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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

   

日 時: 平成21年12月12日(土)
学術集会:午後2時
懇 親 会:午後6時00分
   
場 所: おかやま三光荘
岡山市中区古京町1丁目7-36
TEL (086) 272-2271

 

参加者の皆様へ

 

1.        受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2.        会場費として2000徴収させていただきます。

3.        一般演題は口演時間7分、討論3分です。時間厳守でお願いします。

4.        コンピュータープレゼンテーションはPowerPoint-Win2003でお願いいたします。

5.        コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをCD-Rディスクにファイルをコピーして、 1210日(木)までに、事務局に送付して下さい。動作の確認をします。もし、変更がありましたら、当日ディスクをご持参下さい。Eメールで2M以上のファイルを送付されますと、岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので、ご遠慮下さい。

6.        PowerPoint以外のソフトで作成した図、グラフや動画を挿入している場合には、コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には、コピー元ファイルも必要です。

7.        会場での質疑応答は、座長の許可を受けた上で、必ず、所属、氏名を明らかにしてからご発言下さい。

8.        懇親会場は3階和室宴会場『吉備』にて600分より予定しております。

会費は8000です。

 

 

2009年度よりIT化導入のため、参加単位登録カウンターを設置しております。日本泌尿器科学会会員カードを忘れずにお持ち下さい。尚、従来の参加証も証明印を押印致しますので、お持ち下さい。

 

*今回は学術集会、懇親会とも三光荘ですのでよろしくお願い致します

 

 

 

 

プログラム

 

一般演題

 

14:0014:50                                              座長  横山光彦(川崎医大)

 

1.        腹腔鏡下摘出術を行った副腎神経節細胞腫の1例

中村あや、津川昌也(岡山市立市民)

岸田雅之(同・内科)

 

2.        自然破裂によって発見された副腎骨髄脂肪腫の1例

郷原真輔、村上貴典(姫路聖マリア)

 

3.         TAEtranscatheter arterial embolization)が奏効した腎動静脈瘻の2

坂本英起、小林知子、橋本英昭、入江 伸、金重哲三(岡山中央病院泌尿器科)

前原信直(同放射線科)

神吉昭彦、山下武則(川譜繪ネ大学附属病院放射線科)

 

4.        前腕部留置式埋没型中心静脈リザーバーの初期経験

杉本盛人、那須良次(岡山労災)

倉繁拓志、小野憲昭(高知医療センター)

 

5.        後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1

市川孝治、西山康弘、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

14:5015:30                                              座長 村上貴典(姫路聖マリア)

 

6.        腎盂癌との鑑別困難であった尿管内腫瘍塞栓を伴った腎癌の1例

藤田 治、和田耕一郎、眞鍋大輔、武田克治 (香川県立中央)

 

7.        尿路感染症に合併した感染性心内膜炎の2

甲斐誠二、野崎邦浩、大枝忠史(尾道市立市民)

高村俊行(同・循環器科)

 

8.        術前6週間の免疫抑制で成功したハイリスク生体腎移植症例の1

河内啓一郎1、荒木元朗1、小武家誠2、上松克利1、小林泰之1、雑賀隆史1

那須保友1、公文裕巳1齋藤和英3、高橋公太31岡山大学、2岩国医療センター、

3新潟大学)

 

9.        成人成熟型後腹膜奇形腫に発生した腺癌の1例

高本 篤、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

 

15:3016:10                                              座長 那須良次(岡山労災)

 

10.    腹腔内膀胱自然破裂の2

村田 匡、中田哲也、明比直樹 (津山中央病院)

11. 都合により掲載中止
   松本裕子、村尾 航、黒瀬恭平、江原 伸、三枝道尚(広島市民)

 

12.    HoLEP技術の習得にTUR-P技術の有無は影響するか

岸本 涼1)、真弓友介1)、市川孝治2)、山本康雄1)、石戸則孝1)、高本 均1)

(倉敷成人病1)鳥取市立2)

 

13.    チタン製リングによる陰茎絞扼症の1例

松岡崇志、北 悠希、牧野雄樹、田岡利宜也、伊波 恵、宗田 武、井上幸治、 

武縄 淳、寺井章人(倉敷中央)

 

休 憩

 

16:3017:20                                              座長 武縄 淳(倉敷中央)

 

14.    続発性膀胱癌の2例

月森翔平、清水真次朗、海部三香子、原 綾英、藤井智浩、常 義政、横山光彦、

宮地禎幸、永井 敦(川崎医大)

 

15.    手術により摘出し得た膀胱癌副腎転移の2

瀬野祐子、新 良治、津島知靖(岡山医療センター)

 

16.    右精索転移を伴った膀胱肉腫の1

小泉文人、堀川雄平、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

17.    原発性膀胱絨毛癌の1例

藤田竜二、荒木大司、安東栄一、小武家誠(岩国医療センター)

日下信行(岡山済生会総合) 

 

18.    進行胚細胞癌に対する後腹膜リンパ節郭清術の検討−腫瘍学的、射精機能温存のアウトカム−

雑賀隆史、枝村康平、高尾 彰、小林泰之、上杉達也、小武家誠、時永賢治

橋本英昭、那須保友、公文裕巳1岡山大学、2岩国医療センター、3三原赤十字、

4岡山中央)

 

17:3017:45

 

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

武田克治(香川県立中央)

難波克一(岡山県国保連合会)

赤枝輝明(津山東クリニック)

津島知靖(岡山医療センター)

 

 

 

18:00

懇親会                            おかやま三光荘3F和室宴会場『吉備』

 

 

 

 

一般演題

1.  腹腔鏡下摘出術を行った副腎神経節細胞腫の1例

中村あや、津川昌也(岡山市立市民)、岸田雅之(同・内科)

 

症例は57歳男性。平成21127日自家用車から降りた時に下肢脱力による歩行困難を自覚し、救急病院受診を経て当院脳神経外科入院となった。自覚症状は軽快し、頭部CTMRI上異常なかったが、腹部CTで左副腎に長径41mmの腫瘍を認めたため、精査目的に内科転科となった。副腎に関する内分泌的検査では、尿中VMA定性検査のみ陽性であったが、その他には異常所見は認めなかった。さらに各種負荷試験も正常所見であり、MIBGシンチでも両側副腎の取り込みがあるものの、左右差は認めなかったので、内分泌非活性副腎腫瘍と診断した。内分泌非活性であったが、長径が40mmを超えていたため、説明と同意の上、226日に腹腔鏡下左副腎摘出術を施行した。摘出標本の病理組織検査では、副腎神経節細胞腫(ganglioneuroma)であった。術後経過は良好で、現在のところ再発は認めていない。

今回我々は、比較的稀な副腎神経節細胞腫に対して、腹腔鏡下摘出術を行った1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて考察する。

 

 

2.  自然破裂によって発見された副腎骨髄脂肪腫の1例

  郷原真輔、村上貴典(姫路聖マリア)

 

症例は40歳男性。2009130日夕方より突然右胸部痛が出現したため、翌日131日、近医を受診した。鎮痛剤の投与を受けたが、疼痛が持続するためCTを施行され、右後腹膜出血を認めたため当科紹介となった。来院時の血圧は144/82mmHg、採血にてヘモグロビンは142 g/dlであった。造影CTの再検にて右副腎より連続する90×79×98mm大の腫瘍を認め、腫瘍尾側、腎周囲脂肪組織内に血腫を認めたが血腫の増大は認めなかった。精査加療目的にて即日入院となった。CTMRIによる画像診断では右副腎原発の骨髄脂肪腫を疑う所見であった。内分泌検査ではコルチゾールの軽度上昇認めるもののACTHは正常範囲であり内分泌非活性であった。安静加療にて以後出血を認めず、CTでも血腫の縮小を認めたため、一旦退院後、200933日再入院にて35日、経腹的右副腎摘出術施を行した。病理組織は骨髄脂肪腫であった。術後経過良好にて324日退院となった。今回非常に稀である副腎骨髄脂肪腫を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

3.  TAEtranscatheter arterial embolization)が奏効した腎動静脈瘻の2

坂本英起、小林知子、橋本英昭、入江 伸、金重哲三(岡山中央病院泌尿器科)

前原信直(同放射線科)

神吉昭彦、山下武則(川譜繪ネ大学附属病院放射線科)

 

腎動静脈瘻の治療はかっては外科的切除が中心であったが、現在は低侵襲で腎機能の保存が可能な動脈塞栓術による治療が一般的となっている。今回われわれはTAEtranscatheter arterial embolization)によって治療しえた腎動静脈瘻の2例を経験した。症例168歳女性、右側腹部痛と血尿を主訴に近医受診した。右尿管結石として経過観察となっていたが血尿増強し膀胱タンポナーデとなったため当科紹介となった。CT上右腎盂に微細な腎動脈が集簇してみられた。血管造影にて右腎動脈の2本の区域動脈から蔓状の動脈瘤を認め、腎静脈へのシャントを確認でき、右腎動静脈瘻と診断した。出血激しく輸血も要したため川崎医科大学にて緊急TAE施行した。症例236歳女性、肉眼的血尿と右側腹部痛を主訴に受診した。腹部造影CTにて腎盂から下部尿管にかけて血塊嵌頓認めた。また右腎下極に集簇様の微細な動脈あり、腎動静脈瘻疑われた。貧血は軽度であったが微熱続き、疼痛強いため川崎医科大学にてTAE施行した。どちらも術後肉眼的血尿消失し経過は良好である。腎動静脈瘻について若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

4. 前腕部留置式埋没型中心静脈リザーバーの初期経験

杉本盛人、那須良次(岡山労災)、倉繁拓志、小野憲昭(高知医療センター)

 

(目的)当科では20096月より泌尿器科進行癌の患者に対して、前腕部留置式埋没型中心静脈リザーバーを使用し、癌化学療法や中心静脈栄養などを行っている。今回、導入後6カ月間の初期経験を報告する。(対象と方法)対象は10症例(尿路上皮癌5例、腎癌2例、前立腺癌2例、後腹膜小細胞癌1例)。原則として局所麻酔下に利き腕と反対側の正中あるいは尺側皮静脈を穿刺し、5FrアンスロンP-Uカテーテル(東レ社製)を挿入、先端を上大静脈まで進めていき、末梢側は皮下トンネルを通してセルサイトブラキアルポート(東レ社製)を接続し前腕部皮下に埋没した。穿刺困難であった2例ではカットダウン法で行った。(結果)9例が癌化学療法、1例が中心静脈栄養目的の留置であった。合併症は1例でカテーテル刺激による一過性の血管痛を認めたが、感染、カテーテル閉塞、破損はなかった。外来および短期入院による化学療法への移行も問題なく、化学療法施行時の薬液漏出などのトラブルも認めなかった。(結論)消化器癌領域を中心として中心静脈リザーバー留置下での癌化学療法が一般的となっている。前胸部留置式のリザーバーに比べて、前腕部からのアプローチは穿刺部の合併症が少なく、泌尿器科医にとっても習得しやすい手技である。癌化学療法から中心静脈栄養への移行もスムーズに行うことができるため、泌尿器科進行癌患者に対して積極的に選択されるべき処置と思われた。

 

 

5. 後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1

市川孝治、西山康弘、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

後腹膜腫瘍の頻度は全腫瘍の約0.2%で、このうち約80%が悪性腫瘍とされている。今回我々は後腹膜に発生した脱分化型脂肪肉腫の1例を経験したので報告する。

症例は72歳、男性。2年前からの残尿感、夜間頻尿を主訴に受診した。顕微鏡的血尿を認めたが、腹部超音波検査では異常なくPSAも正常範囲であった。トリプタノール投与にて経過観察中、1年目の腹部超音波検査にて右腎周囲に約6cmの低エコーを呈する腫瘍を偶然認めた。CTMRIにて後腹膜脂肪肉腫が疑われ、確定診断のため針生検を施行した。病理結果は確定診断には至らないが強く肉腫を疑うとの所見であった。このため、全身麻酔下に後腹膜腫瘍を右腎、右半結腸および肝の一部とともに切除した。手術時間は5時間33分、出血量は320ml、腸管を除いた摘除重量は520gであった。病理結果は粘液型脂肪肉腫、高分化型脂肪肉腫およびMFH様(炎症型)組織が混在しており、脱分化型脂肪肉腫の診断であった。脱分化型脂肪肉腫は悪性度が高く、手術による完全切除が基本となる。本例でも腫瘍に接する臓器をすべて切除する予定で手術を行った。経過は良好で術後13日目に退院、現在再発なく外来経過観察中である。

 

 

6. 腎盂癌との鑑別困難であった尿管内腫瘍塞栓を伴った腎癌の1例

藤田 治、和田耕一郎、眞鍋大輔、武田克治 (香川県立中央)

 

症例は43歳の男性。平成218月より無症候性肉眼的血尿認め近医受診。腹部CTにて左腎腫瘍疑われ平成219月当科外来紹介受診。CT検査で左腎上極に直径約8×7cmの造影効果を伴う腫瘍を認め、腎盂内に連続していた。また左肺S5に直径8mmの結節影および傍大動脈リンパ節腫脹も認めた。尿細胞診classT、膀胱鏡では明らかな腫瘍性病変はなかった。

以上より左腎癌(cT3acN2M1)と診断し、平成209月経腹的左腎摘除および腎門部リンパ節郭清術を施行した。術中迅速病理検査にてUC疑われ左尿管全摘および膀胱部分切除術を追加した。尿管下端まで約17cmの紐状腫瘍塞栓を尿管内に認めた。

病理検査ではRCCclear cell cartinomaG2>G3>>G1INFβv()pT3apN0の診断であった。周囲腎盂粘膜や尿管粘膜に悪性所見は認めなかった。

左肺S5結節に関しては当院呼吸器外科にて平成2110月胸腔鏡下肺腫瘍切除術施行し、病理検査でRCC転移と診断された。

現在術後補助療法につき検討している。

尿管内腫瘍塞栓を伴った腎癌は非常に稀であり、若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

7. 尿路感染症に合併した感染性心内膜炎の2

甲斐誠二、野崎邦浩、大枝忠史(尾道市立市民)

高村俊行(同・循環器科)

 

症例1:80歳台男性、尿道狭窄に対し、近医で定期的に尿道ブジーを行っていた。平成20617日当科紹介受診したが、616日より38度台の発熱を認めていた。膿尿を認め、尿路感染症として抗生剤加療を開始した。PIPC→JAN→SBT→LZDと変更するも解熱しなかった。78日循環器科受診し、感染性心内膜炎の診断を得た。引き続きLZDで加療し、保存的に治療しえた。症例2:70歳台男性、平成21331日より左側腹部痛自覚し、41日左尿管結石の診断で他院入院。46日当科受診し、左尿管結石による左水腎症と急性腎盂腎炎と診断し、同日TUL、尿管ステント留置術、抗生剤治療開始した。CEZ→BIPMで加療するも解熱しなかった。410日循環器科受診し、413日経食道エコーで感染性心内膜炎の診断を得た。414日福山循環器科病院転院、416日疣贅除去、人工弁置換術施行された。術後気胸認め、514日呼吸器管理のまま当院転院したが、63日呼吸器離脱。MRは認めるものの術後経過良好で、リハビリ目的に617日転院となった。感染性心内膜炎は多くの合併症を引き起こす重大な疾患である。遷延する尿路感染症では感染性心内膜炎を一考する必要があると思われる。

 

 

8. 術前6週間の免疫抑制で成功したハイリスク生体腎移植症例の1

河内啓一郎1、荒木元朗1、小武家誠2、上松克利1、小林泰之1、雑賀隆史1、那須保友1

公文裕巳1齋藤和英3、高橋公太31岡山大学、2岩国医療センター、3新潟大学)

 

【症例】26歳男性。Alport症候群【既往歴】13歳よりESRDにてCAPD HD。【輸血歴】16MAP 大量輸血、24歳時MAP 4単位【現症】59歳父親がドナーのA型適合生体腎移植。HLA1ミスマッチ、CDC XMBwBc陽性、LAB screenDonor Specific Antigenは陰性であったが、flow PRA ClassI449%ClassII133%であり免疫学的ハイリスク症例と考えられた。ドナー腹部CTにて左腎に壁在石灰化を伴う嚢胞(5cmBosniak分類II)を認め悪性の可能性が5%ありCTで1年間フォローアップしサイズ不変を確認し移植に臨んだ。【経過】術前42日(D-42)よりセルセプト内服開始。D-28よりプログラフ内服(目標トラフ濃度5ng/ml)およびメドロール8mg/d内服開始。D-14-2に血漿交換およびリツキサン100mg投与施行。D04にシムレクト20mg投与。ドナー腎摘時に嚢胞を切除し術中迅速病理検査にて悪性所見のないことを確認後、ドナー腎摘出を施行した。腎動脈は2本。Benchcommon channelとした。D34にプロトコール腎生検施行し拒絶反応なし。術後16週現在、sCr12mg/dl プログラフ目標トラフ5-7ng/ml、セルセプト1000mg/d、メドロール6mg/d内服にて拒絶反応、合併症なく経過良好である。また高度の免疫抑制にて心配された感染症も、今のところサイトメガロウイルスを含め(予防投与なし)見られていない。

 

 

9. 成人成熟型後腹膜奇形腫に発生した腺癌の1例

高本 篤、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

症例は47歳女性。近医にて人間ドックで後腹膜腫瘍を指摘され、20065に当院紹介受診となった。来院時、身体所見は異常なく、血液検査でも特記事項は認めなかった。腹部超音波所見・CTMRIでは左腎上極に径10cm程度の内部に脂肪成分・石灰化成分および一部造影効果を伴う充実性成分を有する分葉状構造の嚢胞状腫瘍を認めた。20066月に超音波ガイド下腫瘍生検を施行したが、悪性所見を認めなかったため、外来定期経過観察としていた。しかし、20091CTにて腫瘍内充実性成分の若干の増大を認め、20092月にCTガイド下腫瘍生検にて充実成分の一部より腺癌を認めたため、20095月7日後腹膜腫瘍摘出術を施行した。病理結果では軟骨・骨髄・線毛円柱上皮の背景のなかに中分化型腺癌を認めたが、未熟な組織は認めず成熟奇形腫に発生した腺癌と診断した。術後6ヶ月経過し、再発を認めず経過は良好である。

後腹膜腫瘍は全腫瘍中の08%を占めるとされ、そのうち奇形腫の占める割合は6-18%とされている。今回われわれは成人の後腹膜成熟奇形腫より発生した腺癌の一例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

10. 腹腔内膀胱自然破裂の2

村田 匡、中田哲也、明比直樹 津山中央)

 

最近経験した腹腔内膀胱自然破裂の2症例につき報告する。症例182歳女性。主訴は下腹部痛。既往は糖尿病および関節リウマチでステロイド内服。9/23転倒による右大腿骨頚部剥離骨折にて整形外科入院保存的加療中、9/26突然下腹部痛が発症した。次第に痛みの範囲が拡大し、腹部CTにて膀胱破裂および汎発性腹膜炎が疑われ紹介された。膀胱造影を行い腹腔内膀胱破裂と診断し緊急開腹手術を施行した。膀胱と小腸の癒着強固で、腸部分切除および腹腔内洗浄ドレナージ、膀胱破裂部を縫合閉鎖した。小腸縫合不全で再手術、ストーマ造設を要したものの、その後全身状態は改善した。症例283歳女性。主訴は腹痛。既往は子宮癌にて開腹術および放射線加療。9/9腹痛で近医受診し、CTで腹壁瘢痕ヘルニアを疑われ救急受診。外科で緊急開腹術が行われた。術中、腹腔内に混濁した液体貯留と膀胱頂部に穿孔部を認め、当科に連絡され穿孔部を縫合閉鎖した。術後経過は良好で9/17膀胱造影を行い尿道カテーテルを抜去した。自排尿に問題なく10/7転院した。

 

 

12.  HoLEP技術の習得にTUR-P技術の有無は影響するか

岸本 涼1、真弓友介1、市川孝治2、山本康雄1、石戸則孝1、高本 均1

1倉敷成人病センター2鳥取市立

   

【目的】近年多くの施設でHoLEPの導入が進んでいるが、技術習得に必要な経験症例数やTUR-Pなどの経尿道的手術の経験はlearning curveを短縮するか否か、については未だに議論が尽きない。またHoLEPにおけるlearning curveは、大きな前立腺でも所要時間に大きな差が出ないHoLEPの特性上、数量的評価を行うことが難しい。上記の点に対し、今回我々は当科での症例を基に、learning curve検討に適切と思われる症例数と摘出重量の範囲を設定し、術者間背景の違いによる比較検討を行い、HoLEP技術の習得にTUR-P技術は影響するかどうかを検討した。【方法】当科で行われた309例のHoLEPのデータを基に摘出重量と核出時間についての回帰曲線および熟練者のlearning curveを求めた。両曲線に基づきTUR-P100例以上の経験を持つ指導医2名と同100例以下の若手2名の、執刀初期20例以内かつ摘出重量60g以下の症例について比較検討を行った。【結果】4群の摘出重量および重量/核出時間に有意差は認めなかった。【考察】今回の若手は初執刀前に熟練者の手術の助手を多数例経験していたことが結果に影響していると考えられた。今回の検討では経尿道的手術とHoLEP助手の経験がある程度あれば、TUR-Pの経験の有無はlearning curveに影響しない可能性が示唆された。

 

 

13. チタン製リングによる陰茎絞扼症の1例

松岡崇志、北 悠希、牧野雄樹、田岡利宜也、伊波 恵、宗田 武、井上幸治、武縄 淳、

寺井章人(倉敷中央) 

 

患者は48歳、男性。

亀頭下に厚さ1cm程度のチタン製リング挿入。抜去困難であったが様子をみていたところ翌日夜の入浴後から疼痛増悪。挿入後約24時間後に救急外来受診した。

受診時亀頭部は軽度腫大しており、用手的に抜去試みるも困難であった。

またリングカッターにても切断不可能であったため歯科Drに依頼し歯科用エアタービンにて絞扼解除を行った。

絞扼解除後の陰茎皮膚は浮腫状であったが、自然に症状は軽快した。

現在まで特に大きな合併症は出現していない。

若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

14. 続発性膀胱癌の2例

月森翔平、清水真次朗、海部三香子、原 綾英、藤井智浩、常 義政、横山光彦、

宮地禎幸、永井 敦(川崎医大)

 

症例@71歳女性で、2006年に左乳癌(Stage T)に対し乳房温存手術施行し、ホルモン療法にて治療中であった。20085月に血痰が出現し、気管支鏡にて原発性肺癌(ad)(T4N1M0StageVb)と診断し化学療法を開始した。20095月より血尿を認めたため当科紹介受診。膀胱鏡にて膀胱後壁に5mm大の広基性乳頭状腫瘍を認めたため、TUR-Btを行ったところ肺癌の膀胱転移であった。

症例A66歳女性で、20096月頃より全身倦怠感、食欲低下、右半身の浮腫と右乳房全体に腫瘍を認め、進行性乳癌疑いにて当院乳腺甲状腺外科に入院。入院時CRN237と高値であり、尿道バルーン挿入時に血尿を認めたため腹部CT施行したところ、膀胱に腫瘍を疑う陰影と左水腎症認めた。当科紹介後TUR-Btを行ったところ乳癌の膀胱転移であった。今回、他臓器の腫瘍から膀胱への転移症例について若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

15. 手術により摘出し得た膀胱癌副腎転移の2

瀬野祐子、新 良治、津島知靖(岡山医療センター)

 

【症例184歳、男性。平成106月膀胱癌初発。病理組織はUC G2>G3 T1であった。平成114月に再発し、BCG膀胱内注入療法が8回行われた。平成146月以降膀胱鏡はされていなかった。平成201月肺炎で他院に入院した際のCTで左副腎に4cm大の腫瘍を認め、MRIではadenomaが疑われたが副腎ホルモン値は全て正常範囲内で経過観察とされていた。徐々にWBCが上昇したため、平成216月当院血液内科受診。腫瘍は5cm大に増大しており、WBC およびG-CSFが高値であった。8月に経腹的左副腎摘除術を施行。病理組織は尿路上皮癌の転移であった。術後、WBCは正常化した。

【症例280歳、男性。平成206月膀胱癌初発。病理組織はUC Ta with CIS G3であった。術後BCG膀胱内注入療法が8回行われた。同年10月膀胱内に再発を認め再度BCG膀胱内注入療法が行われたが、膀胱刺激症状が強く3回で終了した。平成216月のCTで左副腎に25cm大の腫瘤を認め、MRIでは転移性腫瘍が疑われた。副腎ホルモン値はほぼ正常範囲内であった。9月に左副腎摘除術を施行したところ、病理組織は尿路上皮癌の転移であった。

【考察】尿路上皮癌の副腎への単発転移は稀であり、原発性腫瘍との鑑別が困難な場合がある。膀胱癌から副腎への単発転移を来たした2例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。

 

 

16. 右精索転移を伴った膀胱肉腫の1

小泉文人、堀川雄平、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

症例は77歳男性。20097月ごろより徐々に増大する右鼠径部腫瘤を自覚していたが痛みも無いため放置していた。9月になり肉眼的血尿を認め近医受診、精巣腫瘍疑いにて911日当科紹介となった。初診時右精巣は陰嚢内に蝕知、右鼠径部に手拳大の硬い腫瘤を認めた。CTでは右鼠径部の腫瘤と共に、膀胱の右半分を占め恥骨への浸潤を伴う膀胱腫瘍も認め、精査加療目的に914日入院となった。各種画像検査では他に腫瘍を認めず、924日経尿道的膀胱生検・鼠径部生検を施行。病理学的にはいずれの組織でも上皮成分を認めず、核分裂像を伴いやや異なる紡錘形細胞からなるSarcomaであった。免疫染色では筋線維肉腫が最も考えられ、膀胱原発肉腫・右精索転移と診断。本人・家族と相談の上、1015日膀胱全摘・両側尿管皮膚瘻、右鼠径部腫瘤摘除を施行した。恥骨浸潤に加え周囲の癒着も極めて高度であり根治切除できなかったため、114日より放射線外照射60Gyを後療法として施行中である。上記症例について若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

17. 原発性膀胱絨毛癌の1例

藤田竜二、荒木大司、安東栄一、小武家誠(岩国医療センター)

日下信行(岡山済生会総合) 

 

症例は57歳男性。200810月無症候性肉眼的血尿を主訴に当科受診。膀胱鏡で4cm大の非乳頭状腫瘍を認めた。TURBT施行。UC G3 T2 & Tis N0M0 stage II と診断。引き続き、膀胱全摘+新膀胱形成術(Studer法)を行った。病理結果は UC with choriocarcinomatous differentiation G3 pT2 u-rt0 u-lt0 ur0 ew- ly1 v1 n2 (左閉鎖0/7、右閉鎖4/8)。術後、血清hCG04mIU/ml(正常0-07)であった。術後補助療法としてGC療法(GEMCDDP)を2コース施行。20098CTで右総腸骨・右内腸骨リンパ節転移出現。hCG 27mIU/mlと上昇を認めた。GCP療法(GEMCDDPPTX2コース施行しリンパ節は縮小、PRと判定した。hCGは正常化した。現在3コース目を予定している。今回我々は原発性膀胱絨毛癌の1例を経験したので報告する。

 

 

18. 進行胚細胞癌に対する後腹膜リンパ節郭清術の検討

−腫瘍学的、射精機能温存のアウトカム−

雑賀隆史、枝村康平、高尾 彰、小林泰之、上杉達也、小武家誠、時永賢治

橋本英昭、那須保友、公文裕巳

1岡山大学、2岩国医療センター、3三原赤十字、4岡山中央)

 

【目的】進行胚細胞癌に対する化学療法後の後腹膜残存腫瘤は原則として摘出術の適応となる。後腹膜リンパ節郭清術(RPLND)の合併症として射精障害が問題であり、神経温存術式が導入されている。進行胚細胞癌に対するRPLNDの治療成績について腫瘍学的予後、射精障害を含め検討した。

【対象と方法】2003年6月から2009年9月までに進行胚細胞癌に対してRPLNDを施行した27例を対象とした。年齢は23歳から74歳(中央値35歳)、組織型はセミノーマが4例、非セミノーマが23例であった。臨床病期はUa11例、Ub4例、V10例、後腹膜原発胚細胞腫瘍が1例であった。精巣摘除術後経過観察中に増大した後腹膜リンパ節を摘除した4例を除いた23例は化学療法後の手術例であった。腫瘍マーカーは全例正常化していた。

【結果】手術時間は2時間5分から10時間30分(中央値5時間30分)、出血量は少量から2300ml(中央値550ml)であった。合併症は、上肢の神経麻痺、下肢の静脈血栓症を各1例に認めたが、一過性であった。摘出標本の病理組織では、壊死・瘢痕が16例、成熟奇形腫が4例、未熟奇形腫が2例であり、化学療法を施行していない4例のうち、非セミノーマの転移巣を2例、セミノーマの転移巣を1例に認めた。21例(78%)で、神経温存手技を施行し、19例(91%)で射精を認めた。平均45ヶ月(中央値35ヶ月)の観察期間中に再発した症例は1例であった。

【結論】進行胚細胞癌に対するRPLNDは重篤な合併症なく施行できた。神経温存手技により射精機能を保持することが可能であり、腫瘍学的予後も良好であった。