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日本泌尿器科学会岡山地方会

プログラム・予稿集

 

 

 

 

 

 

 

 

日時: 平成24512日(土) 午後2
場所: 川崎医科大学 校舎棟 M-702講義室
倉敷市松島577
TEL: (086)462-1111(内線37109


参加者の皆様へ

1)       受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

2)       一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

3)       コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをEメール、もしくはフラッシュメモリーにコピーして、510日(木)までに、事務局に送付して下さい。動作の確認をします。もし、変更がありましたら、当日フラッシュメモリーをご持参下さい。Eメールで8M以上のファイルを送付されますと、岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので、ご遠慮下さい。

4)       事前にお送りいただいた発表スライドをやむを終えず変更する場合は当日学会開始20分前までに差替えて下さい。

5)       PowerPoint以外のソフトで作成した図、グラフや動画を挿入している場合には、コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には、コピー元ファイルも必要です。

6)       会場での質疑応答は、座長の許可を受けた上で、必ず、所属、氏名を明らかにしてからご発言下さい。

7)       予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。

 

    2009年度よりIT化導入のため、参加単位登録カウンターを設置しております。日本泌尿器科学会会員カードを忘れずにお持ち下さい。尚、従来の参加証も証明印を押印致しますので、お持ち下さい。

日医生涯教育制度

 単   位:3.5単位

 カリキュラムコード: 2[継続的な学習と臨床能力の保持],8[医療の質と安全],

15[臨床問題解決のプロセス], 64[肉眼的血尿],

65[排尿障害(尿失禁・排尿困難)],66[乏尿、尿閉],67[多尿]

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 


会場付近案内図

 

第二駐車場(有料100/時間)をご利用下さい。

 

 

 

 

病院正面玄関(2階)よりお入り下さい。

正面玄関を入られましたら、直進一番奥の中央エレベーターで7階まで上がり、校舎棟連絡通路を通り「M-702講義室(7階)」へお越し下さい。

 

*隣接してラウンジをご用意しておりますのでご利用下さい。

 

 

 


プログラム

一般演題

14:0014:50              座長 佐々木克己(岡山大)

 

1.      副腎血腫の1

安東栄一、神原太樹、明比直樹(津山中央)松本裕子(岡山大)

 

2.      腎原発MALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoma)の1例

薬師寺宏、福元和彦、金 星哲、大平 伸、藤田雅一郎、清水真次朗、海部三香子、藤井智宏、常 義正、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦(川崎医大)

 

3.      TAEにより治療した腎動静脈奇形2

富永悠介、片山 聡、藤田 治、眞鍋大輔、三枝道尚、武田克治(香川県立中央)

櫻井 淳(同・放射線科)

 

4.      術前に腎癌との鑑別が困難であった腎Mixed epithelial and stromal tumor1

新 良治、石川 勉、村尾 航、小野憲昭(高知医療センター)

倉橋寛明(岡山大)倉繁拓志(鳥取市立)

 

5.      クエン酸製剤(ウラリット)などによるメンテナンスの重要性を思い知らされた多発性尿路結石を有する遠位尿細管性アシドーシス(TRTA)の1

塩塚洋一、佐古智子、市川孝治、山本康雄、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

横山昌平(同・内科)郷原真輔(石川病院)

 

14:5015:30              座長 竹中 皇(岡山赤十字)

 

6.        f-TULで治療した完全珊瑚状腎結石の1例

津川昌也、石井和史、上杉達也(岡山市立市民)

 

7.        VURに対するデキストラノマビーズ/ヒアルロン酸共重合体(デフラックス)注入療法の初期経験

高本 篤、那須良次(岡山労災)片山泰弘(岡村一心堂)

山下良孝(山下泌尿器科)

 

8.        膀胱Plasmacytoid Urothelial Carcinoma1

河内啓一郎、藤田竜二、津島知靖(岡山医療センター)

木谷匡志、佐藤正和、山鳥一郎(同・臨床検査科)

 

9.        直腸癌膀胱尿管転移と膀胱尿路上皮癌を同時に認めた一例

榮枝一磨、有吉勇一、別宮謙介、佐々木克己、小林泰之、荒木元朗、江原 伸、

渡邊豊彦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

休憩

 

15:5016:30               座長 西澤恒二(倉敷中央)

 

10.    フルニエ壊疽の一例

堀川雄平、野崎邦浩、大枝忠史(尾道市立市民)上塚大一(同・外科)

 

11.    陰茎異物が発症の一因と考えられた陰茎癌の1例

上松克利、中塚浩一、山田大介(三豊総合)

 

12.    夜尿症外来の臨床的検討

上杉達也、石井和史、津川昌也(岡山市民)

石井亜矢乃、佐々木克己、渡辺豊彦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

13.    Narrow Band Imaging (NBI)を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術の経験 

藤田竜二、河内啓一郎、津島知靖(岡山医療センター) 

 

16:3017:20               座長 藤井智浩(川崎医大)

 

14.    単孔式あるいは二孔式鏡視下手術の試み

竹中 皇、佐古真一、中村あや、近藤捷嘉(岡山赤十字)山下真弘(岡山大)

 

15.    体腔鏡下膀胱全摘出術(Laparoscopic Cystectomy:以下LC2例の経験

黒瀬恭平1) 、榮枝一磨2)、山崎智也)、西村慎吾3)、弓狩一晃1)、枝村康平1)

日下信行1)、雑賀隆史1)1)広島市民、1)岡山大、3)岩国医療センター)

 

16.    外方発達型前立腺肥大症に合併した前立腺sarcomatoid carcinomaの1例

甲斐誠二、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

17.    化学療法が奏功した前立腺小細胞癌の2

浅井聖史、酒谷 徹、水野 桂、木村 隆、岡添 誉、豊里友常、西澤恒二、

井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

18.    前立腺癌I-125密封小線源療法におけるネオアジュバント内分泌療法の有用性

谷本竜太1)、別宮謙介1)、有吉勇一1)、江原 1)、柳井広之2)、片山敬久3)

那須保友1)、公文裕巳1)1)岡山大、2)同・病理学、3)同・放射線科)

 

17:2017:30 

日本泌尿器科学会保険委員会報告

       武田克治(香川県立中央)

赤枝輝明(津山東クリニック)

        津島知靖(NHO岡山医療センター)

     渡辺豊彦(岡山大学)


一般演題

1.      副腎血腫の1

安東栄一、神原太樹、明比直樹(津山中央)松本裕子(岡山大)

 

 【症例】75歳、男性。【既往歴】糖尿病、心房細動(ワーファリン内服)、高血圧。【現病歴】心窩部〜背部にかけての非限局性の疼痛を主訴に近医を受診。CTで左副腎腫瘍を指摘され、当科紹介となった。【検査】血算、一般生化学、凝固系、内分泌系、腫瘍マーカーに明らかな異常なし。CTでは左副腎に70mm大で辺縁整、類円形の腫瘤を認め、その辺縁部に造影効果を認めた。MRIではT1強調画像で高信号を示し、T2強調画像で不均一な高信号を示した。副腎シンチではMIBGシンチ、アドステロールシンチともに異常集積を認めなかった。以上より副腎血腫を最も疑ったが、腫瘤の造影効果を認めることと、腫瘍サイズより悪性腫瘍も否定し得ず、2012716日に腹腔鏡下左副腎腫瘍摘除術(途中開腹術へ移行)を行った。摘出組織の重量は272g 、肉眼的には内部に血腫の充満を認めた。病理学的には陳旧化した血腫であり、腫瘍性変化を示唆する所見を認めなかった。ワーファリンが誘因となった副腎血腫と考えられた。術後は特に問題なく経過し、疼痛も軽快した。本疾患は成人では稀な病態であり、文献的考察を加え報告する。

 

 

 

 

 

 

2.    腎原発MALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoma)の1例

薬師寺宏、福元和彦、金 星哲、大平 伸、藤田雅一郎、清水真次朗、海部三香子、

藤井智宏、常 義正、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦(川崎医大)

 

症例は59歳の女性。20103月に検診の超音波検査で右腎腫瘤(20mm)を指摘され、当科受診となった。CTMRIでは右腎に境界不明瞭な腫瘍性病変を認め、腎腫瘍や悪性リンパ腫が疑われた。腎細胞癌の典型的な画像所見ではないため、PET/CTを施行すると同部位に集積を認めた。炎症による病変の可能性も高いためしばらく経過観察となったが、腫瘤の増大を認めたため、同年12CTガイド下腎生検を施行した。病理結果はMALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoma)であった。病変は右腎に限局していることから、腎原発性MALTリンパ腫と診断した。治療は右腎への放射線外照射(36Gy)を行い、PET/CTで右腎の異常集積は縮小し、現時点で再燃は認めていない。

今回我々は腎原発MALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoma)を経験した。腎原発のMALTリンパ腫は稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

3.      TAEにより治療した腎動静脈奇形2

富永悠介、片山 聡、藤田 治、眞鍋大輔、三枝道尚、武田克治(香川県立中央)

櫻井 淳(同・放射線科)

 

症例137歳、女性。無症候性肉眼的血尿を主訴に20116月に当院泌尿器科受診。貧血および軽度の左腰部痛を認めた。単純CTでは左腎盂内に血腫を認め、造影CTでは左腎下極に異常血管を認めたため、左腎動静脈奇形(AVM)からの出血を疑い血管造影施行した。蔦状の支配血管2本確認し、AVMcirsoid type)と診断した。それぞれn-Butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)/リピオドールの溶液にてTranscatheterArterial Embolization(TAE)施行した。症例249歳、女性。20121月に無症候性肉眼的血尿、右背部痛にて当院救急外来を受診。右叩打痛があり、血塊を含む血尿を認めた。造影CTにて右腎静脈に早期静脈還流あり。右腎AVMを疑い、血管造影施行した。蔦状の支配血管3本確認し、AVM(cirsoid type)と診断した。そのうちの2本をエタノール/リピオドールの溶液にて、残り1本をNBCA/リピオドールの溶液にてTAE施行した。症例1,2ともに経過良好であり、再発を認めていない。以上、今回我々はTAEによって治療したAVM2例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 

 

 

 

  

 

4.      術前に腎癌との鑑別が困難であった腎Mixed epithelial and stromal tumor1

新 良治、石川 勉、村尾 航、小野憲昭(高知医療センター)

倉橋寛明(岡山大)、倉繁拓志(鳥取市立)

 

 症例は74歳女性。201010月検診で胸部異常陰影を指摘され近医内科を受診した。CTにて胸部には異常なかったが左腎上極に6cm大の腫瘍を指摘されたため、当院での治療を希望し紹介受診となった。泌尿器科的な自覚症状はなかった。造影CTにて腫瘍内部は不均一に造影されており、MRIではT2強調画像で低信号を呈する線維成分が主体の腫瘍で、内部に囊胞成分を認めた。囊胞性腎細胞癌の可能性を否定できず、12月腹腔鏡下左腎摘除術を行ったところ病理組織はMixed epithelial and stromal tumor of the kidney(MEST-K)であった。現在、術後14ヶ月経過しているが再発、転移は認めていない。

MEST-Kは上皮と間質の成分から構成されるまれな腎腫瘍で、閉経期の女性に見られることが多い。悪性化例の報告もみられるが、一般的には良性とされている。術前に囊胞性腎細胞癌との鑑別は難しく、腎摘除術が行われて診断されることとなる。MEST-Kについて若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

  

 

5.      クエン酸製剤(ウラリット)などによるメンテナンスの重要性を思い知らされた多発性尿路結石を有する遠位尿細管性アシドーシス(TRTA)の1

   塩塚洋一、佐古智子、市川孝治、山本康雄、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

横山昌平(同・内科)郷原真輔(石川病院)

 

遠位尿細管性アシドーシス(TRTA)に伴う尿路結石症の治療としてアルカリ化剤であるクエン酸製剤の投与は有効とされている。われわれはクエン酸製剤の投与により劇的に結石の増大・再発を抑制できた症例を経験したので、非投与期間に対する反省も込めて報告する。

症例は41歳女性。20031月(32歳時)に四肢脱力から歩行困難をきたし他院で低K血症、高Cl血症、代謝性アシドーシス、多発性両腎結石を認め、TRTAと診断された。その後当院に紹介され、20032月にESWL3回施行。200712月から20115月までの35ヶ月間に結石の再発、増大を繰り返し、ESWL2回、TUL6回を要した。確定診断後、カリウム製剤、重炭酸ナトリウムの上限量を投与していたがクエン酸製剤は投与していなかった。20116月クエン酸製剤、カルシウム製剤、ビタミンD製剤を開始したところ、電解質が補正されたばかりでなく、20118月に投与前からの残石に対するTUL1回施行した後は20124月まで結石に対する治療を要していない。慢性化していた腰痛も消失し、顔色、表情とも劇的に改善した。

 

 

 

 

 

6.      f-TULで治療した完全珊瑚状腎結石の1例

津川昌也、石井和史、上杉達也(岡山市立市民)

 

症例は44歳代、男性。当院内科で高血圧症、高尿酸血症にて内服加療中、蛋白尿、尿潜血陽性を認めたため、平成201217日当科紹介初診となる。腹部エコー、KUBで左珊瑚状腎結石を認めた。患側腎機能に明らかな障害はなく、患者が当院での f-TUL を希望したため、待機となった。平成22年度にHo:YAGレーザーが使用可能となり、平成232月に第1回目のf-TULを施行した。残石に対してさらに6月、9月とf-TULを追加施行し、stone freeとなった。なお、いずれの治療においても有熱性尿路感染症などの合併症は認めなかった。また、第1回目のf-TUL終了後から第3回目のf-TULまで排石促進の目的で塩酸タムスロシンを内服した。

尿路結石症診療ガイドラインでは珊瑚状腎結石に対してはPNLESWLの併用療法が最も推奨される治療法であるが、TUL単独治療は小さな珊瑚状腎結石に対して選択可能な治療法と位置づけられているのみである。しかし、今回われわれはf-TULstone freeにすることができた完全珊瑚状腎結石症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

 

 

 

 

 

7.      VURに対するデキストラノマビーズ/ヒアルロン酸共重合体(デフラックス)注入療法の初期経験

高本 篤、那須良次(岡山労災)片山泰弘(岡村一心堂)山下良孝(山下泌尿器科)

 

【目的】本邦でもデキストラノマビーズ/ヒアルロン酸共重合体(デフラックス)注入療法が保険適応となり、当科でも3例に対し治療を行ったので報告する。【対象と方法】症例1:57歳女性、左1VUR。症例239歳女性、右腎瘢痕、VCGではVUR確認できず。症例3:22歳女性、左3VUR。全身麻酔下に硬性膀胱鏡にて膀胱内を観察。Hydrodistension gradeの方法に従い、膀胱を半分ほど充満させた状態で膀胱鏡を尿管口に近づけ、自然摘下による潅流圧で尿管口の変化を観察した。デフラックスの注入はアクションシリンジポンプ(ボストン)を用いて水流を噴射し、Hydrodistension intraureteral injection technique(HIT)に準じて施行した。術後翌日には尿道カテーテル抜去し、退院となっている。【結果】平均手術時間3726-46)分、平均観察期間5か月(4-6)、平均注入量 右0.60.5-0.8ml、左1.40.8-2.2ml1症例で術後翌日に軽度の腰背部痛があり軽度の水腎を認めたがその後消失している。【考察】デフラックス注入療法の3件を経験したので初期経験を報告する。

 

 

 

 

 

 

8.      膀胱Plasmacytoid Urothelial Carcinoma1

河内啓一郎、藤田竜二、津島知靖(岡山医療センター)

木谷匡志、佐藤正和、山鳥一郎(同・臨床検査科)

 

患者は肉眼的血尿を主訴とする79歳男性。前医のUSにて膀胱腫瘍を指摘され当科紹介となった。膀胱鏡検査にて右側壁に4cm大の非乳頭状有茎性腫瘍を認めた。尿細胞診では、大細胞型の悪性リンパ腫を疑う細胞像を認めた。

TURBTを施行し、病理組織学的に浸潤性尿路上皮癌、リンパ腫様/形質細胞型(lymphoma-like /plasmacytoid)の所見であった。腫瘍細胞はN/C比の高い大型の芽球様細胞がリンパ球および壊死を伴ってびまん性に増殖しDLBCLの可能性があったが、免疫染色にて上皮系マーカーに濃染したことから膀胱plasmacytoid UCと診断し得た。

 T2N0M0と診断し、膀胱全摘除術、代用膀胱造設術を施行した。右閉鎖リンパ節に転移を認めたことから、術後補助療法としてGC療法を施行した。術後2カ月を経過した現在、左副腎に増大傾向のある腫瘤を認め、転移が疑われる。

膀胱癌において形質細胞腫に類似した組織形態を有することは稀であり、文献的考察を加え報告する。

 

 

 

  

 

 

9.      直腸癌膀胱尿管転移と膀胱尿路上皮癌を同時に認めた一例

榮枝一磨、有吉勇一、別宮謙介、佐々木克己、小林泰之、荒木元朗、江原 伸、

渡邊豊彦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

症例は、86歳男性。2007年に直腸癌(Ra)に対し、低位前方切除術の既往があった。20117月に肉眼的血尿を主訴に当科を受診した。膀胱鏡にて後壁に3個の乳頭状腫瘍を認め、CTにて左下部尿管に腫瘍性病変を認めた。膀胱癌(cT1N0M0 stageT)および、左尿管癌(cT2N0M0 stageU)と診断し、8月にTUR-Btを施行後、9月に腹腔鏡下左腎尿管全摘術を施行した。膀胱癌の病理結果は、UC, pTis, G3>G2、であったが、尿管腫瘍の結果は、metastatic adenocarcinomaであり、大腸癌の再発転移であると考えられた。術後補助療法は行わず、外来で経過観察されていたが、20123月に膀胱鏡にて膀胱内再発を認めたため、4月にTUR-Btを施行した。病理結果は、UCadenocarcinomaとのdouble cancerであった。

直腸癌の尿路再発に加え、尿路上皮癌を合併している症例は極めて稀であり、若干の文献的考察を加え、報告する。

 

 

 

  

 

 

10.フルニエ壊疽の一例

堀川雄平、野崎邦浩、大枝忠史(尾道市立市民)上塚大一(同・外科)

 

症例は70歳代男性。肛門周囲の疼痛のため近医で加療中であったが、肛門から会陰部まで発赤が拡大してきたため、当院外科受診。糖尿病、肝硬変の既往あり。CTにて直腸周囲後腹膜から会陰部・臀部・鼠径部・右大腿・陰嚢・陰茎まで広がるガス像を認め、フルニエ壊疽(壊死性筋膜炎)の所見であった。同日入院、肛門周囲・陰嚢切開ドレナージ術を施行した。膿培養からPeptostreptococcus,MRSAなどが検出され、術後MEPM,VCM投与と局所の洗浄を継続した。入院後27日、炎症反応上昇、腎機能低下を認めた。CTにて陰茎根部ガス残存を認めたため、デブリードメン、両側精巣摘除術、陰茎切断術、膀胱瘻造設術を施行した。入院後54日、CTにて恥骨結合から左縫工筋内に膿瘍形成を認めたため、膿瘍ドレナージ術、局所の便汚染コントロールの目的で人工肛門造設術も同時に施行した。その後、感染のコントロールは良好となり、入院後112日、植皮術を施行、軽快退院した。

フルニエ壊疽は致死率が高い感染症であるが、今回膿瘍ドレナージとデブリードメンなどを繰り返し施行することで救命し得た。若干の文献的考察を行い報告する。

 

 

  

 

 

 

11.陰茎異物が発症の一因と考えられた陰茎癌の1例

上松克利、中塚浩一、山田大介(三豊総合)

 

症例は71歳男性。主訴は陰茎の潰瘍。20歳代に陰茎にシリコンボールを埋め込んでいた。2010年3月より異物周囲の発赤 潰瘍を認め当科受診。陰茎背部に潰瘍を認めた。本人に保存的加療の希望が強く対処療法を行っていたが徐々に潰瘍の増悪および腫瘤形成を認めた。SCC1.5と正常。MRIではT2 lowの硬結を認めた。同年10月に腫瘍部生検を施行。病理組織はSCCであった。HPVは陽性。CT上は明らかな転移を認めなかった。cT1N0M0として陰茎部分切除術施行。病理組織は断端陰性であった。術後経過観察を行っていたが1年でSCC3.0まで上昇し、右鼠径リンパ節転移を認めた。同部位にRTを行い、経過観察中である。

陰茎癌は男性の悪性腫瘍の中では0.5%未満と稀な疾患である。危険因子としては生下時環状切開の有無、包茎、亀頭包皮炎の罹患、HPV感染があげられる。今症例では陰茎異物における慢性の炎症とHPV感染が発症の一因と考えられた。陰茎異物のある患者はHPV感染の確率が高いことが十分予想されるので、炎症像、潰瘍がある場合は積極的に生検等を行うべきであると思われた。

 

 

 

 

 

 

12.夜尿症外来の臨床的検討

上杉達也、石井和史、津川昌也(岡山市民)

石井亜矢乃、佐々木克己、渡辺豊彦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

 

【目的】岡山大学病院泌尿器科では平成202月より夜尿症外来を開設し、平成243月までに岡山市民病院泌尿器科と合わせ110例の症例を経験した。診療内容を総括し、臨床的検討を行ったので報告する。【対象と方法】内訳は男性83(75.5%)、女性27(24.5%)、初診時の年齢530歳(中央値:9歳)。全員に問診、一般診察、検尿、腹部超音波検査を実施した。International children continence society: ICCSで推奨される、夜尿アラーム、デスモプレシン、抗コリン剤を用い、治療を行った。治療効果はICCSの判定基準に従い、著効(改善率100%)、有効(改善率90%以上)、部分的有効(改善率50%以上90%未満)、無効(改善率50%未満)として、評価した。【結果と考察】過活動膀胱を伴わないmonosymptomatic nocturnal enuresis: MNE61例(55.5%)、過活動膀胱を伴うnon-MNEは、49例(44.5%)だった。明らかな下部尿路通過障害例は認められなかった。8週以上の治療を行った84例の治療効果は、著効23.1%、有効13.4%、部分的有効30.5%、無効32.9%であり、non-MNE症例の方が治療に難渋する傾向があった。

 

 

 

 

 

 

13.Narrow Band Imaging (NBI)を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術の経験 

藤田竜二、河内啓一郎、津島知靖(岡山医療センター) 

 

狭帯域光観察(NBI: Narrow Band Imaging )は、特殊フィルターにより照射光の波長を変え、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つの波長( 415 nm540 nm )の光を照射することにより、粘膜表層の毛細血管や粘膜の微細模様の強調所見を得ることが可能となり、その結果、血管新生の豊富な腫瘍の描出が鮮明となる光学的画像強調テクノロジーである。近年泌尿器科領域においても非浸潤性膀胱癌や間質性膀胱炎の補助診断としての有用性が報告されている。特に膀胱癌の術中所見では、腫瘍範囲の決定、上皮内癌や微小腫瘍の検出に有用とされている。当科ではオリンパス社製ハイビジョンビデオシステム(VISERA ELITE)を20122月より導入し、NBIを併用した経尿道的手術をおこなっているので、画像を供覧して報告する。

 

 

 

 

 

 

14.単孔式あるいは二孔式鏡視下手術の試み

竹中 皇、佐古真一、中村あや、近藤捷嘉(岡山赤十字)山下真弘(岡山大)

 

 当院において単孔式あるいは二孔式鏡視手術を行ったので報告する。症例1;63歳、女性。左腎腫瘍にて単孔式後腹膜鏡下腎摘除術を施行した。症例2;64歳、男性。左副腎腫瘍にて二孔式腹腔鏡下副腎摘除術を施行した。症例3;71歳、男性。左腎盂癌にて二孔式後腹膜鏡下腎尿管全摘除術を施行した。単孔式で行った症例1においては血管処理までを単孔式でおこなったが、上極の剥離が困難であり、切開創よりの小切開法にて手術を終えた。症例2および3においては二孔式鏡視下手術で完遂が可能であった。

 通常の鏡視下手術に比して単孔式あるいは二孔式鏡視下手術はやや時間がかかり、上極の剥離困難などまだ工夫の余地があるものの、通常の鏡視下手術が可能な術者においては移行可能である術式と考えられた。

 

 

 

 

 

 

 15.体腔鏡下膀胱全摘出術(Laparoscopic Cystectomy:以下LC2例の経験

黒瀬恭平1)、榮枝一磨2)、山崎智也)、西村慎吾3)、弓狩一晃1)、枝村康平1)

日下信行1)、雑賀隆史1)1)広島市民、2)岡山大、3)岩国医療センター)

 

【症例159歳男性、左腎盂癌にて左腎尿管全摘既往あり。200X-212月、膀胱内再発UC pTa G3 with CISと診断された。BCG膀注にて尿細胞診は陰性化したが、萎縮膀胱となった。200X年1月、右水腎症出現、明らかな再発所見無く、右腎瘻を造設した。

200X3LCおよび右尿管皮膚瘻造設を行った。

【症例264歳男性、200X-26TURにてUC T1G3 with CISと診断、BCG膀注を開始した。2回目の膀注後、播種性BCG感染を発症したため投薬中止、7ヶ月間の抗結核治療を行った。200X2月、TU-biopsyにてCIS残存を認めた。根治術希望され4月にLCおよび骨盤内リンパ節郭清・回腸利用代用膀胱造設を行った。

【方法】臍上部に第一ポート作成、これを中止に扇型に4ポートを配置した。

経腹膜アプローチにて鏡視下に膀胱全摘出術を完遂した。臓器摘出後、右尿管皮膚瘻は術者右手ポートを利用しストマ形成、代用膀胱は皮切追加し、Hautmann変法にて代用膀胱

を作成、尿道吻合を直視下で行った。

【結果】手術時間はそれぞれ275分(気腹:200分)384分(160分)、出血量は75ml, 200mlであった。周術期合併症無く、経過良好にて退院となった。

【結語】LCは安全に施行可能であった。手術時間が長めであったが

出血量は少なかった。適応およびメリットにつき考察を加える予定である。

 

 

 

16.外方発達型前立腺肥大症に合併した前立腺sarcomatoid carcinomaの1例

甲斐誠二、畠 和宏、岸 幹雄(福山市民)

 

前立腺から連続し、精嚢、直腸を圧排するように増大した外方発達性前立腺肥大症という稀な形態をした前立腺肥大症の患者を経過観察をしていたところ、前立腺癌を合併し、急速に進行した1例を経験したので報告する。

症例は70歳代男性。前医で前立腺腫大、PSA高値にて計3回前立腺生検するも悪性像認めず、経過観察されていた。2007年前立腺左葉から連続して、精嚢に浸潤するように増大する腫瘤を認め、当科紹介受診。生検施行するも悪性像認めず、経過観察していた。前立腺、腫瘤は徐々に増大し、精嚢、直腸を圧排。20111月再度生検するも悪性像認めなかった。20119月肉眼的血尿、排尿困難、下腹部痛にて受診され、腫瘤の著明な増大、膀胱タンポナーデ、両側水腎症を認めたため入院。両側腎瘻造設した。生検にて初めて低分化な前立腺癌の診断を得た。CAB療法を開始するも腫瘤は直腸、膀胱に浸潤性に増大した。放射線治療施行し、腫瘤は軽度縮小するものの、リンパ節転移を来たした。docetaxel化学療法を施行するも腫瘤は増大、腹膜播種、肺転移をきたし、徐々に全身状態悪化し、12月に永眠された。

 

 

 

 

 

  

 

17.化学療法が奏功した前立腺小細胞癌の2

浅井聖史、酒谷 徹、水野 桂、木村 隆、岡添 誉、豊里友常、西澤恒二、井上幸治、寺井章人(倉敷中央)

 

化学療法が奏功した前立腺小細胞癌の2例を経験したので報告する。

【症例1】76歳男性。20111月に排尿痛のため前医受診となる。PSA26ng/mlと高値であり、CTおよびMRIにて精嚢に浸潤する径4cmの前立腺腫瘍と骨盤内リンパ節転移あり。前立腺生検施行され、病理診断はGS4+5の腺癌および小細胞癌であった。CAB療法が開始されたが、排尿痛が改善しないため同年3月に加療目的にて当院紹介受診となる。NSE 12.0ng/mlと高値であった。前立腺部に60Gy 照射およびホルモン療法継続にてPSA0.02ng/mlまで低下するもCTにてリンパ節転移の増大あり。CBDCACPT11療法を開始したが、2コース施行後にリンパ節転移の増大あり。同年10月よりアムルビシン療法を開始し、2コース施行後にリンパ節転移の縮小あり。以後外来化学療法継続中である。

【症例2】 58歳男性。20121月に排尿時不快感および頻尿のため前医受診となる。PSA正常もCTおよびMRIにて直腸に浸潤する径8cmの前立腺腫瘍と骨盤内リンパ節転移あり。精査加療目的にて当院紹介受診となる。NSE 34.6 ng/mlと高値であった。前立腺生検施行し、病理診断は小細胞癌であった。同年2月よりCDDP+CPT11療法を開始した。1コース施行後に前立腺腫瘍およびリンパ節転移の縮小あり。以後化学療法継続中である。

 

 

 

 

 

18.前立腺癌I-125密封小線源療法におけるネオアジュバント内分泌療法の有用性

谷本竜太1)、別宮謙介1)、有吉勇一1)、江原 1)、柳井広之2)、片山敬久3)

那須保友1)、公文裕巳1)1)岡山大、2)同・病理学、3)同・放射線科)

 

【目的】前立腺がんに対するI-125密封小線源療法におけるネオアジュバント内分泌療法(NHT)PSA再発を低下させるか否か検討した。

【対象と方法】2004年から2011年までに、NCCNのガイドラインに基づく低および中間リスク群前立腺がんに対して I-125密封小線源療法を施行した459例を対象とした。そのうち、193例にNHTを行った。経過観察期間中央値は48ヶ月であった。PSA再発はnadir+2ng/mlと定義し、非PSA再発期間をKaplan-Meier法にて算出した。

【結果】単変量解析の結果、非PSA再発率はNHTの有無で有意差を認めなかった。リスク群、ホルモン治療の期間、方法で階層化した場合、いずれもPSA再発を有意に低下させることはなかった。多変量解析の結果、グリソンスコアのみが有意にPSA再発に寄与し、ネオアジュバントの有無は関与していなかった。

【結論】密封小線源療法におけるNHTPSA再発の改善に貢献しなかった。