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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

 

 

 

 

日 時: 平成23年12月10日(土) 学術集会:午後2時
懇親会:  午後6時30分
場 所: おかやま三光荘
岡山市中区古京町1丁目7-36
TEL (086) 272-2271




参加者の皆様へ

 

1.         受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2.         会場費として2000徴収させていただきます。

3.         一般演題は口演時間7分、討論3分です。時間厳守でお願いします。

4.         コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをEメール、もしくはフラッシュメモリーにコピーして、128日(木)までに、事務局に送付して下さい。動作の確認をします。もし、変更がありましたら、当日フラッシュメモリーをご持参下さい。Eメールで8M以上のファイルを送付されますと、岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので、ご遠慮下さい。

5.         事前にお送りいただいた発表スライドをやむを終えず変更する場合は当日学会開始20分前までに差替えて下さい。

6.         PowerPoint以外のソフトで作成した図、グラフや動画を挿入している場合には、コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には、コピー元ファイルも必要です。

7.         会場での質疑応答は、座長の許可を受けた上で、必ず、所属、氏名を明らかにしてからご発言下さい。

8.         懇親会場は3階和室宴会場『吉備』にて630分より予定しております。

会費は8000です。

 

2009年度よりIT化導入のため、参加単位登録カウンターを設置しております。日本泌尿器科学会会員カードを忘れずにお持ち下さい。尚、従来の参加証も証明印を押印致しますので、お持ち下さい。

 

     今回は学術集会、懇親会とも三光荘ですのでよろしくお願い致します

日医生涯教育制度

 単     位:4単位

 カリキュラムコード: 2[継続的な学習と臨床能力の保持],8[医療の質と安全],

15[臨床問題解決のプロセス], 64[肉眼的血尿],

65[排尿障害(尿失禁・排尿困難)],66[乏尿],67[多尿],

84[その他]

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 


プログラム

 

一般演題

 

14:0015:00                                        座長 藤井智浩(川崎医大)

1. 対側副腎偶発腫瘤を伴った副腎過形成の1

川口正志、能勢宏幸、村上貴典(姫路聖マリア) 

笠原明宣、塩見耕平(同・内科)

 

2. 副腎血管腫の1

渡邉雄一(十全総合)守都敏晃(香川労災・病理)

 

3. 上部尿路結石(U1)のESWL後に腎被膜下血腫を認めた1

郷原真輔、佐古智子、塩塚洋一、山本康雄、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

 

4. 後腹膜鏡下腎摘後に後腹膜播種を認めた透析腎癌の1例

甲斐誠二、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

5. 水腎・水尿管の経過観察中に認められた腎盂扁平上皮癌の1

瀬野祐子、倉繁拓志、赤澤信幸(岡山済生会総合)

井筒将斗、須井健太、仁熊健文(同・外科)川口正志(姫路聖マリア)日下信行(広島市民)

 

6. 多種の生活習慣病を有する腎癌症例に対する腹腔鏡下腎摘除術の経験

市川孝治、西山康弘、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

15:0015:50                                        座長 藤田竜二(岡山医療センター)

7. 尿管平滑筋腫瘍の1

森 聰博、白崎義範、坪井 啓(三原赤十字)時永賢治(福山第一)

 

8. 泌尿器科手術における術後譫妄の検討

高本 篤、那須良次(岡山労災)、杉本盛人(岡山大)

 

9. 先天性下部尿路通過障害の2

海部三香子、小出隆生、古川洋二(笠岡第一)

 

10.原発性膀胱頚部閉塞症の女性1症例

西澤恒二、松岡 崇、水野 桂、仲西昌太郎、浅井聖史、岡添 誉、豊里友常、井上幸治、

寺井章人(倉敷中央)

 

11.高度排尿障害に合併した高アンモニア血症の1

安東栄一、松本裕子、明比直樹(津山中央)

 

休 憩

16:0017:00                                        座長 井上幸治(倉敷中央)

12.気腫性膀胱炎の3

中塚浩一、上松克利、山田大介(三豊総合)

 

13.ウィルス性尿路感染症の3

片山 聡、藤田治、眞鍋大輔、三枝道尚、武田克治(香川県立中央)

 

14.IgG4関連前立腺炎の1例 

伊藤誠一、光畑直喜(呉共済)佐々木なおみ(同・病理)

 

15.当科における精索捻転症の臨床的検討

仲田惣一、後藤隆文、高橋雄介、浅井武、臼井秀仁、羽田祥子

(岡山医療センター・小児外科)

 

16.デュタステリドの長期使用成績

河原弘之(玉島中央)

 

17.性同一性障害Female to Maleに対するホルモン補充療法とその身体的、血液生化学的変化の検討

杉本盛人、石井和史、渡部昌実、公文裕巳(岡山大)佐古智子(倉敷成人病)

松本裕子(津山中央)

 

17:0018:10                                        座長 山田大介(三豊総合)

18.膀胱パラガングリオーマ(傍神経節種)の1

堀川雄平、野崎邦浩、大枝忠史(尾道市立市民)

 

19.膀胱憩室内に発生したNephrogenic adenomaの1例

藤田竜二、河内啓一郎、津島知靖(岡山医療センター) 

 

20.膀胱癌術後腹壁再発に対して皮弁形成にて腹壁再建した1例

小武家誠、坂本英起、中田哲也、小泉文人(岩国医療センター)

青 雅一、森定 淳、片山裕子(同・形成外科)

藤田竜二(岡山医療センター)、安東栄一(津山中央)

 

21.広島市民病院における腹腔鏡下前立腺全摘出術(LRP)の初期導入経験

黒瀬恭平、枝村康平、榮枝一磨、山崎智也、西村慎吾、日下信行、雑賀隆史(広島市民)

 

22.原発性精巣上体癌の1例

大平 伸、横山光彦、大畑 絢、藤田雅一郎、福元和彦、藤井智浩、常 義政、宮地禎幸、

永井 敦(川崎医大) 

 

23.広島市民病院における前立腺癌のがん診療地域連携パスについて

雑賀隆史、日下信行、黒瀬恭平、枝村康平、西村慎吾、山崎智也、栄枝一磨(広島市民)

 

24.前立腺癌に対するREIC/Dkk-3遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療臨床

研究 −中間報告−

佐々木克己、那須保友、渡部昌実、賀来春紀、平田武志、谷本竜太、公文裕巳(岡山大)

 

18:1018:25

 

日本泌尿器科学会西日本保険委員会報告

渡辺豊彦(岡山大)

津島知靖(岡山医療センター)

武田克治(香川県立中央)

赤枝輝明(津山東クリニック)

 

 

 

18:30

懇親会                   おかやま三光荘3F和室宴会場『吉備』

 

 

 

 

 

一般演題

1. 対側副腎偶発腫瘤を伴った副腎過形成の1

川口正志、能勢宏幸、村上貴典(姫路聖マリア)笠原明宣、塩見耕平(同・内科)

 

【症例】症例は57歳、男性。2004年より高血圧のため、当院内科で加療中。20099月健康診断で約10o大の左副腎腫瘤を指摘された。血中アルドステロン(PAC)208pg/ml,レニン活性(PRA) 0.8ng/ml/hr,ARR(PAC/PRA)260のため、原発性アルドステロン症の疑いにて当科紹介となった。血圧コントロールは良好で、K値も基準範囲内であったため、本人希望もあり経過観察としていた。同年10月にPAC 394pg/mlと上昇し、K 3.3mEq/lと低下が認められ、カプトプリル負荷試験にて原発性アルドステロン症と診断した。局在診断のためACTH負荷副腎静脈サンプリングを施行した所、負荷後PACは左副腎で510pg/ml(診断基準>1400)であったが、右副腎では19200pg/mlであった。他の診断基準も右副腎でのみ満たしていた。右副腎原発性アルドステロン症の診断で20117月腹腔鏡下右副腎摘出術を施行し、病理診断は過形成であった。術後PACKは基準範囲となり、現在降圧薬を漸減している。原発性アルドステロン症において片側性過形成はまれであり、また今症例のように対側に偶発腫瘤を認める場合もあるため、局所診断のためにACTH負荷副腎静脈サンプリングが必須であり、若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

 

2. 副腎血管腫の1

渡邉雄一(十全総合)守都敏晃(香川労災・病理)

 

症例は61歳、男性。高血圧にて当院内科通院中、20101030日胸部CT施行。左腎上方に径13×11cmの辺縁平滑な腫瘤が認められ、当科へ紹介された。腹部造影CTでは、腫瘍内部の造影効果は乏しいが、下極を中心とした辺縁の一部が不整に造影された。原発は左腎の圧排像から、左副腎と思われた。MRIでは内部の出血壊死の存在が疑われた。内分泌検査では、血中ノルアドレナリンがごく軽度高値を示したのみで、その他は基準値内であった。腫瘍の大きさからは悪性腫瘍の可能性も否定できず、2011519日経腹的左副腎摘除術を施行した。腫瘍重量は980g。病理では、腫瘍内部や副腎皮質内に、内腔に赤血球成分を含んだ、不均一に拡張した大小の管腔を認め、海綿状血管腫と診断した。比較的稀な疾患とされる副腎血管腫の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

3. 上部尿路結石(U1)のESWL後に腎被膜下血腫を認めた1

郷原真輔、佐古智子、塩塚洋一、山本康雄、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

 

症例は49歳男性。2012926日、左側腹部痛認め当科受診。USで左水腎症認め、KUBで左尿管(U1)に10×9mm大の結石認めたため、1017ESWL4849発)施行し、砕石効果は良好であった。しかし術後、37度台の微熱と全身倦怠感と左側腹部膨満感認め、1021日再診。経過観察目的で入院となった。翌1022日、採血でHb8.8g/dl(術前Hb13.6g/dl)CTで左腎背側に血腫の形成を認め、ESWLの合併症である左腎被膜下血腫と診断した。以後安静、抗生剤と止血剤の連日投与にて保存的治療を行い、経過良好にて1031日退院した。現在、外来にて経過観察中である。ESWLの約1%程度に腎被膜下血腫の合併が知られている。今回我々は、上部尿路結石(U1)のESWL後に腎被膜下血腫を認めた1例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

 

 

4. 後腹膜鏡下腎摘後に後腹膜播種を認めた透析腎癌の1例

甲斐誠二、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

【目的】透析患者では腎癌の発生頻度が高いと言われるが、その予後に関する報告は少ない。一般に透析腎癌は生物学的悪性度が低いと言われているが、今回われわれは、後腹膜鏡下腎摘後に後腹膜播種および皮下脂肪織転移を認めた透析腎癌の1例を経験したので文献的考察も踏まえて報告する。

【症例】50歳代男性。1988年に慢性腎不全にて透析導入。2008年前医で右腎癌T1bN0M0の診断にて後腹膜鏡下右腎摘出術を施行された。病理診断はclear cell carcinoma,G2,pT1b,INFα,v(-)であった。2010CTにて右大腰筋腹側に腫瘤性病変を認めた。2010年より当院でフォローアップ。腫瘍径は小さく、経過観察していたが、徐々に増大。周辺脂肪組織にも腫瘤が出現し、腰部皮下脂肪織内にも腫瘤を認めたため、2011年後腹膜腫瘤摘出術および皮下腫瘍摘出術施行した。病理診断にてrenal cell carcinomaの後腹膜播種および皮下脂肪織転移と診断した。

 

 

 

 

 

5. 水腎・水尿管の経過観察中に認められた腎盂扁平上皮癌の1

瀬野祐子、倉繁拓志、赤澤信幸(岡山済生会総合)

井筒将斗、須井健太、仁熊健文(同・外科)川口正志(姫路聖マリア)日下信行(広島市民)

 

症例は60歳、女性。20099月の検診で左水腎症を指摘されるも放置していた。201010月肉眼的血尿を主訴に受診。膀胱鏡では異常なく,尿細胞診は陰性であった。CTにて左水腎・水尿管および腎実質の菲薄化を認めたが,結石および腫瘍性病変は認めなかった。ただ,尿管狭窄部に子宮との癒着を思わせる所見があり,そのための通過障害と考え経過観察とした。20113月左腰部痛出現。CTにて左腎の腫大および不均一に造影される腫瘍性病変が疑われたため,CTガイド下生検を行い,ごく少量の扁平上皮を思わせる細胞群を検出した。同時に行った腸管の精査で下行結腸に狭窄を認め,同部の生検で扁平上皮癌が検出されたため,腎病変の浸潤と診断された。術前化学療法としてGC療法を2コース行ったが,判定はPDであった。腹部症状として下血およびイレウスが出現したため,8月左腎摘出,十二指腸,横行結腸,下行結腸,膵尾部,脾,副腎を合併切除した。現在,術後早期に出現した局所再発および骨転移巣のため,対症的な緩和医療を行っている。

水腎・水尿管の原因となった尿管下部の狭窄部とは離れた腎盂に発生した腎盂扁平上皮癌の1例を経験したので,臨床経過・画像検査・手術所見・病理所見および若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

6. 多種の生活習慣病を有する腎癌症例に対する腹腔鏡下腎摘除術の経験

市川孝治、西山康弘、山根 享、早田俊司(鳥取市立)

 

【目的】食習慣、運動習慣などライフスタイルの変遷により、多種の生活習慣病を有する泌尿器科患者が増加している。今回高血圧、糖尿病、心房細動、肥満を有する腎癌症例に対して腹腔鏡下腎摘除術を行い、考察したので報告する。

【症例】70歳、男性、PS 0糖尿病、心房細動、肥満(BMI 30.04)を有する.検診時の胸写にて異常陰影を指摘され、当院紹介となった。CTにて左腎癌、多発肺転移を認めた。腎癌は101×70×63mmで、左腎静脈内への腫瘍塞栓を認め、Gerota筋膜外への浸潤と脾への直接浸潤、横隔膜への浸潤が疑われた。術前診断T4N0M1のもと、ヘパリンコントロールののち左腎摘除術を行うこととした。この際、多種の生活習慣病を有し、術後深部静脈血栓症や感染症などの危険性が高いことから、腹腔鏡下腎摘除術を選択した。術中所見では、脾との剝離、腎門部処理に時間を要した.手術時間448分、出血量900ml、摘出重量1030gで、病理診断はRCC, CCC, G2>G1, pT3apM0M1であった。術翌日よりヘパリン再開、経口摂取、歩行開始し、術後8日目に退院となった。現在インターフェロン投与中である。

【考察】T1-2腎癌に対して腹腔鏡下手術は標準術式と言える.T3以上については開腹手術が一般的と考えられるが、他疾患やPSなどを考慮して可能な限り合併症を少なくできる術式を選択すべきと思われた。

 

 

 

 

7. 尿管平滑筋腫瘍の1

森 聰博、白崎義範、坪井 啓(三原赤十字)時永賢治(福山第一)

 

症例は78歳、女性。

既往歴は高血圧、高脂血症、子宮筋腫、虫垂炎。

左下腹部痛を主訴に近医内科を受診したところ、左水腎症を指摘され、精査目的に当科紹介となった。CTにて、左下部尿管に約2cmの淡く造影される腫瘤を認めた。逆行性腎盂造影ではCTに一致する部位の狭窄を認めた。自然尿細胞診はclassT、左分腎尿細胞診はclassUであった。下腹部痛が持続しており、左尿管腫瘍の診断で左腎尿管全摘除術、及び膀胱部分切除術を行った。腫瘍は尿管壁から発生しており粘膜面は正常であった。病理診断は尿管平滑筋腫瘍であった。術後、左下腹部痛は消失した。

尿管平滑筋腫瘍は稀な疾患であり、良悪性の判断が困難な場合が多い。若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

8. 泌尿器科手術における術後譫妄の検討

高本 篤、那須良次(岡山労災)杉本盛人(岡山大)

 

【目的】泌尿器科領域では高齢者でも手術が必要な場合が多く、術後譫妄で苦労をする症例をたびたび経験する。今回我々は泌尿器科における術後譫妄について、代表的な術式別の発症頻度とその傾向について検討を行った。【対象と方法】20091月〜20118月まで当科で施行した膀胱全摘除術24例、前立腺全摘除術59例、腎尿管悪性腫瘍手術50例(根治的腎摘除術、腎尿管摘除術、腎部分切除術)、TURP 96例、TURBT 147例、計376例の手術を対象に、カルテ記載よりレトロスペクティブに検討した。譫妄発症の診断は、アメリカ精神医学会の診断基準を参照に、見当識障害、睡眠障害、幻覚障害がみられ、安静臥床を維持できないものとし、カルテ記載、看護記録を基に判定した。【結果】術後譫妄の発生は全376例中、45例(12%)に認めた。術式別には、膀胱全摘除術9例(38%)、前立腺全摘除術0例、腎尿管悪性腫瘍手術5(10%)TURP 16例(17%)、TURBT 15例(10%)であった。【結論】膀胱全摘除術では高い割合で術後譫妄を認めた。一方、前立腺全摘術では、術後譫妄の発生はなく、腎悪性腫瘍手術でも発生は少なかった。TURPTURBTでの譫妄の発生には術後のカテーテル不快が影響する可能性が示唆された。

 

 

 

 

 

9. 先天性下部尿路通過障害の2

海部三香子、小出隆生、古川洋二(笠岡第一)

 

先天性下部尿路通過障害の2例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。症例16歳男児。昼間の尿失禁を主訴に受診。尿流量測定でQmax低下、排尿時間延長を認めた。UCGで球部尿道の狭窄と後部尿道に軽度の拡張を認めた。全身麻酔下に尿道鏡検査を行い、外尿道括約筋手前に膜様狭窄を認めており、フック型切開刀で3時、9時、12時を切開した。術直後から昼間の尿失禁は消失、尿流測定検査で改善を認めた。術後2年経過するも再発を認めていない。症例215歳男児、排尿困難を主訴に受診。UCGでは尿道狭窄を認めなかったが、MCUGで振子部尿道の狭窄を認めた。尿道鏡検査では、外尿道口から約4cmの振子部尿道に膜様狭窄、また外尿道括約筋の手前の球部尿道に瘢痕組織様のリング状狭窄が認められ、両者ともに排尿障害の原因であると考えられた。まず、全身麻酔下に振子部狭窄の切開を行ったが、用手的腹圧排尿および術中造影検査で不十分と判断し、球部尿道のリング状狭窄を半円型切開刃で5時、7時、12時に切開を加え、さらに24Frバルンダイレーターで拡張した。術後速やかに症状改善を認め、3ヶ月経過した時点での再発は認めていない。

 

 

 

 

 

10.原発性膀胱頚部閉塞症の女性1症例

西澤恒二、松岡 崇、水野 桂、仲西昌太郎、浅井聖史、岡添 誉、豊里友常、井上幸治、

寺井章人(倉敷中央)

 

75歳、 女性。 原発性肺癌への化学療法3コース目に、全身倦怠強くなり呼吸器内科に入院、翌日尿閉きたして当科初診した。病歴と診察所見から神経因性膀胱や薬剤性排尿障害は否定的であった。尿潜血陽性で、エコー・膀胱鏡検査では内尿道口から膀胱内に突出する、尿道全周性の隆起生病変を認めた。尿細胞診は陰性であるものの、原発性あるいは転移性尿道癌を否定できないため、経尿道的腫瘤生検と可及的切除を行った。病理組織所見は尿道粘膜下に多発する静脈血栓とそれに伴う著明な粘膜下浮腫であり、腫瘍性増殖像は認めなかった。術後、隆起性病変は再発せず、排尿障害も認めていない。女性の原発性膀胱頚部閉塞症は稀で詳細不明とされてきたが、本症例のように静脈血栓症による尿道粘膜下浮腫も原因の一つになりうると考えられた。女性の排尿障害で、神経因性・外傷性・解剖学的・医原性の排尿障害が除外され、膀胱頚部に全周性の隆起性病変が認められれば、本病態を念頭に経尿道的腫瘤生検と切除を検討してみてもよいと考えられた。

 

 

 

 

 

11.高度排尿障害に合併した高アンモニア血症の1

安東栄一、松本裕子、明比直樹(津山中央)

 

 今回われわれは、高度排尿障害を原因とした高アンモニア血症で意識障害をきたした症例を経験したので報告する。【症例】81歳、男性。【既往歴】小児脳性麻痺、喘息、排尿障害。【既往歴】2011826日に意識障害となり近医を受診したのち、同日当院内科を紹介となった。【経過】初診時の採血で高アンモニア血症を認め、その他は電解質、血糖などの異常を認めなかった。画像上も明らかな異常を認めず、高アンモニア血症が原因と考えられ入院となった。高アンモニア血症の明らかな原因が判然としなかったものの、ABPC/SBTの投与によって数日後、意識状態の改善傾向、アンモニア値の改善を認めた。その後尿培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され、尿路感染を原因とした高アンモニア血症を疑われ当科紹介となった。包皮先端がpin holl状の真性包茎であり、それに伴う高度排尿障害、多量の残尿を認めた。まずは尿道カテーテルを留置し、後日包皮環状切除術を行った。その後の排尿状態は良好であり、高アンモニア血症の再発も認めていない。【考察】尿路感染症を原因とする高アンモニア血症は稀であるが、排尿障害をともなう意識障害の原因として留意する必要がある。

 

 

 

 

 

12.気腫性膀胱炎の3

中塚浩一、上松克利、山田大介(三豊総合)

 

【症例171歳女性。基礎疾患に慢性心不全、高血圧。全身倦怠感のため内科入院中、肉眼的血尿および下腹部痛あり。CTにて膀胱壁内のガス像を認め当科紹介。尿道カテーテル留置およびCTM投与にて軽快。【症例281歳女性。基礎疾患に糖尿病。心不全による低酸素血症で内科入院中、CTにて膀胱内腔および壁内ガスを指摘され当科紹介。尿道カテーテル留置およびLVFX投与で治癒。【症例373歳女性。基礎疾患に糖尿病と慢性腎不全(血液透析中)。下腿壊疽にて整形外科入院中、発熱、下腹部痛あり。帯下も多量との事で婦人科紹介受診。CTにて卵巣茎捻転が疑われ試験開腹術を施行。術中所見にて卵巣は問題なく膀胱壁の黄色性変化を認め術中当科コンサルトとなった。全身状態も不良で、膀胱全摘は断念。尿道カテーテル留置、膀胱持続洗浄および抗菌化学療法を施行も全身状態は徐々に悪化、透析困難となり術後1カ月に死亡した。【考察】気腫性膀胱炎は膀胱内腔や、膀胱壁内のガス貯留を特徴とする稀な膀胱炎であり、患者は糖尿病や神経因性膀胱、難治性尿路感染症などの基礎疾患を有することが多い。起炎菌はE.coli, Klebsiellaが多く、尿中グルコースの発酵によりガス貯留がみられる。治療としては自験例の如く抗菌薬投与及び膀胱ドレナージが主であるが、重症化する症例や気腫性腎盂腎炎の併発に伴い手術療法を選択せざるを得ない症例も存在する。上記の症例について文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

13.ウィルス性尿路感染症の3

片山 聡、藤田 治、眞鍋大輔、三枝道尚、武田克治(香川県立中央)

 

【症例160歳男性。急性リンパ性白血病に対し2009724日非血縁間同種骨髄移植を施行。20091221日より肉眼的血尿が出現し同日当科紹介。1228CTにて両側水腎症出現し、同日両側尿管ステントを留置した。尿よりHHV6およびADV陽性であった。以後血尿消失し尿路通過障害改善したため両側尿管ステント抜去し、腎機能低下なく経過良好である。

【症例236歳女性。急性骨髄性白血病に対し201156日臍帯血移植を施行。201162日より肉眼的血尿が出現し69日当科紹介。613CTにて両側水腎症出現し、同日両側尿管ステントを留置した。肉眼的血尿コントロール難しく618日両側腎瘻造設した。尿よりCMV陽性であった。以後血尿消失し尿路通過障害改善したため両側腎瘻抜去し、腎機能低下なく経過良好である。

【症例349歳女性。慢性腎不全に対し2009417日当科にて献腎移植を施行。2011710日より悪寒および肉眼的血尿が出現し、720日当科紹介。722CTにて移植腎水腎症出現し同日腎瘻造設した。尿よりADV陽性であった。以後血尿消失し尿路通過障害改善したため89日腎瘻抜去し、腎機能低下なく経過良好である。

3例ともに水腎症呈し尿管ステントあるいは腎瘻造設を行い軽快した。今回我々はウィルス性尿路感染症の3例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

14.IgG4関連前立腺炎の1例 

伊藤誠一、光畑直喜(呉共済)佐々木なおみ(同・病理)

 

症例は68歳男性、PSA8.2ng/mlにて他院で前立腺生検を施行、10か所生検中1か所でGS6(3+3)の前立腺癌を認めた。CTにて左傍大動脈リンパ節に転移を疑う所見があり内分泌治療を開始したが、セカンドオピニンオンの希望があり1カ月後に当院へ紹介あり。御本人は前立腺全摘を希望、PSA値、生検陽性本数、GS等から傍大動脈リンパ節転移の可能性は低いと判断し手術を施行した。術中前立腺周囲の癒着が強く癌浸潤を思わす所見があったが病理所見はpT2aGS6(3+3)、前立腺両葉にわたりほぼ全域に多数の形質細胞浸潤がみられIgG4陽性細胞が50%以上を占めておりIgG4関連前立腺炎の合併を認めた。術後検査したIgG4884mg/dl17カ月経過後のIgG4821mg/dlと高値であるが臨床的に他臓器のIgG4関連疾患を示唆する所見は認めていない。

 

 

 

 

 

15.当科における精索捻転症の臨床的検討

仲田惣一、後藤隆文、高橋雄介、浅井武、臼井秀仁、羽田祥子

(岡山医療センター・小児外科)

 

精索捻転症は、精索の軸捻転により精巣の血流障害をきたし、放置すれば精巣壊死をきたす疾患である。

20041月から201111月までに当科では9(9精巣)の精索捻転症を経験した。年齢は、日齢0から1511ヶ月で、中央値は1211ヶ月。患側は右側2例、左側7例で、両側捻転は認めていない。新生児例を除く8例で緊急手術を施行しており、4例で精巣摘出術、4例で精巣捻転解除術(1例は用手整復後)を施行した。また、同時に対側精巣固定術は3例に行っており、現在は対側の固定術は同時に行う方針としている。

捻転解除術を施行した例は全例、症状発現から6時間以内に手術施行しており、現在までのところ対側を含め精巣萎縮等もなく経過している。

当科における精索捻転症の臨床的検討に、若干の文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

 

16.デュタステリドの長期使用成績

河原弘之(玉島中央)

 

前立腺肥大症患者に対してデュタステリドの使用成績をまとめたので報告する。

【対象】当科に排尿障害を主訴に受診し、前立腺肥大症と診断されデュタステリドの投薬を一年以上続けた70例のうち評価可能な56例を対象とした。【方法】PSAは投与後3ヶ月ごとに測定し、前立腺推定重量は6ヶ月毎にCTにて測定した。

【結果】

1)デュタステリド投与によりPSAは投与前平均値5.27が3ヶ月で3.84、6ヶ月で3.31、12ヶ月2.60と約50%の低下がみられた。

2)       PSAの変化はその特徴により4型に分けることができた。

D :PSAが徐々に低下し低下が続いている。

DF:PSAが早期に低下し以後、値を維持している。

DU:PSAが早期に低下するが徐々に上昇してくる。

NC:PSAの低下があまり見られないか、あっても前値の1/3以上の低下が認められない。

3)推定重量は平均で39.1%の縮小がみられた。

4)前立腺推定重量の変化は70歳以下のもの又、PSAの低下があまり見られないものでも縮小率は高かった。

5)重量別変化では40g以下でも縮小率が高かった。

 

 

 

17.性同一性障害Female to Maleに対するホルモン補充療法とその身体的、血液生化学的変化

の検討

杉本盛人、石井和史、渡部昌実、公文裕巳(岡山大)佐古智子(倉敷成人病)

松本裕子(津山中央)

 

岡山大学病院では、泌尿器科、精神科、婦人科、形成外科の4科が連携し、性同一性障害の包括的診療を行っており、当科では主にFemale to MaleFTM)患者に対するホルモン補充療法を行っている。今回我々はホルモン補充療法における投与量と男性化効果との関係、および血液生化学データの変化について検討を行った。

対象は20009月から20106月までに当科でホルモン補充療法を新規に開始した患者のうち、3カ月以上の経過観察が可能であった患者196人を対象にした。投与開始より3612か月目に問診を含む診察、血液検査を施行。月経停止、低声化、髭の増加が生じた時期について、retrospectiveに検討を行った。また投与3カ月以降の血液データの変化を検討した。

患者背景は年齢18-42歳(中央値26歳)。投与量の内訳は125mg/3週が3人、125mg/2週が102人、250mg/3週が57人、250mg/2週が34人であった。身体的変化に関しては、6か月以降の出現率では投与量間の有意差は見られなかった。血液データでは有意な多血症、高脂血症の傾向が見られたほか、血清クレアチニン、尿酸の上昇を認めた。また投与量間の検討では多血症および血清尿酸値に関して投与量に依存して増加する傾向を認めた。

FTM患者に対するホルモン投与により、多血症、高脂血症、高尿酸血症を来たす可能性が示唆され、一部のデータは投与量に依存していた。また、長期での男性化効果の出現率は投与量に依存していないことから、必要最低限の投与量が望ましいと思われる。

 

18.膀胱パラガングリオーマ(傍神経節種)の1

堀川雄平、野崎邦浩、大枝忠史(尾道市立市民)

 

症例は80歳代、女性。心不全にて当院循環器内科で精査加療中、肉眼的血尿を認めたため、当科紹介。CTでは膀胱右側壁に30mm大の腫瘍を認め、内部に低吸収域を認めていた。膀胱鏡では右尿管口奥に非乳頭状、広基性腫瘍を認め、粘膜下腫瘍が疑われた。尿細胞診はクラスUであった。MRIで腫瘍は内部に嚢胞を認めており、腫瘍部で筋層の連続性を認めなくなることから、平滑筋腫やパラガングリオーマなどが疑われた。生検目的にTUR-Btを施行。病理結果はパラガングリオーマであった。血中と尿中カテコラミン3分画には異常なく、血圧も降圧薬でコントロール良好であった。このため年齢と心疾患を考慮し、膀胱部分切除などは行わず、経過観察中である。パラガングリオーマは副腎外褐色細胞腫とも呼ばれ、膀胱に発生するのはパラガングリオーマの10%程度との報告があり、比較的稀な疾患である。本症例につき、若干の文献的考察を行い報告する。

 

 

 

 

 

19.膀胱憩室内に発生したNephrogenic adenomaの1例

藤田竜二、河内啓一郎、津島知靖(岡山医療センター) 

 

症例は79歳女性。20118月頻尿と肉眼的血尿を主訴に当科受診。膀胱鏡検査で膀胱憩室内に易出血性の絨毛状病変を認め、表在性膀胱腫瘍と診断した。尿細胞診は陰性。経尿道的膀胱生検および膀胱憩室電気凝固術を行った。病理組織診は乳頭状に増殖する腫瘍で表面を腎尿細管細胞に類似した単層立法上皮が覆っており、その間質ではN/C比が高く細胞内小腺腔を持つ細胞が浸潤性に増殖しておりNephrogenic adenomaと診断された。Nephrogenic adenoma(腎原性腺腫)は慢性的な感染や手術侵襲などにより、尿路に発生する比較的稀な良性腫瘍と考えられているが、肉眼的には表在性膀胱癌に類似しており、再発率の高い疾患であること、病理学的にclear cell adenocarcinomaに類似しているために注意が必要であることなどが指摘されている。その発生起源は近年になり、尿中に流れ出た腎尿細管細胞が損傷のある尿路上皮に生着した増殖性自家移植であることが判明した。今回我々はNephrogenic adenoma1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

20.膀胱癌術後腹壁再発に対して皮弁形成にて腹壁再建した1例

小武家誠、坂本英起、中田哲也、小泉文人(岩国医療センター)

青 雅一、森定 淳、片山裕子(同・形成外科)

藤田竜二(岡山医療センター)、安東栄一(津山中央)

 

症例は75歳、男性。膀胱癌にて201029日当科初診、画像精査にてcT2N0M0と診断し、318TURBT(UC,G3,TisUC,G3,T1以上)514日膀胱尿道全摘、回腸導管造設術(UC,G3,pT2apN0)を施行した。その後外来加療中、術後約4カ月後の929CTでは異常を認めなかった。10月中旬より臍下腫瘤に結節を触知され近医で加療されていたが腫瘤増大あり、1125日当科紹介されCTで腹壁再発を認め同日入院となった。臍尾側正中創上方に10×10cmの表面発赤、圧痛を伴う可動性不良な腫瘤を触知し、膀胱癌術後腹壁再発と診断し、入院の上GC (GEM,CDDP)療法を開始した。治療開始後も再発腫瘍の増大を認め、126日腹壁再発腫瘍摘除術、大腿皮弁形成による腹壁再建術を施行した。病理結果は膀胱癌の転移であった。術中播種による腹壁転移再発例の報告は少なく、本症例では外科的切除によりNEDが得られており、文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

 

21. 広島市民病院における腹腔鏡下前立腺全摘出術(LRP)の初期導入経験

黒瀬恭平、枝村康平、榮枝一磨、山崎智也、西村慎吾、日下信行、雑賀隆史(広島市民)

 

【目的】広島市民病院泌尿器科では20116月より後腹膜鏡下前立腺全摘除術(以下LRP)を導入し、20119月より施設認定を得ている。LRP導入初期経験を報告する。

【対象】20116月〜11月末まで32症例の限局性前立腺癌に対してLRPを行った。年齢は57-75(中央値:68.5)歳、PSA2.8-34.3 (8.7)ng/ml、臨床病期はT1b1例、T1c13例、T2a5例、T2b2例、T2c10例、T3a1例であった。執刀は腹腔鏡技術認定医3名で行った。DVC処理は自動吻合器を用い、膀胱-尿道吻合は3-0 PDS-Uによる連続縫合にて行った。

【結果】手術時間は163-394 (250)分、出血量は10-2040 (65)ml分であった。術中重篤な合併症は無く、同種血輸血を行った症例はいなかった。大きな前立腺(110g)による内視鏡操作困難のため開腹となった1例を除き、全例鏡視下に完遂可能であった。遅発性直腸損傷を1例認めたが、保存的に加療可能であった。

【結語】LRPは安全に導入可能であった。今後、制癌性および尿失禁などのQOLについて評価予定である。

 

 

 

 

 

22.原発性精巣上体癌の1例

大平 伸、横山光彦、大畑 絢、藤田雅一郎、福元和彦、藤井智浩、常 義政、宮地禎幸、

永井 敦(川崎医大) 

 

症例は39歳男性。既往歴・家族歴に特記事項無し。20101129日左陰嚢内腫瘤触知を主訴に当科を受診。左精巣上体に圧痛のない、小指頭大・弾性硬の腫瘤を触知した。血液生化学検査ではCRP0.7r/dlと軽度上昇の他は異常を認めなかった。尿検査でも異常を認めなかった。超音波検査では3p大の内部不均一な充実性の精巣上体腫瘍を認めた。CTMRI検査でも内部に造影効果を伴う腫瘍を認めた。悪性の可能性も否定できないことから、2011215日左高位精巣摘除術を施行。精巣上体は30×28×27o大で、病理組織学的所見では出血・壊死を伴う低分化型癌を認めた。転移性腫瘍の可能性も考慮し全身精査を行ったが、他に原発巣を疑う所見はなく原発性精巣上体癌と診断した。201111月現在、再発・転移の兆候なく生存中である。精巣上体腫瘍において悪性腫瘍の占める割合は約20%であり、転移性腫瘍が最も多く、その原発巣は胃・肝・膵などの消化器や腎・前立腺などである。精巣上体原発性悪性腫瘍は極めて稀であり、その確定診断には転移性腫瘍の否定が必要である。精巣上体原発の悪性腫瘍を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

23.広島市民病院における前立腺癌のがん診療地域連携パスについて

雑賀隆史、日下信行、黒瀬恭平、枝村康平、西村慎吾、山崎智也、栄枝一磨(広島市民)

 

(背景)昨今、大病院志向等を背景とした一部の大学病院や基幹病院への患者の偏在化により、急性期病院に勤務する医療者の負担増を招いていることから、医療機能の分化と連携を推進することで地域の医療機関それぞれが専門性と効率性を高め、また地域の医療資源を有効に活用し、地域医療全体の質の向上を図るという視点から、平成22年度診療報酬改定においてがん診療連携拠点病院等を中心とした連携の評価が算定されるようになった。

(対象および方法)広島市民病院泌尿器科では前立腺癌根治手術施行症例に対して20117月より地域連携パスをもちいて地域医療機関と情報交換をおこない、退院後の治療、観察の連携を依頼している。

(現況と課題)広島市および周辺医療圏に連携登録を依頼し、登録施設数は増加している。さらに放射線治療後、内分泌療法継続などの連携パスを作成し、当該患者の登録、連携を進めている。一方で算定要因の不適合や連携開始時期などの課題も明らかになってきた。

(まとめ)広島市民病院における前立腺癌の地域連携パスを提示するとともに、課題事項について報告する。

 

 

 

 

 

24. 前立腺癌に対するREIC/Dkk-3遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療臨床

研究 −中間報告−

佐々木克己、那須保友、渡部昌実、賀来春紀、平田武志、谷本竜太、公文裕巳(岡山大)

 

【緒言】岡山大学では、20111月より、前立腺癌に対してREIC/Dkk-3遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いた新規遺伝子治療臨床研究を開始した。この臨床研究では、従来から適応とされてきた去勢抵抗性再燃前立腺癌に加えて、ハイリスク初発限局性前立腺癌に対する術前ネオアジュバント療法についても検討を行っている。

【方法】対象は、A): 去勢抵抗性再燃前立腺癌および、B): ハイリスク初発限局性前立腺癌 2群、ベクター投与用量は低・中・高の3群で、AB群それぞれ12例ずつの治療を予定している。A群では4週、B群では2週の間隔で2回のベクター投与を行い、B群では、2回目投与6週後に前立腺全摘術を行って組織学的抗腫瘍効果の検討を行っている。

【結果】201112月現在までに、A4例、B9例、計13例に前立腺局所遺伝子治療を実施した。A群の1例で原疾患の進行に伴い、治療の中断を余儀なくされたが、他の12例では予定通りの治療遂行が可能であり、問題となる副作用も認めなかった。A群の1例で進行の抑制を認め、追加投与を行っている。またB群では中用量のベクター投与から組織学的、免疫学的効果が得られ、高用量では、これらの効果の顕在化が見られると同時にPSAの低下も認められた。

【結論】REIC/Dkk-3遺伝子治療は投与ベクター用量の増加とともに効果の顕在化が認められつつあり、今後、次世代の自己がんワクチン化療法として、次のステップである高度医療への申請を目指して研究開発を進めていく予定である。