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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集




日 時:平成22年5月15日(土) 午後2時
  場 所:川崎医科大学 校舎棟 M-702講義室
倉敷市松島577
TEL(086)462-1111(内線37109)

 

 


参加者の皆様へ

1)        受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2)       一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

3)        コンピュータープレゼンテーションはPowerPoint-Win2003でお願いいたします。

4)        コンピュータープレゼンテーションの場合にはCD-Rにファイルをコピーして, 513日(木)までに,事務局に送付して下さい。動作の確認をします。もし,変更がありましたら,当日CD-Rディスクをご持参下さい。Eメールで2M以上のファイルを送付されますと、岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので、ご遠慮下さい。

5)        会場での質疑応答は,座長の許可を受けた上で,必ず,所属,氏名を明らかにしてからご発言下さい。

6)        予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

    2009年度よりIT化導入のため、参加単位登録カウンターを設置しております。日本泌尿器科学会会員カードを忘れずにお持ち下さい。尚、従来の参加証も証明印を押印致しますので、お持ち下さい。

日医生涯教育制度

   位:3単位

カリキュラムコード:2[継続的な学習と臨床能力の保持],15[臨床問題解決のプロセス]

64[肉眼的血尿],65[排尿障害(尿失禁・排尿困難)],
66
[乏尿・尿閉], 84[その他]

 

 
 

 

   









会場付近案内図

 

第二・第一駐車場(有料100/時間)をご利用下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 


病院正面玄関(2階)よりお入り下さい。

正面玄関を入られましたら、直進一番奥の中央エレベーターで7階まで上がり、校舎棟連絡通路を通り「M-702講義室(7階)」へお越し下さい。

 

*隣接してラウンジをご用意しておりますのでご利用下さい。

 

 

 

 


プログラム

 

一般演題

14:0014:40              座長 渡部昌実(岡山大)

 

1.      内分泌非活性副腎腺腫を合併し、副腎静脈サンプリングが診断に有用であった原発性

アルドステロン症の一例

高本 篤、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

2. G-CSF産生腎癌の1

小出隆生、古川洋二(笠岡第一)木曽光則、久保 周(同・外科)

鹿股直樹(川崎医科大学附属病院・病理学二) 

 

3. 腎杯穿刺法におけるソナゾイドの有用性に関する臨床研究

石戸則孝、佐古智子、中田哲也、塩塚洋一、山本康雄、高本 均(倉敷成人病)

 

4. 後腹膜腔へ広範囲に波及した両側腎膿瘍の1

坪井 啓、時永賢治、白赴`範(三原赤十字)

 

14:4015:20              座長 江原 伸(広島市立市民)

 

5. 神経線維腫症1型に合併した後腹膜神経鞘腫の1

清水真次朗、海部三香子、月森翔平、福元和彦、原 綾英、藤井智浩、常 義政、

横山光彦、宮地禎幸、永井 敦(川崎医大)

 

6. 分子標的薬治療後に小腸穿孔を来した腎癌小腸転移の一例

宗田 武、水野 桂、松岡崇志、北 悠希、仲西 昌太郎、田岡 利宜也、井上幸治、武縄 淳、寺井章人(倉敷中央)

 

7. VURに対する内視鏡的コラーゲン注入療法の経験と当科での工夫

杉本盛人、那須良次(岡山労災)

 

8. 子宮癌放射線治療後に発生した膀胱癌の2

堀川雄平、小泉文人、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

休憩

 

15:4016:20               座長 白崎義範(三原赤十字)

 

9. micropapillary patternを呈する膀胱癌の1

村尾 航、西村慎吾黒瀬恭平、江原 伸、三枝道尚 (広島市立市民)

 

10. 金光病院における前立腺生検

牧 佳男(金光病院)

 

11. 岡山大学において過去16年間に経験した前立腺癌1384症例の臨床的検討

枝村康平、雑賀隆史、小林泰之、賀来春紀、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

12. 精巣epidermoid cyst

藤田 治、和田耕一郎、眞鍋大輔、武田克治香川県立中央

 

16:2016:50               座長 荒木元朗(岡山大)

 

13. 泌尿器癌の術後経過観察中に発見された原発性肺癌の2

瀬野祐子、新 良治、津島知靖(岡山医療センター)

重松久之、安藤陽夫(同・呼吸器外科)

 

14. 尿管ステント長期留置の3

     西山康弘、市川孝治、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

15. 岡山大学泌尿器科女性外来のこれまでとこれから

井上 雅、石井亜矢乃、大和豊子、渡辺豊彦、公文裕巳(岡山大)山本満寿美(OURG)

小林知子(岡山中央)瀬野祐子(岡山医療センター)中村あや(岡山赤十字)

大石智子(倉敷成人病)松本裕子(津山中央)

 

16:5017:00 

日本泌尿器科学会保険委員会報告

 

津島知靖(NHO岡山医療センター)

難波克一(岡山県国保連合会)

赤枝輝明(津山東クリニック)

武田克治(香川県立中央)

 


一般演題

1.      内分泌非活性副腎腺腫を合併し、副腎静脈サンプリングが診断に有用であった原発性

      アルドステロン症の一例

      高本 篤、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

原発性アルドステロン症は二次性高血圧中最も多い原疾患であることがあきらかとされており、近年では病変局在は画像診断から副腎静脈サンプリングに移行してきている。今回われわれは副腎静脈サンプリングが診断に有用であった一例を経験したため若干の文献的考察を含めて報告する。

症例は45歳男性。高血圧・糖尿病にて近医外来受診中であった。急性虫垂炎にて当院外科入院時施行されたCTにて副腎腫瘍を指摘され、当科紹介となった。初診時K3.1mEq/lと低値を認め、血中レニン定量 1.1pg/ml 血中アルドステロン159.6pg/mlであった。腹部CTでは左副腎に13mm程度 右副腎に10mm程度の腫瘍性病変を認めた。原発性アルドステロン症を疑い立位ラシックス負荷試験・副腎静脈サンプリングを行ったところ、左は非機能性腺腫・右はアルドステロン産生腫瘍と診断された。この結果をうけて小切開右副腎摘出術を施行。病理結果はcortical adenomaであり、術前診断と矛盾しない所見であった。術後血圧は低下し、経過は良好である。

 

 

 

 

 

2. G-CSF産生腎癌の1

      小出隆生、古川洋二(笠岡第一)木曽光則、久保 周(同・外科)

      鹿股直樹(川崎医科大学附属病院・病理学2)  

 

症例は62歳男性。H217月下旬、右側腹部痛、肉眼的血尿、発熱、体重減少を主訴に当科受診。体温37.8度、右側腹部に小児頭大非可動性腫瘤を触知、表在リンパ節は触知せず。採血検査は白血球41100/μl、好中球87.9%、CRP7.5mg/dl、G−CSF591.0μ/mlと異常高値を示した。CT、MRIで右腎内側に腸腰筋浸潤を伴う腫瘤、腹部大動脈下大静脈間リンパ節腫大、下大静脈内腫瘍塞栓をみとめた。浸潤形態から右腎癌W期と診断し、7/27右拡大腎摘出術(下大静脈腫瘍塞栓切除を含む)および所属リンパ節廓清を施行した。病理は分類不能型腎細胞癌pT4pN20であった。免疫染色は抗ヒトG−CSFモノクローナル抗体陽性を示しG−CSF産生腎癌と確定診断した。術後すみやかに白血球、好中球、CRPの正常化をみとめたが、第23日目に左鎖骨上窩リンパ節転移を生じソラフェニブを開始した。不変の状態で外来フォローしたが、術後3ヶ月で肺肝転移、腹腔内リンパ節転移、左鎖骨上窩リンパ節転移の悪化をみとめ再入院しIFN+IL2投与するも無効で癌死した。死亡直前のWBCは89900/μl、好中球98%まで上昇していた。本疾患の本邦報告は4例と極めて希で自験例は5例目にあたる。若干の文献的考察を含め報告する。

 

 

 

   

 

3. 腎杯穿刺法におけるソナゾイドの有用性に関する臨床研究

      石戸則孝、佐古智子、中田哲也、塩塚洋一、山本康雄、高本 均(倉敷成人病)

 

【はじめに】経皮的腎砕石術(PNL)を要する腎結石症例においては、安全で有効な腎杯穿刺が必要不可欠である。第2世代マイクロバブルであるソナゾイド造影超音波法により、超音波画像上で刺入する腎杯が高エコーに描出されれば、腎杯の視認がより容易となり、拡張のない腎杯に対する針穿刺においても、オーダーメイドの腎杯穿刺がより安全に遂行できる可能性がある。【対象と方法】倫理委員会による承認を得た後、PNL施行決定時、患者に対し外来において臨床研究についての説明文書を渡し同意を得た。ソナゾイドを静脈内投与したのち、目的とする腎杯内に到達した軟性尿管鏡先端部の操作孔よりソナゾイドを直接注入し、腎杯を可視化させ腎杯穿刺を行った。超音波診断装置はマイクロコンベックス型プローブ(3.5MHz)にガイド金具を装着した東芝社製Aplio MXを用いた。超音波に加え、X線透視、内視鏡の3者併用による観察を同時に行った。【結果とまとめ】ソナゾイドの静注・腎杯内注入後、腎杯への針穿刺操作は明瞭に観察可能であった。Sonazoid-mode画面においてソナゾイドを腎杯内注入直後に腎杯内腔は可視化され、ソナゾイド静注後520分間、葉間動静脈の走行に一致して高輝度の連続するイメージが得られた。ダブル・コントラスト・イメージによる腎杯の可視化により、腎杯穿刺法におけるソナゾイドの有用性が示唆された。

 

 

 

 

 

4. 後腹膜腔へ広範囲に波及した両側腎膿瘍の1

坪井 啓、時永賢治、白赴`範(三原赤十字)

 

症例は69歳男性。既往歴糖尿病。

平成218月右陰嚢痛で近医より当科紹介受診。 右精巣上体炎で入院加療(尿培養:MSSA)。神経因性膀胱による排尿障害のため自己導尿開始。当科退院後、月1回外来受診していたが、平成21103日以降受診なし。

平成22129日自宅にて転倒後、発熱、食思不振、ADL低下認め130日近医入院。ADL低下にて尿道カテ留置。抗生剤加療にて解熱も炎症反応は改善せず、精査目的の腹部CTで両側腎周囲後腹膜腔に腫瘤像を認めたため、平成22210日当科紹介入院となった。なお、自己導尿は近医入院前から自己中止されていた。  

腹部CTでは両側腎周囲に多房性(最大径6cm)low density areaを認め、右側は腸腰筋にまで及んでいた。腹部MRIでは同部はT2強調像で高信号域を呈していた。腎膿瘍を強く疑い、確定診断目的で216日左側に対し経皮的ドレナージ(8Frピッグテイルカテ使用)施行。黄白色膿汁の排出を確認。以後、連日洗浄した。右側に対しては217日全身麻酔下経腰的開腹ドレナージ施行。左側同様黄白色膿汁を225ml認めた。膿培養は両側共にMSSAであった。術1週後のMRICTにて両側腎膿瘍は消失しており、35日軽快退院となった。

今回我々は、後腹膜腔へ広範囲に波及した両側腎膿瘍の症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

   

5. 神経線維腫症1型に合併した後腹膜神経鞘腫の1

清水真次朗、 海部三香子、 月森翔平、 福元和彦、 原 綾英、藤井智浩、 常 義政、

横山光彦、 宮地禎幸、 永井 敦(川崎医大)

 

症例は42歳女性。2009年夏頃から10kgの体重減少を認め、12月に心窩部痛が出現したため近医を受診した。腹部エコー、CTで子宮腫大、多発肝腫瘍(S45cmS64cm)、腹部リンパ節腫大(7×6cm)を指摘され、子宮体癌、肝・腹部リンパ節転移の疑いで当院婦人科紹介となった。体幹にカフェ・オ・レ斑を認め、母、妹にも同様の皮膚所見を認めていた。PET/CTを含む精査にて、腹部リンパ節腫大とされたものは後腹膜腫瘍と考えられた。

最終的に、子宮筋腫ならびに肝血管腫および内分泌非活性副腎腫瘍または後腹膜原発腫瘍(神経原性腫瘍)と診断した。malignancyの可能性も否定できず、20103月腹腔鏡下後腹膜腫瘍摘除術を施行した。術前の画像診断では腫瘍は下大静脈、肝、肝血管腫、横隔膜、右腎上極に挟まれる型で発育していたが、術中所見では腫瘍はGerota筋膜外より発生しており、肝血管腫(S6)とも接着しておらず、下大静脈との剥離は容易であった。しかし腫瘍と横隔膜の癒着が強く横隔膜損傷をきたし開腹術へ移行した。8.5×8×2.5cm大の白色で表面平滑な腫瘍を摘出し、組織の結果は神経鞘腫(Schwannoma)であった。

 

 

 

 

   

6. 分子標的薬治療後に小腸穿孔を来した腎癌小腸転移の一例

宗田 武、水野 桂、松岡崇志、北 悠希、仲西 昌太郎、田岡 利宜也、井上幸治、

武縄 淳、寺井章人(倉敷中央)

 

76歳男性。左腎癌cT4N0M0の診断で2009326日に開胸開腹アプローチによる根治的左腎摘除術を施行。病理診断はClear cell renal cell carcinoma, G3, with sarcomatoid carcinoma, pT4N0であった。術後3ヶ月のCTにて多発肺転移が出現し、インターフェロン治療を開始。一部の転移巣は治療に反応を示したものの5ヵ月後には増悪を来し、同年12月からソラフェニブの投与を開始した。ソラフェニブ投与開始後3ヶ月で転移巣の増大を認め、スニチニブに変更した。スニチニブ開始後1週間目に貧血の進行を認めたため休薬。便潜血陽性であり上部消化管内視鏡を行ったが出血源は明らかでなかった。下部消化管内視鏡を予定していたところ休薬後3日目に強い腹痛を訴え、CTにて消化管穿孔が疑われた。緊急開腹術にて小腸に穿孔部を認め、さらにその周囲に腫瘤を触知し小腸切除術を施行した。病理診断にて腎細胞癌小腸転移の壊死による穿孔と確認された。

 

 

 

 

   

7. VURに対する内視鏡的コラーゲン注入療法の経験と当科での工夫

杉本盛人、那須良次(岡山労災)

 

(目的)VURに対する内視鏡的注入療法は低侵襲であるだけでなく、優れた有効性が報告され、手術療法の第1選択となりつつある。当科ではコラーゲンを用いた注入療法を施行しているが、成績向上のための試みについて報告する。(対象と方法)20087月以降、VURに対し内視鏡的コラーゲン注入療法を行った3例。性別はいずれも女性で、年齢は20,24,67歳。反復する尿路感染の精査中、通常のVCGにてVURが発見された(右側2例、左側1例。GradeU 2例、GradeT 1例)。手術は全身麻酔下で行い、対側の潜在的VUR検出目的にPICPositioning the Instillation of Contrast at the ureteral orifice cystogramPIC-CG)を施行、VURを認めた場合にはこちら側にも注入を行った。コラーゲン注入はHydrodistension intraureteral injection technique(HIT)に準じて膀胱壁内尿管へ注入した。さらに注入直後にもPIC-CGを施行し、VURの残存を確認した。(結果)3例中2例で対側にもVURが認められ、両側に対して注入を行った。HITでは、尿管口周囲が全周性に膨隆することが観察され、コラーゲンによる隆起が注入部位のみならず、壁内尿管の広い範囲に形成されている可能性が考えられた。注入直後のPIC-CGでは1例わずかに逆流が見られたが、いずれの症例も術後経過は良好で、VURの再発は認めていない。(結論)PIC-CGは潜在的VURの診断に有用であった。HITによる壁内尿管周囲へのコラーゲン注入により、成績の向上が期待できる。

 

 

 

 

8. 子宮癌放射線治療後に発生した膀胱癌の2

堀川雄平、小泉文人、山田大介、陶山文三(三豊総合)

 

放射線治療後の患者の約0.3%2次癌が発生するとされるが、婦人科領域では子宮癌の放射線治療後に膀胱癌の発生率が有意に高いことが知られている。<症例176歳、既往歴として48歳時子宮癌に対する放射線治療歴あり。現病歴:200510月中旬より肉眼的血尿出現。近医にてHb6.5g/dlと貧血を認め当科紹介入院。膀胱鏡にて膀胱左側壁からの出血、CTにて左水腎症、膀胱左に腫瘤を認めた。膀胱生検にて、尿路上皮癌、G3pT1以上との結果を得た。放射線治療に伴う直腸膣瘻の存在も認められた。根治療法として左腎尿管全摘・骨盤内臓器全摘・人工肛門造設・右尿管皮膚瘻造設術を施行、病理組織結果は、尿路上皮癌、G3pT3b、子宮に残存腫瘍は認めなかった。<症例279歳、既往歴として46歳時、子宮癌にて広汎子宮全摘出術と放射線治療を受けていた。現病歴:200932日トイレで出血を自覚。当院産婦人科受診も、婦人科的問題なく、当科紹介受診。膀胱鏡では膀胱三角部粘膜下腫瘍を疑う像であった。CTでは腟断端からの腫瘤が前後に浸潤している像と思われが、当科で施行した膀胱生検で尿路上皮癌の筋層浸潤、G2との結果であった。化学療法の適応と判断し、CDDPADMによる動注化学療法を開始し、PRを得た。現在もGEMCBDCAによる外来維持化学療法を施行中である。以上の2例について若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

9. micropapillary patternを呈する膀胱癌の1

        村尾 航、西村慎吾黒瀬恭平、江原 伸、三枝道尚 (広島市立市民)

 

症例は61歳男性。平成2111月に人間ドックのエコー検査にて膀胱腫瘍を指摘され、精査目的にて当科受診した。膀胱鏡にて左側壁から後壁にかけて広範囲に多発性の乳頭状腫瘍を認め、前立腺部尿道にも乳頭状腫瘍を認めた。尿細胞診は陽性であり、CTでは遠隔転移を認めなかった。同年12月にTUR−Bt施行した。組織結果はTCC, G3, T1でmicropapillary patternを呈し、一部にCISを認めた。前立腺部尿道にも同様の組織像を認め、cT4N0M0と診断。術前化学療法としてGEM+CDDPを施行し、平成223月に膀胱全摘除術、回腸導管増設術を施行した。病理組織では膀胱筋層・前立腺部尿道に浸潤を伴なうmicropapillary typeを呈するTCCを認めた。郭清したリンパ節に悪性所見はなかった。

micropapillary尿路上皮癌は尿路上皮癌の亜型であり、悪性度が極めて高いとされている。頻度は尿路上皮癌の0.7-2.2%とされており、診断後は早期の膀胱全摘が勧められている。今回、我々はmicropapillary patternを呈する膀胱癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

10. 金光病院における前立腺生検

        牧 佳男(金光病院)

 

【目的】前立腺癌診断におけるPSADPSA F/T , 経直腸超音波検査(TRUS)、MRIの有用性および最近当院で施行している生検法の有用性を検討した。【対象と方法】PSA 4.0ng/ml以上の症例でPSAD 0.15ng/ml以上、PSA F/T 0.15以下、経直腸超音波検査異常,MRI検査異常の一つ以上の所見があるもの、直腸指診(DRE)で異常を認めるものを前立腺生検の対象とした。前立腺生検は両側のPZ(尖部、体部、底部)、TZ, AFMS、背側の12箇所生検とした。H224月から12月までに前立腺生検した32例についてこれらの検査の有用性および生検陽性率を当院の過去の生検法のデータと比較した。【結果】PSADPSAF/T比,DRETRUSMRIの敏感度はそれぞれ100%89%41% 67%67%だった。また特異度はそれぞれ7%55%100%50%42%だった。前立腺生検の陽性率はPSA 4.0-10.0 ng/ml 47% (7/15)10ng/ml  63% (10/16)で当院の過去の経会陰生検、経直腸生検に比べ陽性率が高かった。【結論】PSA F/T比は敏感度、特異度とも高く有用であった。MRIDWI画像はTRUSで検出できない癌を検出でき有用であった。新しい生検法の検出率は従来の経会陰法、経直腸法に比べ高かった。

 

 

 

 

 

11. 岡山大学において過去16年間に経験した前立腺癌1384症例の臨床的検討

        枝村康平、雑賀隆史、小林泰之、賀来春紀、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

【目的】1994年から2009年までの16年間に岡山大学附属病院泌尿器科にて加療を行った1384症例についてretrospectiveに臨床統計学的検討を行い、病期別患者分布および治療法の変遷と病期、初期治療法と予後との関連性について検討した。【対象と方法】症例の年齢は40-94(中央値69)PSA値は0.4-6932ng/ml(10.0)、観察期間は1-183ヶ月(37)であった。全体の病期はA:45,B:986,C:190,D:162例であった。このうち初期治療として密封小線源療法が435例、手術療法364(A:13,B:313,C:38)例、内分泌療法408(A:12,B:166,C:110,D:120)、放射線外照射療法86(B:29,C:42,D:15)、化学療法15(C:2,D:13)、待機療法63例、その他12例であった。非再発曲線,生存曲線はKaplan-Meier法にて算出し、有意差検定にはlogrank testを用いた。【結果】全症例数、Stage B以下の割合ともに増加しており、癌特異的10年生存率はStageA:100%, StageB:95%, Stage C:84%, Stage D:47%であった。StageB以下症例でのPSA非再発率は密封小線源治療87%、手術療法79%、内分泌療法84%であった。【結語】各ステージともに諸家の報告と比べ遜色のない治療成績が認められた。Stage ABに対しては手術療法、密封小線源療法、内分泌療法が主に選択され、手術療法と密封小線源療法はほぼ同等な治療効果を認めたが、今後の密封小線源療法の追跡調査が必要と考えられた

 

 

 

 

 

12. 精巣epidermoid cyst

        藤田 治、和田耕一郎、眞鍋大輔、武田克治 香川県立中央

 

症例は33歳の男性。不妊症を主訴に近医受診。US検査にて左精巣尾側に内部heterogenicな充実性腫瘤疑われ平成218月当科外来紹介受診。触診で左精巣内に弾性のある腫瘤を触知し、MRI検査では直径約25×20mmT1WIで低信号、T2WIで高信号、DWIで中等度信号を呈す境界明瞭な嚢胞性腫瘤で内部一部充実成分疑われた。血液生化学検査では炎症反応なく腫瘍マーカーも正常であった。悪性の可能性も完全に否定できなかった為、平成219月左高位精巣摘出術施行した。割面は境界明瞭な充実性で白色調の内部粗な腫瘤であった。病理検査では結合織に囲まれた内部角化物を有す嚢胞成分で一部石灰化を伴ったepidermoid cystの診断であった。皮膚付属器その他細胞成分なくmature cystic teratomaは否定的であった。

epidermoid cystは全身のいたるところに発生する腫瘍であるが、泌尿器科領域も例外ではない。精巣発生は比較的稀であり,若干の文献的考察加え報告する。

 

 

 

 

 

13. 泌尿器癌の術後経過観察中に発見された原発性肺癌の2

        瀬野祐子1)、新 良治1)、津島知靖1)、重松久之2)、安藤陽夫2)

(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 泌尿器科1)、呼吸器外科2)

 

【症例162歳、男性。平成1411月右腎癌に対し右腎摘除術を施行。病理組織はRCC, clear cell carcinoma, G1, INFα, pT3aであった。以後経過をみていたが、再発や転移は認めていなかった。平成212CTで左下肺に8mm大の孤立性結節影を認めたが、炎症性変化の可能性があり経過観察とされていた。同年9CTを再検したところ左下肺の結節影は11mm大に増大していた。腎癌からの転移もしくは原発性肺癌を疑い、10VATSによる左肺部分切除術を施行した。病理組織の結果は肺原発低分化腺癌であった。

【症例277歳、男性。平成191月膀胱癌に対し膀胱全摘および回腸導管造設術を施行。病理組織はUC, G2>G3, INFβ, pT2apN0であった。平成2112月のCTで右下肺に13mm大の孤立性結節影を指摘された。画像上は転移性肺癌の診断であった。平成223VATSによる右肺部分切除術を施行したところ、病理組織は肺原発低分化扁平上皮癌であった。

【考察】悪性腫瘍の術後に孤立性の肺腫瘤が出現した場合には、画像上では転移性、原発性の鑑別が困難な場合がある。今回我々は泌尿器癌の術後孤立性肺腫瘤を認め、手術により切除したところ原発性肺癌であった2例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

14. 尿管ステント長期留置の3

      西山康弘、市川孝治、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

尿管ステント留置は頻用される手技であるが、適時適切に交換抜去しないと尿管ステントへの結石形成のために対応に苦慮することとなる。尿管ステント長期留置の3例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。

【症例159歳女性。20065月尿路結石治療で尿管ステント留置した。抜去を予定したが受診なく、20091月左腰背部痛を主訴に再診、精査で28ヶ月間留置された尿管ステントを認め、左膿腎症を呈していた。経尿道的に尿管ステントに形成された結石をレーザー砕石しステント抜去した。

【症例276歳女性。20065月入院、尿路結石治療のため尿管ステント留置した。入院中内科に転科、尿管ステントの方針が未確定のまま退院、その後泌尿器科への受診はなかった。20105月排尿後違和感で他院泌尿器科受診し発覚、ステント抜去試みたがステントが尿管途中で断裂し、当科紹介となった。経尿道的に尿管ステントに形成された結石をレーザー砕石し3年間留置されたステント抜去した。

【症例377歳女性。20093月婦人科の依頼で右尿管ステント留置術施行した。他院泌尿器科へ尿管ステント交換依頼したが、交換されず20101月再診、レーザー砕石の準備をして手術に臨んだが、10ヶ月間留置された尿管ステントはスムースに抜去可能であった。

尿管ステントに形成された結石にはHo:YAGレーザーによる砕石が有用であった。

 

 

 

 

 

15. 岡山大学泌尿器科女性外来のこれまでとこれから

  井上 雅、石井亜矢乃、大和豊子、渡辺豊彦、公文裕巳(岡山大)山本満寿美(OURG)

      小林知子(岡山中央)瀬野祐子(岡山医療センター)中村あや(岡山赤十字)

      大石智子(倉敷成人病)松本裕子(津山中央)

 

[目的]当院では20035月に女性医師のみで診察に当たる泌尿器科女性専門外来を開設した。そこで今回、新患患者の年次変遷を調査し、臨床的検討を行った。 [対象]2003年から2009年までの女性外来を受診した新患患者を対象とした。[結果]新患患者数は91(2003)86(2004)53(2005)108(2006)137(2007)116(2008)149(2009)と増加傾向であった。年齢は6070歳台が最も多く、全体の約半数であった。疾患別では尿漏れを主訴とする腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁で約30%を占めており、失禁を伴わない過活動膀胱は約10%であった。2007年の骨盤臓器脱患者は9.5%であったが、2008年以降、約20%まで増加した。骨盤臓器脱以外の疾患、患者年齢ともに年次的変化は認めなかった。総手術件数は、2006年以前は10件未満であったが、2007年にTVMTOT手術を導入し、23(2007)23(2008)20(2009)と増加した。 [考察]新患患者数は増加傾向であり、尿失禁、過活動膀胱、骨盤臓器脱、そして今後はさらに女性性機能障害も治療対象となっていくと思われ、泌尿器科女性専門外来のニーズは高まると思われた。