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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

 

 

 

 

          日 時:  平成20年5月10日(土) 午後2時

          場 所:  川崎医科大学 現代医学教育博物館(メディカルミュージアム)

                    2階大講堂

                    倉敷市松島577

                    TEL(086)462-1111(内線3221)

 

 

 

参加者の皆様へ

1)        受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2)       一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

3)        コンピュータープレゼンテーションはWin PowerPoint,Mac PowerPointでお願いいたします。

4)        コンピュータープレゼンテーションの場合にはMO,CD-RあるいはCD-RWディスクにファイルをコピーして, 5月7日(水)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。Macの場合はWindowsにてformatされたMOにコピーしてください。もし,変更がありましたら,当日MO,CD-RあるいはCD-RWディスクをご持参下さい。

5)        会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

6)        予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

 

 

会場付近案内図  キャンパスマップ

第二外来駐車場(有料100円/時間)をご利用下さい。

 

 

 

 


プログラム

一般演題

14:0014:40               座長 寺井章人(倉敷中央)

1.      外傷によって腫瘍内出血を来たした巨大副腎骨髄脂肪腫の1例 【抄録】

 

原 綾英、宮地禎幸、常 義政、近藤典生、藤井智浩、横山光彦、

永井 敦(川崎医大)、桜本耕司(岡山協立)

 

2.      副腎皮質オンコサイトーマの1例 【抄録】

3.      藤田 治、中田哲也、明比直樹(津山中央)

 

3.エリスロポエチン産生腎癌の1例 【抄録】

井上 雅、小澤秀夫(岡山労災)

 

4.      常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)に対する両側腎動脈塞栓術の経験 【抄録】

古川洋二、小出隆生(笠岡第一)

原田和博、阿曽沼裕彦(同・内科)

 

14:4015:10               座長 宮地禎幸(川崎医大)

5.      腎細胞癌に対し腎摘除術、脾臓摘除術後に局所再発を疑った副脾の1例 【抄録】

能勢宏幸杉本盛人眞鍋大輔武田克治(香川県立中央)

 

6.      左腎盂癌術後5年目に生じた右尿管癌の1例 【抄録】

坂本英起、小林知子、橋本秀昭、林 俊秀、入江 伸(岡山中央)

坪井 啓(三原赤十字)秋山博伸(川崎医大・皮膚科) 

 

7.      軟性尿管鏡を用いたTUL(f−TUL)により完治した尿管皮膚瘻に多発した両側腎尿管結石の1例 【抄録】

西山康弘、市川孝治、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

15:1015:40               座長 上原慎也(岡山大学)

 

8.      後腹膜に発生したCavernous lymphangiomaの1例 【抄録】

平田武志、西口 潤、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

9.      診断が困難であった後腹膜腫瘤の1例 【抄録】

國枝太史、北 悠希、牧野雄樹、田岡利宜也、公平直樹、宗田 武、井上幸治、

武縄 淳、寺井章人(倉敷中央)

齊藤亮一(京都大)

 

10.    当科で経験している排尿異常例の検討 【抄録】

後藤隆文、中原康雄、高橋雄介、浅井 武、仲田惣一、青山興司

(NHO岡山医療センター・小児外科)

 

 

休憩

 

15:5016:30               座長 明比直樹(津山中央)

11.  尿路に発生した神経内分泌癌の2例 【抄録】

松本裕子、江原伸、村尾航、三枝道尚、荒巻謙二(広島市民)

別宮謙介(高知医療センター)

 

12.  回腸導管造設6年半後に導管狭窄を来した1例 【抄録】

岸本 涼、真弓友介、山本康雄、石戸孝則、高本 均(倉敷成人病センター)

野崎邦浩(岡山赤十字)

 

13.  子宮筋腫に対する膣式単純子宮全摘術後に発症した膀胱膣瘻の1例 【抄録】

藤田竜二、荒木大司、安東栄一、日下信行(国立病院機構岩国医療センター)

郷原真輔(姫路聖マリア) 

 

14.  術前化学療法が奏効した膀胱小細胞癌の1例 【抄録】

中村あや、津川昌也(岡山市立市民)

 

16:3017:00               座長 妹尾孝司(玉野市民)

15.  前立腺膿瘍の2例 【抄録】

堀川雄平、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

16.  前立腺導管癌の1例 【抄録】

高本 篤、久住倫宏、大枝忠史(尾道市民)

 

17.  陰茎angiosarcomaの1例 【抄録】

倉橋寛明、石井和史、大石智子、渡部昌実、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳(岡山大)

松本裕子(広島市民)

辻和英(岡山大・皮膚科)、柳井広之(同・病理部)

 

指定演題

17:0017:13               座長 永井 敦(川崎医大)

 

再燃前立腺癌に対する新しい治療戦略について 【抄録】

那須保友(岡山大)

 

17:1517:25 

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

 

津島知靖(岡山医療センター)

難波克一(岡山県国保連合会)

朝日俊彦(あさひクリニック)

赤枝輝明(津山東クリニック)


一般演題

1.外傷によって腫瘍内出血を来たした巨大副腎骨髄脂肪腫の1例

原 綾英、宮地禎幸、常 義政、近藤典生、藤井智浩、横山光彦、

永井 敦(川崎医大)、桜本耕司(岡山協立)

 

症例は42歳、男性。2007年夏頃より特に食事の際に増悪する左上腹部膨満感を覚えるも放置していた。2008年1月4日夜、自宅廊下で転倒し左腰部を打撲した。様子をみていたが疼痛が増強したため1月6日前医を受診、脾破裂の疑いで同日夜、当院救急部に搬送となった。腹部 CT では、脾を上方に腎を下方に圧排する多量の脂肪成分を含む20 cm 大の腫瘍性病変を認め、腫瘍内部の出血像を認めた。同日施行された血管造影において、脾破裂は認めず、腫瘍は左下横隔膜動脈、左下副腎動脈、左腎被膜動脈から栄養されており、それぞれに塞栓術が施行された。1月7日、救急部から当科紹介となり、CT、血管造影所見から左副腎骨髄脂肪腫が最も疑われた。画像上は良性疾患を強く疑うも巨大な腫瘍かつ症候性であり、再入院の上、3月13日、経腹的左副腎摘除術を施行した。出血の影響か腹膜、腸間膜との癒着は強かったが、腎、膵との間の剥離は容易であった。摘出標本は辺縁に正常副腎を認め、25×9.5×13.5cm、重量1680 g であった。病理組織検査は術前診断どおり、副腎骨髄脂肪腫であった。今回我々は、発見契機が外傷による腫瘍内出血による疼痛であった巨大副腎骨髄脂肪腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

2.副腎皮質オンコサイトーマの1例

藤田 治、中田哲也、明比直樹(津山中央)

 

症例は43歳の女性。検診の超音波検査で左副腎腫瘍疑われ、平成18年11月24日当科外来紹介受診。CT検査で左副腎内側脚に直径約5cmの造影効果を伴う後腹膜腫瘍を認め、MRI検査ではT2WI低信号を呈した。血管造影にて中副腎動脈からの栄養血管を認めた為、副腎由来の腫瘍と考え内分泌検査を行い,内分泌非活性副腎腫瘍と診断した。腫瘍の大きさから悪性も完全に否定できなかった為、平成19年3月19日腹腔鏡下腫瘍摘除術を施行した。病理組織学的検査では副腎皮質より発生し好酸性の胞体と円形核を有した類洞構造を形成し増生が認められ副腎皮質オンコサイトーマとの診断であった。

副腎領域に発生するオンコサイトーマは稀であり,若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.エリスロポエチン産生腎癌の1例

井上 雅、小澤秀夫(岡山労災)

 

症例は59歳、女性。2007年10月検診にて赤血球増多を認め、当院内科紹介受診。血中エリスロポエチン高値を認めたため、エリスロポエチン産生腫瘍の疑いにて精査施行。CTにて右腎腫瘍を指摘され、当科紹介受診となった。血中エリスロポエチン179mU/ml(正常値8-36)、RBC 770×104/μl、Hb 18.0g/dl、Ht 58.0% であった。CTにて右腎下極から突出する約10×9×8cm大の辺縁主体に不均一に造影される腫瘍を認めた。画像検査上他臓器への転移は認めず、右根治的腎摘除術を施行した。病理組織は腎細胞癌、clear cell type、G2>G1、INFα、T2N0M0であった。腎組織中のエリスロポエチン濃度は正常部で37.7mU/Wg、腫瘍組織で10400mU/Wgと腫瘍内で著明に上昇していた。術後経過は良好で術後8日目に血中エリスロポエチン10.1mU/ml(8-36)、RBC 585×104/μl、Hb 13.6 g/dl、Ht 44.0%と低下し、術後3ヶ月でいずれも正常化した。赤血球増加を伴った腎細胞癌で、腫瘍細胞におけるエリスロポエチンの産生が示唆された症例は本邦で19例目と思われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)に対する両側腎動脈塞栓術の経験

古川洋二、小出隆生(笠岡第一)原田和博、阿曽沼裕彦(同・内科)

 

症例: 59歳女性、主訴:腹部膨満感、繰り返す側腹部痛およびその後の発熱と肉眼的血尿、既往歴:45歳 ADPKDによる慢性腎不全(Crn:1.9)と診断、46歳 脳動脈瘤破裂:クリッピング施行、58歳 終末期腎不全(Crn:8.4)として血液透析開始、家族歴:母、兄ともにADPKDで透析(いずれも死亡)、現病歴:透析導入後倦怠感は消失したが、腹部膨満感は持続していた。平成17年11月右側腹部痛、発熱(40)が約5日間続き、腹部CT検査で右腎感染性嚢胞と診断し穿刺吸引・抗生剤投与を行い軽快した。その後左右の間欠的側腹部痛→発熱→肉眼的血尿を繰り返し当院入院となった。CTおよびMRIで多発性嚢胞腎、両側出血性嚢胞と診断し両側TAEを施行した(エタノール 右8ml、左7ml、マイクロコイル 右10本、左9本)。TAE後6ヶ月目の評価では自覚症状の消失、両側腎の著明な縮小を認めた。ADPKDに対する両側TAEについて文献的考察を含め報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5.腎細胞癌に対し腎摘除術、脾臓摘除術後に局所再発を疑った副脾の1例

能勢宏幸杉本盛人眞鍋大輔武田克治香川県立中央

 

Abstract:症例は61歳男性、左腎腫瘍加療目的に受診した。画像上左腎下極に9.3cmの腫瘤影認め、左腎癌T2N0M0の術前診断にて腹腔鏡下腎摘出術を施行した。術中脾臓を損傷し、開放手術に移行し脾臓摘除術も行った。病理診断は腎細胞癌、clear cell carcinoma、pT2、G2、INFα、v(+)であり、インターフェロン治療を開始した。術後経過は良好であったが、術後4ヶ月のCTにて後腹膜に径2*5cmの不均一に造影される腫瘤影を認めた。腎癌局所再発を疑い後腹膜腫瘤摘除術を施行した。病理診断は正常脾臓組織であり、脾摘後4ヶ月で副脾が急激に増大したものと考えられた。腎細胞癌に対する腎摘除術、脾臓摘除試行後に腎癌局所再発を疑った副脾の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6.左腎盂癌術後5年目に生じた右尿管癌の1例

坂本英起、小林知子、橋本秀昭、林 俊秀、入江 伸(岡山中央)

坪井 啓(三原赤十字)秋山博伸(川崎医科大学・皮膚科) 

 

50歳男性、2003年10月6日左腎盂癌にて左腎尿管全摘除術を施行した(TCC,G1>G2,

pT1,N0,M0)。その後3回膀胱内再発に対し経尿道的膀胱腫瘍説除術を施行されていた。当科にてfollow up中の2008年1月初旬に右側腹部痛及び血尿あり、1月31日受診した。視触診上、下肢著明浮腫あり、CT及びDIPにて右水腎症と右中部尿管に陰影欠損像を認めた。BUN39.0、Cre4.74と急性腎後性腎不全を呈していたため同日右尿管ステント留置術を施行した。RPにて中部尿管に径約2.5pの陰影欠損を認めた。右尿管腫瘍の診断にて本年3月12日右腎尿管全摘除術施行、透析導入となった。病理結果はTransitional cell carcinoma,G3,pT1,N0であった。また腎盂粘膜内にも微小な病変が確認された。後療法は行わず外来経過観察中である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7.軟性尿管鏡を用いたTUL(f−TUL)により完治した尿管皮膚瘻に多発した両側腎尿管結

石の1例

西山康弘、市川孝治、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

症例は79歳男性。既往歴は膀胱癌、糖尿病、脳梗塞後遺症。主訴は尿路結石の加療依頼。平成13年7月、近医にて膀胱全摘除術+両側尿管皮瘻造設術施行し、pT4N0M0であった。尿管皮膚瘻は両側シングルJステント挿入され管理となるが、ステント閉塞を繰り返すため、その後10Fr.ネラトンカテーテル挿入となった。平成15〜16年には度々ネラトンカテーテルが閉塞し、腎盂腎炎を発症するようになり、平成16年3月に傍大学付属病院にて両側TUL施行され、少量の残石を認める状態となった。以降、ネラトンカテーテル交換を2週間毎、腎盂洗浄を1週間毎に施行し管理中であったが、徐々にカテーテル交換困難となっていった。CTにて尿路結石の再発増大を認め、2007年9月当科紹介受診。KUB、CTにて右腎尿管に最大28×10mm大の多発結石、左腎尿管に最大15×10mm大の多発結石を認めた。2007年11月に左腎尿管結石に、2008年1月に右腎尿管結石に、2008年2月に両側腎の残石に対しそれぞれ軟性尿管鏡を用いたTUL(f−TUL)を施行し、残石フリーとなった。若干の考察を加え、報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.後腹膜に発生したCavernous lymphangiomaの1例

平田武志、西口 潤、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

症例は71歳男性。発熱、嘔吐、下痢を主訴に近医受診した。腹部CTにて右腎前面に径7cm程度の嚢胞状の後腹膜腫瘍を認め、内部には液体貯留も伴っていた。消化器症状に対して結腸憩室炎として加療されるも発熱は軽快せず、新たに右側腹部痛も増強してきたため、精査・加療目的に当科紹介となった。入院後、抗菌薬投与を行ったがspike feverが持続し、右側腹部痛も軽快しなかった。腹部CTにて径10cmと腫瘤が増大傾向にあり、感染性嚢胞が疑われたため入院9日目に嚢胞穿刺施行した。赤褐色の排液認め、以後解熱が得られた。入院25日目に経腹的右後腹膜腫瘍摘出術を施行した。十二指腸、右腎、血管系との癒着は認めず一塊に腫瘤を摘出できた。病理組織はCavernous lymphangiomaであった。術後は軽度の麻痺性イレウスを認めたが、おおむね経過良好であり、入院39日目に退院となった。入院5ヶ月後の現在も再発等の所見は認めていない。

後腹膜原発のCavernous lymphangiomaは比較的稀な疾患である。今回われわれは若干の文献的考察を加えて症例報告する。

 

 

 

 

 

 

 

9.診断が困難であった後腹膜腫瘤の1例

國枝太史、北 悠希、牧野雄樹、田岡利宜也、公平直樹、宗田 武、井上幸治、

武縄 淳、寺井章人(倉敷中央)

齊藤亮一(京都大学)

 

症例は41歳女性。2008年1月下旬より心窩部不快感と食後の嘔吐を認めるようになった。21日、近医受診。腹部エコーで右腎上部腹側に4cm大の腫瘤を認めた。

2月6日腹部CTでは、内部には石灰化を伴った径4.5cmの充実性球形腫瘤を認め、右腎静脈・副腎静脈の拡張を認めた。2月12日当院内分泌内科紹介となり精査を行った結果、副腎機能は正常で、褐色細胞腫も否定された。MRIの結果、腫瘍は副腎外のもので神経原性の腫瘍が疑われたが、サイズも比較的大きく悪性も否定できないため手術が必要ではないかと判断され当科紹介された。

4月2日開腹後腹膜腫瘍切除術施行。腫瘍は腎門部にはまり込むような形となっていた。腎動脈との剥離は困難であり、出血のコントロールも困難となったため、右腎合併切除を行った。術後経過は良好であり、4月11日退院となった。病理結果はAneurysmであり、悪性所見は認めなかった。今回我々は診断が困難であった後腹膜腫瘤の1例を経験したので、若干の考察を加えてこれを報告する。

 

 

 

 

 

 

10.当科で経験している排尿異常例の検討

後藤隆文、中原康雄、高橋雄介、浅井 武、仲田惣一、青山興司

(NHO岡山医療センター 小児外科)

 

2000年4月以降、当科で排尿管理をしている症例は62症例いる(間歇的導尿:54例、バルーン留置5例、尿管皮膚瘻1例、膀胱皮膚瘻1例、圧迫排尿1例)。疾患別では、脊髄髄膜瘤・脊髄空洞症・脊髄炎・脊椎のヘルニア手術後など脊髄系の異常によるものが30例、総排泄腔外反症・膀胱外反症・鎖肛などの小児外科的疾患に伴ったものが12例、腰部・膀胱部悪性腫瘍術後のものが7例、尿道狭窄・Prune-Belly症候群など尿路系の異常によるものが7例、特発性あるいは全身の異常によるものが6例である。児の生命予後は主に残存腎機能次第であるが(悪性腫瘍例を除く)、腎機能障害が進行せずに経過するものから、末期腎不全/透析/腎移植を行うようになった症例もある。排尿管理の中心は間歇的導尿であり、年少児や障害児の導尿は本人以外(主に両親)が行っているが、学童期以降は本人による清潔間歇的自己導尿(CISC)を基本としている。今回は排尿異常例の小児例での外科的合併症の頻度や種類とともに、CISCを行っている例を中心に小児での排尿管理の問題点等につき検討を加え報告する。

 

 

 

 

 

 

11. 尿路に発生した神経内分泌癌の2例

松本裕子、江原伸、村尾航、三枝道尚、荒巻謙二(広島市民)

別宮謙介(高知医療センター)

 

<症例1>79歳男性。肉眼的血尿にて平成20年2月1日近医受診,膀胱鏡にて膀胱後壁に15mm大の乳頭状腫瘍を認め2月4日当科紹介となった。2月15日TUR-Bt施行,組織学的にはN/C比が高く、核分裂像や壊死を伴った腫瘍細胞の筋層浸潤を認めた。免疫組織学的にはKeratin AE1/AE3陽性,chromogranin A陽性, synaptophysin陰性,CD56陽性, MIB-1陽性の免疫活性を示し,poorly differentiated neuroendocrine tumor,T2以上と診断した。術後MRIにて残存の残存を疑う所見なく,4月14日に再度TUR-Btを施行したが,組織学的に腫瘍細胞の残存を認めていない。

<症例2>81歳男性。左側腹部痛にて平成20年1月下旬近医泌尿器科受診,CT・MRIおよび膀胱鏡にて膀胱腫瘍および尿管腫瘍を認め2月13日TUR-Bt施行,組織学的にinvasive urothelial cancer,G2>>G3であった。膀胱鏡所見で左尿管口からの腫瘍の突出を認めたことから,尿管腫瘍に対する手術目的で2月21日当科入院。造影CTで左尿管下部まで連続する左水腎水尿管と,膀胱内に連続する短径18mmの尿管腫瘍を認めたが明らかな尿管外への浸潤は認めなかった。以上より左尿管癌T2N0M0と診断し,3月13日後腹膜鏡下左腎尿管摘除術を施行したが,腎門部と周囲組織の癒着が激しく、術中開腹手術に移行した。組織学的には腫瘍細胞の壁内への浸潤増殖を認め,免疫組織学的にはCD56陽性,chromogranin A陽性,synaptophysin陽性の免疫活性を示し,neuroendocrine carcinoma,pT3,INFβ, ly1, v1, ew1, lt-u1, n0と診断した。現在術後補助療法として膀胱部に放射線治療(50Gy)を施行中である。我々は第274回岡山地方会において腎に発生した神経内分泌癌を報告したが、尿路原発の報告は少なく,今回若干の文献的考察を加えて報告する。

 






12.回腸導管造設6年半後に導管狭窄を来した1例

岸本 涼、真弓友介、山本康雄、石戸孝則、高本 均(倉敷成人病)

野崎邦浩(岡山赤十字)

 

【緒言】回腸導管造設術後の導管狭窄は稀な晩期合併症とされている。今回我々は回腸導管造設術施行6年半後に導管狭窄を来し、バルン拡張術を施行した一例を経験したので報告する。【症例】72歳男性。平成13年7月、膀胱癌に対し膀胱全摘術および回腸導管造設術施行。以後再発所見なく経過し、平成19年7月の腹部CTでは水腎症その他異常所見は認めなかった。平成20年2月初旬より食欲不振あり近医受診。腎盂腎炎および両側水腎症とそれに伴う腎機能障害を指摘され2月12日当科入院、同日両側腎瘻造設術施行した。造影CT、直接腎盂造影にて尿管回腸導管吻合部より数cm遠位側の導管狭窄を認めた。診断をもとに4月3日、ストーマよりバルン拡張術を試みたが、導管屈曲部をバルンカテーテルが通過せず狭窄部位まで到達できなかった。そこで4月9日、左腎瘻よりバルン拡張術を再施行し、狭窄部を拡張した。【考察】回腸導管造設術後の導管狭窄は稀な晩期合併症とされている。この疾患の報告例は少ないが、本邦でもバルン拡張が有効であったとの報告もあり、本症例でもバルン拡張術を施行した。本症例について文献を交えて考察する。

 

 

 

 




13.子宮筋腫に対する膣式単純子宮全摘術後に発症した膀胱膣瘻の1例

藤田竜二、荒木大司、安東栄一、日下信行(国立病院機構 岩国医療センター)

郷原真輔(姫路聖マリア) 

 

症例は48歳女性。2008年1月9日子宮筋腫に対する膣式単純子宮全摘術を近医にて施行。術後5日目に尿道カテーテルを抜去したが、翌日より膣からの尿漏出に気づいたため、1月17日精査加療目的にて当科紹介となった。膀胱鏡検査では膀胱後壁に径1.5cmの膀胱壁の欠損、白苔を伴った壊死組織の付着および膣からの灌流液の漏出を認めた。膀胱膣瘻と診断し、尿道カテーテルを留置した。2月13日の膀胱鏡検査では粘膜の炎症所見は改善していたが瘻孔は縮小しておらず開存した状態であった。保存的治療では治癒不能と判断し、2月26日全麻下・経腹的膀胱膣瘻閉鎖術を行った。膀胱高位切開後、瘻孔部を円形にトリミングし膣壁・膀胱壁をそれぞれ修復した。術後微熱は遷延するも画像上、膿瘍形成はなく2週目にカテーテルを抜去し経過順調にて退院となった。今回我々は発症から比較的早期に膀胱膣瘻閉鎖術を行った1例を経験したので報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

14.術前化学療法が奏効した膀胱小細胞癌の1例

中村あや、津川昌也(岡山市立市民)

 

症例は59歳男性。平成18年4月頃より肉眼的血尿を自覚していたが、放置していた。平成19年10月5日仕事先で血尿による尿閉となり救急病院で処置を受け、10月10日当科受診した。腹部超音波検査及び腹部CT上、表面に石灰化を伴う直径約8cmの膀胱腫瘍を認めたため、10月23日TUR-BT施行した。病理組織学的にはbladder cancer, small cell carcinoma, T2a以上, ly1, v0, INFγであった。病理組織及び腹部CT所見よりcT3bN0M0,stageVと診断し、術前に、肺小細胞癌の化学療法レジメンに準拠し、CDDP(60

mg/m:day1)+CPT-11(100mg/m:day1,15)による化学療法を計2コース施行した。化学療法後のCTで腫瘍の約72.5%縮小を認め、平成20年1月8日膀胱尿道全摘術+回腸導管造設術施行した。病理組織学的にはbladder cancer, small cell carcinoma, T1, ly0, v0, INFβ, n0, u-rt0, u-lt0, ur0, ew0, stageT、治癒切除であった。術後経過は良好で、2月14日退院となった。

今回我々は、予後不良とされる浸潤性膀胱小細胞癌に対して術前化学療法を行い、良好な結果を得た症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

 

 

15.前立腺膿瘍の2例

堀川雄平、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

【症例1】63歳男性。既往歴として糖尿病、閉塞性動脈硬化症(左下肢切断術後)。2006年8月18日排尿困難を伴う発熱認め、前医受診。CTにて前立腺膿瘍を認め、即日入院。抗生剤投与されていたが、血圧低下を認めた。このため8月19日某大学附属病院へ救急搬送されることとなったが、救急車内で血圧70台まで低下し、急遽当院への転送されることとなった。ICUにて全身管理を行い、抗生剤投与にて全身状態は改善したものの尿閉を認め、CTにて前立腺膿瘍が一部直腸に穿破していたため、9月12日経尿道的前立腺膿瘍壁切開術施行。その後、排尿状態は改善した。

【症例2】56歳男性。既往歴として糖尿病、アルコール性肝障害。2008年2月23日排尿障害、右陰嚢内容痛、右足の痛みを認め、2月25日発熱あり、前医受診し即日入院となった。抗生剤投与され、一旦解熱したが、3月5日発熱あり、3月6日CTにて前立腺膿瘍、腸腰筋膿瘍、坐骨大腿筋膿瘍を認めたため、当院へ転院となった。同日、腸腰筋、大腿筋膿瘍穿刺施行。前立腺膿瘍、坐骨筋膿瘍穿刺施行。ICUにて全身管理行い、3月11日腸腰筋膿瘍、大腿筋膿瘍切開ドレナージ施行。3月14日経尿道的前立腺膿瘍壁切開術施行、術後一時血圧低下を認めたものの、翌日には改善した。

今回我々は前立腺膿瘍の2例を経験したので若干の文献的考察を加え、報告する。

 

 

 

 




16.前立腺導管癌の1例

高本 篤、久住倫宏、大枝忠史(尾道市民)

 

症例は71歳男性。排尿困難を主訴に受診した。直腸診・腹部超音波検査では前立腺の腫大は軽度で硬結は認めず、ウロフロメトリーでは閉塞パターンを認めた。PSAは12.86ng/mlであった。前立腺生検(10箇所)では全組織片より前立腺導管癌を認めた。生検後の発熱は認めなかった。CT・MRI・骨シンチグラフィでは転移巣を認めず、恥骨後式前立腺全摘除術を施行した。術中所見では前立腺周囲への癒着が著しく、肉眼的に完全摘除は困難であった。病理組織診断は前立腺導管癌(ductal adenocarcinoma、Gleason score 4+5)であり、被膜外浸潤陽性、精嚢浸潤陰性、断端陽性、閉鎖リンパ節転移陰性であった(pT3apN0M0)。補助療法として局所への外照射療法66Gyを施行し現在外来通院中である。

 

 

 

 

 

 

 

17.陰茎angiosarcomaの1例

倉橋寛明、石井和史、大石智子、渡部昌実、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳

(岡山大)

松本裕子(広島市民)

辻和英(岡山大・皮膚科)、柳井広之(同・病理部)

 

症例は34歳、男性。主訴は勃起時疼痛。平成19年1月15日勃起時の陰茎根部の痛みを主訴に近医受診。経過観察にて症状改善せず、2月5日当科初診となった。初診時、疼痛部に一致して陰茎根部に約1cmの硬結を触知した。また冠状溝近位側の包皮皮下には約5mmの黒色腫瘤を3個認め、同部にも勃起時の疼痛を認めた。CEA、SCCは正常範囲内であり、MRIでは悪性を疑う所見なく、ペロニー病と診断し保存的加療を開始した。治療に反応せず疼痛が増悪するため、3月19日当院皮膚科にて黒色腫瘤を生検、angiosarcomaと診断された。さらに陰茎根部の硬結も生検を行ったところ、同様にangiosarcomaと診断された。陰茎angiosarcomaの診断のもと、7月3日陰茎全摘術+両側浅鼠径リンパ節廓清術施行した。摘出標本にはangiosarcomaの残存は認めず、リンパ節転移も認めなかった。一般的にはangiosarcomaは悪性度が高く、病変が非連続性に進展することが知られている。本症例に対し、再発予防のため術後放射線療法の併用を考慮したが、患者が拒否したため無治療にて経過観察を行っている。術後10ヶ月を経過した現在、再発を認めていない。陰茎に発生するangiosarcomaはきわめて稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

 

指定演題

再燃前立腺癌に対する新しい治療戦略について

那須保友(岡山大)

 

岡山大学では再燃前立腺がんに対する新たな治療法開発のための基礎・臨床研究を実施しているが、最近臨床に関連したいくつかの動きがあるので紹介したい。

【テーラーメイド型ワクチンを用いた臨床研究】

平成19年6月より、泌尿器科学分野では学内倫理委員会の承認を得て、久留米大学医学部および近畿大学医学部と共同して、再燃前立腺癌に対するペプチドワクチン・低用量エストラムスチン併用療法の有効性比較試験が実施されている。HLA typing検査によりHLA-A2陽性またはHLA-A24陽性が確認され、投与前の検査にてワクチン用に準備したペプチド(HLA-A2 拘束性12ペプチド、HLA-A24拘束性14ペプチド)のうち1つ以上のペプチドに対して末血中抗体(IgG)、または、末梢血中キラーT細胞前駆体(CTLp)が有意に反応することが確認できている患者が対象となる。岡山大学でも7例の症例に対する治療を実施しており有効例も認めておりその概要を報告する。

 

Interleukin-12遺伝子を用いた免疫遺伝子治療臨床研究

平成20年2月に厚生労働省よりの正式実施承認を得て鋭意準備中であり、5月中に実施予定である。対象は遠隔転移の有無にかかわらず、内分泌療法中に再燃してきた前立腺癌症例であり、研究の目的はInterleukin-12遺伝子発現アデノウイルスベクタ−を単独で投与した場合のa)安全性の検討(最大耐量の推定)、b)免疫学的反応の検討(局所および全身反応の解析)、治療効果の観察(評価可能症例)を目的とする第T/U相試験である。

 

【新規がん抑制遺伝子REIC/Dkk-3を用いた遺伝子治療臨床研究】

岡山大学で単離同定された抑制遺伝子であるREIC/Dkk-3遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療臨床研究を平成2051日学内委員会に申請を実施した。対象は遠隔転移の有無にかかわらず、内分泌療法中に再燃してきた前立腺癌症例であり、今後学内審査等所定の手続きを経て実施を目指す予定である。