発症し,左腎萎縮を来した。他院で胆石症の経過観察中にCT検査施行され,右腎腫瘍と腹部大動脈瘤を指摘された。平成15年12月に当科紹介される。前医

CTでは右腎中〜下極に5cmの突出型腎腫瘍と腹部大動脈瘤を認めた。骨シンチ検査では右腸骨転移を認めた。以上より腎癌T1bN0M1OSSと診断した。心機能精査では心臓機能の異常は指摘されなかった。当院外科と協議の上に同月に胆嚢摘出術,人工血管置換術および腎部分切除術を同時に行った。術後に狭心症発作を数回繰り返したため,術後5日目にCAGを行った。冠血管の99%狭窄に対してステント留置し抗凝固療法を開始したが,後出血や尿漏れなどは発症しなかった。腸骨転移に対しては放射線療法45Gyを照射し,インターフェロン療法を開始し現在も継続中である。

術後,2年半年経過しているが再発は認めず,腎機能も温存できている。

 

 

4. 当院における2005年の尿路結石症患者統計

石戸則孝、野崎邦浩、黒瀬恭平、市川孝治、高本 均(倉敷成人病)

 

【目的】10年毎に行われているわが国の尿路結石の疫学調査に参加した。20051年間における尿路結石患者の調査結果を報告する。【対象と方法】20051月より12月までに、一時期でも体内に結石がある患者を対象とした。調査以前に尿路結石があり、20051年間をstone freeで経過観察している症例は除外した。ESWLEDAP社製Piezo方式LT-02Xで行い、ESWL治療に抵抗する難治性結石にはTULOLYMPUS社製 IH102 Ho:YAG laserまたはバスケット鉗子で行った。【結果】新患、再来を併せた尿路結石患者503例の内訳は上部尿路結石472例(男性339、女性133)、下部尿路結石23例(男性17、女性6)、両者合併8例(男性7、女性1)であった。503例の内、189例は外科的治療を行わず経過観察中であった。上部尿路結石に対する治療法はESWL単独201例、TUL単独32例、ESWL+TUL併用57例、ESWL+TUL+PNL併用1例であり、開腹手術は施行しなかった。【結論】上部尿路結石に対してESWLの破砕効果を認めたが、難治性結石、ADLの低下した高齢者に対しては、Ho:YAG レーザー結石破砕治療により、短期入院で良好な治療成績が得られた。

 

 

5. 膀胱上皮内癌が外陰部に進展した2例

中村あや, 新良治, 津島知靖(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 泌尿器科)

小田和歌子, 山鳥一郎(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 臨床検査科)

村上貴典(姫路聖マリア病院 泌尿器科)

 

【症例1】65歳女性。平成12年膀胱癌初発、上皮内癌としてBCG膀注行った。

その後も尿細胞診陽性が続いており、膀胱全摘術を勧めていたが、拒否され、H174月までにランダム生検及びTUCを計3回施行した。病理組織学的には小範囲にCISの残存を認めていた。H173月頃より外陰部の発赤、掻痒感、疼痛を認め、皮膚生検にてPaget’s diseaseの所見であり、免疫染色の結果、外陰部の腫瘍は膀胱上皮内癌が外陰部へ進展した腫瘍と診断された。

【症例277歳女性。平成9年膀胱癌初発、TUC繰り返すが尿細胞診陽性が持続した。上皮内癌としてBCG膀注するも尿細胞診陽性持続。BCG膀注2コース目行ったが、尿細胞診陽性は持続していたため、膀胱全摘術を勧めるも拒否され、姑息的にTUCを繰り返していた。平成14年両側分腎尿細胞診陽性。平成18年肉眼的血尿が悪化し、CTにて浸潤性膀胱腫瘍及び右水腎症を認めたため、精査目的に入院となった。外陰部に発赤を認めたため、皮膚生検を行った。この時の病理所見では、膀胱は扁平上皮癌であり、外陰部の発赤も同様に扁平上皮癌であった。

以上の2症例について文献的考察を加えて、報告する。

 

 

 

 

6 川崎医科大学における経会陰的前立腺生検の成績と多部位生検の有用性に関する検討

原 綾英,藤井智浩,常 義政,横山光彦,宮地禎幸,永井 敦 (川崎医大)

 

【目的】当施設における経会陰的前立腺生検の現状について,その成績を提示し報告する。【対象と方法】19925月から200510月までの間に,血清 PSA 4.0 ng / ml ,直腸診検査陽性,経直腸超音波検査陽性のいずれかを満たし,当施設で経会陰的前立腺生検を施行した延べ1132例を対象とした。6ヵ所生検 (PZ:4, TZ:2) 432例,8ヵ所生検 (PZ:6, TZ: 2) 56例,10ヵ所生検 (PZ:6, TZ:4) 262例,12ヵ所生検 (PZ:6, TZ:4, Apex:2) 382例であった。これらについて癌検出率を生検 core 数毎に検討した。【結果】6 8 10 12ヵ所生検における全体の癌検出率はそれぞれ,33.3%53.6%32.8%42.3% であった。PSA 4.1-10.0 ng/ml の癌検出率はそれぞれ,21.9%37.5%22.9%35.4% であり,このうち6ヵ所生検と12ヵ所生検を比較すると12ヵ所生検で有意に高率であり (p=0.007,chi-square test) 6ヵ所生検と多部位生検の比較においても多部位生検で有意に高率であった (21.9% versus 31.3%,p=0.05,chi-square test)。【結論】多部位生検は限局性前立腺癌の検出率の向上に寄与すると考えられた。

 

 

7 前立腺小細胞癌に対して、CDDP+CPT11化学療法が奏功した1

青山輝義、國枝太史、植月祐次、公平直樹、齊藤亮一、井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

症例は72歳男性。平成1412月健診でPSA6.566ng/mlを指摘され紹介初診。生検ではGleason Score 4+5MRIcap(+) cT3cN0M0 stageCとして、MAB6ヶ月先行させたのち、平成158radiation 66Gy を施行した。その後PSAは低下し 0.000ng/mlが続いていたが、平成175月ごろより会陰部不快感、10月には排尿困難が増悪し、MRIにて前立腺外に浸潤するtumorを指摘されたために再生検を施行したところ、Gleason Score 5+5 small cell carcinomaを検出し、CT上鼡径・外腸骨リンパ節への転移を認めた。平成181月よりCDDP+CPT11 3コース施行したところリンパ節転移の縮小およびマーカーの低下を認めPRと考えられた。現在エトポシド経口内服で外来経過観察中である。肺小細胞癌ではCDDP+エトポシドとともにCDDP+CPT11の有効性が報告され、わが国においては後者が標準治療と考えられている。今回の症例でCDDP+CPT11の前立腺小細胞癌における有効性が示唆されたが、生命予後への寄与は不明で、さらなる系統的な解析が必要と思われた。

 

 

8 症候性精索静脈瘤手術適応決定のための精索ブロックの試み

井口裕樹、上杉達也、三枝道尚、別宮謙介、荒巻謙二(広島市民)

 

【緒言】精索静脈瘤は不妊以外に陰部の疼痛などの自覚症状を認める場合も手術適応であるが、術後に症状が消失しない場合もあり、手術適応の判断に苦慮する。今回我々は、精索ブロックを行ったうえで精索静脈瘤患者に手術を行い、その成績について検討し、併せて精索ブロックが手術適応の判断材料となりうるか検討した。     

【対象と方法】過去3年間に当院を受診した精索静脈瘤患者で、陰嚢痛などの症状を有し、保存的治療で充分な改善が得られず、局所麻酔下にソケイ管下アプローチによる顕微鏡下低位結紮術を行った12例の精索静脈瘤患者を対象とした。12例中11例に術前に精索ブロック(1%リドカインによる)を行った。

【結果】精索静脈瘤のGrade分類では11例、29例、32例であった。手術により7例で症状が改善した(改善率58.3%)。Grade21例はブロック未施行)では4例、Grade3では2例改善したが、Grade1は改善例を認めなかった。精索ブロックにより症状の改善を認めた6例のうち、5例では術後に改善を認めた。精索ブロックで症状の改善を認めなかった5例では、術後に1例のみの改善であった。

【結論】症候性精索静脈瘤に対し手術療法は有効な治療法と考えられた。精索ブロックで症状の消失を確認することは、手術適応の有力な判断材料となる可能性がある。今後さらなる検討を重ねたい。

 

9. 夜間頻尿に対するロキソプロフェンの作用機序の検討

荒木徹1)、横山光彦2)、古屋聖児3)

1)あらき腎・泌尿器科クリニック 2)川崎医大泌尿器科 3)古屋病院泌尿器科)

 

【目的】我々は2001年、NSAIDsの1つ、ロキソプロフェン(以下、ロキソ)60mg就眠前1回投与が、BPHとNBの難治性夜間頻尿の70-80%に有効であることを発見し報告してきた。なぜ、ロキソあるいはNSAIDsが夜間頻尿に効くのか。有効例の排尿日誌からその作用機序を検討した。【対象と方法】ロキソが有効で、ロキソ内服前・中各3日以上排尿日誌をつけたLUTS患者40例(男38、女2。平均年令72.3才)。各症例の夜間排尿回数・1日尿量・夜間尿量・夜間尿量率・夜間1回排尿量および日中のそれを、ロキソ服用前と服用中の平均値で比較し各症例に対するロキソの作用機序を検討した。【結果】各症例に対するロキソの作用機序は3群に大別された。A=ロキソ服用中、夜間尿量が減少して夜間頻尿が改善:31例、77.5%。B=ロキソ服用中、夜間1回排尿量が増えて改善:6例、15%。C=夜間頻尿改善の主要因を特定不可:3例7.5%、であった。【考察と結論】本テーマに関する報告の大半は、NSAIDs投与後、数時間に亘る尿生成量減少=腎への作用が主要機序と推察している。我々の結果は、ロキソ有効例の80%弱は腎への作用が主要機序だが、15%の症例では睡眠中膀胱容量の増大(中枢性か局所性かは不明)が主要機序、7%は、腎・膀胱・睡眠あるいはその他の部位への作用が複合関与していると思われた。作用機序になぜこうした個人差があるのか、今後の検討課題である。

 

 

10岡山県郡部における癌告知に関する意識調査

牧 佳男(金光病院)

 

当院は岡山県の郡部にあり受診患者は高齢者が多い.最近,癌告知に際して患者本人の意思を尊重し,患者本人が告知を希望する場合,告知するのが原則になっているが,高齢者の多い郡部の患者が若い人が多い都市部の患者と同様の癌告知に関する認識を持っているのか,癌腫により予後が異なるにも拘わらず,癌告知に関して病院として一様に対処してよいのかというのが我々の悩みであった.そこで当院を受診する患者の癌告知に関する意識調査を施行した.

[方法] 20061月の1ヶ月間,無記名で任意に癌告知に関するアンケートを実施した.

[結果] 567名の患者から回答を得た.性別は男性310,女性248,不明9,そのうち癌告知を受けている人79,告知を受けていない人486だった.567名のうち治る見込みのある癌なら告知を望む人が33%,治る見込みのない癌でも告知を望む人が50%と83%の人が告知を希望した.また家人が癌で本人が告知を希望している場合も85%の人が本人に告知すべきと回答した.また告知を受けた79名の86%が告知を受けたことに満足しており,80%の人が告知を受けたあと自分の家族や医師と癌の状態について気軽に話せていると回答した.アンケートの結果,都市部,郡部,年齢に関係なく癌告知に関する認識は変わってきており,情報の開示を求められていることが分かった.

 

11.岡山大学における性同一性障害治療の現状

石井和史、久住倫宏、坪井 啓、公文裕巳(岡山大)

永井 敦(川崎医大)

 

【緒言】岡山大学では20003月より性同一性障害(Gender identity disorder: GID)に対する包括的医療を正式に開始した。その中で泌尿器科は主にMale to Female(MTF)に対する診察ならびにFemale to Male(FTM)に対する男性ホルモン治療を担当し、さらに形成外科、婦人科と協力して主にMTFに対する性別適合手術を施行している。今回、我々は岡山大学泌尿器科におけるジェンダークリニックの現状について報告する。【対象と方法】200512月までに当科を受診したGID患者を対象とし、臨床的検討を加えた。【結果】受診患者は総数459人(1570歳、平均30.1歳)、そのうちMTF 202人(44.0%、1570歳、平均33.0歳)、FTM 257人(56.0%、1549歳、平均27.8歳)であった。初診時ホルモン療法既往者はMTF124人(61.4%)、FTM122人(47.4%)であった。FTMのうち、200512月までに当院で新規に治療を開始したのは83人であり、全例テストステロンデポ製剤を使用した。ホルモン療法の作用として、月経の停止(100)、変声(95)、体毛の増加(80)、アクネの増加(70)などを認めた。肝機能異常、血栓症などの重篤な合併症は認めなかった。また、200512月までにMTFに対する性別適合手術を7例に施行した。【考察】現段階で短期的にはホルモン療法、手術療法ともに概ね満足のできる結果であったが、今後はそれぞれの治療の長期的な合併症、身体的影響について、正確な臨床データを集積し、検討していくことが重要