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日本泌尿器科学会
岡山地方会

プログラム・予稿集

日時:平成25年5月18日(土) 午後2時


場所:川崎医科大学 校舎棟 M-702講義室

倉敷市松島577

    TEL(086)462-1111(内線37109)

 

参加者の皆様へ

  1. 受付は会場入口で行ないます。会員証に出席証明の捺印を致します。

  2. 一般演題は口演時間7分,討論3分です。時間厳守でお願いします。

  3. コンピュータープレゼンテーション演題はファイルをEメール、もしくはフラッシュメモリーにコピーして、516日(木)までに、事務局に送付して下さい。動作の確認をします。もし、変更がありましたら、当日フラッシュメモリーをご持参下さい。Eメールで8M以上のファイルを送付されますと、岡山大学のメールサーバーが不具合となりますので、ご遠慮下さい。

  4. 事前にお送りいただいた発表スライドをやむを終えず変更する場合は当日学会開始20分前までに差替えて下さい。

  5. PowerPoint以外のソフトで作成した図、グラフや動画を挿入している場合には、コンピューターの環境により表示されないことがありますのでご注意下さい。特に動画を挿入されている場合には、コピー元ファイルも必要です。

  6. 会場での質疑応答は、座長の許可を受けた上で、必ず、所属、氏名を明らかにしてからご発言下さい。

  7. 予稿集には予備がありませんので,必ずご持参下さい。


 
  日医生涯教育制度

  単 位:3単位

  カリキュラムコード: 2[継続的な学習と臨床能力の保持],8[医療の質と安全],

  15[臨床問題解決のプロセス], 16[ショック],57[外傷],

  64[肉眼的血尿],





会場付近案内図

第二駐車場(有料100/時間)をご利用下さい。



M-702講義室(7階)

     

病院正面玄関(2階)よりお入り下さい。

正面玄関を入られましたら、直進一番奥の中央エレベーターで7階まで上がり、校舎棟連絡通路を通り「M-702講義室(7階)」へお越し下さい。

*隣接してラウンジをご用意しておりますのでご利用下さい。



プログラム

一般演題

14:0014:50              座長 寺井章人(倉敷中央)


  1. ほぼ同時期に経験した副腎原発悪性リンパ腫の2

富永悠介、杉本盛人、佐々木克己、荒木元朗 、江原 伸、渡邉豊彦、那須保友、

公文裕巳(岡山大)

楳田祐三、藤智 和、八木孝仁(同・肝胆膵外科)

榮枝一磨(津山中央)吉岡貴史(我孫子東邦)


  1. 過去2年間に当科にて確定診断した悪性リンパ腫症例の検討

中塚浩一、上松克利、山田大介(三豊総合)


  1. DICを合併した重症尿路感染症に対して腎摘除術を施行した2

栄枝一磨1)、神原太樹1)、明比直樹1)、松本裕子2)、安東栄一3)

1)津山中央、2)岡山大、3)岡山赤十字)


  1. TUL術中の敗血症性ショックの1

堀川雄平、別宮謙介、大枝忠史(尾道市民)、野ア邦浩(滝宮総合)


  1. 癌患者における片側上部尿路閉塞に対する尿管ステント留置の検討

山下真弘、津島知靖、藤田竜二、河内啓一郎(岡山医療センター)


14:5015:40              座長 常 義政(川崎医大)


  1. 拡散強調MRIによって確定診断された腎盂癌の1

石井和史,上杉達也,津川昌也(岡山市立市民)


  1. 尿管坐骨ヘルニアの2

木村 隆、中村健治、酒谷 徹、福本哲也、岡添 誉、豊里友常、西澤恒二、

井上幸治、寺井章人(倉敷中央)


  1. 腹腔鏡下尿管尿管吻合術を施行した下大静脈後尿管の1例

塩塚洋一、佐古智子、市川孝治、山本康雄、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

横山昌平 (同・内科・泌尿器科)


  1. 尿膜管遺残に対する腹腔鏡下尿膜管切除を行なった4例の臨床的検討

黒瀬恭平1)、片山 聡2)、和田耕一郎3)、藤田 治1)、眞鍋 大輔1)、三枝道尚4)

武田克治1))香川県立中央、2)岡山赤十字、3)岡山大、4)福山市民) 


  1. 陰嚢内容の温存に成功したFournier壊疽の1

薬師寺 宏、小出隆生、小澤秀夫(川崎病院)

浦上 淳(同・外科)山本剛伸(川崎医大・皮膚科)


休憩

16:0016:50               座長 山本康雄(倉敷成人病)


  1. 恥骨離開に対する創外固定術が原因と考えられた膀胱損傷の1

高崎宏靖、平田啓太、金 星哲、高原 絢、福元和彦、海部三香子、藤井智浩、

常 義政、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦(川崎医大)


  1. 後腹膜脂肪肉腫の2

川口正志、能勢宏幸、村上貴典(姫路聖マリア)


  1. 骨転移に対してGemcitabine-CisplatinGC)療法が著効した膀胱癌の1例

甲斐誠二、三枝道尚、岸 幹雄(福山市民)


  1. 術前補助化学療法に抵抗を示した膀胱癌の3

枝村康平、山崎智也、弓狩一晃、小泉文人、日下信行、雑賀隆史(広島市民)


  1. 岡山大学泌尿器科における前立腺癌に対するREIC遺伝子治療臨床研究〜CRPC著効例の報告〜

有吉勇一、高本 篤、谷本竜太、佐々木克己、江原 伸、賀来春紀、渡部昌実、

渡辺豊彦、那須保友、公文裕巳(岡山大)


16:5017:00 

日本泌尿器科学会保険委員会報告

  渡辺豊彦(岡山大学)

  津島知靖(NHO岡山医療センター)

  武田克治(香川県立中央)

  赤枝輝明(津山東クリニック)

一般演題

  1. ほぼ同時期に経験した副腎原発悪性リンパ腫の2

   富永悠介、杉本盛人、佐々木克己、荒木元朗 、江原 伸、渡邉豊彦、那須保友、公文裕巳(岡山大)楳田祐三、藤智 和、八木孝仁(同・肝胆膵外科)

   榮枝一磨(津山中央)吉岡貴史(我孫子東邦)

 症例141歳男性。発熱、右側腹部痛を主訴に20129月近医受診。胆嚢炎と診断されて前医内科紹介。造影CTにて、右副腎に70mm大の不均一な淡い造影効果の腫瘤あり、2013130日当科紹介。各種内分泌検査は陰性、MRIではT2WIではやや不均一な高信号、T1WIでは一部高信号であり、肝への浸潤も認め、副腎癌を指摘された。MIBGシンチは陰性、PET-CTでは右副腎腫瘍にのみFDGの異常集積を認めた。201337日右副腎腫瘍摘出術、肝右葉・右腎・横隔膜合併切除、下大静脈切離・人工血管再建施行した。病理にてDiffuse large B-cell lymphomaと診断され、全身化学療法目的に血液内科紹介となった。

 症例261歳女性。左背部痛主訴に20133月近医受診。造影CTにて大動脈、下大静脈を巻き込む造影効果に乏しい右副腎および腎と一塊になった腫瘍を指摘され、2013325日当科紹介。CTガイド下生検施行しDiffuse large B-cell lymphomaであった。PET-CTでは横隔膜上下の腫大リンパ節や多発骨病変、両腎病変、腸管病変にFDGの異常集積がありW期と診断され、全身化学療法目的に血液内科紹介となった。

 2例とも後ろ向きに検討した結果、PET-CTにおいて悪性リンパ腫に特徴的な異常集積を認めており、診断に有用であると思われた。文献的考察を加え報告する。

 

  1. 過去2年間に当科にて確定診断した悪性リンパ腫症例の検討

   中塚浩一、上松克利、山田大介(三豊総合)

 悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別され本邦では非ホジキンリンパ腫が殆どを占める。非ホジキンリンパ腫のうちリンパ節以外から発生する節外性リンパ腫はおよそ4割といわれる。今回,我々は201011日から20121231日の期間において当科で悪性リンパ腫と診断された6例について臨床的検討を加え,報告する。性別は男性5例,女性1例で,平均年齢77.2歳(5986)であった。症例は6例全例で非ホジキンリンパ腫であり,diffuse large B cell lymphoma5例,follicular lymphoma1例であった。節外性リンパ腫は6例中4例で,原発部位は精巣2例,右副腎1例,右尿管1例であり,他2例は,前立腺癌の疑いにて当科受診したが,精査の結果,ともに左鼠径リンパ節が原発と考えられた。診断確定時のsIL-2Rの平均値は1975IU/ml905−4080)であった。治療はR-CHOPおよび放射線治療施行したものが1例,R-CHOPのみが1例,放射線治療のみが1例,経過観察3例であった。経過観察のうち2例は全身状態不良のため積極的治療が行えなかった症例で,残り1例は早期のfollicular lymphomaで進行が比較的遅いと診断され,経過観察となった。

 

  1. DICを合併した重症尿路感染症に対して腎摘除術を施行した2

   栄枝一磨(1)、神原太樹(1)、明比直樹(1)、松本裕子(2)、安東栄一(3)

   (1)津山中央、(2)岡山大、3)岡山赤十字)

DICを合併した重症尿路感染症に対する治療は、尿路閉塞を伴う場合は尿路ドレナージが必須で、その他速やかかつ適切な抗菌薬投与と抗DIC治療薬の投与である。これらの治療で重症尿路感染症は治癒に至ることが多いが、これらが奏効せず、腎摘除術を施行し治癒に至った二例を経験したので報告する。一例目は、不眠症、不安症などで精神科病院かかりつけの52歳女性。抗不安薬等による排尿障害をベースに尿路感染を呈し、抗菌薬投与、尿道カテーテル留置を行ったが改善せず、気腫性腎盂腎炎を呈した。保存的治療を行うも改善を認めず、腎摘除術を行い治癒した。二例目は、摂食障害のある28歳女性。尿管結石により、DICを合併した閉塞性腎盂腎炎を呈し、抗菌薬投与および尿管ステント留置を行ったが、改善なく膿腎症となったため、腎摘除術を施行し治癒に至った。これら二例の経過について、若干の文献的考察を加え報告する。

 

  1. TUL術中の敗血症性ショックの1

   堀川雄平、別宮謙介、大枝忠史(尾道市民)、野ア邦浩(滝宮総合)

TUL術中に重篤な敗血症性ショックに陥った症例を経験したので報告する。

症例は80歳代男性。左尿管結石症から急性腎盂腎炎、敗血症性ショックを認めたため、当科受診。左尿管ステント留置、BIPMSBT/ABPCなど投与、エンドトキシン吸着療法を施行し、状態は改善した。後日左尿管結石に対し、ESWLを施行したが、破砕効果は十分であるものの排石に至らず、f−TULを予定した。

f−TUL開始し、約2時間30分後、収縮期血圧が70mmHg台まで低下。敗血症性ショックと判断し、手術を中止した。一時収縮期血圧は40mmHgまで低下したが、ノルアドレナリン、アドレナリン、バゾプレッシンを持続投与しながら、エンドトキシン吸着療法、CHDFなど施行した。術前の尿培養ではMRSAなど複数の菌が検出されており、MEPMLZD 投与を施行。経過中、血小板減少も認め、血小板輸血を施行。徐々に状態は改善した。

 

  1. 癌患者における片側上部尿路閉塞に対する尿管ステント留置の検討

   山下真弘、津島知靖、藤田竜二、河内啓一郎(岡山医療センター)

【目的】悪性腫瘍に伴う尿路閉塞に対して、閉塞解除を目的に尿管ステント留置または腎瘻造設が行われる。当院における片側の腫瘍性尿管閉塞に対する尿管ステント留置について検討する。【対象】当院において20063月から20115月までに片側の腫瘍性尿管閉塞を来し、尿管ステントを留置した41例を対象とした。【結果】対象の平均年齢は71.9歳(5893歳、中央値71歳)、性別は男性18例、女性23例。原因癌種は、泌尿器癌15例、消化器癌15例、婦人科癌4例、血液癌4例、その他3例であった。両側にステント留置したのは3例で、それぞれ、骨肉腫の骨盤内転移の症例・直腸癌の膀胱浸潤症例・盲腸癌術後の腹膜播種例であった。ステント留置前の平均血清Cr 3.075(mg/dl)は、ステント留置後1週間もしくはCrが改善しプラトーとなった時点の平均1.978(mg/dl)に低下していた。【結論】腫瘍性尿管閉塞に対する尿管ステント留置で腎機能の改善を得ることができた。また片側の尿管閉塞であっても急速な経過をたどるものなど両側ステント留置も考慮すべきと考えられた。

  1. 拡散強調MRIによって確定診断された腎盂癌の1

   石井和史,上杉達也,津川昌也(岡山市立市民)

近年,腎盂尿管癌における拡散強調MRIの有用性について報告が散見される。当院においても,拡散強調MRIにより確定診断に至った腎盂癌の症例を経験したので報告する。症例は75歳女性。尿潜血に対する精査目的で当科を受診した。初診時,尿細胞診がクラスXであり,責任病巣の検索を行った。単純・造影腹部−骨盤部CTにて尿路に明らかな腫瘍を疑う所見は認めず,膀胱生検でも膀胱内に悪性所見を認めなかった。しかし,左分腎尿細胞診がクラスXであったため,左腎盂尿管癌を疑い,左尿管鏡検査を行った。その結果,上部尿管と下腎杯に不整な粘膜を認めたが,組織学的に悪性所見を証明することはできなかった。これまでの検査で責任病巣を特定できなかったが,最後に腹部MRIを行ったところ,拡散強調画像にて左下腎杯は明らかな高信号を呈しており,これまでの検査結果も総合的に判断して,最終的に左腎盂腫瘍と診断することが可能であった。治療として,後腹膜鏡下腎尿管全摘術を行い,摘出標本にて,拡散強調画像の所見に一致して,下腎杯に2.5px1.0p大の腫瘍を認めた。病理検査の結果,扁平上皮癌>尿路上皮癌と診断された。腎盂尿管癌に対する拡散強調MRIは,腫瘍部は高信号,周囲の尿や脂肪組織などは低信号となり,腫瘍とのコントラストがつくことによって,腎盂・尿管癌の局在診断における補助診断として有用であると思われた

  1. 尿管坐骨ヘルニアの2

   木村 隆、中村健治、酒谷 徹、福本哲也、岡添 誉、豊里友常、西澤恒二、井上幸治、 寺井章人(倉敷中央)

【はじめに】尿管ヘルニアは稀な疾患であり、中でも尿管坐骨ヘルニアは極めて稀である。今回、我々は尿管坐骨ヘルニアの2例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

【症例163歳・女性。2012819日、左下腹部痛を主訴に当院救急外来受診。CTにて左水腎症を認め、拡張した尿管が坐骨孔へ突出している像を呈していた。翌20日に当科紹介。左尿管坐骨ヘルニアを疑い、透視下に6Fr24cmDJステントを留置した。その後のエコーでは左水腎症の改善を認めた。3ヶ月間DJステント留置の後、外来にてDJステントを抜去した。この際、ステント下端部に結石付着あり、HoYAGレーザーにて砕石を行なった。外来定期通院中であるが尿管坐骨ヘルニアの再発は現在のところ認めていない。

【症例277歳・女性。201325日、右側腹部痛を主訴に近医受診し右水腎症指摘。同月19日当院紹介。CTにて右水腎症及び尿管の坐骨孔への脱出・同部位でのcaliber changeを認めた。同日、透視下に4.8Fr multilength DJステント留置。DJステント留置後から疼痛の消失を認めた。現在外来通院にてフォロー中である。

 

  1. 腹腔鏡下尿管尿管吻合術を施行した下大静脈後尿管の1例

   塩塚洋一、佐古智子、市川孝治、山本康雄、石戸則孝、高本 均(倉敷成人病)

   横山昌平 (同・内科・泌尿器科)

症例は43歳、男性。健診エコーで右水腎症を指摘され、当科受診。CTで下大静脈後尿管の診断を得た。腎レノグラムで右腎は軽度〜中等度の排泄障害型を示した。腹腔鏡下に尿管尿管吻合術を施行。尿管と下大静脈の間には癒着なく、尿管を下大静脈左側で切断し、下大静脈の腹側に移動させた。余剰尿管を切離し、尿管端々吻合を行った。術後に血塊による尿管ステント閉塞をきたし、一過性の発熱を認めたが、尿管ステント交換により速やかに軽快した。術10日目に退院し、術1ヶ月目に尿管ステントを抜去した。術中所見を供覧する

 

  1. 尿膜管遺残に対する腹腔鏡下尿膜管切除を行なった4例の臨床的検討

   黒瀬恭平1)、片山 聡2)、和田耕一郎3)、藤田 治1)、眞鍋大輔1)、三枝道尚4)

   武田克治1))香川県立中央、2)岡山赤十字、3)岡山大、4)福山市民) 

 

緒言:尿膜管遺残は胎生期における尿膜管退化不全を原因とする先天疾患である。

局所感染を主訴に泌尿器科を受診することが多く、しばしば外科的切除が必要となる。

今回当院で外科的切除を行なった症例について臨床的検討を行なったので報告する。

対象:20113月から20124月までに当院で腹腔鏡下尿膜管切除を受けた4症例。

年齢は24~60歳(中央値 34歳)、男性1例 女性3例、BMI:19.9~27.5Kg/m2(中央値27.0)であった。

主訴は1例が健診による膀胱超音波異常所見、1例が膀胱炎様症状で、2例が臍からの膿排出であった。膀胱鏡および画像所見にて2例が膀胱・尿膜管憩室型で2例が臍・尿膜管洞型であった。

結果:全症例に対し、腹腔鏡下尿膜管切除を行なった。3例では膀胱部分切除を同時に

また1例では希望により臍形成を一期的に行なった。周術期に重篤な合併症は認めなかったが、1例で膀胱部分切除後の尿リークのため、尿道カテーテル再留置を必要とした。

病理結果は全例悪性所見を認めなかった。

結語:当院での治療結果は概ね良好であった。尿膜管遺残の診断および治療について考察を加え、報告する。

 

  1. 陰嚢内容の温存に成功したFournier壊疽の1

   薬師寺 宏、小出隆生、小澤秀夫(川崎病院)

   浦上 淳(同・外科)山本剛伸(川崎医大・皮膚科)

症例は48歳男性。主訴は左鼠径部の膨隆と疼痛。

15年前より糖尿病の加療を受けるも、コントロール不良であった。20121128日 左鼠径部から陰嚢にかけ発赤・腫脹・圧痛を生じた。1130日近医入院し抗菌剤の投与を受けるも改善なく、121日 当科紹介となった。左鼠径部皮膚の発赤・黒色壊死、左陰嚢腫大を認めた。採血では炎症反応高値・高血糖(WBC 23340,NEUT 90%,CRP 20.28,FBS 311,HbA1c 8.5)を認めた。MRIでは陰嚢左側皮下にガスを伴う膿瘍を認めた。左鼠径部前面皮下に炎症の広がりを認め、外陰部壊死性筋膜炎(Fournier壊疽)と診断した。緊急切開ドレナージを施行した。左陰嚢から鼠径部まで皮膚を切開し、壊死組織を除去した。精巣と精巣上体は感染所見がないため温存した。術後は抗菌剤BIPMCLDMを投与した。124日 壊死した左陰嚢皮膚を追加切除した。以後、スルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)塗布を続け、肉芽形成も良好となった。1月11日 皮膚欠損部に対し皮膚科と共に右鼠径部皮膚分層植皮術を施行、経過良好で創は治癒した。今回我々は左陰嚢腫大を伴うFournier壊疽を経験し、左精巣の温存に成功し、良好な経過を得たので報告する。

 

  1. 恥骨離開に対する創外固定術が原因と考えられた膀胱損傷の1

   高崎宏靖、平田啓太、金 星哲、高原 絢、福元和彦、海部三香子、藤井智浩、常 義政、横山光彦、宮地禎幸、永井 敦(川崎医大)

症例は70歳、女性。原付バイク乗車中に自動車と衝突し受傷した。当院に救急搬送され、恥骨離開を伴う骨盤骨折(Open book型骨盤骨折)を含む多発外傷と診断された。さらに小腸腸間膜損傷、虫垂間膜損傷による腹腔内出血を合併し、緊急手術にて小腸部分切除、虫垂切除と骨盤外固定術が施行された。術後6日目に38以上の発熱を認め、CT検査で恥骨結合周囲に膀胱の脱出と左恥骨周囲に膿瘍形成を認めた。当科紹介となり、膀胱造影を施行したところ、造影剤は恥骨周囲から左大腿部へ拡がっており、膀胱損傷が膿瘍形成の原因と考えた。術後18日目に膀胱損傷の修復目的で手術を行った。術中所見は、左恥骨前面から大腿にかけて膿瘍形成を認め、膿瘍を恥骨結合部側へ追っていくと膿瘍内腔は膀胱内腔に連続していた。その時点で恥骨離開部から突出した膀胱が恥骨に挟まれたことで二次的に膀胱損傷したものと考えられた。交通部を切除し膀胱壁を修復、膀胱前腔と膿瘍部にドレーンを留置し、改めて創外固定術を施行した。今回我々はOpen book型骨盤骨折の創外固定術が原因と考えられる二次的な膀胱損傷の症例を経験した。Open book型骨盤骨折時の骨盤外固定術の際には膀胱損傷のリスクが存在すると考えられ、膀胱損傷の危険性を十分に留意する必要がある。

 

  1. 後腹膜脂肪肉腫の2

   川口正志、能勢宏幸、村上貴典(姫路聖マリア)

【症例170,男性。20082月当院外科にて胃癌のため腹腔鏡下幽門側切除を施行された。フォローのCTにて右腎下極に脂肪肉腫を疑う所見を認めたため、20095月当科に紹介された。造影CT, MRIにて高分化型脂肪肉腫が疑われたため、同年7月に後腹膜腫瘍切除(右腎合併切除)を施行した。病理では脱分化した領域を認めず、高分化型脂肪肉腫と診断された。201212月の時点で明らかな再発、転移所見を認めてない。

【症例258,女性。20127月下痢を頻回に催すため、当院内科を受診した。精査のためにCTを施行した所、左腎下極の後腹膜腔に3p大の腫瘤を認め、脂肪肉腫が疑われたため、同年10月に当科に紹介となった。PET-CTMRIにて脱分化型脂肪肉腫が疑われたため、同年11月後腹膜腫瘍切除(左腎合併切除)を施行した。病理では異型性、多形性の強い紡錘型細胞の増殖を認め、脱分化型脂肪肉腫と診断された。20133月の時点で明らかな再発、転移所見を認めてない。

 後腹膜脂肪肉腫は全悪性腫瘍の0.0702%を占めるとされる比較的稀な疾患である。集学的治療として有効な手段が少なく、手術による完全切除が唯一コンセンサスを得ている。今回我々は後腹膜脂肪肉腫の2例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

 

  1. 骨転移に対してGemcitabine-CisplatinGC)療法が著効した膀胱癌の1例

   甲斐誠二、三枝道尚、岸 幹雄(福山市民)

今回われわれはGC療法にて5年以上の奏功期間を得た膀胱癌骨転移症例を経験したので報告する。

症例は50歳台男性。20078月肉眼的血尿、排尿困難を主訴に近医から当科紹介された。後壁に50mm広基性腫瘍を認めた。9TUR-BtにてUC,G2,pT2の病理診断を得た。傍大動脈リンパ節転移、多発骨転移を認め、膀胱癌T4N0M1Lym 

Oss)と診断。10月よりGC療法を開始。1コース終了後、リンパ節転移消失し、膀胱腫瘍も縮小した。さらに4コース施行し、膀胱の病変もCT画像上消失、骨シンチにて取り込みは認めるもののCT上腫瘤は指摘出来なくなり、骨硬化を認めた。20083月残存腫瘍に対しTUR-BtUC,T1を施行した。同月より骨関連事象予防のためZoledronate投与を開始した。以降画像上の再発は認めていない。200810月膀胱内再発にてTUR-BtUC,G3,pT1を施行。2010年粘膜発赤を認め、CISの診断にてBCG注入療法を2コース施行した。20114月粘膜発赤を認め、CIS再発を疑いTU-biopsyを施行したが悪性像を認めなかった。20134月現在画像上、膀胱鏡所見上の再発を認めていない。

 

  1. 術前補助化学療法に抵抗を示した膀胱癌の3

   枝村康平、山崎智也、弓狩一晃、小泉文人、日下信行、雑賀隆史(広島市民)

【対象】平成234月から平成253月までの2年間に当院で施行された膀胱全摘除術 46例中術前補助化学療法(NAC)を施行した21例において、治療抵抗性を示した3例について検討した。【症例170歳男性。cT3bN1M0、経尿道的手術(TURbt)にてUrotherial Ca, G2, T2以上と診断、NACとしてGC療法2コース施行後膀胱全摘除術を施行した。術中、右内腸骨リンパ節の増大と内腸骨静脈への浸潤を認めた。【症例270歳女性。cT3bN0M0TURbtにてUrotherial Ca, G3, T2以上と診断、NACとしてGC療法を開始した。1コース1週目より下腹部痛あり。画像検査、膀胱鏡検査では病変進行は認められなかったが、症状が悪化するため病変進行の可能性も考慮し、1コース終了後に膀胱全摘除術を施行した。術中、膀胱側壁に壁外浸潤を疑う所見を認めた。【症例354歳男性。cT2N0M0TURbtにてUrotherial Ca, G3, T2以上と診断、NACとしてGC療法を開始した。1コース1週目より排尿症状、下腹部痛あり、MRIにて膀胱壁の肥厚を認めた。局所進行ありと判断し、1コース終了後に膀胱全摘除術を施行した。【考察】筋層浸潤性膀胱癌に対するNACは一定の効果が報告されているが、必ずしも有用性が認められない症例も存在する。自験例3例について若干の文献的考察を含めて報告する。

 

  1. 岡山大学泌尿器科における前立腺癌に対するREIC遺伝子治療臨床研究〜CRPC著効例の報告〜

   有吉勇一、高本 篤、谷本竜太、佐々木克己、江原 伸、賀来春紀、渡部昌実、渡辺豊彦、那須保友、公文裕巳(岡山大)

岡山大学泌尿器科では前立腺癌に対してA群(CRPC)、B群(再発高リスク限局性前立腺癌)を対象としたREIC遺伝子治療を行っている。今回当該遺伝子治療が著効を示したA群の1例について報告する。

症例は63歳、2009年に他院にて前立腺癌(PSA483ng/ml, GS4+5, 病期C)と診断された。内分泌療法、前立腺局所放射線治療施行の後にCRPCとなり、骨盤内リンパ節転移も出現したため、20128月よりドセタキセルによる抗癌化学療法が施行された。一過性に病状コントロールが得られるも、その後PSAが再上昇したため201211月遺伝子治療を目的に紹介された。当科での画像検査、前立腺及び左閉鎖リンパ節生検を含む病理検査の結果、前立腺癌病期D3PSA 20.86ng/ml,T0N1M1a;左閉鎖, 外腸骨・総腸骨〜大動脈周囲リンパ節転移, GS5+4)と診断した。

文書による同意を取得後、201212月よりCTガイド下に左閉鎖節転移巣にAd-REIC1×1012vp; 1.2cc)をプロトコルで規定する4週間隔で2回の投与を実施、特記すべき有害事象は認めなかった。2回のベクター投与後、PSAの顕著な下降(41.1%, CT画像上ベクターを投与した閉鎖リンパ節(約5x4x3cm)内部の完全な壊死性変化, 同部位生検での腫瘍細胞の消失を認めたため、以後4週間隔で3回の追加投与(左閉鎖, 外腸骨節)を行った。追加投与でも重篤な有害事象を認めず、PSAのさらなる下降(83.9%)が得られている。特記事項として、ベクターを直接投与していない外腸骨〜大動脈周囲リンパ節の転移巣においても画像上明らかな壊死性変化を認めている。以上の結果から著効と判断し、更なる追加投与を検討している。

今回、前立腺癌に対するREIC遺伝子治療の局所効果、および「自己がんワクチン化」療法としての全身性抗腫瘍効果が臨床的に確認された。引き続き当科では本治療法の創薬POC(proof of cocept)の確立を目指して臨床研究を進めている。