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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

    日 時:平成18910日(日) 午後2

                場 所:岡山大学医学部図書館3階講堂

                        岡山市鹿田町2-5-1

                        TEL (086) 223-7151(内線 7056

 


参加者の皆様へ

 

1.      受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2.      要望演題は講演時間7討論時間3でお願いします。

3.      コンピュータープレゼンテーションはPowerPoint-Winでお願いいたします。

4.      コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをMO,あるいはCD-Rディスクにファイルをコピーして,9月6日(水)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。Macの場合はWindowsにてformatされたMOにコピーしてください。もし,変更がありましたら,当日ディスクをご持参下さい。Eメールで1M以上のファイルを送付されますと,岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので,ご遠慮下さい。

5.      PowerPointPersuasion以外のソフトで作成した図,グラフや動画を挿入している場合には,コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には,コピー元ファイルも必要です。

6.      会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

7.      予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

8.      今回は地方会終了後引き続き「第1回岡山泌尿器科手術手技研究会」を行います。


プログラム

要望演題   14:0016:00

『限局性前立腺癌の診断と治療』

司会            岡山大学             那須保友

コメンテーター  神戸大学         原  勲

 

1.岡山市前立腺がん検診−3年間の集計−【抄録】

津島知靖(岡山医療センター)、近藤捷嘉(岡山赤十字)、

赤澤信幸(岡山済生会)、入江 伸(岡山中央)、津川昌也(岡山市民)、

櫻本耕司(岡山協立)、橋本英昭(川崎病院)、公文裕巳(岡山大)

 

2.前立腺癌診断におけるMRI拡散強調画像の有用性に関する検討【抄録】

藤田 治、明比直樹、赤枝輝明 (津山中央)

 

3.前立腺生検におけるカラードプラー観察下神経血管束周囲浸潤麻酔法(NVB block法)の検討【抄録】

安東栄一、小野憲昭、那須良次(高知医療センター)

 

4.当科における根治的前立腺全摘除術の治療成績【抄録】

堀川雄平、林 俊秀、秋山博伸、大石智子、入江 伸、金重哲三(岡山中央)【抄録】

 

5.当科における根治的前立腺全摘除術の治療成績【抄録】

別宮謙介、三枝道尚、井口裕樹、上杉達也、荒巻謙二(広島市民)

 

6.125Iシード線源による前立腺癌永久挿入密封小線源治療【抄録】

江原 伸、真鍋大輔、谷本竜太、小林泰之、小林知子、雑賀隆史、那須保友、

公文裕巳(岡山大学)

 

7.限局性前立腺癌に対する高線量率組織内照射 (HDR-Brachytherapy)【抄録】

常 義政、原 綾英、藤井智浩、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦(川崎医大)

 

8.限局性前立腺癌に対する高密度焦点式超音波治療成績【抄録】

津川昌也、佐々木克己(岡山市立市民)、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

9.倉敷成人病センターにおける限局性前立腺がんに対するホルモン治療の治療成績【抄録】

黒瀬 恭平1) 、野崎 邦浩1)、市川 孝治1)、國富 公人 2)石戸 則孝1)

高本 均1)荒木 徹3) (倉敷成人病センター1)、腎・泌尿器科くにとみ医院2)

あらき腎・泌尿器科クリニック3)

 

<休憩>

 

16101810

1回岡山泌尿器科手術手技研究会




 

要望演題

1.岡山市前立腺がん検診−3年間の集計−

津島知靖(岡山医療センター),近藤捷嘉(岡山赤十字),

赤澤信幸(岡山済生会),入江 伸(岡山中央),津川昌也(岡山市民),

櫻本耕司(岡山協立),橋本英昭(川崎病院),公文裕巳(岡山大)

 

岡山市では,平成15年よりPSAによる前立腺がん検診を始めた。3年間の検診結果について報告する。

【対象と方法】岡山市基本診査対象者のうち,PSAによる前立腺がん検診を希望するものを対象とした。自己負担は900円で,前立腺研究財団「前立腺がん検診研究助成事業」の助成を受けた。1次検診は,岡山市の医療施設で,PSA採血を行なった。異常値を要精検とした。2次検診は岡山市および近隣の泌尿器科で,必要な検査を行なった。

【結果】3年間で,延べ28,611名が1次検診を受診した。延べ2247名(7.9%)が要精検とされた。その内,982名(43.7%)が泌尿器科を受診し,645名(65.7%)に前立腺生検が行なわれた。312名(48.4%)で癌が検出され,臨床的に前立腺癌と診断された9名を加えた321名(1次検診受診者の1.1%)が前立腺癌と診断された。

臨床病期はB78.5%C15.3%D6.2%であり,治療として,根治的前立腺摘除術が99例,放射線療法が18例に行なわれた。

【まとめ】PSAによる前立腺がん検診の発見率は1.1%と他の癌と比較して高率であった。また,前立腺限局癌が78.5%と大半を占めていた。

 

 

2.前立腺癌診断におけるMRI拡散強調画像の有用性に関する検討

藤田 治,明比直樹,赤枝輝明 (津山中央)

 

【目的】前立腺癌診断におけるMRI画像診断は、生検により前立腺癌と診断された後の病期診断に用いられることが一般的である。今回前立腺癌のscreening法としてのMRI拡散強調画像の有用性を検討する。【対象と方法】20061月から20067月までの間に,血清 PSA 4.0 ng / ml ,直腸診検査陽性のいずれかを満たし,生検前のMRI検査を施行した47例を対象とし,生検結果との関連を検討した。【結果】MRI拡散強調画像において癌所見なしと診断された21例中5例(23.8%)、癌の疑いありと診断された26例中19例(73.1%)で癌陽性であった。PSA 4.1-10.0 ng/mlの症例における癌の陽性率は,それぞれ13例中1例(7.7%),18例中11例(61.1%)であった。【結論】MRI拡散強調画像は,前立腺癌診断に有用であり,癌の検出率の向上にも寄与すると考えられた。

 

 

3.前立腺生検におけるカラードプラー観察下神経血管束周囲浸潤麻酔法(NVB block法)の検討

安東栄一、小野憲昭、那須良次(高知医療センター泌尿器科)

 

【目的】これまで前立腺生検時の疼痛緩和として前立腺周囲の局所麻酔法がいくつか紹介されてきたが、最適な方法は確立されていない。今回、経直腸的カラードプラー超音波下に前立腺基部外側で神経血管束(NVB)を同定するNVB block法を導入した。【対象と方法】200510月から2006年6月までの間で前立腺生検を行った70例。ジクロフェナク坐薬単独群(A群)とジクロフェナク坐薬+NVBブロック群(B群)に無作為割付を行った。超音波診断装置はアロカ社製SSD-α5を使用し、NVBを同定、前立腺基部外側で左右のNVB周辺に1%塩酸リドカインを各5mlずつ、計10ml注入する。局所麻酔の浸潤する様子は超音波下に確認できる。18G生検針でperipheral zoneを中心に6材以上採取する。生検直後10段階に分けたvisual analogue scaleVAS)を用い、痛みなどを評価した。【結果】A群、B群それぞれ平均年齢は70.2歳、68.2歳、検査前PSA 13.2ng/ml11.9ng/ml、前立腺容積は38.6ml40.5ml、生検本数は6.8本、6.9本といずれも差はなかった。VASによる痛みの評価ではA 2.44±2.00B 0.66±0.80B群で有意に低値であった(p0.001)。NVB block法による合併症はなかった。【考察・結論】カラードプラーでのNVBの確認は容易であり、その走行に個体差があることがわかった。本法を用いることでNVB周囲への確実な薬剤の注入が可能であり、生検時の除痛効果も高い。

 

 

4.当科における根治的前立腺全摘除術の治療成績

堀川雄平、林 俊秀、秋山博伸、大石智子、入江 伸、金重哲三(岡山中央)

 

【目的】当科における根治的前立腺全摘除術の治療成績を検討した。【対象】1994年から2004年までに当科で前立腺全摘除術を施行した200例を対象とした。【結果】年齢は5179(平均69.0)歳、生検時のPSA値は0.2450(平均20.0ng/mlであった。術前臨床病期はA11例、A27例、B199例、B259例、C31例、D1:2例、D2:1例、分化度は、高分化67例、中分化101例、低分化32例であった。200例中65例(32.5%)で術前内分泌療法を301440(平均217)日施行していた。自己血は、198例で4001200ml貯血した。手術時間は178390(平均247)分、出血量は2502880(平均815mlで、1例のみに同種血輸血を要した。主な術後合併症は、創離開(創感染含む)20例、尿管損傷3例、直腸損傷3例などであった。術後病理学的病期は、pT011例(全例術前内分泌療法施行症例)、pT2a34例、pT2b47例、pT3a85例、pT3b23例であり、11例でリンパ節転移を有した。分化度は、高分化48例、中分化102例、低分化39例であった。術後補助療法は、26例(13.0%)で内分泌療法が施行された。術後無治療経過観察となった174例のうち、PSA再発を27例(15.5%)に認めた。癌死は4例(2.0%)、他因死は3例(1.5%)であった。

 

 

5.当科における根治的前立腺全摘除術の治療成績

別宮謙介、三枝道尚、井口裕樹、上杉達也、荒巻謙二

(広島市立広島市民病院泌尿器科)

 

 当科における過去9年間の根治的前立腺全摘除術の治療成績について検討を行ったので報告する。当院または他院で限局性前立腺癌と診断され、199711日から20051231日までに当科で恥骨後式根治的前立腺全摘除術を施行し、6ヶ月以上のfollow upが可能であった179(follow up期間6-112ヶ月、中央値37ヶ月)を対象とした。年齢は53-76(中央値68)、初診時PSA1.6-136.6ng/ml(中央値9.6ng/ml)であった。術前臨床病期はA11(0.6%)A25(2.8%)B034(19.0%)B182(45.8%)B252(29.0%)C15(2.8%)であり、術前ホルモン療法を54(30.2%)に行った。手術時間は155-380(中央値245)、出血量は155-3840ml(中央値960ml)であり輸血は6(3.4%)に施行した。リンパ節転移は6(3.4%)あり、術後補助療法は29(16.2%、内訳:ホルモン療法22例、放射線療法6例、ホルモン療法+放射線療法1)に施行した。PSA failure40(22.3%)clinical failure4(2.2%)に認め、癌死は1(0.6%)であった。

 

 

6.125Iシード線源による前立腺癌永久挿入密封小線源治療

江原 伸、真鍋大輔、谷本竜太、小林泰之、小林知子、雑賀隆史、那須保友、

公文裕巳(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学)

 

【目的】限局性前立腺癌密封小線源治療は経直腸的超音波断層法の開発と経会陰的刺入法の導入によって、欧米において前立腺全摘出術にならぶ治療法として急速に普及している。当科では平成16年1月より密封小線源治療を行っている。【対象と方法】low risk group, intermediate risk groupを原則として治療適応としている。治療約1ヶ月前に治療前計画を行い、前立腺体積が大きく適切な処方線量が描写されない場合はLH-RHアゴニストを3ヶ月先行し、体積の縮小をはかることにしている。【結果】平成18812日現在までに252例の限局性前立腺癌患者に対し治療を行った。PSAを指標とした治療効果としては、ほとんどの症例において治療前に比してPSAの低下を認めた。早期の副作用として、治療1ヶ月後に半数以上の患者で頻尿、排尿困難、尿意切迫感といった放射線による前立腺炎症状が認められたが、3ヶ月、6ヶ月後の経過にて症状の軽減を認めた。【結語】125Iシード線源による前立腺癌永久刺入密封小線源治療は日本でもますます普及していくと予想される。今後、定期経過観察にてPSAならびに晩期合併症の有無などを確認していく予定である。

 

 

7.限局性前立腺癌に対する高線量率組織内照射 (HDR-Brachytherapy)

常 義政,原 綾英,藤井智浩,横山光彦,宮地禎幸,永井 敦

(川崎医科大学泌尿器科)

 

【目的】川崎医科大学では,これまで限局性前立腺癌に対しIridium-192を用いた高線量率組織内照射(HDR-brachytherapy)を行ってきた。今回,2年以上の観察期間を得た症例について検討した。

【対象と方法】対象は199710月から20045月までの間に前立腺癌と診断されHDR-brachytherapyを受けた161例。年齢は50-84歳(中央値71歳),観察期間は24-94カ月(中央値50カ月)。StageB123例,StageC38例であった。初診時PSA1.1-240ng/ml(中央値11.6ng/ml)であった。治療内容は,前立腺部に外照射2.3Gy x 16回に加えHDR brachytherapy6.0Gy x 4/30時間としている。ネオアジュバントホルモン療法は68例に行ったがアジュバントホルモン療法は行っていない。

【結果】現時点のPSA値は0.01-2.51ng/ml(中央値0.27ng/ml)。再燃と判断したのは12例。5PSA非再発率は全体で92.1%Stage別ではStageB93.6%StageC93.6%で有意差を認めなかった。初診時PSA別ではPSA20ng/ml以上と未満で有意差を認めた(P=0.0299)Gleason sum間,ネオアジュバント内分泌療法の有無別で有意差は認めなかった。合併症は31例(19.3%)に尿道狭窄を認め直視下内尿道切開術を施行した他重篤な副作用はなかった。

【結語】HDR-brachytherapyは限局性前立腺癌に対し有効な治療法と考えられた。また,重篤な合併症もなく,安全性に関しても問題はないと思われた。

 

 

8.限局性前立腺癌に対する高密度焦点式超音波治療成績

津川昌也、佐々木克己(岡山市立市民)、

那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

【目的】限局性前立腺癌に対する高密度焦点式超音波(HIFU)療法の治療成績を報告する。【対象と方法】組織学的に前立腺癌と判明したT1c-T2N0M0症例を対象とした。治療はFOCUS SURGERY社製Sonablate™500を用いて全身麻酔下に行い、3週目に尿道カテーテルを抜去した。治療効果は術後のPSA推移と生検で検討した。【成績】現在までに31例を治療したが、年齢は5579歳(中央値70.5)、T1c17例、T214例であった。治療前のPSA値は4.0918.35ng/ml(中央値8.04)、Gleason score59(中央値7)であった。効果検討可能症例は27例で16例ではHIFU単回治療で良好な治療効果を得たが、PSA再発、ないし癌残存を11例に認めた。11例中4例では再治療を施行し、良好な治療効果を得たが、2例では追加治療することなくPSA follow を行っている。残る5例では内分泌療法などに変更し、経過は良好である。したがって、複数回治療も含めたHIFU治療単独の成績では、22例中20例、90.9%で良好な治療効果を得た。なお、カテーテル抜去後の尿閉、精巣上体炎、尿道狭窄を認めたが、直腸尿道瘻など重篤な合併症は認めなかった。【考察】以上より、限局性前立腺癌に対するHIFU治療は有効な低侵襲性治療の一つと考える。

 

 

9.倉敷成人病センターにおける限局性前立腺がんに対するホルモン治療の治療成績

黒瀬恭平1) 野崎邦浩1)市川孝治1)國富公人 2)石戸則孝1)

高本 1),荒木 3)

(倉敷成人病センター1),腎・泌尿器科くにとみ医院2)

あらき腎・泌尿器科クリニック3))

 

【目的】限局性前立腺がんに対する根治的治療として,従来前立腺全摘出術や根治的放射線照射が第一選択として行われてきた。他方,期待余命が10年以下である症例,あるいは並存症のため根治術が困難な限局がん症例に対してはTumor dormancyとしてホルモン治療が選択されてきた。一般的に前立腺がんに対するホルモン治療はいずれ治療に対する抵抗性を獲得するため,再燃・進行にて癌死が免れないと考えられてきたが,最近の知見では,限局性前立腺がんにおいて,従来の根治的治療とほぼ同等の生命予後が期待できる可能性が示唆されている。ただし長期に男性ホルモン除去を行うことは骨粗鬆症や脂質代謝異常などの合併症をきたす可能性があり,治療効果のみならず患者のQOLも評価する必要がある。

当院で比較長期にホルモン治療を行っている限局性前立腺がん症例について,治療成績やQOLについて検討を加える予定である。