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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

 

 

 

 

日 時:平成21年5月17日(日) 午後2時

場 所:川崎医科大学メディカルミュージアム

    2階大講堂

    倉敷市松島577

    TEL(086)462-1111(内線3221)





参加者の皆様へ

1)        受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2)       一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

3)        コンピュータープレゼンテーションはWin Power Pointでお願いいたします。

4)        コンピュータープレゼンテーションの場合にはCD-Rにファイルをコピーして, 5月14日(木)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。もし,変更がありましたら,当日CD-Rディスクをご持参下さい。

5)        会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

6)        予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

7)       今回よりIT化導入のため、参加単位登録カウンターを設置いたします。会員カードを忘れずにお持ちください。尚、従来の参加証も証明印を押印いたしますので、お持ちください。

 

 

 

お車でお越しの方へ

第二外来駐車場(有料100/時間)をご利用下さい。

 

 

 

 

 

 

 


プログラム

一般演題

14:0014:40              座長 真鍋大輔(香川県立中央)

1.自然破裂した腎血管筋脂肪腫の一例 【抄録】

中田哲也、村田 匡、明比直樹(津山中央)

 

2.多発性腎嚢胞の感染嚢胞の診断にMRIが有用であった1例  【抄録】

北 悠希、松岡崇志、牧野雄樹、田岡利宜也、伊波 恵、宗田 武、井上幸治、武縄 淳、寺井章人(倉敷中央)

 

3.婦人科腹腔鏡手術後両側尿管狭窄に対しバルーン拡張術が奏功した一例  【抄録】

岸本 涼、真弓友介、山本康雄、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

 

4.鏡視下尿管形成術を施行した下大静脈後尿管の1例  【抄録】

和田耕一郎、高尾 彰、小林泰之、石井和史、上原慎也、渡辺豊彦、雑賀隆史、

那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

14:4015:20              座長 石井和史(岡山大学)

5.当院における尿管結石に対するHo:YAGレーザーを使用したTUL、f-TUL治療成績  【抄録】

西山康弘、市川孝治、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

6.膀胱癌経過観察中に認められた膀胱脂肪腫の一例  【抄録】

能勢宏幸、藤田 治、眞鍋大輔、武田克治(香川県立中央)

杉本盛人(岡山労災)

 

7.悪性症候群の2例  【抄録】

牧 佳男(金光病院)

 

8.狭帯域光観察(以下NBI)が診断に有用であった膀胱CISの一例  【抄録】

黒瀬恭平(福山第一)

 

 

休憩

 

 

15:4016:20               座長 井上幸治(倉敷中央)

9.男性尿道憩室の1例  【抄録】

安東栄一、荒木大司、小武家誠、藤田竜二(岩国医療センター)

日下信行(岡山済生会総合)

 

10.若年性前立腺肥大症の1例  【抄録】

野田雅俊(野田泌尿器科クリニック)

 

11.経直腸的前立腺生検後に生じた敗血症の1例  【抄録】

久住倫宏、野崎邦浩、大枝忠史(尾道市民)

開原正展(同・内科)高本 篤(福山市民)

 

12.化膿性脊椎炎を合併した重症尿路感染症の1例  【抄録】

村尾 航、松本 裕子、江原 伸、三枝 道尚、荒巻 謙二 (広島市立市民)

 

16:2017:00               座長 藤井智浩(川崎医大)

13.陰茎異物(ワセリン)の2例  【抄録】

堀川雄平、小泉文人、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

14.外陰部皮下感染症の2例  【抄録】

小林知子、坂本英起、橋本英昭、入江 伸(岡山中央)

 

15.永久留置密封小線源療法後の局所再燃による尿閉に対してHoLAPを施行した

前立腺癌の1例  【抄録】

海部三香子、福元和彦、原 綾英、藤井智浩、常 義政、横山光彦、宮地禎幸、

永井 敦(川崎医大)

 

16.岡山大学病院におけるI125前立腺癌永久密封小線源療法の治療成績  【抄録】

上杉達也、枝村康平、谷本竜太、高尾彰、小林泰之、賀来春紀、雑賀隆史、

那須保友、公文裕巳(岡山大学・NPO法人岡山泌尿器科研究支援機構(OURG)

柳井広之(岡山大学・病理部)小武家誠(岩国医療センター)

小林知子(岡山中央)江原 伸(広島市民)

 

17:0017:10 

日本泌尿器科学会保険委員会報告

 

難波克一(岡山県国保連合会)

赤枝輝明(津山東クリニック)

武田克治(香川県立中央)

津島知靖(岡山医療センター)





一般演題

1. 自然破裂した腎血管筋脂肪腫の一例

中田哲也、村田 匡、明比直樹(津山中央病院)

 

症例は56歳の女性。2004年より左腎血管筋脂肪腫指摘されていたが経過観察となっていた。2009328日午前6時,自動車の運転中に突然の左側腹部痛があり,他院受診し疼痛処置を受けた。以降も症状の改善ない為,13時当院受診となった。病着時に血圧低下なくショック症状はなかった。同日施行の造影CT検査で左腎背側部に長径6cmの腫瘤あり,内部には脂肪成分を認めた。また,腎背側後腹膜腔に血腫を認めた。画像にて左腎血管筋脂肪腫自然破裂と診断した。その後もバイタルサインは安定しており,血算上の貧血進行はないため保存的治療を選択した。以降,画像上の血腫拡大はなかったが,本人が再破裂に対する予防的処置を希望したため第4病日に腫瘍血管に対してTAEを行った。

術後TAE反応としては38℃の発熱を認めるのみで,第10病日に退院となった。

 

 

 

 

2. 多発性腎嚢胞の感染嚢胞の診断にMRIが有用であった1

北悠希、松岡崇志、牧野雄樹、田岡利宜也、伊波恵、宗田武、井上幸治、武縄淳、

寺井章人(倉敷中央病院)

 

【緒言】腎嚢胞感染は多発性腎嚢胞において、たびたび腎摘除を余儀なくされる重大な合併症の一つである。しかし従来のエコー、CTでは感染嚢胞の同定は困難であるケースが多い。今回我々はMRIが感染嚢胞の同定に有用であった1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

【症例】症例は37歳男性。多発性腎嚢胞にてフォロー中、発熱および左側腹部痛を訴え救急センター受診。経過から腎嚢胞感染が疑われ、腹部単純CTでも左腎に数個の壁肥厚を伴う高輝度な嚢胞を認めた。抗菌薬加療で解熱せず、穿刺ドレナージが必要と考えられたが、貧血の進行も認めたため、腎嚢胞感染と出血性嚢胞の鑑別が必要であった。そこでDWI-MRIを撮影したところ、感染嚢胞を同定することができたため、エコーガイド下に穿刺ドレナージを施行。解熱、炎症反応の改善を認めた。

【考察】DWI-MRIT1/T2強調画像とも比較をすることで、感染嚢胞の同定に有用であると考える。

 

 

 

 

3. 婦人科腹腔鏡手術後両側尿管狭窄に対しバルーン拡張術が奏功した一例

岸本 涼、真弓友介、山本康雄、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病センター)

【緒言】婦人科腹腔鏡手術の適応拡大、症例増加に伴い、尿路系合併症も増加が予想される。今回我々は、術後に認められた両側尿管狭窄に対し、尿管バルーンカテーテルによる拡張術が奏功した症例を経験したので報告する。【症例】62歳女性【現病歴】子宮筋腫に対し、全腹腔鏡下子宮全摘術および両側付属器摘出術を施行された。術後異常なく退院したが7週目の超音波検査にて両側水腎症を指摘され当科紹介となる。【治療経過】エコー上両側水腎G2を認めた。逆行性腎盂造影では狭窄部位は左右とも仙腸関節下縁レベルからU3にかけて数mm長であったが、ガイドワイヤー、4.7Frのステントは若干の抵抗のみで挿入可能であった。ステント留置9カ月後に両側バルーン拡張術を施行、15Frのバルーンカテーテルを用い30気圧2分間にて拡張し、術後2カ月目に再留置したステントを片側ずつ抜去した。以後両側とも水腎認めず外来フォロー中である。【考察】婦人科腹腔鏡手術後の尿管狭窄は術後診断される例が多い。原因として癒着の他、パワーソースによる熱損傷、過度の尿管剥離による局所虚血などが考えられる。治療法として早期の開腹あるいは腹腔鏡手術による再建術などの報告もあるが、ステント留置のみで改善した報告もある。本症例の如くバルーン拡張術は低侵襲かつ簡便であり、数か月のステント留置にて改善を認めない症例に対して再建術前に考慮すべき有用な治療法と思われる。

 

 

 

 

4.鏡視下尿管形成術を施行した下大静脈後尿管の1例

和田耕一郎、高尾 彰、小林泰之、石井和史、上原慎也、渡辺豊彦、雑賀隆史、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

症例は65歳の男性。既往歴に特記事項なし。前医で下大静脈後尿管、右尿管結石と診断され、定期的に経過観察されていた。平成211月に右背部痛を主訴に前医を受診、結石の増大傾向を指摘され、鏡視下手術を希望したため当科紹介となった。CTDIPにてtype Iの下大静脈後尿管を認め、下大静脈との交叉部より頭側の尿管は径約4cmに拡張していた。各腎杯や拡張した尿管内には砂状の結石を多数認め、間欠的な右背部痛の原因と考えられた。右分腎機能の低下や感染徴候は見られなかった。治療として鏡視下尿管切石術と尿管尿管吻合が予定された。手術は左下側臥位、経腹膜的アプローチで4本のポートを用いて施行した。下大静脈後面に位置した尿管を切除し、腎側の拡張した尿管を形成、ダブルJステントを留置して尿管尿管吻合を施行した。手術時間は5時間10分、出血量は約100mlであった。結石は切離断端から観察しえず、あらためて治療する予定である。結石による背部痛を契機に鏡視下手術を施行した下大静脈後尿管の1例を経験した。下大静脈後尿管の手術適応や術式について若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

5. 当院における尿管結石に対するHo:YAGレーザーを使用したTUL、f-TUL治療成績

西山康弘、市川孝治、山根 享、早田俊司(鳥取市立病院)

 

〔目的〕20077月よりVersa Pulse Select TMBoston Scientific)を導入し、尿路結石に対し経尿道的Ho:YAGレーザー砕石術を施行している。尿管結石に対する1 procedureの手術成績につき検討した。〔対象〕20077月より20091月までの間に施行した尿管結石86単位(75症例:平均年齢62.4歳)を対象とした。結石の存在部位(平均サイズ)はU143単位(11.6mmU220単位(7.6mm)、U323単位(7.3mm)であった。〔方法〕手術では硬性尿管鏡、軟性尿管鏡(オリンパスP5)、アクセスシース、ゼロチップなどを使用した。TUL治療(1 procedure)後3ヶ月以内に残石なし(完全排石)かつ閉塞解除(水腎症の改善)したものをstone freeとした。〔結果〕Stone free rateU1結石が93U2結石が100%、U3結石が100%であった。合併症は認めなかった。〔結語〕尿管結石に対しTUL、f-TULは有効かつ安全である。ESWLの手術成績と比較検討する。

 

 

 

 

6. 膀胱癌経過観察中に認められた膀胱脂肪腫の一例

能勢宏幸、藤田 治、眞鍋大輔、武田克治(香川県立中央病院)

杉本盛人(岡山労災病院)

 

症例は76歳女性。膀胱癌のフォローアップ中、表在性の膀胱内再発を認め経尿道的手術目的に入院となった。入院後に施行したMRI上膀胱壁内に2cm大腫瘤影を認め、画像上脂肪腫もしくは脂肪肉腫が疑われた。膀胱癌治療後に期間をおいて、腫瘤摘出術を施行した。術中所見では腫瘤は腹膜と高度癒着あるも、膀胱筋層との間は容易に剥離された。病理診断は炎症を伴った脂肪塊であり、遊離した腹膜垂が疑われた。腹膜垂は腸間膜付着部の反対側に存在する脂肪識で、直腸を除く大腸全体に存在する。炎症等何らかの原因で遊離した腹膜垂が、膀胱壁に接する形で存在していたものと考えられた。

 

 

 

 

7. 悪性症候群の2例

牧 佳男(金光病院)

 

 悪性症候群は1960年代にフランスで報告されたクロルプロマジン投与中の高熱、意識障害、筋固縮、不随運動などの錐体外路症状を特徴とする重い副作用に名付けられた。

 われわれは、泌尿器疾患の治療中、2例の悪性症候群を経験した。症例1は75歳、男性で前立腺癌末期(T4N1M1b)の疼痛緩和療法中、精神不穏に対してセレネース、セルシンの静注をしたところ、意識障害、尿失禁、40℃以上の発熱、LDHCPKBUNCreKの上昇を認め悪性症候群と診断し、ダントリウムの投与を開始したが翌日死亡した。

症例2は82歳男性で、睡眠薬、抗不安薬の常用者である。前立腺肥大症に対して経尿道的前立腺切除術を施行した。術後6日目、睡眠薬を変更後、意識障害、高熱をきたし、尿が赤くなったため、CPKを測定したところ上昇を認め、悪性症候群と診断し、ダントリウム、ブロモクリプチンの投与を開始して救命することができた。

 

 

 

 

8. 狭帯域光観察(以下NBI)が診断に有用であった膀胱CISの一例

黒瀬 恭平(福山第一病院)

 

症例は77歳、男性。肉眼的血尿主訴に来院、膀胱鏡にて後壁右に乳頭状腫瘍を認めたため、TUR-Btを行い、筋層非浸潤性膀胱癌と診断された。術後5カ月で再発、再度TURを行い、病理結果はCISであった。後療法としてBCG膀胱内注入療法を行ったが、尿細胞診ClassXが続くため、2度にわたり膀胱無作為生検および両側RP・分腎尿採取を行った。いずれも悪性所見無く、以降も尿細胞診ClassX続くため、精査目的に入院となった。腰椎麻酔下にNBI膀胱鏡で観察すると、膀胱右壁に通常光では同定し得なかった粗造な粘膜面を認め、生検を行ったのち同部位を可及的に凝固焼灼した。病理結果はNBI膀胱鏡で所見のあった部位のみCISを認めたが、焼灼部周囲および無作為生検は悪性所見を認めなかった。術後尿細胞診は一旦ClassUと陰性化したが、再度ClassXとなったため、BCG2コース目を行い、現在尿細胞診は陰性化し、再発を認めていない。

 

 

 

 

9. 男性尿道憩室の1例

安東栄一、荒木大司、小武家 誠、藤田竜二(岩国医療センター)

日下信行 (岡山済生会総合病院)

 

【症例】58歳、男性。【既往歴】脊髄小脳変性症、認知症、症候性てんかん、低酸素性脳症後遺症。【現病歴】20089月上旬より、両側の陰嚢腫大、下腹部痛、尿道からの膿様物質の排出が出現したため、911日に当科紹介受診となった。【検査所見】MRIで尿道と連続性のある長径約9cmの陰嚢内液体貯留、及び左陰嚢水腫を認め、尿道造影では同部に巨大な尿道憩室を認めた。膀胱尿道鏡では前部尿道6時に憩室開口部を認め、スコープは憩室内に挿入可能であった。憩室内はdebrisが多量貯留していたが、明らかな腫瘍を認めなかった。後部尿道、膀胱内はいずれも異常を認めなかった。【経過】1114日に尿道憩室切開術および左陰嚢水腫除去術を行った。尿道憩室は、陰嚢正中に縦切開し憩室を周囲組織から剥離。憩室の頸部は外尿道から6cmの位置で約1cm開口していた。憩室はその頸部で切除し、尿道粘膜、周囲組織で2層に縫合閉鎖した。摘出した憩室の病理所見では、炎症性変化のみで悪性所見は認めなかった。術後約2ヶ月後の膀胱尿道鏡、尿道造影ともに異常なく、自力排尿も十分に得られている。【考察】我々は前部尿道に発生した尿道憩室の1例を経験した。多少の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

10.若年性前立腺肥大症の1例

野田雅俊(野田泌尿器科クリニック)

 

症例は31歳男性。間歇的無症候性肉眼的血尿を主訴に平成19年7月当科外来を受診した。血尿とともに尿意切迫感と頻尿を認めていた。エコーにて43mm×42mmの前立腺の腫大を認め、血尿の鑑別診断の後、慢性前立腺炎の治療を行った。症状は軽快し通院は中断。平成20年強い下腹部痛を認め受診。腹部超音波にて著明な残尿と50mm×47mmの前立腺の腫大、両側の水腎症を認めた。導尿(800ml)後α遮断薬、セルニルトンを投与するも翌日も尿閉にて受診、間歇導尿を指導した。MRIにてperipheral zoneは保たれていたが、壁に不整のある著明な前立腺の腫大を認めた。導尿中ではあったがPSA26.24ng/mlにて、前立腺生検施行。病理組織学的にはhyperplasticな前立腺腺管を認めるが、異型性は認められなかった。その後も排尿困難はあるが導尿からは離脱しておりα遮断薬とセルニルトンで残尿は減少しつつある。前立腺の体積はほぼ不変である。若年性の前立腺肥大症はまれではあるが、過去にも症例報告が散見されている。前立腺の腫大が非可逆的であれば非常に長期にわたり生活に影響を与える難病とも言え、まずは症例の集積、調査が必要と思われる。

 

 

 

 

11.経直腸的前立腺生検後に生じた敗血症の1例

久住倫宏、野崎邦浩、大枝忠史(尾道市立市民病院)

開原 正展(同・内科)高本 篤(福山市民病院)

 

症例は50歳台男性。基礎疾患は高血圧。PSA 9.54ng/mlと上昇を認め前立腺生検を行った。生検前に膿尿はなく、感染予防として生検前日よりLVFX400mg/日を内服し、サドルブロック下にエコーガイド下経直腸的前立腺生検を12箇所行った。術中鳩卵大の内痔核を認めたが、直腸からの出血はなく問題なく生検は終了した。しかし翌日朝より42度の高熱、無尿、血圧低下、血小板低下が出現し、急性前立腺炎による敗血性ショック、DICと診断した。直ちにICU管理下で 血液浄化療法(CHDFPMX-DHP)、抗DIC治療とMPEM投与を行い、全身状態は改善傾向となった。発熱時の尿・血液培養よりESBL産生大腸菌を認めた。炎症反応持続と腎機能低下が遷延したが、10日目に可及的に痔核摘出術を施行した後は経過良好で、生検後21日目に退院した。病理診断では前立腺に悪性所見は認めなかった。現在外来で経過観察中であるが、腎機能は正常化し全身状態は良好である。

 

 

 

 

12.化膿性脊椎炎を合併した重症尿路感染症の1例

村尾 航、松本 裕子、江原 伸、三枝 道尚、荒巻 謙二 (広島市立市民病院)

 

症例は77歳男性。平成20118日に背部痛・発熱にて当院救急外来を受診した。採血にて著明な炎症所見あり、検尿にて膿尿・細菌尿を認め、急性腎盂腎炎として当科入院となった。入院後、血圧低下・意識レベルの低下を認め、敗血性ショックとして全身管理、抗生剤投与を要した。数日で全身状態は改善した。入院時の尿培養・血液培養より薬剤感受性良好なE. coliが検出されており、抗生剤投与(CZOP)にて症状改善が期待されたが、1週間投与継続後も発熱は持続し、腰痛は改善しなかった。原因精査目的のCTにて第2・第3腰椎に化膿性脊椎炎を疑う所見を認め、MRIにて化膿性脊椎炎、両側腸腰筋膿瘍を認めた。CTガイド下にてドレナージ目的の腸腰筋膿瘍穿刺術を施行した。膿培養でもE. coliが検出された。処置後、発熱は軽快したが微熱・腰痛は継続した。化膿性脊椎炎の症状と判断し、コルセット着用にて患部の安静を保ち、抗生剤(CEZ)を約7週間投与した。発熱・炎症所見は改善し、リハビリテーション後、平成214月に退院となった。

化膿性脊椎炎は比較的希な疾患ではあるが、MRIの普及により診断が容易となった事もあり、近年増加傾向にある。尿路感染に合併する事が多いとされており、尿路感染治療に際して、その病態について認識しておくことが望ましいと思われる。

 

 

 

 

13.陰茎異物(ワセリン)の2例

堀川雄平、小泉文人、山田大介、陶山文三(三豊総合病院)

 

【症例129歳男性。主訴は陰茎潰瘍。現病歴:19歳時に陰茎包皮下にシリコンボールを自分で挿入。28歳時(約1年前)にワセリンを溶かし注射器で陰茎皮下に注入した。その痕が最近開いて、治癒しないため、2006921日当科外来受診。包皮背側に長径約3cmの皮膚潰瘍を認めた。手術加療目的に922日入院、925日腰椎麻酔下に環状切除術、陰茎形成術施行。シリコンボールを摘除し、皮下組織に浸潤したワセリンを可及的に切除した。組織病理は異物肉芽腫であった。術後経過は順調で、手術後8日退院、外来にて抜糸を行った。一部創し開を認めたものの、保存的に加療し、治癒した。

【症例238歳男性。主訴は陰茎部疼痛。現病歴:28歳時に陰茎包皮下にワセリンを注入したが、最近になり陰茎部に疼痛を生じてきた。除去希望にて20081111日当科外来受診。陰茎背側にシリコンボール2個触知、包皮先端にワセリンと思われる結節を触知した。1210日入院、1211日腰椎麻酔下に環状切除術、異物除去術施行。病理組織は異物肉芽腫であった。手術後8日抜糸、翌日退院。創し開は生じなかった。

今回我々はワセリンによる陰茎異物の2例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

14.外陰部皮下感染症の2例

小林知子、坂本英起、橋本英昭、入江 伸(岡山中央病院)

 

症例157歳男性。主訴は乏尿、既往歴は特になし。受診前日より会陰部腫脹を自覚していた。来院時発熱はないがプレショック状態。高度肥満を認め、性器から会陰、肛門周囲まで発赤腫脹が著明であった。CTにて皮下脂肪織内にガスを認めた。即日デブリドマンを施行、MEPM1.5gLVFX 400mgと投与し軽快、28日目に退院した。症例2:43歳男性。主訴は発熱と陰嚢腫脹で、糖尿病の既往歴あり。受診1週間前から陰嚢腫脹を自覚、2日後に発熱し近医内科にてLVFX処方されたが腫脹が増悪、排膿が出現した。近医泌尿器科を受診し外科的処置が必要として当院紹介。来院時体温38.7℃、血糖値270 mg/dl。陰嚢皮膚に小児手掌大の黒色壊死部を認め、周囲2箇所より排膿を見た。CT上は皮下に限定した膿瘍の所見であった。即日デブリドマンを施行しPIPCCZOP(LVFXも継続)投与にて軽快。20日目に皮膚欠損部の修復のため形成外科へ転院した。外陰部の壊死性筋膜炎はフルニエ壊疽と呼ばれ、致死率の高い救急疾患とされている。今回の症例はそれには至らずと考えるが、泌尿器科医として比較的遭遇する疾患であり、若干の文献的考察を加えて供覧する。

 

 

 

 

15.永久留置密封小線源療法後の局所再燃による尿閉に対してHoLAPを施行した

前立腺癌の1例

海部三香子、福元和彦、原 綾英、藤井智浩、常 義政、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦

 (川崎医科大学

 

症例は61歳男性。20044PSA 5.7ng/mlにて前立腺癌(Gleason score2+2T1cN0M0,stage B0)と診断。20053月、他院にて永久留置密封小線源療法を施行。200710月、PSA再燃にてLH-RH agonistによるアンドロゲン除去療法開始、その後通院の都合で20078月当科紹介受診となった。20082PSA上昇を認めたためbicalutamideを併用したが、効果は一時的であり10月にflutamideに変更した。同年11月尿閉の状態となり、間欠的自己導尿にて排尿管理を行った。精査では局所再燃のみで遠隔転移は認めず、1225HoLAPを施行した。術中の経直腸超音波検査では、前立腺基部から膀胱頚部のシードの挿入されていない部分のみに腫瘍の増殖があり、シードのない部分を蒸散した。術中、術後シードの尿中への排出は認めなかった。病理診断は低分化型腺癌、Gleason score 5+4であった。術後4日目に尿道カテーテルを抜去し、以後自尿は良好である。術後、前立腺に外照射放射線療法(IMRT)を施行、現在、LH-RH agonist投与およびEMP内服で外来加療中である。

 

 

 

 

16.岡山大学病院におけるI125前立腺癌永久密封小線源療法の治療成績

上杉達也、枝村康平、谷本竜太、高尾彰、小林泰之、賀来春紀、雑賀隆史、那須保友、

公文裕巳(岡山大、NPO法人岡山泌尿器科研究支援機構(OURG)

柳井広之(岡山大学医学部歯学部附属病院病理部)

小武家誠(岩国医療センター)小林知子(岡山中央病院)

江原 伸(広島市民病院)

 

(目的)限局性前立腺癌に対するI125前立腺癌永久密封小線源療法における当院での成績を報告する。(対象と方法)対象は治療後1ヶ月以上経過観察可能であった低リスク群および中間リスク群の386例で、観察期間は311823日(中央値916日)であった。症例の背景は、年齢4979才(中央値67才)、initial PSA1.1319.36(中央値6.96)、T分類はT1c251例、T2a71例、T2b29例、T2c35例で、グリソンスコアは6以下:246例、3+490例、4+350例で、リスク分類は低リスク群184例、中間リスク群202例であった。統計学的解析はKaplan-Meier法で行い、有意差はLogrank検定を用い算出した。(結果)他因死を4例に認めたが、癌死は認めなかった。再発例は低リスク群2例、中間リスク群11例であった。非再発率は、低リスク群(1:100%、2:99.2%)で、中リスク群(1:99.4%、297.2%)で両群間に有意差を認めた。(p0.0064)(結論)前立腺癌に対する密封小線源療法の長期成績は日本人症例では報告が少なく、当院での経験症例を追加症例も含め報告する予定である。