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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

 日 時:    平成19513日(日) 午後2

 場 所:    川崎医科大学メディカルミュージアム

             2階大講堂

             倉敷市松島577

             TEL(086)462-1111(内線3221


参加者の皆様へ

1)        受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2)       一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

3)        コンピュータープレゼンテーションはWin PowerPointMac PowerPointでお願いいたします。

4)        コンピュータープレゼンテーションの場合にはMOCD-RあるいはCD-RWディスクにファイルをコピーして, 5月10日(木)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。Macの場合はWindowsにてformatされたMOにコピーしてください。もし,変更がありましたら,当日MOCD-RあるいはCD-RWディスクをご持参下さい。

5)        プロジェクターは1台です。スライドは35mm版のみとします。スライド枚数には制限はありませんが,縦スライドは縮小されますので,可能な限り横スライドを準備してください。

6)        スライドは口演30分前までに,会場スライド受付で各自ホルダーに挿入し,試写,確認の上,受付に提出してください。

7)        会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

8)        予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

 

 


プログラム

一般演題

14:0014:30               座長  石井和史(岡山大学)

 

1.        子宮内膜癌の精査加療中に偶然発見された後腹膜腫瘍の1【抄録】

堀川雄平、小林泰之、江原 伸、松本裕子、渡邉豊彦、雑賀隆史、那須保友、

公文裕巳(岡山大学)

 

2.        原因診断が困難であった後腹膜血腫の1【抄録】

久住倫宏、大枝忠史(尾道市立市民)

能勢宏幸(香川県立中央)

 

3.        著明な後腹膜リンパ節転移で発見された腎細胞癌の1【抄録】

平田武志1)、西口 潤1)、高尾 彰2)、山田大介1)、陶山文三1)

(三豊総合1川崎病院2)

 

14:3015:00                  座長  藤井智浩(川崎医大)

 

4.        後腹膜鏡下腎摘除術後に腸腰筋内再発を認めた腎癌の1【抄録】

杉本盛人、能勢宏幸、眞鍋大輔、武田克治(香川県立中央)

 

5.        肺塞栓症で発見された腎細胞癌の一例【抄録】

瀬野祐子、新 良治、津島知靖(岡山医療センター)

旦 一宏、松原広巳(同・循環器科)

岡田正比呂、中井幹三、加藤源太郎(同・心臓血管外科)

谷口正廣、大橋一郎(同・麻酔科)

越智 豪(同・総合診療内科)

 

6.        腎部分切除を行った直径5mmの腎細胞癌の1例【抄録】

村尾 航、山本康雄、大橋輝久、近藤捷嘉(岡山赤十字)

 

15:0015:30               座長  橋本英昭(岡山中央)

 

7.        長期臥床のためADLが低下した尿路結石症例の検討【抄録】

石戸則孝、岸本 涼、野崎邦浩、市川孝治、高本 均(倉敷成人病)

 

8.        体腔鏡下手術を施行した下大静脈後尿管の2【抄録】

原 綾英、近藤典生、藤井智浩、常 義政、横山光彦、宮地禎幸、

永井 敦  (川崎医大)

 

9.        外傷性尿道断裂の一例【抄録】

西山康弘、竹中 皇、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

  

15:3016:00               座長  常 義政(川崎医大)

 

10.    乳糜尿を呈した1【抄録】

荒木大司、雑賀隆史、久住倫宏、石井亜矢乃、上原慎也、渡辺豊彦、門田晃一、

那須保友、公文裕巳(岡山大学)

 

11.    ループス膀胱炎の1【抄録】

別宮謙介、井口裕樹、上杉達也、三枝道尚、荒巻謙二(広島市民)

黒目学、小林沙代、山崎康司(同・内科)

 

12.    膀胱褐色細胞腫の1【抄録】

坪井 啓、入江 伸、秋山博伸、橋本英昭、林 俊秀、金重哲三(岡山中央)

森末浩一(森末泌尿器科内科クリニック)

 

休憩

                                                                                                                                                              

16:1016:40               座長  牧 佳男(金光病院)

 

13.    前立腺生検後に化膿性脊椎炎を発症した一例【抄録】

安東栄一、郷原真輔、日下信行、藤田竜二(岩国医療センター)

土居克三(同・整形外科)

 

14.    PSAの著明な上昇を来した前立腺内血腫の1例【抄録】

武縄 淳、井上幸治、青山輝義、齋藤亮一、植月祐次、國枝太史、牧野雄樹、

寺井章人(倉敷中央)

 

15.    Henoch-Schonlein紫斑病に合併した急性陰嚢症の1【抄録】

藤田 治、中田哲也、明比直樹(津山中央)

赤枝輝明(津山東クリニック)

 

17:0017:10 

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

                        津島知靖(岡山医療センター)

      難波克一(岡山市)

      朝日俊彦(高松市)

      赤枝輝明(津山東クリニック)

 


一般演題

1.子宮内膜癌の精査加療中に偶然発見された後腹膜腫瘍の1

堀川雄平、小林泰之、江原 伸、松本裕子、渡邉豊彦、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳

 (岡山大学)

症例は30歳女性。20054月より当院婦人科で子宮内膜癌に対し、MPA(酢酸メドロキシプロゲステロン)療法中、20066月、治療効果判定の造影MRIでレチウス腔にSOLを認め、当科紹介となった。MRIでは膀胱の下方に嚢胞部分と充実部分からなる長径5.7cm大の腫瘍を認め、画像上はneurinomaが疑われたが、大きさが昨年より増大していること、腫瘍の一部に造影効果を認めるなど、悪性腫瘍が否定できない所見であった。(20059MRI施行時、長径4.7cm20067月、後腹膜鏡下後腹膜腫瘍摘出術施行。腫瘍周囲に癒着なく、剥離は容易であった。手術時間2時間5分、出血量は少量であった。病理組織診断はfibrous tumorであった。本腫瘍はMRIで積極的に悪性を示唆するものではないものの、サイズは増大傾向にあり、悪性が否定できなかった。今回、後腹膜鏡手術を施行した一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。


 
 

2.原因診断が困難であった後腹膜血腫の1

久住倫宏、大枝忠史(尾道市立市民病院)

能勢宏幸(香川県立中央病院)

 

症例は58歳、男性。2006124日に強い右背部痛を主訴に近医泌尿器科を受診し、右腎腫瘍が疑われ当科を紹介された。初診時右腹部に圧痛を認めるも腫瘤は触知せず、腹部超音波では右腎付近は不整なエコーを呈する腫瘤が占め、右腎の構造が不明瞭であった。後腹膜血腫を疑い腹部CTを施行、右腎周囲・後腹膜血腫と右水腎症を認めたが、出血の原因となるような腫瘤像は明らかではなかった。出血部位同定と塞栓術の目的で緊急血管造影を施行したが、出血源となる腫瘍・血管は同定できなかった。特発性後腹膜血腫と診断、全身状態は安定し貧血の進行を認めないため保存的に入院加療し、軽快退院した。しかし、その後CTで経過観察中、血腫の縮小・吸収とともに脂肪成分を含む腫瘍が明らかとなり、血管筋脂肪腫の自然破裂によるものと診断した。腫瘍は右腎門部内方に突出していたため、発症時には腎周囲脂肪組織との判別が困難であった。診断の過程とともに再出血予防のため処置の必要性につき考察した。


 

3.著明な後腹膜リンパ節転移で発見された腎細胞癌の1

平田武志1)、西口 潤1)、高尾 彰2)、山田大介1)、陶山文三1)

(三豊総合病院泌尿器科1川崎病院泌尿器科2)

 

 症例は64歳男性。200612月頃より腰痛出現し、近医整形外科受診した。椎間板ヘルニアとして加療されるも症状は増悪傾向にあった。左下肢の浮腫も出現してきたため近医内科受診。腹部CTにて著明な後腹膜リンパ節腫大を認め、悪性リンパ腫疑いにて2007213日当院内科紹介受診となった。内科にて鼠径部リンパ節生検を施行したが診断がつかず、staging目的の胸腹部造影CTにて右腎上極に径50mmの腫瘍を認めたため215日当科紹介となった。画像上右腎細胞癌と診断した。後腹膜リンパ節に関しては悪性リンパ腫の疑いと考え、術前診断をT1bN0M0とした。右腎細胞癌に対する根治的手術と同時に後腹膜リンパ節の生検目的に、219日経腰的右腎摘除術+後腹膜リンパ節生検を施行した。病理診断はclear cell carcinoma+granular cell carcinoma,G3>G2,INFα,v(+)であり肉腫成分も一部含まれていた。リンパ節に関しては腎癌のgranular cellと同様の成分が観察されることから腎癌のリンパ節転移と診断され、術後診断をpT1bN2M1 stageWとした。32日より術後補助療法としてIFNα300万単位投与開始し、現在に至るまで画像上NCである。

 今回われわれは著明な後腹膜リンパ節転移を呈した腎細胞癌を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。


 

4.後腹膜鏡下腎摘除術後に腸腰筋内再発を認めた腎癌の1

杉本盛人、能勢宏幸、眞鍋大輔、武田克治(香川県立中央病院)

 

症例は79歳、男性。根治的前立腺全摘術後にて当科通院中、20033月腹部超音波検査・CTにて左腎癌と診断され、後腹膜鏡下左腎摘除術を施行。病理検査にて静脈浸潤認めたが、本人希望にて追加療法行わず、経過観察していた。平成189月大腸ポリープ治療のため内科入院中、スクリーニングの腹部超音波および腹部CTにて左腸腰筋に腫瘤を認め、当科紹介となった。

腎癌の腸腰筋再発を疑い、同年9月14日経腹的に左腸腰筋腫瘤摘除術を施行した。病理診断はclear cell主体のRCCであり、腎癌の腸腰筋再発と診断。術後よりIFN療法を開始した。平成193月腰椎転移を認め,放射線療法を行った。現在外来にて経過観察中である。腎癌術後の腸腰筋再発は文献を検索しえた範囲では、今回の症例以外で1例しか認められず。比較的な稀な症例と思われたので報告する。


 

5.肺塞栓症で発見された腎細胞癌の一例

瀬野祐子1)、新 良治1)、津島知靖1)、旦 一宏2)、松原広巳2)、岡田正比呂3)
中井幹三3)、加藤源太郎3)、谷口正廣4)、大橋一郎4)、越智 豪)
 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 泌尿器科1)、循環器科2)
 心臓血管外科3)、麻酔科4)、総合診療内科5)

 

症例は58歳、男性。平成18824日早朝、突然の呼吸困難に続いてショック状態となり他院に救急車で搬送された。造影CTにてIVCへ浸潤する右腎腫瘍を認め、腎腫瘍による肺塞栓と診断され当院へ転送された。肺血流シンチでは両肺野に多発性楔状欠損、CTでは下大静脈内へ進展する10.8×7.8cmの右腎腫瘍および両肺動脈に塞栓を認めた。緊急で一時的下大静脈フィルターを肝静脈流入部より下方に留置後肺動脈塞栓子を吸引除去した。吸引した塞栓子の病理診断はclear cell carcinomaであった。CTMRIでは腫瘍は肝静脈流入部のやや下方までの浸潤が疑われた。919日泌尿器科、心臓血管外科合同で手術を施行した。左腎静脈は切断し、根治的右腎摘出手術を行なった。ついで、低体温循環停止下で、肝静脈合流部から腎静脈流入部より約3cmの下大静脈を切除した。静脈再建は行わなかった。病理組織はRCC, clear cell carcinoma, G2>G3, INFβ, pT3bであった。術後療法として、IFNα300万単位の投与を週3回で開始した。肺腫瘍塞栓は徐々に縮小している。今回肺塞栓症で発見された腎細胞癌の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。


 

6.腎部分切除を行った直径5mmの腎細胞癌の1例

村尾 航、山本康雄、大橋輝久、近藤捷嘉(岡山赤十字病院泌尿器科)

 

検診・人間ドックの普及および画像診断の進歩により比較的小さな腎癌が早期に発見されるようになった。今回我々は直径5mmの極めて小さい腎細胞癌の症例を経験したので報告する。

症例は、55歳男性。下腹部違和感を主訴に近医受診、腹部CTにて右腎腫瘍を指摘され、精査・加療目的にて当科受診した。腫瘍は右腎上極に位置し腎外側への突出を認めず直径は5mmCTMRI、エコー所見より腎細胞癌が疑われた。患者は手術を強く希望したため、腰部斜切開にて経腰的に腎部分切除術を行った。病理組織はClear cell carcinoma, pT1a, INFβであった。

近年の画像診断の進歩に伴い、今症例のような小さい腎癌の症例は増加すると予測される。治療法決定の際には十分なインフォームドコンセントが重要になると思われる。


 

7.長期臥床のためADLが低下した尿路結石症例の検討

石戸則孝、岸本 涼、野崎邦浩、市川孝治、高本 均(倉敷成人病センター泌尿器科)

 

【目的】高齢化社会を迎え、ADLの低下した尿路結石患者に対する治療が難渋する症例が増加している。当科において、長期臥床のためADLが低下した尿路結石治療成績について検討した。【対象と方法】19885月より20073月までに、長期臥床のためADLが低下した尿路結石62例の内訳は、男性28例、女性34例。年齢3498歳(平均73.3歳)。腎53単位、尿管29単位、膀胱5例であった。結石長径は457mm(平均18.2mm)であった。ESWL施行44単位、TUL施行50単位であった。最近経験した、TUL術後敗血症性ショックを併発した症例を呈示する。【症例】61歳、男性。C6脊椎損傷で長期臥床。尿道バルン留置あり。多剤耐性緑膿菌を含む尿中複数分離菌に対し、抗生剤を投与後、膀胱結石および右腎結石(最大長径16mm、複数)に対し全身麻酔下TULを施行した。術直後、敗血症性ショックを併発したため、エンドトキシン吸着などDICに対する治療を行い救命した。術中、膀胱尿管逆流症を認めた。結石成分はstruviteが主体の感染結石であった。【考察】周術期抗生剤の投与、術後尿管ステント留置にもかかわらず、術後敗血症性ショックを併発した。ホルミウムレーザー、尿管アクセスシースの登場で、大きな結石に対し、比較的容易に砕石が可能になったが、 本症例のようなcompromised hostに対しては、腎盂内圧を低圧に抑え、短時間の操作を心掛けるなどの必要性が示唆された。


 
 

8.体腔鏡下手術を施行した下大静脈後尿管の2

原 綾英、近藤典生、藤井智浩、常 義政、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦 (川崎医大)

 

症例123歳、男性。20069月、右腰背部痛を主訴に近医泌尿器科を受診。腹部単純CT 及び DIPにて右水腎水尿管を認め、下大静脈後尿管の疑いにて当科紹介受診となった。患者の社会的理由のため根治的手術は後日施行することとし、同年926日尿管ステントを一時的に留置した。ステント留置時のRP では,椎体上を走行する尿管が確認され、ステント留置下の腹部 CT で、尿管のretrocaval segment を容易に同定することができた。以上より下大静脈後尿管の確定診断のもと、 2007313日,後腹膜鏡下左尿管切断および下大静脈外側での尿管端端吻合術を施行した。手術時間4時間30分、出血量は少量であった。術後経過は良好で、尿管ステントは20075月抜去予定である。症例264歳、女性。20073月9日発熱出現し、近医より右部分珊瑚状結石に伴った膿腎症にて当科紹介となった。同日、ドレナージのため経皮的右腎瘻造設術を施行した。無機能腎であり炎症治癒後の同年4月3日、後腹膜鏡下右腎摘除術を施行した。術中所見では、下大静脈の後面を走行している尿管を確認した。術後診断は下大静脈後尿管に合併した右部分珊瑚状結石、膿腎症及び無機能腎と考えられた。尿管のretrocaval segmentの部分は狭窄を認めた。以上、下大静脈後尿管の2例を経験したので術中所見を中心に、若干の文献的考察を加えて報告する。


 

9.外傷性尿道断裂の一例

西山康弘、竹中 皇、山根 享、早田俊司(鳥取市立病院)

 

症例は68歳男性。既往歴に特記すべきことなし。平成16112日工作機械の下敷きに

なり受傷、近医受診、尿閉および陰嚢部腫脹あり同日当院紹介、即日入院となった。陰嚢

から包皮にかけては出血により暗紫色に変色、腫脹疼痛あり、左鼠径部に打撲痕を認めた。

逆行性尿道造影にて尿道球部にて造影剤の溢流を認め、それより中枢部の尿道の造影を認

めなかった。骨盤部レントゲンでは明らかな骨盤骨折は認めなかった。外傷性尿道断裂の

診断で同日全身麻酔下に膀胱瘻造設術、陰嚢部血腫除去術施行した。血腫除去後外尿道口

よりバルーンカテーテルを挿入すると断裂部にバルーンカテーテルが確認できたため、用

手補助下に膀胱内にバルーンカーテルを留置することができた。2ヶ月後、 尿道ステント

留置術を施行し、経過観察となった。平成18323日、尿道ステント抜去するも排尿

困難出現、尿道狭窄を認めたため411日、 直視下内尿道切開術、尿道ステント再留置

した。若干の文献的考察を加え、報告する。


 

10.乳糜尿を呈した1

荒木大司、雑賀隆史、久住倫宏、石井亜矢乃、上原慎也、渡辺豊彦、門田晃一、

那須保友、公文裕巳(岡山大学医歯薬学総合研究科泌尿器病態学)

 

症例は40歳、女性。平成189月中旬より体重減少、帯下の増加を自覚し、近医産婦人科を受診、蛋白尿を指摘され、近医腎臓内科を受診した。尿は乳糜色であり、低蛋白血症、高コレステロール血症、尿中蛋白1日量15gと異常高値を認め、ネフローゼ症候群と診断された。腹部CT,MRIにて左腎近傍から膀胱後壁に及ぶ200mm×55mmの分葉状の腫瘤を認め、後腹膜リンパ管腫と診断、リンパ管閉塞による乳糜尿が疑われた。膀胱鏡施行し、左尿管口より白色尿の流出を認め、1011日当科紹介受診入院となった。胸部CTにて両肺にびまん性の小嚢胞性変化を認め、肺リンパ脈管筋腫症(LAM)と診断、それに起因する後腹膜リンパ管腫、乳糜尿と診断した。1024日、乳糜尿に対して腹腔鏡下腎周囲剥離術を施行したが、術後尿道カテーテル抜去直後より乳糜尿の再出現を認めた。このため、1030日、再度膀胱鏡施行したところ、左尿管口直上の隆起部より乳糜の流出を認め、その部位に対して119TUCを施行した。術後より乳糜尿は消失し低蛋白血症も改善を認めたため、1115日退院となった。術後6ヶ月が経過するが、乳糜尿の再発は認めていない。肺リンパ脈管筋腫症(LAM)は稀な疾患であり、それに起因する後腹膜リンパ管腫、乳糜尿の報告に関して若干の文献的考察を含め、報告する。


 

11.ループス膀胱炎の1

別宮謙介、井口裕樹、上杉達也、三枝道尚、荒巻謙二(広島市民病院泌尿器科)

黒目学、小林沙代、山崎康司(同内科)

 

 ループス膀胱炎とは全身性エリテマトーデス(SLE)による臓器障害の一つであり、間質性膀胱炎を基盤として頻尿や排尿時痛といった膀胱刺激症状を起こし、水腎症や萎縮膀胱をもたらす全SLEの約1%程度にしか見られない稀な疾患である。消化器症状を高頻度に合併し、悪心、嘔吐、下痢等消化器症状が初発症状となることも多いため診断が困難であることも少なくない。発症後早期にはステロイドパルス治療、免疫抑制剤等が有効であり膀胱機能の温存が見込めるが、治療開始時期が遅れると予後は不良となり、萎縮膀胱が不可逆的なものになる。今回我々は初期症状が腹痛・嘔吐等の消化器症状のみで膀胱刺激症状を認めず、発症してから診断・治療開始まで6ヶ月以上を要し、ステロイドパルス療法にてSLEによる全身症状は改善したものの膀胱機能が改善しなかったループス膀胱炎の1例を経験したので、症例報告とともに他の報告例と併せその疾患概念や診療上の留意点等について報告する。

12.膀胱褐色細胞腫の1

坪井 啓、入江 伸、秋山博伸、橋本英昭、林 俊秀、金重哲三(岡山中央病院)

森末浩一(森末泌尿器科内科クリニック)

 

症例は48歳男性。高血圧既往なし。平成17年人間ドックの超音波検査で膀胱腫瘍指摘されるも放置。平成18年人間ドックで再度膀胱腫瘍指摘され、平成187月近医受診。膀胱鏡にて粘膜下腫瘍認め、加療目的で平成18729日当科紹介受診。CTにて左側後壁に径19mm大の早期濃染される腫瘍を認めた。尿細胞診はnegative。平成18828TUR-Bt施行。病理診断は褐色細胞腫であった。術中血圧変動認めず、TUR後の血液、尿検査では、尿中ドーパミンの軽度上昇認めるのみであった。TUR後の131I-MIBGシンチでは副腎、膀胱等に異常集積を認めなかった。膀胱原発の褐色細胞腫と診断し、平成181115日膀胱部分切除術を施行した。術後経過良好で平成18122日退院の運びとなった。

現在も紹介医外来にて経過観察中であるが、再発、転移を認めていない。

 膀胱褐色細胞腫は比較的稀な疾患である。今回我々は膀胱褐色細胞腫を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 

 

13.前立腺生検後に化膿性脊椎炎を発症した一例

安東栄一、郷原真輔、日下信行、藤田竜二(岩国医療センター泌尿器科)

土居克三(同整形外科)

 

【症例】67歳、男性。【既往歴】突発性難聴、虫垂炎手術。【現病歴】平成18年の検診でPSA 13.8ng/mlと高値を指摘され、平成181127日、当院を受診。初診時PSA16.1ng/mlと高値であり、1211日に経直腸的前立腺生検(6ヶ所)を行った。予防的抗菌剤としてはLVFX 300mg(分3食後)を検査当日朝から3日間内服した。1214日夜より腰部痛が出現したため当院救急を受診。血膿尿、採血の所見で著明な炎症所見を認めたため急性前立腺炎と診断し入院となった。【経過】入院後からCFPMを投与するも炎症所見の改善なく、入院時の尿培養でキノロン耐性大腸菌が検出されていたのでMEPMに変更した。しかし腰痛など症状の軽快を認めないため腰部MRI、ガリウムシンチを撮影。MRIでは第4腰椎後面の化膿性脊椎炎と硬膜外膿瘍を指摘され、ガリウムシンチでも同部位への集積像を認めた。下肢筋力低下が出現したため同日整形外科転科となり、腰椎椎弓切除術及び排膿術を施行された。膿培養はキノロン耐性大腸菌であり、尿から検出された大腸菌と感受性が一致していた。術後経過は良好で炎症所見も改善し、310日に退院。【考察】特に抗菌剤の内服既往もなかったがキノロン耐性大腸菌による、前立腺生検後の化膿性脊椎炎を経験した。生検後に腰部痛を自覚した場合には本症を念頭に置く必要がある。

 

14.PSAの著明な上昇を来した前立腺内血腫の1例

武縄 淳、井上幸治、青山輝義、齋藤亮一、植月祐次、國枝太史、牧野雄樹、寺井章人(倉敷中央病院泌尿器科) 

 

症例は77歳、男性。主訴は排尿困難、下肢痛。心房細動のため数年来ワーファリン内服中。農作業中に急に下肢痛出現、翌日には排尿困難も出現したため当院救急外来受診。腹部エコーで前立腺の腫大を指摘されるも、有意な残尿や整形外科的異常を認めず帰宅。近医での採血でPSA 356 ng/mls-cre上昇を認めたため、救急外来受診の1週間後に泌尿器科を紹介された。当科紹介時には排尿困難は軽快していたが、PSA 212.4 ng/mls-cre 4.4 mg/dlと上昇。尿所見では赤血球を10-19/HPF認めたのみで膿尿は認めなかった。前立腺生検目的で翌日に入院となったが、ワーファリンのヘパリン置換にて生検待機中の発症11日目に施行したMRIで前立腺左葉内腺域に径6 cmの血腫を認めた。前立腺癌を示唆する所見は認めず、発症13日目のPSA54.031 ng/mlまで低下したため前立腺生検は中止した。腎機能も次第に改善したため発症14日目に退院となった。発症1ヶ月後でPSA値は正常化、3ヶ月後、9ヶ月後のMRIで血腫の縮小を確認した。前立腺内血腫はまれな疾患であるが、 JMRIを施行することで不必要な前立腺生検を回避することが可能であったと考えられる。

 

15.Henoch-Schonlein紫斑病に合併した急性陰嚢症の1

藤田 治、中田哲也、明比直樹(津山中央病院泌尿器科)

赤枝輝明(津山東クリニック)

 

今回、Henoch-Schonlein紫斑病に合併した急性陰嚢症の1例を経験したので報告する。症例は、5歳、男児。200719日夜より咽頭痛、110日夜より下肢の紫斑出現し、111日朝より嘔吐下痢あり当院小児科受診。Henoch-Schonlein紫斑病の診断にて入院の上、PSL投与開始となった。以後軽快していたが、113日夕方より紫斑増加、腹痛、関節痛、足関節腫脹出現。114日より左陰嚢腫脹・発赤・疼痛出現し、115日当科紹介。検尿所見は異常なし。左陰嚢腫脹・疼痛強く精索捻転を完全には否定できないがDoppler USおよびMRIにて血流確認できた為、Henoch-Schonlein紫斑病に合併した急性陰嚢症と考えXV因子補充にて経過観察とした。116日以降徐々に紫斑、腹痛、関節痛とともに左陰嚢腫脹・疼痛軽減するも、117日対側の右陰嚢腫脹・発赤・疼痛出現し再びXV因子補充にて紫斑消失、関節痛消失とともに軽快した。両側精巣の萎縮も認めていない。

今回Henoch-Schonlein紫斑病の合併症の1つとして急性陰嚢症は比較的稀とされているが精索捻転と鑑別困難な場合があり、若干の文献的考察を加え報告する。